勘違いで生き残れ!   作:朝が嫌い

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話が進まない・・・最近勘違い要素薄いな・・・あと3話ぐらいで終わります。
次の章は、白のハッタリが火を噴くはず・・・


開戦と見物

「本当に良かったんですか? 一ヶ月、休止期間を設ければマスターの勝ちでしたのに」

 

 暗がりの中、白装束の女―――ラッテンは主人である少女―――ペストに問いかけた。

 

「“箱庭の貴族”は惜しいですけど、勝ちが決まったギフトゲームをフイにするのは勿体ないというか・・・」

 

「止めろよ、ラッテン。過ぎた事だ」

 

 理解しかねるといったラッテンを軍服の男―――ヴェーザーが制した。

 

「俺等のリーダーが決めた事だ。俺達は黙って従うだけだ」

 

「でも・・・」

 

「別に良いのよ、ラッテン」

 

 なおも言い募ろうとするラッテンを、ペストは面倒くさそうに答える。

 

「ギフトゲームが解けなければ、八日後は私達の総取りで勝ち。解かれても八日後に皆殺しにすればいいだけよ」

 

 悪魔の様な天使の微笑みだった。

 

「・・・いや、分かっていたけどな。マスター、本気で趣味悪いだろ?」

 

「あら? 勇気を振り絞って立ち向かう相手を鼻で嗤って、打ち倒すのが魔王でしょう?」

 

 違うの? とペストは呆れるヴェーザーに可愛らしく首を傾げた。

 

「まあ、そうではあるけどよ・・・。何か手に入れた後は飽きて放り出しそうだな」

 

 やれやれとヴェーザーは困った様に後ろ頭を掻く。

 

「白帝の部下っていうあの嬢ちゃんは大丈夫なのか?大分ヤバイ話を聞くんだが」

 

「ええ、問題ないわ。私なら勝てるもの。」

 

★★★★

 

「アナ・・今回のギフトゲーム、俺は参戦しないという約束だがあくまで『白帝』は参加してはいけないだけなのだ。だけど」

 

「私は参加していいと?」

 

「その通りだ」

 

アナは呆れた顔をしながら・・・

 

「ひどい、屁理屈ですね。」

 

と言った。

 

「屁理屈結構。生き残るためのコツだろ」

 

「相変わらずのねじれ具合ですね。安心しました」

 

「それに、部下であるアナが強いと知れればその評価は主である俺にもつながるからな。期待してるぜ、アナ」

 

「分かってますよ・・・|主≪マスター≫」

 

 

さて、行きますか。

 

 

★★★★

 

 

「なっ、何処だ此処は!?」

 

 参加者の誰かが、驚愕の声を上げた。

 見渡せば数多の尖塔群のアーチは劇的に変化し、木造の街並みに姿を変えている。

 黄昏時を彷彿させるペンダントランプの煌めきは無くなり、パステルカラーの建築物が一帯を造り変えている。 

 境界壁の麓は全く別の街へと変貌していた。

 ステンドグラスの捜索側に回っていたジンは、蒼白になりながら叫んだ。

 

「まさか、ハーメルンの魔道書の力・・・ならこの舞台は、ハーメルンの街!?」

 

「何ッ!?」

 

 マンドラがその声に振り返る。その間も混乱は広がりをみせ、士気高く飛び出した参加者達は余りの劇的な変化に出鼻を挫かれたように足を止めた。

 

「こ、ここは一体!?」

 

「それに今の地鳴りは!?」

 

「まさか魔王の仕掛けた罠か!?」

 

 ザワザワと動揺が感染していく。マンドラはチッ、と舌打ちしながらも一喝する。

 

「うろたえるな!各人、振り分けられたステンドグラスの確保に急げ!」

 

「し、しかしマンドラ様!地の利も無く、ステンドグラスの配置もどうなっているか分からないままでは、」

 

「安心しろ!案内役ならば此処にいる!」

 

 ガシッ!とマンドラがジンの肩を持つ。

 

「え?」

 

「知りうる限りで構わん。参加者に状況を説明しろ」

 

「け、けど、僕も詳しいわけでは、」

 

「だから知りうる限りで構わんと言っているだろうがッ。貴様が多少なりとも情報を持っている事は既に知れ渡っている。お前の言葉ならば信用する者もいるだろう。とにかく動きださねば、二十四時間などすぐに過ぎ去るぞ!」

 

 ぐっとジンも反論を呑み込む。十六夜なら………と捜すが彼は此処にはいない。時間も決められているから悠長にしている暇はない。

 ジンは意を決したように捜索隊の前に立つ。

 

「ま、まずは………教会を捜して下さい!ハーメルンの街を舞台にしたゲーム盤なら、縁のある場所にステンドグラスが隠されているはず。〝偽りの伝承〟か〝真実の伝承〟かは、発見した後に指示を仰いでください!」

 

 ジンの一声で捜索隊が一斉に動き始めるのだった。

 

 

「ほう、地精寄りの悪魔とは思っていたが、地殻変動そのものを引き起こすとは恐れ入る。新米魔王となめていたな」

 

 街中で一番大きな建物に登り、一帯を見回す。

 ハーメルンの伝承に基づいた場所だけは精巧に造り出されていた。

 

「街道は結構滅茶苦茶だが………あそこにあるのがマルクト教会に、ブンゲローゼン通りか。押さえるところは押さえているって訳だな」

辺りを見回していると、十六夜とヴェイザーが争っているのが見えた。

 

「―――その前に、決着と行こうぜ坊主ッ!!」

 

 一喝、十六夜の足場にしていた家が真下から吹き飛んだ。

 建築物の地盤ごと砕かれ、木造の建築は跡形も無く粉砕する。

 声に反応した十六夜は反射的に上空へ跳び退いたが、追い打ちをかける様に地面から飛び出したヴェーザーに顔を掴まれる。

 

「テメェ!」

 

「前回のお返しだ!先手は譲ってもらうぞッ!!」

 

 棍に似た巨大な笛で、十六夜の腹部を強打する。

 先日とは比べ物にならない巨大な力が宿った一撃は、超振動のように十六夜の身体に浸透し、十六夜はハーメルンの街に流れるヴェーザー河の水面を何度も弾いて、対岸に叩き付けられる。

 面白そうだな、見ていくか。

 

 

 

 

「・・・やるじゃねえか。今のは相当効いたぞ」

 

「当たり前だ。前回と同じと思って油断なんかすんじゃねえぞ坊主。こっちは召喚されて以来、初めての神格を得たんだ。簡単に終わったら興ざめするってもんだ」

 

「何?」

 

 十六夜が訝しげにヴェーザーを睨むと、ヴェーザーはクックッと牙を剥いて笑って棍を横一閃に薙ぐ。

 すると大地は地鳴りを始め、震動を起こし始めた。

 

「ああ、そうだ。これが〝神格〟を得た悪魔の力……!クク、とんでもねえぜ坊主!130人ぽっちの死の功績なんざ比較にならねえ!今の俺は、星の地殻そのものに匹敵する!」

 

 更に横一閃。星の地殻変動に比するという衝撃は大気を伝達し、ヴェーザー河を叩き割って氾濫させ、河の流れさえも逆流し、隣接する建造物を軒並み粉々に打ち砕いた。

 目に見えて立ち昇るヴェーザーの力に、十六夜は不敵な笑みを零す。

 

「ハッ、なんだよ。少し楽しめれば、あいつとの闘いまでの経験値になれば、それでいいと思っていたのに、随分と俺好みなバージョンアップをしてきたじゃねえか。嬉しいぜ、本物の"ハーメルンの笛吹き"」

 

「謎を解いたのはやはりお前か、坊主」

 

「ああ。だけど土壇場まで騙されてた。お前以外のメンバー全員は偽物。十四世紀以後の黒死病の大流行と共に後付けされた、一五〇〇年代以降のハーメルンの笛吹きの伝承だったのさ」

 

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