勘違いで生き残れ! 作:朝が嫌い
一二八四年 ヨハネとパウロの日 六月二六日
あらゆる色で着飾った笛吹き男に一三〇人のハーメルン生まれの子供らが誘い出され、丘の近くの処刑場で姿を消した。それがハーメルンの伝承の真実と白は言っていました。
「そして、あなたはハーメルンとは別の存在である黒死病の魔王、と言うのが私の推論ですが………当たっていますか?」
「………もうそこまで気がついたのね。流石は白帝の部下。いや、一部では白帝の右腕なんて呼ばれていたわね。」
「私だけでなく、ノーネームも気づいたようですけど」
場所は変わって対峙するペストと、アナ、黒ウサギ、サンドラはハーメルンの街の屋根上にて縦横無尽に飛び回っていた。
轟く雷鳴を響かせた黒ウサギの"疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)"が放つ轟雷がペストを左から襲い、右からはサンドラの"龍角"が放つ紅蓮の炎が襲う。
黒い風の球体を纏っているペストは、二つの奔流を余裕で遮断する。
「貴女達も飽きないわね。徒労なのに無駄なことを………」
ペストは四本の黒い竜巻を起こしサンドラに飛ばす。アナは彼女の前に出て、紫色の鎌で切り飛ばした。
先程から何度も行われている光景が続いていた。
「………そうですね。やはり彼女は………」
サンドラは変わらない状況に焦り始め、黒ウサギとアナは戦況を冷静に観察していた。
「………"
「えっ?」
「そうよ」
「やはりですか」
「えっ!?」
三人のやり取りに付いていけないサンドラ。
「あなたは最初から神性を持っていた。だからハーメルンとは別の黒死病であることも検討は付いていました。」
「つまり貴女は14世紀から17世紀に吹き荒れた黒死病の死者ーーーーー8000万の死者の功績を持つ悪魔ですね」
「ええ、そうよ。よくたどり着いたわね。こちらからも一ついいかしら?」
「何ですか?」
「アナ、あなたも神霊の類よね?」
「・・・」
「沈黙は肯定と取るわ」
「そうですよ」
「あら、案外簡単に言うのね」
「やることは変わりませんから」
少しも動揺しないアナにペストは舌うちする。
「・・・良いことを教えてあげるわ」
「いいこと?」
黒ウサギは訝し気に聞き返す
「ええ、私が神霊になったのは完成したっ形骸を使ってなんかいないわ。私を召還したかの魔王は"8000万の死の功績を持つ悪魔"ではなく、"8000万の悪霊群"代表の私を死神に据えれば、神霊として開花すると思ったんでしょうね」
「………まさか」
「そう。私は黒死病の死者の代表にして、最初の感染者。それが"黒死斑の魔王"よ。私達の"主催者権限"………死の時代に生きた全ての人の怨嗟を叶える権利………黒死病を世界中に蔓延させて飢餓や貧困を呼んだ諸悪の根源、怠惰な太陽に復讐する権利が私達にある!誰にも邪魔はさせないわ!!」
そう叫んだペストが己の霊格を解放し、黒い風が吹き荒れる。
黒ウサギは風で煽られた髪を後ろにかき上げながら言った。
「太陽に復讐とは随分と大きく出ましたね。神霊一匹程度ではどうにもなりませんよ?」
「出来る出来ないは貴女が決めることではなくて、私が決めることよ?」
第二ラウンド開始だ。
★★★★
結果は十六夜の勝ちだった。ただ、彼の戦い方は少し変わっていて慢心はしていても油断はしていない。・・・やっぱり、生かしておくんじゃなかったかな・・・。
と後悔先に立たず・・・・
まあ、もうしょうがないことだ。そろそろ、決着付きそうだし行くか。
★★★★
「三人でなら、倒せると?なめるのもたいがいにしなさい。白帝も大したことはないわね。この程度の部下を連れているなんて、程度が知れるというものだわ」
死の風が、黒ウサギたちを襲う・・・勝ったそうぺストが思った瞬間
「あなたをやさしく殺すのはやめました」
下から鎌がペストの首めがけて飛んできた。
「ッッッッ」
間一髪でペストは避ける。そして、攻撃してきたアナをにらんだ。
「優しく殺すのをやめた?手加減をしていたとでも?」
「その通りですよ。覚悟してください、やや、怒りましたので」
大鎌で切りかかり、躱して距離を取ろうとするペストに
「逃がしません」
鎖をもって大鎌を投げつける。リーチが一気に伸びペストに襲い掛かる。これには、不意を突かれたのかペストは避け損ね足に一撃もらってしまう。怯んだところに追い打ちをかけるアナ。
今までとは、打って変わり攻撃的になったアナの猛攻がペストに襲い掛かる。
「くッッッ」
「どうしましたこんなものですか」
死の風も何のその。大鎌で切れ割いて追撃する。3分もしたころにはペストは傷だらけになっていた。
「すごい・・・」
黒ウサギは、息も飲む。自分たちがさんざんてこずっていた相手に圧倒的な戦いを繰り広げるアナに畏怖を抱いた。速さも攻撃の切れも段違いだ。サンドラは、自分たちのレベルに合わせて戦っていたことに気づき、自分の未熟を悔やんだ。
「ハァハァハァ・・・変ね、あなた技のキレが増してない?本当に手加減してたなんて思いたくないのだけれども」
「ええ、手加減していました。そして、それは今も同じです。ギアをあげますよ」
「くッッッ。厄介な・・・」
「そろそろ、終わらせます」
アナの纏っていた雰囲気がまた変わった・・・・
ヤバイ、そう理解し逃げるよりも早くアナの攻撃はペストをとらえる。「その指は鉄、その髪は檻、その囁きは甘き毒。」アナの透き通った声が戦場に駆け巡る。大鎌で滅多切りに
した後、その真名を開放する。
「これがわたし! 『
紫色の閃光が、ペストを呑み込んだ。