ご注文は腐った魚ですか?   作:フリーダムrepair

1 / 3
あ、はい、どうも、1話目です。

ご意見・ご感想お待ちしております。


一杯目

『今、汝に道を選択する権利を送る。1つは堕落した生活を送り、やがて人として腐っていく道。

1つは日々己の身を磨き、神の帰依を誓う道。

何れの道を選ぶかは汝の自由、其れによってどうなるかも又汝の自由。今、選びたまえ。』

選択する自由か…

開店前のとあるカフェ、店を開く準備をしつつ、そんな呟きを漏らした。

制服のポケットの中に紛れ込んでいた一通の手紙には見慣れた字。妹の小町が俺宛に書いたものらしい。

手紙と言っても新聞のついでについてくるチラシの裏を使って書かれた物で、俺が帰った時のおみやげリストが詳細に書かれていた。

まあ、今俺はちょっと事情があって地元である千葉を離れているので、帰る時にはちゃんとリスト分位のお土産は買っておこう。

俺が開店の準備を終え、小町からの手紙を丁寧に畳んでいると、ガチャリと扉が開いた。

「…おはようございます、比企谷さん」

扉から出てきたのは、ここの喫茶店のオーナーの孫娘。

髪の左右にヘアピンを×印状に付けていて、いつも頭に毛むくじゃらの動物を乗せている

…よくそれ落ちないな。

「…おー、おはようさん」

気だるげに返事を返すと一瞬身構えたようにビクッと後ずさる。

まあ、年も俺の方が上だし、あまり知らない相手だから間が空いて気まずい雰囲気があるのも仕方がない。こういう時は自然に相手の出方に合わせるに限る。

すると、この喫茶店のオーナーの孫娘である香風智乃はいくつかのコーヒー豆をミルに入れ豆を挽き、無言でお湯が沸くのを待っている。

俺もまた特にする事もなく、近くにあった席に座ってボーッとしていた。

やがてお湯が沸くと香風はそれをカップに注ぐ。コーヒーの香りが湯気と共に立ち上がる。香風はコーヒーの入ったマグカップを俺に向けて手渡した。

「…どうぞ」

「お、おう」

突然のことに驚いて、ろくに言葉を発することも出来ずにいると、それ以上に会話が発展することもなく、向こうはすたすた出口側のテーブルの方へと行ってしまう。

香風が入れてくれたコーヒーを眺めつつ、今のやり取りを冷静に思い返してみる。

…おいおい、マジかよ、香風が俺に挨拶するだけじゃなくコーヒーまで入れてくれたよ。警戒された上、一切俺に近づこうとしなかった1ヶ月前と比べたらえらい進歩なんじゃねぇの。

とはいえ、挨拶程度は小学生でもちゃんとするしな。むしろ不審者には積極的に挨拶していけと小学校で教えてるまである。

そう考えてみると向こうから挨拶されたのは不審者に対する先制攻撃だった説が浮上してきちゃった!!あれかな?香風は学校で爪でも貰ってきたのかな?

まあ、そんなことはともかくせっかく入れてもらったコーヒーなので冷めないうちに飲むために、俺はキッチンにあった練乳を持ってきた。

ちなみにコーヒーに練乳を入れてMaxコーヒー風にして飲むことを千葉ッシュという。ついでに言うと英雄王の真名はギルガメッシュという。

ずずーっと偽Maxコーヒーを啜りつつ、ボーッとしていると、香風が思い出したように口を開いた。

「そういえば、今日から新しくウチに同居する人が来るみたいなんです」

「ほーん…へ?」

驚いたように俺が言うと、急に聞き返してきて戸惑いでもしたのだろうか、香風はまたビクッと身体を身構えた。持っていたお盆を口元まで持っていき、俺の反応を窺うようにチラッと俺を見る。

しかし新しい同居人か…流石に、この香風家も俺みたいな下宿人兼アルバイトを抱えていることもあって身内関係が来るということもないだろう。しかも今の時期となるとおそらく俺と同じような理由で下宿先を探す奴もいるはず…

「…そういえば比企谷さんは千葉から来たんでしたね」

「ああ、そうだな…まあ、ちょっと色々あってな」

そう、俺が愛しの千葉を離れ、この街にきているのには理由がある。

俺は千葉の総武高校を受験する当日、交通事故にあった。

初の第1志望受験、あまりの緊張のあまり、一時間も早く家を出てしまったのが運の尽きだ。

7時頃だっただろうか。高校付近で犬の散歩をしていた女の子の手からリードが離れ、そこへ折悪しく金持ってそうなリムジンが来た。気がついた時には全力で走り出していた。

その結果、救急車で搬送され、3週間ほど入院。もちろん総武高校なんて受けられず、その前に受かっていた、この街の学校に通うことが決定した瞬間である。

しかもこの学校、千葉からかなり遠い所に校舎を構えているため、下宿しなければならず、高校の方針で下宿させて頂く代わりにその家で奉仕をしなければならない…という訳で俺はこの香風の家の喫茶店である''ラビットハウス”で働いている。

…しかし奉仕という言葉を聞くだけで寒気が走るんだからやっぱり労働はダメだと思いましたまる。(こなみかん)

 

そんなどうでもいいことを考えながら ふと時計を見るともう開店時間を20分も過ぎていた。

俺達は慌てて最終チェックをすませ、店の看板札をOPENに変える。

そして、店の扉が開かれると新鮮な春のそよ風と共にコーヒーの香ばしい香りがふわっと立ち込めるような気がした。

「食材の買い出しに行って来てください」

時刻は12時を少し過ぎたかというところで香風に買い出しを命じられた。

いつもラビットハウスが利用している市場は店からその場所まで往復30分かからないくらいだ。ゆっくりだらだら歩いていても特に問題にはならないだろう。

そんなこんなでだらだらと市場まで行き、頼まれていたものを適当に購入し帰路につく。

…適当さって超大事だけど自分の適当さと他人の適当さは違うから難しいな。適当でいいよって俺の口癖だけど、他人がやると『適当なことしてんじゃねぇよ』って思うから世の中マジ結果オーライでしかない。

そんな壮絶なまでにどうでもいいことを考えながら、ようやく店にたどり着く。

店のドアを開くと、そこには俺同様にラビットハウスで働くバイトの先輩がキッチンでコーヒーカップを拭いていた。

「お、比企谷、お帰り」

こちらに気がついたのか、俺に声をかける。

俺はペコリと頭を下げ、買ってきた物をカウンターテーブルに乗せ普段通り制服を取りに更衣室に行こうとすると見馴れない女子がラビットハウスの制服を着て、こちらを驚愕の瞳で見つめていた。…誰?

「…ああ、比企谷さん、お帰りなさい」

「チ、チノちゃん!リゼちゃん!お店に目が腐った変な人が!?」

店の奥の部屋から出てきた香風をガバッと庇うように立つ女子。

…それにしても俺の目ってそんなに腐ってる?

俺が女子なら『え?私ってそんなに発酵の美女?』とプラスに解釈するところだよ?

と、現実逃避していても仕方がないので、この女子が誰なのか知ってそうな人に聞いて見ることにした。

「…天々座先輩、この人は?」

俺の率直な質問に、天々座先輩は肩にかかったツインテールの髪の毛を払いながら言う。

「ん?ココアか?ココアは今日からラビットハウスで働くことになった新入りだ」

ああ…コイツが新しい同居人って奴か、俺がココアたらいう女子を眺めていると、香風が俺について説明してくれたらしく、ポンっと手を叩いてこちらにやって来た。

「保登心愛です!!これからよろしくね。えっと…」

「…比企谷八幡だ、まあ、その、よろしく?」

何故か疑問系になりつつも保登に返事を返す。

すると、俺に向かって1歩踏み出し、距離を詰める。

「八幡君か…うん、八幡くん」

名前呼び…しかも近い距離で名前を呼ばれ、思わず俺の足が1歩引く。

「お、おお」

あいまいな返事をすると、保登はうんと頷いた。

「八幡くんもこの家に下宿しているんだよね?私もね、今日からここでお世話になるし、頼りにしてるね。サー」

無邪気に微笑まれると、目が腐ってるとか言われたことなんて大したことじゃないように思える。というか、俺の目が腐ってるなんていつものことだしな。

しかし、同じ位の年齢の女子に純粋に頼られるというのは、やはり少し照れ臭い。

お互いの顔が至近距離まであるというのに、保登はそんなことが気にならないようで変わらず、俺に真っ直ぐほんわかした笑顔を向けていた。

おかげで、俺の方が顔を逸らしてしまう。

「お、おう…でも、そのサーって何?」

「え?」

小首を傾げる保登の隣で、バタバタしている奴がいた。

「コホン…よし、ココア、ラテアートやって見るか?」

急速な話のすり替えを見た。あっ天々座先輩(察し)

「らてあーと?」

不思議そうな顔をする保登に天々座先輩が説明していく。

そのおかげか保登や香風も一緒にラテアートを作り始める。

「八幡くんも一緒に作ろうよー!!」

「やだよ…と、言うよりもな、お前らそんなにラテアート作って誰が飲むんだ?」

「「「 あ」」」

見れば誰がどのラテアートを作ったのかがよく分かる。天々座先輩や、香風はともかく初めてな保登のラテアートも割とうまく出来ていた。…え、まじでこの大量のカプチーノどうするの?

結局、残ったラテアートは4人で分担して飲むことになり、俺は深夜カフェインで眠れないことになった。

 

 




はい、という訳で1話目でした!
以前少しだけお話させていただいた俺ガイル×ごちうさのクロスを書きたいなーなんて思ったところから、今回のご注文は腐った魚ですか?を復刻…ないし書かせてもらいました。

…突然だけど、ごちうさって凄いと思うの…
何が凄いって基本的にどんな作品でも好きなキャラ嫌いなキャラっていると思うんですけど、ごちうさってそういうの無いのよね…
人にもよるとは思うんですけど、あの可愛い!!を追い求めた感じ…もはや1つの道の極みまで至っているのでは…??
ちなみに、ごちうさ道を歩む人々を見てよく思うのは、こういう感じで極めてく人多いよね。(個人調べなので他説様々なものがあります)
嗜み ココア
初心者 シャロ
中級者 リゼ ↓この順に好きになっていく
上級者 チノ
極み 千夜
とまあ、大体こんな感じ(個人差が大きくあります)。
(一部の紳士達はチノからごちうさ道に入る人も多いと聞くし、人によってシャロとリゼとココアの位置が移動されたりする)
何が言いたいかと言いますと、…千夜好きな奴少な過ぎんだろ…(個人調べ)
いや、まあ、確かにココアとかと比べて主張が強いタイプでは無いけど可愛いと思うんですよね!!
まあ、そんなことはともかく。ごちうさは最終的に行き着くところがみんな可愛い!!ってところが凄いよねっていうお話でした!!
…というか、なんだよごちうさ道って…

と、いう訳で今後もし続くのであれば劣等生と並行して進めることになるのかなぁ…という次第であります。(需要なければやめる)
そんなことはおいておいて、ここまでお付き合い頂いた方に感謝を込めて今後とも読んで頂けますように…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。