こうして、パラプリに向けた私とあいかの特訓が始まったんだけど……。
しばらく練習していると、あいかがストレッチをしながら私の方を向き。
「曲は『make it!』やけど、メイキングドラマは新しいものにしーひんか?」
「新しいメイキングドラマ?」
「せや。みやこも、いつの間にか新しいメイキングドラマ作って、しっかり見せれとったし、いちごちゃんと、うちとみやこの3人でもメイキングドラマやったら見せられるのとちゃうんかって思うんよ」
「新しいメイキングドラマ……ね、それってどんなの?」
私は屈伸を終えると、あいかのスケッチブックを見せてもらった。
「名付けて、『戯曲人形のハーメルン』!」
「私の趣味じゃない……」
スケッチブックには、「連れていく!」「ドーン!」「バーン!」って書かれているだけで、内容が全く捕まえなかった。
「この、鳥みたいなのは何……?」
「それはいちごちゃんや!」
「この棒人間は?」
「みやこや」
「この美少女は……」
「うちや!!」
「なんで、自分だけかわいく書いてるの!」
「しゃーないやろ、時間がなかってんや、時間」
「絶対嘘だ……」
あいかはスケッチブックを閉じて、
「簡単に説明すると、前のライブでみやこがやった『ネバーランドプリパラ』の逆やな」
「逆……?」
「あのメイキングドラマは、みやこがみんなをプリパラに連れていく……っていうストーリーやったけど、このメイキングドラマはプリパラがみんなをプリパラに連れていくってストーリーや!」
「……??? ちょっとわかんないかも……」
「まぁ! 自然とプリパラに女の子は誘い込まれるって感じやな!」
「わかったような、わからないような……」
スケッチブックをしまうと、プリパスを取り出して、いちごちゃんにメールを入れる。
「いちごちゃんに連絡入れておくわ」
「いちごちゃん、今、ピアノのお稽古だっけ」
「あれ? もう連絡きた……?」
「はや!」
たまたま、タイミングよかったのかな……休憩中だったとか。
「よし! いちごちゃんの了解も得たことやし、これからランニングや!」
「アイドルがランニング!?」
「何を言ってるんや、ランニングはアイドルにとって基本のキ! さぁいくで!」
「え゛ぇ゛」
あいかに引っ張られて、レッスン室を出ると、隣の部屋の様子がチラって見えて。
いちごちゃんに似た赤い髪のアイドルがレッスンしていた。
イチゴちゃんと違って、メガネはしてないし……、目つきもちょっときついから違う子だけど。
みんなああやって練習しているんだろうな。
「どうしたんや、急に立ち留まって」
「ううん、なんでもない!」
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「で」
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いちごちゃんと最初と最後の。一緒に練習できる日。
大会一週間前。
メイキングドラマのための練習も、歌もダンスも……苦手だけど、前よりはマシになってきてると思う。
今日、いちごちゃんと同じステージに立つイメージをしっかり刻み込んで、大会に絶対優勝するんだ……!
「二人ともごめんね……今まで、一緒に練習できなくて」
「ええで! いちごちゃんも習い事で忙しいのに、今まで練習ご苦労さん」
「そうだ、今日のうちにチーム結成式をすませておかへんか?」
「ちーむけっせいしき? 何それ?」
「知らへんのか!?」
「うん……」
「チーム結成式っていうのは、3人チームで活動するために必要な儀式や! 結成式をして、初めてプリパラのシステムに3人で活動していいって認められるんや」
へー……そんなのあったんだ。
「さすが、アイドルの先輩!」
「はは……まぁ、専属マスコットがいないチームはめが兄ぃさんに一緒にいてもらうことでできるんやけど……うちらは、ハトさんがおるし、ハトさんが戻ってきてからチーム結成式やろか」
ちょうどいいタイミングでドアがひらいて、ハトさんがプリパラ新聞をくちばしでつかみながら、羽でパタパタと飛びながら、入ってくる。
「大変ハト!! これを見るハト!」
ハトさんが加えていた新聞を見ると、一面がフラワートラップの記事ばかりだった。
「なになに……『謎の二人組アイドルフラワートラップ、にこ&さこ……ついに、アイドルランクがトップアイドルに』……!?」
「なんやて、トップアイドル!?」
「と、トップアイドルって、パラ宿のアイドルだったら、あいかだけだったよね?」
「あぁ……」
プリパラにはアイドルランクっていう制度があって、ライブを見てくれてる人達の【いいね!】の数でランクが決まる。
アイドルの実力がよくわかる制度なんだけど……。
「トップアイドル。ああみえて、あの二人……相当の実力者みたいやな」
「早く、私たちもチーム組んで、練習して、フラワートラップに負けないくらいの実力をつけよう!」
「せやな。ハトさん、チーム結成式の立ち合いお願いするわ」
「ハト? それはいいけど、もう一人の女の子はどこハト?」
「あ、あの……私です……」
いちごちゃんが自信なさげに弱弱しく、手をあげると、ハトさんがいちごちゃんをじーっと見つめ始める。
「この女……どこかでみたような……?」
「そりゃあ、私の2回目のライブの時に来てくれたんだから、見てるでしょ! この子がいちごちゃんだよ、ハトさん!」
「いちご? いちご、いちご……?」
「あ、あの!」
声を張り上げ、ハトさんの羽をいちごちゃんが持ち上げる。
「不束者ですが、よろ、よろしくお願いします!」
「あ、あぁ! いちごちゃん! ハトさんに触っちゃ……!」
「ハトォォオオオオオオオ!!!」
「あちゃ……」
ハトさんは白目をむきながら、口から泡を吹き始める。
いちごちゃんは心配した要素で、ハトさんを強く振り始めて。
「いちごちゃん! ハトさんは男性恐怖症で女の子にふれたら、気絶しちゃうんだよ!」
「あ……そうだったんね。ごめんなさい、みやこちゃん」
いちごちゃんはハトさんを離すと、あいかがすかさずクッションでハトさんをキャッチした。
「はぁ……世話のやけるマスコットやなぁ」
あいかがプリパスでハトさんをつつきながら、症状の深刻さを見る。
「どう?」
「あかん、三日以上は寝込んだままやな。完全にパラ宿こえてるわ、ハトさん」
はるか遠くのイケメンパラダイスにハトさんの目はいっていて。ずっと、「ハトをもてなすハト~」とかうわごとをずっと言っている……。
その様子を見て、さすがに苦笑いになっていちごちゃんを見る。
「これじゃあ、チーム結成式もできなさそうや、はは……」
「ごめんなさい! つい、触っちゃって」
「まぁ、まぁ、気にしないで、いちごちゃん。今日はとりあえず練習やろか」