勘違いで生き残れ! 作:朝が嫌い
「さっきのあれはどういうつもりじゃ?」
白夜叉が問うてくる。別に、目的がなくかばったわけではない。いくつかの目的があったのだ。一つは、ルイオスの実力だ。だが、それはたかが知れた。確かに俺は戦闘面では弱い部類に入るが、伊達に、白夜叉のところで、訓練していたわけではない。あれならば、威圧を使わなくても本人であれば何とかできる。二つ目は、十六夜の実力確認だ。ルイオスとぶつけるということは、アルゴールと戦うということだ、当て馬にしては上出来だ。
だが、こんな目的を言うつもりはない。
「そこの、吸血鬼に借りを返しただけのことだ」
「へー借り、ね」
「ところで、さっきのはどうやったんだ?」
「あれは、恐らく殺気を圧縮してルイオスに当てたのだろう」
レティシアが答えた。流石だな、恐ろしい観察眼だ。
「・・・この俺に手を使わせるどころか、回避をさせたやつも最近はいないな」
これは、事実だ殺気を当てるだけで大抵の奴は倒せる。だが・・・3桁や4桁の中でも強い奴にはほとんだ意味をなさないだろう。もし、十六夜にそれだけの資質があるなら今のうちに手を打っておく。
「なぁ、この戦いが終わったら俺と戦ってくれないか白帝様ァ」
来たな、予想通りだ。
「な、ちょ、待ってくださ」
「良いだろう、そこまで言うのなら戦ってやろう。勝てたら・・・な」
「ハハハハハハハ・・・いいぜ、燃えてきたぜそう来なくっちゃな」
今の段階で、俺の殺気が通じないなんてことはないだろう。回避に関しても秘策がある
さて、一先ずペルセウスとノーネームのギフトゲームどうなるかな。
★★★★
いでよ!魔王アルゴール!!!」
高らかな声とともに光を纏って顕現する魔王。肌は不健康を通り越して腐敗したような色をしており、髪はボサボサ。拘束具を身にまとった穢れた大きい女性。
「Aaaaaaaaaーーーー!!!」
絶叫が響く。開放されたことによる喜びで声を震わせる。それと同時に振り下ろされる拘束具のベルト。十六夜は余裕を持ちながら後ろへ飛ぶことで回避する。ベルトは地面を砕き、宮殿を揺らす。
「なかなか歯応えありそうじゃねぇか」
追撃してくるベルトを蹴り飛ばし、アルゴールへ一気に駆ける。アルゴールはベルトを戻し、次は腕で叩き潰そうとするが十六夜が弾き返す。
「A・・・Aaaaaaaaa!!!」
思うように攻撃が当たらないことにイラついたのか、更なる絶叫を上げる。そして口内に溜まる邪悪な光。十六夜は拳を握り締めて構える。
アルゴールの口前から発射される石化の光の束。光の束は十六夜を狙っていなかった。狙っていたのは十六夜ではなく宮殿全体。幸運なことに十六夜達がいる奥の間は光が届かなかったが、光は宮殿全体を照らしてしまった。
宮殿が石化する。中にいた人間も含めて。水樹を操っていた飛鳥と〝ペルセウス〟の兵士が固まる。ゲームの終了を待っていた耀と倒れている兵士が固まる。
この瞬間、宮殿の殆どが時間の停まった石の空間が作り上げられた。
★★★★
今現在、白夜叉の部屋にいる。そこで、ギフトゲームを観戦しているのだ。あれがアルゴールの魔王か。・・・・・・隣のアナを見る。アナの表情は、見えないがなんとなく思うところがあるのだろう。
「あれとアナは違う。間違っても、自分と重ねるな。お前は、化物じゃない。」
「分かっています。・・・・・ありがとうございます(ボソ)」
「ん?よく聞こえなかった?もう一度言ってくんない」
「何でもないです」
★★★★
ペルセウスとのギフトゲームは、ノーネームの勝利で終わりを告げた・・・・それにしても、マジか・・・あいつ、ギフトを砕きやがった。これはダメだな、危険だ今潰しておく必要があるな。
★★★
約束通り、戦うことになってしまったわけなのだが、白帝として負けるわけにはいかない。しかし、あたかも、余裕であるかのようにしなければならないのだ。あの怪物相手に無理ゲ~だ。そんなことを、思っていると、アナが蹴り飛ばしてきた。
「何をそんなに、悩んでいるのですか?彼には、主の殺気が効くのですから堂々としてください」
「そうだな、よし」
★★★★
「来たぜ、白帝様ァ」
今いる場所は白夜叉の部屋だ。ここから、ゲーム盤に場所を移す。
審判として、黒ウサギも呼んでもらったのだ。
契約書類(ギアスロール)を十六夜に渡す。
『ギフトゲーム:白帝への挑戦
・プレイヤー一覧
・ノーネーム、坂廻十六夜
Fest der Komlizen、白帝、白
・ホストマスター側 勝利条件
プレイヤーの屈伏。
・プレイヤー側 勝利条件
一、相手に一撃当てる。
二、相手を戦闘不能に追い込む。
宣誓 上記を尊重し、ギフトゲームを開催します。』
「このルールでよいか?」
「いいぜ、こんなに舐めたことを後悔させてやるよ。」
俺のギフトは、2つある。その内の一つ、それは、回避の魔眼だ。これは、1分攻撃をどんな種類でも避けられるというものだ。一見、ただの、チートだ。だが、そもそも1分で敵を倒せなかったら、積んでしまうことに他ならない。普通、身体能力の追い付かない回避は出来ない。だが、このギフトが無理やり避けさせる。結果、そのフィードバックは1分後に帰ってくる。限界を超えた分だけ動けなくなるのだ。これは、戦闘中は致命的だ。俺は、白夜叉のところで、限界まで身体能力を高めたが、それでも、素の身体能力じゃ躱せない。何が言いたいのかというと、何としても1分以内で勝ちなおかつ動けないのをごまかさないといけないのだ。
「行くぜ」
十六夜は、目にもとまらぬ速さで、白の突っ込む。
「速い!!!」
黒ウサギが、驚く。
白に拳が迫る。当たった。そう思った・・・だが
「なッッッ」
最低限の動きで躱された。