双人~ふたり~   作:弟月 凌

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第7話

ハルは手に持つダガーを無我夢中で振るっていた

奴にむかって

 

振るう

 

振るう

 

振るう

 

でもどれだけ振っても当たらない

 

切っ先が奴に近づくたびに黒い炎が嘲笑うように弾き飛ばす

 

それでもハルは振るう

 

何度でも

 

「邪魔だ」

そっけない一言と共に斬撃が放たれ派手に吹っ飛ばされる

 

「ガハッ…」

 

地面に倒れたハルを見下し、奴――ジマは冷笑のまま剣を振るう

 

その剣はまっすぐハルの首に飛んできて――――

 

「ハッ!…」

 

目が覚めた

 

* * * * * *

 

ハルは上体をあげて周りを見渡した近くで焚き火がパチパチと音をたてながら燃えている

屋根の上を走っていた時にはまだ青かった空がオレンジ色に染まっていた

「やっと目が覚めたか」

素っ気ない女の声が後ろからして振り向くと木に背中を預け、槍をそばに置いたネージュがいた

「随分うなされてたな」

 

「…なんでもない。ところでここはどこだ?」急に起き上がったためイマイチ場所と状況が把握できない

 

「目が覚めたんだね!よかった〜」ネージュと逆方向から男ののんびりした声が聞こえた

 

「さっきまでいた町の近くにある森だよ。色々と結界とか張ってるから多少は安全だと思う」

バックをごそごそやりながらレオがハルの質問に答えた

 

とりあえず場所は分かった

そんでもって気を失う前の事も徐々に頭の整理がついてきたハルの頭に浮かんだのは

 

村に戻らないと

 

その意思だけだった

 

すぐに立ち上がり、村の方向に走り出そうとして左足を引っ張られ――――転んだ

 

「ってえ!」

よく見ると水でできた縄がハルの左足首を縛っていた

もう一方の端はネージュの槍に続いていた

当の本人はハルを鋭い目つきで見ている

 

「離せよ」ハルがネージュを睨みつける

 

「どこにいくんだ」ネージュは顔色ひとつ変えずに聞いた

 

「村に決まってるだろ!急がないと村のみんなまで―――」

「もう遅い。先に村人全員を人質にとった状態で町にきていた。すでに手遅れだった」ハルの言葉を最後まで聞かずネージュは言い放った

 

「ならなおさら町に行って助けないとダメだろ!いいからこの水縄解けよ!」苛立ちながらハルは言う

 

苛立っている

誰に?

 

この場でハルを抑えようとするネージュに?

こんな状況でもいつも通りのんびりした口調のレオに?

ハルを見下していたジマに?

 

いや、違う

 

 

何より力がない自分自身に

 

 

苛立ってる

 

 

「行ったところで攻撃が効かないのはさっきの攻撃で分かっただろ?それなのに対策もなしで何しに行く?ただ殺されに行くだけじゃないか。それに―――」とネージュはそこで一拍おき、

 

「あんたはあの時怒りで敵すらも見えてなかった。そんなあんたに隣の国の軍将、『獄炎のジマ』を倒せるのか?」

ハルに言い放った

 

ハルはその質問に答えられない

奇襲をして歯が立たなかった

たったの一回も刃がジマに届くことはなかった

そして何より、殺されかけた

 

「じゃあ、…どうすればいいんだよ……」

それだけ、絞り出す

 

大切な村の人を救い出せず、逃げるのか――――?

 

「………」ネージュがすっと槍を左手に持って立ちあがり、ハルに歩みよった

そして右手をハルの顔の高さにあげ――――

 

パァン!

 

後ろに持っていた槍を回転させて槍の棒の部分でハルの膝裏を思いっきり叩いた

 

俗にいうひざかっくん

しかも右手ではたくというフェイントからだから完全に予想外だった

 

「いってええええ!」

というかふざけてやるようなレベルの痛みじゃない

あまりの痛さに座って悶絶した

 

「そのためにここにいるんでしょうが!いいから座ってちゃんと話を聞け!」そこにネージュのお説教が上から降ってきた

 

それを見てレオは楽しそうに笑った

 

つられてネージュの口元も笑った

 

ハルも痛さに涙目になりながら少し笑った

 

ちよっと少し冷静になれたみたいだ

 

* * * * * *

 




ちょっと後半グダグダになっちゃいましたね…
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