「…ちょっといい?」少し遠慮がちな女の声が後ろから聞こえ、ハルとレオが後ろを振り返ると先ほど店に入ってきた槍使いの女が後ろに立っていた。
「そっちの眼鏡をかけている方、さっき市場の方で魔法道具を売っていた人だろう?もしよかったらこれのメンテナンスをしてもらえないだろうか?お代はちゃんと出すからさ」と言って槍をレオの方に差し出した。
「もちろん!喜んで!!」レオは目をキラキラさせながら女から槍を預かり、また色々と調べはじめた。
「あんたさ、旅の人?」レオが槍に夢中になってしまった今、何もすることがなくなったハルは隣に座ってきた女に話しかけた。
よくみると女はハル達とあまり変わらない年齢に見えた。
その割にはきっちりと防具を身に纏い、長い髪は後ろで一つ結びにされているし、風貌から見てもどことなく強さがにじみ出ている。首には鎖をつけた小さな小瓶をぶら下げていて、ハルはそれに何となく興味を覚えた。
「…!あ、ああ…まあ時々ハンターとか簡単な用心棒とかしながら各地をまわってるよ。ところで君、名前なんていうのさ?」とちょっと間をおいて女が答えた。
なんか微妙な間だなと思いながら「俺?俺はハル。この付近で何でも屋してるんだ。この町でなんかあったらごひいきにしてくれ」とニヤリと笑って「で、あんたの名前は?」と聞いた。
「あたしか?あたしはネージュだよ。長いからよくネジュって略されるけどさ。それじゃあ旅がしたくなった時はぜひあたしを用心棒として雇ってくれよ」とその女――ネージュもニヤリと笑い返した。
* * * * * *
「ところで、さっき聞こえたんだが隣の国の魔法使いの話をしてただろう?アレの話の続きを知ってるかい?」とおもむろにネージュは聞いてきた。
「続きがあるのか?」とハルは少し驚きながら聞き返した。
ちなみにレオは無反応だった(たぶん槍のメンテナンスに熱中しすぎて聞こえてない)
「ああ、あるのさ。その女の魔法使いが消えた後、すぐに後を継いだやつがいるんだ。ただし――――」と少し間をおき、眉間に皺をよせながらネージュは続けた。
「
――――
死んだ人の魂を呼び戻し、使役する人々を指す。
もちろん僅かな時間だけ呼び戻すのは魔法の掟で許されている。
だが大半の
そして隣の国は自国の領土を広げるためだったらなんでもする。
つまり………
「たぶん君が考えてるので正解さ。隣の国の
「駒?」ハルが頭にクエスチョンマークを浮かべる。
「…呼び戻した魂は呼び出した人間が魔法を解くか、封印するかでしか魔法を止める方法がないんだ。しかも封印されても魔法は解けてないから根本的な解決にはなってないし…しかも入れられた器を破壊しても呼び出した人のところへ戻るから堂々巡りの繰り返し」とレオが説明してくれた。
ってか聞いてたんだな
いつから話聞いてたんだろう…とハルが考えている間にレオが槍をネージュに「はいっ」と手渡した。
「この槍、ちゃんと手入れされてるし、魔法供給の方も問題なさそうだ。だからお代はいらないよ」
「そうかい?ありがとう」そう言ってネージュは槍を受け取って触りごごちを確かめた
ハルはその姿になぜか既視感を覚えたのであった。
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