傭兵さんの放浪記   作:ぱる@鏡崎琴春夜

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北条(ほうじょう)か北条(きたじょう)どっちにするかいまだ決めておりません。

まぁ、特に関係無いですが・・・


姫騎士は夜風に揺らぐ:マルタ島大包囲戦:

『お姉!助けて!!』

 本社からの短い通信、愛しい妹からの余りにも短すぎる悲痛な援軍要請・・・

 

「ねぇ玄?通信回線であんたの姉貴を呼び出してこっちに繋いで・・・これは緊急事態よ一刻も速く回線を繋いで!」

 わなわなと震えながらも内線を使って情報技術班の主任、玄を呼び命令を伝える。

 我ながら酷いあわてっぷりだとは分かっている。

 でも、大切な一人しかいないのんびり屋の妹の言う緊急事態なら相当な物だと嫌でも解る。

 

 一秒一秒が一分にも一時間にも感じられる時間・・・あぁ、あの馬鹿はなぜ直ぐでないの!?

 

 これはボーナスや休暇を減らす必要があるなと思ったとき回線が繋がる。

 

『風魔今どこにいるの?』

 今どこにいるのかそれさえも今は妹の命に関わる。出来れば妹の近くの地域に!

 

『ん?今前回の任務で知り合ったお客様のところだが?』

 あぁ、今決定したこいつはこの時間をもってして今年の有給は全部使ったことにする。

 

『命令と通達よ、今から本社へ行って!・・・あとあんたの今年の有給もうないから』

『いまさらっととんでもないことが聞こえたんじゃが!?』

 

『良いから行け、じゃなきゃ一生有給は無しだ』

 世に言う最後通蝶見たいな物だがこいつにはこれが一番効く。

『OK解ったいつか平和になったらお前訴えるからな!』

 

 通信回線はそこで切れる。恐らくあっちが切ったのだろう・・・

 

 あぁ、本社に行けないのが本当にキツイ、あの娘のことを思うとまた胃が痛くなりそうだわ・・・

 

 そこまで考えて一旦思考を打ち切る。

 そしてまた内線の受話器をとり、玄に命令を下す。

 

「玄?カリブ行きのヘリだして・・・はぁ?行き先?そんなのマルタの本社よ!あとついでに胃薬も頂戴」

 言うべきことを伝え、指令執務室の一角に作った畳敷の所へ倒れこむ。

 

 

 

 核汚染で汚れた日本の大地

 運良く逃れた日本人な私と運良く外国にいた妹・・・

 

 私は運良く地下施設を発見し、その地下施設を生き残った少数人数で改良し私の根城としている。

 

 別段潜水艦によって水路から外へと出るのは大丈夫なのだが、いかんせん体力が足りない。

 

 元々体も強くなく、さらに引きこもってばかりだったため体力はみるみる減り、今や水圧の変化にすら体がついていけなくなった・・・無論体力をつけるべきだとは思っているがこの国をもとに戻すための激務に追われるのを言い訳に今も出来てはいない。

 

 あぁ、まるで篭の中の鳥のよう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘリのローター音がけたましく鳴り響き、海に面した場所故に波が風に負け可笑しな形を作る。

「あーあ・・・あの慌てぶりはヤバイな」

 

 自分の会社のボスの久しく見ていなかった慌てふためき狼狽えた声を聞き終わりポツリと漏らす。

 

「おい、全速力でマルタ島まで急げ・・・お前も死にたくないだろ?」

 インカム付きヘルメットを被り、通信機を通してパイロットへと語りかける。

「えぇ、分かっていますとも!・・・あっそうだ!今回支援は全力でするので何なりとお申し付けください!」

 帰ってくるのは心強い返答。

 どうやらあの姉妹は本当に好かれてるんだな・・・

 

 

 

 

 

 

 

「マルタ島上空に到着しました!御武運を!」

 片手でグッドサインを作り応援していると送り出してくれるパイロット。

 

「なぁ?知ってるかパイロット君や?」

 そう言いながら側面のドアを開ける。

「何でしょう?」

 体のフォルムをくっきりと表すスニーキングスーツに不備がないか確認する。

「そのグッドサインってな」

 後ろ腰にはいつも通りに高周波ブレードの小刀仕様とポーチをつけ、足と腰のバックルにオートマティック左右二つづつ、合計四丁の銃を差し込む。

「負け犬を生かせっていう意味がローマ辺りではあるぞ」

 あとは満面の笑みをパイロットに向けて飛び降りる。

 

「たっ大変失礼いたしましたぁぁぁ!」

 

 上からそう聞こえた気がした。

 

 

 

 

 いつも通り生身のヘイロー降下で真下にある本社の屋上を見据える。

 

 本社はいくら会社と言っても武力を行使する仕事柄恨みを買ったり商売敵に攻撃されることも想定されビルが2、3本にょっきり地面からはえているのではなく、堅牢に張り巡らされた堀と塀を持ち、砲撃を受けぬよう高い建物は少なく一見市街地のようにも見えるようになっている。

 

 そしてその市街地の様に見える地域の中心部にある建物が本社家屋だ。

 

 

 私は速度が速度なので本社に突っ込めばひどいことになるのは目に見えているので、ある程度離れた広場に突っ込むことにする。

 

「つーいた!」

 

 風魔が着地した瞬間、辺りに暴風と粉塵が撒き散らされる。

 

 そして轟く轟音を耳にして大勢の社員が近寄ってきたとき、もうもうと舞う砂ぼこりを消し飛ばし風の魔物と言われた少女は軽やかに片手をあげ笑顔で言った。

 

「待たせたな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵襲かと爆心地を眺めていたとき社長室のドアがノックされる。

「どうぞ。お入りください」

 そして私は機械的にそれを促す。

 

 

「なーに湿気た面してんだ氏政?」

 入って来たのは、良く見知った姉の部下で友人の風魔さんだった。

 

「いえ、あの、、その・・・・敵襲されてますし当然だと思います・・・風魔さん」

 御姉は直ぐに応援を送ってくれた・・・それもこの会社で一番の規格外と囁かれる最強の天才を。

 

「あぁ~ダメダメ!上がなよなよでおろおろしてると士気も下がる。もっと胸はって堂々としてろ!・・・たわわな実もあるしな」

「あぁ、そうですよね・・・上がしっかりしないといけませんよね!」

 昔から風魔さんはお姉と違ってずけずけと物を言ってこうやって私を奮い立たせてくれる・・・それでたわわな実って何でしょう?

 

 

 

 

 

 

「それにしても、風魔さんはお変わりありませんね」

 アイツの妹は世に言う根暗または大人しい人物であると思う。

 

「まぁ、最後に会ったのはもう半年前だもんな」

 いくつになってもこの見た目は変わらないが・・・

 

「そういえばそうですね・・・」

 

 当たり障りのない会話と言うものにも少々飽きたな・・・

「それで、降りてくるときに見たが一応聞こう。敵軍の情報は?」

 

「はい、敵はビザンチ・ローマ御用達のPMC【聖剣十字軍】で総勢4000規模と考えています」

 降りるときに見えた相手の社旗は確かに十字に見立てた剣とそれを丸く囲むイバラの紋様・・・聖剣十字軍であることは明白だった。

 

「それじゃあこの戦いはマルタの大包囲戦みたいだな」

 それを聞いた氏政は少し首をかしげ、数秒後思い出したのか納得したような顔をする。

「最近の勉強じゃ習わないかな?」

「いえ、ただ思うのはこっちがマルタ騎士団なんですね」

 そういって少し笑ってくれる氏政。

 

「つまりあいつらはかわいそーな異教徒ってことでシバキ倒すか」

「そうしましょう!」

 

 

 

 

 

「そういえばこっちの戦力は?」

「そうですね・・・非戦闘員を含めても2000人程度です」

 

「そうか・・・なら戦力プラス1000人しとけ」

 そう言うと氏政は何をいってるのかわからないという風に口を開けたまま止まる。

「私は一騎当千だぞ?ヘタリア何かに遅れをとるはずがない!」

 

「風魔さん?それは慢心じゃないですか!」

 顔を真っ赤にして怒る氏政を宥めながら次の策を話す。

「あとこれは飛びっきりの作戦だ」

 

「どんな作戦何ですか?」

 

「斬首作戦・・・敵の司令官を殺害したあと敵配下に適当な指令を送り付けたり変な指揮をさせて混乱させ一方的に叩く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 質の良い銃を携え突入を待機するもの、城壁から銃を構え見張るもの、様々な社員が各々の任務を全うしている。

 

 草木も眠る丑三つアワー、ゆっくりと静かに開けられた城門からあふれでる戦闘員。

「さぁ!夜戦の時間だよ!」

 城壁の天辺から飛び降りる。

 後ろで止めようとしたやつがいたみたいだけど気にしない。

 

 風の魔物は災厄の夜風となって夜の闇を駆ける。

 

 目の前に現れるバカは味方は避けて敵は切り裂く。

 

 敵陣を縦横無尽に走り回り、姿は見えずされど確実に存在する。

 その恐怖は瞬く間に敵陣にうつりだす。

 

 西で見た、東で見た、北も南も出たらしい、東西南北塵芥

 

 あるものは頭から背中をバッサリ切られて二つに別れ、またあるものは心臓を的確に撃ち抜かれる。

 

 黒い風は暴力の嵐となりて猛り狂う。

 

 

 

 

 

 いったい幾人の死体の山を築き上げたのか分からぬほどに切り裂き、撃ち尽くしたころ。

 風魔はある一ヶ所に突っ込んだ。

 

 作戦参謀室とドアプレートが掲げられた小さな小屋。

 されどこの小屋が大事なのだ。

 

「こんばんわ~っと!」

 姿勢を低くし扉を開け、中に居る敵将幾人かの懐へ潜り込む。

「なn!グウェァ!」「長k!んぅ!!」「こいつが風魔ギャッ!」「ブベラッ!」

 

「あーあこんな職業だ、せめてお前らはその背負った十字架無くしてこい」

 

 そう言いながら私は四人の作戦参謀の名を借りてメチャクチャな指令を出す。

 

 後退と進軍を同時にだし迷っているうちに滅んだ部隊もあったそうな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~・・・死体の山だな」

 辺り一面を美しく彩っていた緑や色とりどりの草花は緋一色に染まっていた。

「死体の片付けも私たちの仕事ですから・・・」

 

 辺りは一色緋ばかりだが気分だけがブルーなこの空間。

 敵は3600人を失う大損害を出し撤退した。

 

 しかし、こちらも戦闘員を200人も失うことになってしまった。

 

 

「なぁ?まだお前根にもってんのか?」

 となりに座る氏政に問いかける。

 

「さてなんのことでしょうか?」

 

「【私がお姉の居場所を奪った】・・・大方こんなところだろ」

 氏政は目を見開く。

「・・・人様の事情はイマイチ分からんが一つ言えることがある」

 

「姉の居場所を奪った程度で嘆くな、だ」

 

「貴女に何がわかりますか!」

 激情、今までの自分を全否定される言葉をかけられ怒りにかられる。

 

「お前の気持ちなんていってもらわんと分からん」

 

「だったら!」

 

「だが、その後ろめたさばっかり考えていると他のものが目に入ってるようでも見えなくなる・・・それでミスをしてみろ何人死ぬと思う? お前が悩み苦しんで自ら死ぬのは止めん、だが堂々巡りの考えてるアピールは止めろ。 人の十字架背負って生きていくにしてもまたそれが悩みとなり繰り返すだけだ」

 

 氏政は目に滴をため何処かへ走り去っていった。

 

『・・・ありがとう』

『なんのことだ?氏康?』

 

『・・・全く、感謝したのは間違いかしらね?』

『・・・私としてはあの根暗が昔はお前よりも頭がよくて、成績優秀、スポーツ万能で明るく親しみやすい人気者だった話が信じられないんだが?』

 

『あれも負い目から何でしょうね。 私とあの戦争後会ったときあの子はずっと謝り続けたのよ』

『元に戻るか?』

『どうでしょうね?元に戻るのは難しくてもさっきの説教で何か変わったかもね・・・』

 

『だと良いが・・・』

『それじゃあ次の任務よ』

『休みをくれ!』

『次はロシアル帝国首都のところでとある技術者をスカウトしてきてね♪』

『おっおい!!』

 

 通信は切れた。

 




 さて風魔の給料と休みはどうなるんでしょうかねぇ?(ゲス顔)

 なお新キャラが増えました。

 新キャラ
・北条 氏政 (ほうじょうorきたじょう うじまさ)
・玄    (げん)

 新組織
・聖剣十字軍 (せいけんじゅうじぐん)


 作者の思い付きで滅んだ日本に祈りを込めて
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