カラカラと乾いた灼熱の空気。
けたましい音を辺りに響かせるヘリの音。
遠くに見える三つの三角。
さてここで問題だ私はどこにいるでしょーか?
・・・答えはなぁ、エジプトだよコンチクショウ!
『ハイハイ、現実逃避なんかしないの!』
目の前にあるモニターからは黒髪ストレートの少女がこちらに意識を向けさせようと手を叩いて注意を引く映像が流れる。
「ふざけんなよ!帰りに寄越されたヤツで空港まで行って乗り換えで此処だぞ!」
そう、前回の任務後寄越された車はそのまま空港に行きそこからヘリに押し込まれ、連れてこられたのがここ、エジプトである。
『問題ないってばー、今回の任務は超簡単だからさ』
私の経験上コイツの言う簡単は絶対に世間一般の簡単ではない。
「で、その簡単な記念すべきミッションの内容は?」
私はこの任務を承けるんじゃなかったと後になって後悔した。
『それはね・・・この下エジプト一体のどこかにあるアジトにいる第二王女を連れ戻してきて頂戴』
「ふざけんな!下エジプト一体ってどのくらい広いと思ってやがる!私は知らんぞ!」
とてもじゃないがやってられない、下エジプト一体なんて探せるはずないだろ!
私はヘリの扉を蹴破り飛び出す。
『タイムリミットは一週間よ~!頑張ってね♪』
後ろで聞こえた不穏な言葉は聞かなかったことにしたかった・・・
・・・あれから一時間、私は砂漠を歩き回っていた。
通信機は砂が入り込んだのか壊れ、装備もほとんど持っていない。
食料なんてあるはずもない。
さっさと町かオアシスかを見つけないと死ぬのは時間の問題だった。
あんな逃げ出し方したのだから救援が来るとは思えない。
木乃伊になるのは御免だがもしかしたらそうなるのかもしれない・・・・
さっきからまた一時間程過ぎた。
何処かにオアシスがないかと首を回せど見つからず、落胆していた時。
ふと、顔を上げるとそこには、何かの建物があった。
色は砂漠と同じように薄いオレンジのような色をしていた。
怪しくもあったが、なかに食料があれば万々歳と意気揚々に乗り込む。
「何なんだここは?・・・何かの砦なのかな?」
しばらく中を歩き回り、色々と探していたがなにも見つからずにいる。
そんなとき、ちらりと壁を見れば幾つか曲刀が引っかけられていた。
その付近には盾や、鎧等が置かれていてどれも入念に磨かれ、手入れされている。
「手入れされているってことは、まだこの砦は使われているのか?」
ある程度辺りに埃が被っているが、武器には埃が被っておらず、少しの間に誰かが使ったと思われる。
「ふ~む・・・もしかして当たり?」
自分で問いだしたと思っていたがもしかしたらアイツの掌の上で踊っていただけなのか…?
そんなことを思っていると少し向こうからカツンカツンと誰かが歩いてくる音が聞こえた。
こんなところにいるのがバレれば命が危うい。
何せ私は武器を持ち合わせていないのだから。
急いで小柄な体をいかして物陰に隠れ、やって来た奴の言葉に耳を澄ます。
「しかし、あんな高貴なお方を拐ってしまって良いのかねぇ?」
「どうせ末端な俺らには問題ねぇって、全部ボスが悪かったて悪役にするかいつのまにか雲隠れしときゃいいんだからよ」
それもそうだなと二人して笑い会う男たち。
しかし、二人は気付いて居なかった・・・忍の存在を。
軽い雑談をしながら特に注意もせずに歩いていた二人は突如黒い影に襲われた。
片方は声も上げずに絶命し、もう一人のほうも足を折り曲げられ首に刃物が回される。
「言え!」
低くドスの効いた少女の声に目を白黒させる生き残り。
少女はその様子を見て分かりにくかったかと反省し質問の言い方を変える。
「じゃあ分かりやすく言おう、チャンスは三回、私のほしい答えは生きるのに重要なこと」
冷たい眼差しは本気でお前を殺すのだと生き残りの男に言葉を用いずに的確に伝える。
「こっこの組織はー「はーい、あとにかーい」
無駄な情報は要らぬとばかりにバッサリと切り捨てる。
「そっそうか姫のことか!なら俺は知らない!!本当だ!」
欲しいのはその情報ではなく食料がある場所が聞きたいのだがまぁ、悪くない情報だと少女は考える。
「じゃああといっかーい!」
男はいよいよ焦り、普段なら絶対に口にしようとも思わない台詞をベラベラと喋り出す。
「そっそういうのは上が管理していて俺たちに伝えるのはカーミラってヤツなんだ!連絡方法は通信機で特定の時間のみ!その時間はこれから一時間後の11:30から12:30までで番号は148.20!これ以上はほんとに知らねぇよ!」
そして喋りきって肩で息する男に少女はこう告げる。
「はーい長台詞ありがとねー♪でもさ、私が欲しがったのはヒントじゃなくて【答え】よ。ざーんねん!・・・じゃああの世でおとなりさんとジャッカル顔の神様とボードゲームでもしておいで♪」
そうして笑顔のまま、少女は男の首を切り落とす。
ボトリと落ちる首はどこかへ転がって行き首かついていた部分からは紅茶なんかよりも紅い液体が多く吹き出していく。
首を落とした死体をまさぐり通信機とこの砦内の地図を手に入れる。
二つともまともな装備でなく、第一次のような装備をしている。
唯一まともな武器はハンドガンが二丁のみだった。
無いよりはましだが、そこまで強くなったわけでもないので、まだ用心しながら進む。
三十分ほど彷徨き遂に食料倉庫に行き着く。
ギィっと嫌な音を響かせつつ扉をあけ、中の食料を(永遠に)拝借する。
中には水のボトルが幾つも常備されていて食料も充実していた。
天からの恵みは誠に素晴らしく思えてくる。
食事を終えて盗んだ通信機を【アイツ】の番号に会わせ通信する。
『やっと繋がったわね。どうだったの?』
繋がった瞬間に氏康ののほほんとした声が聞こえ思わず切りたくなるが我慢し迎えを寄越すように仕向ける。
「相手の砦の一つに侵入成功・・姫はおらず、別の場所にいる模様」
だから今から迎えを寄越せと言おうとするが氏康は遮る。
『今迎えを送ったわあと十分ほどで着くわ・・・・でもその前に姫の居場所を大まかにお願いできる?』
【大まかに】と言うことはヒントでもいいはずと先程手に入れた情報を氏康に聞かせる。
『OK、十分な成果よ!』
それはよかった。と通信を切ろうとしたとき氏康が急に話しかけてきた。
『ねぇ、今回の的はなんだと思う?』
機械の向こうで楽しそうに小悪魔的でニヒルな笑顔をさらしているであろう氏康に答えを聞かせてやる。
「大方古い武器を復興させて時代を戻そうとする【ファイティングファラオ】の連中だ・・・・準幹部に各地の怪異伝承の名前を着けるのはアイツらの趣味だからな」
氏康は大正解と言って通信を切ってしまった。
【下エジプト 某所 某日】
あれから五日が過ぎた。
一寸前は観光地で観光していたのに急な呼び出しでまたも空の上。
楽だからって酷いんだからなー、氏康は!
うじうじと氏康に恨み言を脳内で上げていると、耳につけた小型受信機からパイロットの声が聞こえる。
『目的地につきました。御武運を!』
そして私は座っていた椅子から立ち上がり後部ハッチへ移動する。
パラシュートは着けない・・・・なぜなら要らないから。
「さーて鳶風魔は伊達じゃねーっての!」
敵の索敵範囲に入らない高度からの大ジャンプ。
風魔は風となった。
使ったネタは
・MGS3 ・インテリビレッジの座敷童 ・エピクロスの虹はもう見えない