勘違いで生き残れ!   作:朝が嫌い

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再会と怒り

少しして、ノーネームがフォレスガロに勝ったという話を聞いた。そして、ノーネームが妥当魔王を掲げているという話を聞いたのだ。打倒魔王それは言うまでもなく簡単なことではない。行ってみるか。

 

 

 

ノーネームにつくと、何やら、誰かが争っている音が聞こえた。近づいていくと懐かしい顔がいた。自分の威圧のスイッチを入れて近づく。

 

「ほう、懐かしい顔だな」

 

そこには、金髪の吸血鬼、レティシアがいた。やはり、情報通りか・・・・

「白なのか・・・どうしてお前がここに」

 

「吸血鬼の王族であり、わずか12歳で“龍の騎士(ドラクル)”にまで昇り詰めた最強の吸血姫が見る影もないとは、情けないなレティシア」

 

「・・・返す言葉もないな。白」

 

後ろから敵意を感じる。振り返ると、ゴーゴンの威光が放たれていった。

 

★★★★★

 

「あの光はゴーゴンの威光!?見つかったか!!」

 

 レティシアは3人を庇うように動こうとしたが、

 十六夜が先に前にでて、その光を踏み抜いた。

 

 ガシャン!!という音と共に、天地を覆う褐色の光はガラス細工のように砕けた。

 

「「なっ!!!」」

 

 あまりの光景に黒ウサギとレティシアは声をあげる。

 

「今俺は、興奮とイライラで感情がごちゃ混ぜなんだよ。そんな時にフザケた物持ち込んできやがって。何処のどいつだごらぁぁぁ!!」

 

 十六夜が吠えた。

 光が迫ってきた方向に、羽の生えた具足を着け、甲冑をと兜を着けた騎士のような者達が遠方から近づいてきた。そして、ゴーゴンの首を掲げた旗印。"ペルセウス"の者達とわかった。

 

「いたぞ!奴だ!」

 

「石化してないぞ!?」

 

「例の"ノーネーム"もいるな」

 

「構わん。邪魔する奴は切り捨てろ」

 

「オイオイ何なんだ一体?」

 

「とりあえず、屋敷に戻りましょう。」

 

 サウザントアイズの幹部である"ペルセウス"相手に揉め事を起こしてはいけないと思い、黒ウサギがそう言って十六夜を屋敷に戻そうとするが。

 

「貴様、この俺の話を横から邪魔するとはな・・・」

 

「誰だ貴様・・・我らが当主が決めたことだ。部外者は黙れ。」

 

 そう言って空で舞う彼等は各々の武器を構える。

 

 本来ならば本拠への不当な侵入はコミュニティの侮辱であり、世間体もよろしくない。

 それに、大手商業コミュニティ"サウザンドアイズ"は信頼を大事にする。その傘下である"ペルセウス"がこんな暴挙に出るのは、完全に"ノーネーム"を見下しているということだからだ。

 

「このっ!これだけ無礼な行いを働いておきながら、非礼を詫びる一言も無いのですか!?」

 

「ふん。こんな下層に本拠を構えてるコミュニティに礼を尽くしては我らの旗に傷が付くわ。身の程を知れ"名無し"」

 

 その言葉を聞き、黒ウサギの堪忍袋も切れた。いきなりの襲撃と暴挙。それに加えて数々の侮辱発言には流石の温厚な黒ウサギもキレる。

 

「あり得ない……あり得ないですよ。天真爛漫にして温厚篤実、献身の象徴とまで謳われた"月の兎"をコレほど怒らせるとはッ……!!」

 

★★★★

 

今、黒ウサギにインドラを使われるのはマズいな。

 

「・・・色々言いたいことはあるが、今はこの俺の話を妨げる馬鹿どもに」

 

サウザンドアイズに放った殺気とは、違う相手を沈める殺気を放つ。

 

「・・・死という恐怖をくれてやろう」

 

瞬間、空中にいたペルセウスの構成員が落ちてくる。落下していく者は悉く気絶していた。後ろから息をのむ音がする。ただ、レティシアだけは、悲しそうな顔をしていた。その顔が、何に対してなのか判断が今の俺には付かない・・・。

 

「こいつらは、誰だ?」

 

十六夜が聞いて来る。そして、レティシアが答えた。

 

「私を追ってきた、ペルセウスの者たちだろう」

 

そして、俺の背後で黙っていたアナが前に出ていく。ちなみに、アナは深い黒いフードをかぶっている。

 

「これは、れっきとした不法侵入ですね」

 

おお俺の意図を組むとは、流石アナだ。

 

「そうだな・・・黒ウサギ抗議に行くなら付き合ってやるぞ?俺も用事がある故な」

 

「本当でございますか?もちろん行きます」

 

「決まりだな」

 

「待ってくれよ、そこに居るちっこいのは誰だ」

 

「こいつは、俺の部下だ。」

 

「へー白帝様の配下かよ。」

 

十六夜の目が怪しく光る。気に入らないな。

 

「お前らも来るのか?」

 

「ああもちろんだぜ」

 

 

★★★★

 

 

 

六人が"サウザンドアイズ"に着くと、店先で迎えたのは例の無愛想な店員だった。

 

「お待ちしておりました。中でオーナーとルイオス様がお待ちです。」

 

 そう言って黒ウサギ達を、中庭を通り抜けた先にある別館に案内した。

 中に入ると、迎えた酷く軽薄そうな男が黒ウサギを見て歓声を上げた。

 

「わぉ!これが噂の"月の兎"か!ミニスカにガーターベルトとか超エロいじゃん!!

 僕は"ペルセウス"のルイオスって言うんだけどさ。君、僕のコミュニティに来ないか?君が良ければ三食首輪付きで飼ってやるぜ?」

 

 開口一番その男ーーーールイオスは、好色そうな視線で黒ウサギを舐め回した。不躾な視線から守る様に、飛鳥が黒ウサギの前に立ちふさがる。

 

「これはまた随分と分かりやすい外道ね。断っておくけど、黒ウサギの美脚と巨乳は私達のものよ」

 

「そうですそうです! 黒ウサギの脚は、って違いますよ飛鳥さん!!」

 

 突然の所有宣言にツッコミを入れる黒ウサギ。そんな二人を見ながら十六夜は呆れて溜息をつく。

「そうだぜお嬢様。黒ウサギの美脚と胸は既に俺のものだ」

 

「なら、私がいい値で買おう!!」

 

「売・り・ま・せ・ん! なんで皆様でふざけ合っているんですか!」

 

 そんな彼等のやり取りを見たルイオスは、ポカンとした顔の後に唐突に爆笑しだした。

 

「あっははははは! え、何? “ノーネーム”って芸人コミュニティなの? そうなら纏めて“ペルセウス”に来いってマジで。道楽には好きなだけ金をかけるからね。生涯面倒見るよ? 勿論、その美脚は僕のベッドで毎晩好きなだけ開かせてもらうし、その胸も好きなだけ堪能させてもらうけどさ。」

 

「お断りでございます。黒ウサギは礼節を知らぬ殿方に肌を見せるつもりはありません!」

 

 嫌悪感を吐き捨てる様に高々と宣言する黒ウサギ。

 

「お前がボケるなよ黒ウサギ。と言うかそんなエロい衣装着て誘ってないとかないだろ」

 

「これは白夜叉様が開催するゲームの審判をさせてもらう時、この恰好を常備すれば賃金を三割増しすると言われて………」

 

 そう黒ウサギがゴニョゴニョと反論すると、十六夜は白夜叉に目を向けて

 

「超グッジョブ」

 

「うむ」

 

 サムズアップし、それにサムズアップで応える白夜叉。

一連のやり取りを頭を抱えたい気分になりながら、外から白は見ていた。

 

 

 念のためレティシアを別室に待機させていた四人は座敷に招かれて、〝サウザンドアイズ〟の幹部二人と向かい合う形で座る。長机の反対側に座るルイオスは舐め回すような視線で黒ウサギを見続けていた。

 黒ウサギは悪寒を感じるも、ルイオスを無視して白夜叉に事情を説明する。

 

「―――〝ペルセウス〟が私達に対する無礼を振るったのは以上の内容です。御理解頂けたでしょうか?」

 

「う、うむ。〝ペルセウス〟の所有物・ヴァンパイアが身勝手に〝ノーネーム〟の敷地に踏み込んで荒らした事。それらを捕獲する際に於ける数々の暴挙と暴言。確かに受け取った。謝罪を望むのであれば後日」

 

「結構です。あれだけの暴挙と無礼の数々、我々の怒りはそれだけでは済みません。〝ペルセウス〟に受けた屈辱は両コミュニティの決闘を以て決着を付けるべきかと」

 

 レティシアが敷地内で暴れ回ったというのは勿論捏造だし、彼女にも了承は得ている。本当はレティシアを悪く言うのは黒ウサギとして心苦しかったが、彼女を取り戻す為には形振り構っていられ無かったのだ。

 

「〝サウザンドアイズ〟にはその仲介をお願いしたくて参りました。もし〝ペルセウス〟が拒むようであれば〝主催者権限ホストマスター〟の名の下に」

 

「嫌だ」

 

 唐突にルイオスはそう言った。

 

「………はい?」

 

「嫌だ。決闘なんて冗談じゃない。それにあの吸血鬼が暴れ回ったって証拠が有るの?」

 

「それなら彼女の石化を解いてもらえれば」

 

「駄目だね。アイツは一度逃げ出したんだ。出荷するまで石化は解けない。それに口裏を合わせないとも限らないじゃないか。そうだろ?元御仲間さん?」

 

 嫌味ったらしく笑うルイオス。筋は通っているがしかし、現在レティシアがノーネーム側に居ることを彼は知らない。

 

「そもそも、あの吸血鬼が逃げ出した原因はお前達だろ?実は盗んだんじゃないの?」

 

「な、何を言い出すのですかッ!そんな証拠が一体何処に」

 

「事実、あの吸血鬼はあんたのところに居たじゃないか」

 

「……そうですかあくまで白を切るつもりですね」

 

「白を切るも何も僕は本当のことを言ったまでだよ?」

 

「ならば、こやつに証言させればよかろう?」

 

そこには、気絶したルイオスの部下を引きずっている白が立っていた。

 

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