傭兵さんの放浪記   作:ぱる@鏡崎琴春夜

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実は私の父方も母方も戦艦大和に乗っていたとかなんとか・・・なお、片方は機関士もう片方は帰郷したときに白馬で帰ってくるようなお偉いさんらしい....(意味の限りなく少ない作者の身の上?話)


焦土を作る戦神:北欧ノルデン追撃戦:

 幾重にも重なる人の山・・・しかし、まともな神経を持った大人が泥んこ遊びに意味もなく参加し、その場でねっころがると言う行動を起こすはずもない。

 

 即ち目の前に重なる人の山は死体か重傷者である。

 

「う、うぇらァァァ!」「だ...れか...」「ヴァルハラになんて...」

 

 辺りには死臭が漂い、負傷者の助けを求める声が繰り返される。

 

 歩き回っていれば分かるが血が染み込んだ土は赤黒くぬかるみ、ヌチャリという粘着質な音を立てる。

 

「あぁ・・・俺の求めるモノはここにあるッ!」

 そんな見渡す限り全てが地獄な世界にただポツンと膝をつき、神に供物を捧げるときのように天を仰ぐ一人の男がいた。

 

「これぞ天国...いやアダムとイヴの追い出されし楽園!」

 

 その声は野太く、猛々しく、そして感激に満ちている。

 

「・・・だが足りぬ!まだ足りぬ!この戦場(いくさば)を駆ける風が!! そしてその風の吹く間に飛ぶ血肉が足りぬ!!」

 

 男は側に横たわる大斧を片手でひょいと持ち上げる。

 

 その戦斧は数多の血を啜り、数知れぬ肉を裂き、多くの命ごと骨を叩き切ってきた歴戦の武具。

 その重さはどう考えようとも片手で持ち上げることは叶わない・・・

 

 その吸血鬼が如し戦斧は彫り込まれた北欧の神々の武勇の彫り物に隅々まで血を巡らせながらもただ夕日を浴びながら鈍く光った。

 

「あぁ、神よ!まだ私に探せと命じるのですね? ならば見つけて見せましょう! 戦場(いくさば)に吹き荒ぶ暴風を!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『で、こんな辺境の地でどんなお仕事?』

 しんしんと降る雪を窓越しに眺めながら画面の向こうにいる氏康に話しかける。

 

『最近謎の戦闘凶がこの辺りの戦場に度々出没しては戦場を引っ掻き回して去って行くの・・・だからソイツの討伐をしてほしくて・・・』

 

 相変わらず酷い任務ばかりが回ってくるものだ・・・

 

『それでそのターゲットの特徴だとか写真だとかは無いのか?』

 

 少しの間が空く・・・つまりこれはアイツが答えるかどうか困ったときの特徴。

 

『写真は無いけど参考までなら幾つか証言があるわ・・・』

『証言?証言があるのに写真は無いのか?』

 当たり前の質問・・・なぜなら証言が幾つか取れるなら、従軍記者がその二倍は撮っているようなことはザラにある。

 

『えぇ、さっき言ったでしょう?戦場に度々出没しては戦場を引っ掻き回して去って行くって・・・その引っ掻き回すっていうのが尋常じゃない 戦場の隅々まで綺麗に死体の山ができるの・・・』

 苦々しく話すその言葉から察するにこのターゲットはやらかしたらしい・・・ 

 全く手を出さなきゃ命はあったかもしれないのに・・・

 

『そしてその山に紛れる形で生きてた重傷者が教えてくれたのよ・・・腕は丸太のように太く、熊のような獰猛な顔と体つきで右腕に【上矢印】の刺青があったって・・・』

 

 上矢印の刺青・・・上を表す以外に何が?

 

『そして武器は両手用かも怪しい戦斧・・・あっそうそうソイツは戦場を荒らしに荒らした後に神を崇めると報告が上がってるわ・・・そしてその時に叫んだらしいわ【戦場に吹く風】と・・・目的は貴女なのかも、気を付けて』

 

 そう言って一方的に切れる通信。

 

「私が目当て・・・? ロリコン教信者なのか?」

 

 そう呟く声はヘリのパイロットからの到着報告でかき消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘリが地に足をつけ、ローターの回転が止まる。

 

 その間に私は防寒、防刃仕様の特別なスニーキングスーツを着込む。

 武装も血でぬかるんでいることを考えグロック18Cに変更する。

 

 対雪は少し前の作戦でその大事さを身をもって知ったため今回は対雪に重さを置いている。

 

 

 そしていつも通りの二本の小刀型高周波ブレードを後ろ腰に装備し、太股のホルスターにグロック18Cを差し込む。

 

 ・・・普段なら反対の太股のホルスターにもグロックを入れるが今日は違った。

 反対のホルスターには今回うちの会社が手を出した銃器製造の試作品【N&B(ノースボックス)001】を装備した。

 

 基本は一般的なオートマチックで、装弾数は少し多めの20弾でグロックと同じ9mmを使用する。

 機構は少し複雑でサプレッサー無しでも発砲音は限り無くゼロに近いという変態仕様。

 

 潜入や暗殺などに重宝できるらしいが一般販売なんか出来るのだろうか・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 装備も整え、ヘリから降りる。

 

 パイロットの目がご馳走さまでした!と雄弁に語っていたので、あとでリストラか部署変更をもうしでさせておこう。

 

 

「ん?なんだこのネバネバした土は・・・この辺りはまだ雪が染み込むにはまだ早いだろ?」

 

 降り立った所の地面がぬかるむのはまだわかる・・・だがこの粘着性はもっと別のものを混ぜなければ無理なはずだ。

 

 そこまで考えひとつの結論にたどり着く。

 

「やべぇ!おいさっさと飛び立て!」

 

 氏康の話なら相当の力を持った化け物が相手なはずなんだ・・・ならどれ程の距離があれば安全なのか・・・答えは決まってる。

 

 スナイパーが生き残らないなら化け物の領域は1km以上!

 

 しかし、気づくのが遅れ後手に回れば自ずと超人同士の戦いは決まってる。

 この場合【劣勢】側からの攻勢になる!

 

 

 私の声が聞こえたのか急速に飛び立とうとするヘリ。

 しかし、もう遅かった・・・

 

 

 轟と轟く風切りの音が聴こえ、その次に鋼鉄の戦斧が鎖を纏わせヘリにぶつかる。

 

 そして戦斧は真っ直ぐパイロットのいた場所へ吸い込まれ、ひび割れた窓には赤い液体がへばりついていた。

 

 目的は達成したとばかりに、一本釣りされて帰って行く戦斧。

 

「ハハハ・・・流石に化け物すぎやしませんか?」

 仕事は仕事と諦めるしかないか・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 また一方

 血の生臭い草原に一人立つ男は不敵に笑いながらポツリと宣言した。

「あぁ、神よ! 風は舞い降りた・・・ならば次は決まっていますな?」

 

 戦斧に巻き付けた鎖を外し風を待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぬかるむ血の大地を越え、肉眼で相手の姿を捉えた。

 

「風よ・・・待っていたぞ」

 

 地の底から響くような重い声・・・だが気圧されれば待つのは死のみ!

 

「ソイツはどうも・・・んでその待った意味は?」

 

 しかし、相手は答えようとせずそのまま語り続ける。

 

「我が名は【テュール】風と刃を交わすために遣わされた者である!」

 

 笑えない冗談だと思いたい情報だな・・・しかし、これで合点がいった。

 上矢印の刺青っていうのはテュールを表す勝利のルーン文字ってことか・・・

 

 

「なら仕方無いな殺すしかない」

 

「俺は負けん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一歩目は同時だった。

 テュールは戦斧を振り上げながら一歩目を踏み出す。

 

 私は後ろ腰に装備した高周波ブレードを引き抜きながら踏み出す。

 

 その一歩が大きな影響を与える。

 

 あの巨体と剛力で繰り出される戦斧なんてマトモに受ければ即TheEndのルート・・・

 ならば受け流すことに専念すればいい。

 

「フンヌッ!」

 剛力の一撃を勢いにあわせて受けそのまま前に進む。

「ハッハッアァッ!」

 しかし、テュールもバカなはずがない予想していたように蹴りが繰り出される。

 

「遅い!」

 高周波ブレードを片方手放し、放した瞬間にホルスターに手を伸ばしN&Bを引き抜き三発ほど打ち込む。

 

 その銃撃に苦悶の表情を浮かべるテュール・・・

 しかし、そんなのでやめれるほど優しくはない。

 

 力で押しきるのを止め、戦斧を下げようとするので数発右腕に鉛をぶち込む。

 

「遅い!遅い!遅い!遅い!」

 撃たれた手を下げ、もう片方の腕の力だけで戦斧を使うのは驚きに値するが今は余裕は見せることは出来ない。

 相手が後手に回った・・・ただそれだけの状況で今が出来上がるのだ。

 ならば私が後手に回ったとすればこれ以上のひどい目が待ってるのは確かなのだ。

 

 だからこそ畳み掛ける。

 

 N&Bをフルオートで撃ち尽くし、それを投げ捨てる。

 

 そして反撃としてテュールが回し蹴りをするのでしゃがんでさっき手放した高周波ブレードを取りつつ、そのしゃがんだ体勢のままテュールの懐へと入り込む。

 

 逆手持ちの高周波ブレードを正に暴風のようにがむしゃらに叩き込み、切りつける。

 

 

 テュールが何かしようとした瞬間に高周波ブレードが身体を四回は突き通す。

 

 

 ザクザクという感触から柔らかいゼリー等の感触に代わり、最後に何か固いものを突く感触へと変わる。

 

 

「遅い!ただただ遅すぎる!」

 

 身体を貫通する感触が一秒に72回は感じる不思議な感触と激しい痛みを感じながら血を吹き出す。

 

 最早腕を動かせることも出来ない。

 

「ブラブラと邪魔だ!」

 そう言って切り飛ばされる。

 

 もうひとつの自分とも言える戦斧は地に伏して、自らの産み出した血の沼にズブズブと沈んでいく。

 

「神「遅い!遅い!遅い!遅い!」よ!「遅い!遅い!遅い!遅い!」軍師「遅い!遅い!遅い!遅い!」テュールよ!「遅い!遅い!遅い!遅い!遅い!」我ヴァ「遅い!遅い!遅い!遅い!遅い!」ルハ「遅い!遅い!」ラへと参ら「遅い!遅い!遅い!遅い!遅い!遅い!」ん!」

 

 

 剛力無双のテュールはヴァルハラへと旅立った。

 

 しかし、暴風となった風魔は切り続ける。

 

 一辺何センチかの肉片にでもするかのように・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・やっちまったなぁ~」

 我に帰れば時はテュールが死んで一時間ほどしてからだった。

 

 テュールだったモノは虫に食われ尽くした古木のようになっていた。

 

「新型も無くしたし・・・あぁ、こりゃあ休暇が遠退くかなぁ・・・・」

 

 億劫そうにブレードについた血と体液を振り落とし、デバイスの電源をつけ迎えを呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神の使いは余計なことをしてくれた・・・・

 風はそよいでるくらいがちょうどいいのに(冬は別、一切吹くな!)

 報告書を読みつつそう思う氏康であった。

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