「…………」
「お姉ちゃん……いよいよ、本番だね」
会場前のプリパラチェンジするための鏡が並び、前の組のライブ様子がいくつものモニターで分かる待機室で、私は変装用のカツラとメガネを取る。
「えぇ……」
「さすがは
「やっぱり、よくなかったんじゃない? お姉ちゃん……友達だったんでしょ?」
「友達?」
私は変装用の道具を地面に捨てる。
それに気づいた、にこは袋にそれらを入れて。
「ただの小道具だよ。私たち、
今までの筋書が記されている厚さ20㎝の脚本を開き、
『馬鹿なアイドル達を欺き、受付終了』のチェック欄にチェックする。
「第一章! 人々は偶像を崇め、自ら楽園の崩壊を望み始めるだろう!」
――ビシッ
私たちはかっこいいポーズを決める。
両手を広げ、足を曲げ、おおぞらに飛び立つ私!!
それをささえる、にこ&さこ!!
――パンッ
本を閉じて、私はさこに脚本を渡す。
「決まった……!」
「さすがですわ、お姉さま~!! 完璧な筋書きですわね~!」
「これ恥ずかしいよぉ……」
「ふふっ」
私は鏡の前に立つ前に2人に向かって。
「二人とも。何があっても、絶対にライブし続けて。絶対に。
「……? もちろんですわ、お姉さま!」
「?」
『コーデの数だけカードをスキャンしてね! 友達のトモチケもスキャンできるわ!』
『コーディネートスタート!』
『3人のコーデは、最新ブランド、
プリンセスコーデ! まるで、おとぎ話から出てきたお姫様みたい!』
「ホーリースノープリンセスコーデ! 一号!」
「二号!」
「三号!」
ステージが開くと、私はいつもの演技で話し始める。
「みなさん、初めまして。え、えっと……
私が緊張したそぶりで、できるだけ初初しく、頑張って舞台になっているようにしていると、観客席から声が沸き上がる。
「あれって、いちごちゃん!?」
「あんなおとなしい子が
受けは狙い通り。
いい感じだ……。
この日のために……おとなしい『秋月 いちご』を作り上げてきた。
さぁ、このライブが終えれば……私たちは最高のショーとなり、プリパラとなる……!
「今日のために、たくさん練習しました。聞いてください!」
「……
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「あれって、いちごちゃん!?」
「嘘やろ……」
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「君、はかなくも強い……」
にこの低音の声がよく聞こえる。
そうだ、もうすぐ。
これで私のショーは完成する。
「ドレスもルージュもかなわない!」
さこが口を開いた瞬間、私はわざと足を滑らせて、尻もちをつき、顔を硬直させる、
その様子ににこもさこも驚きながらも私の命令通りにずっと踊り続けている。
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「いちごちゃんこけたのか……?」
「違う……あれは……」
私ならわかる。本当に……初めてのライブで失敗した私には。
「あれは演技だ……!」
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私がこわばった顔を、唇をかみしめ、強い表情に変えると、観客たちはその様子を見て、私を応援しだす。
「がんばれ、いちごちゃん!」
「がんばってー!」
「「「メイキングドラマ、スイッチオーン!!!」」」
大きな本が開かれ、女の子達が吸い込まれ、私たちの合図で本は爆発と共に消える。
「永遠などない……」
「限りあるミライ……!!」
「「「戯曲人形のハーメルン!」」」
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「あのメイキングドラマ、うちとみやこで作り上げた……!」
「うそでしょ……」
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ライブを終えると、観客たちはもう私たちにメロメロだった。
冬樹あいかのメイキングドラマのセンスは認めてる。
それと、今話題のにこ、さこのパフォーマンス……そして、新人アイドルの私が失敗しながらも、最後まで踊りきるという感動エピソード!
夢中にならないはずはない……。
ついつい、にやけてしまう。
こんなにもうまく行くなんて。ま、私が天才だからだけど。
カメラの奥で驚いてるあいつたちに微笑む。
『今日の大会はこれにて終了です!』
めが兄ぃさんの終わりのアナウンスが鳴る。
『今回の優勝は、ライブには失敗したものの、最後まで勇気を振り絞ってやり遂げ、全体的に高いパフォーマンスを見せてくれた、
私はおとなしい少女を演じながら、ずっと、観客たちに手を振り続ける。
「やりましたわね、お姉さま……」
さこが小さい声で私に話しかける。
「えぇ。やったわ……これで、お母様も……動き始める」
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大会が終わり、にぎやかになムードのはずのプリズムストーンに、スーツ姿の黒服達がぞろぞろと入ってくる。
その様子に困惑しながらも、店員として対応しようと、苦笑いでめが姉ぇさんが対応をする。
「あの~すいません、プリチケがない方はプリパラに入れないんですよ~」
「こちらにあります!!!」
黒服のトップのような40台半ばの女性が自らのプリチケを書類をみせるように提示する。
「あはは……では、あちらからどうぞ……」
何人かの黒服たちは待機し、ぞろぞろとプリパラの中に謎の集団が入ってくる中、めが姉ぇがプリパラ内のめが兄ぃさんに黒服たちにばれないようにこっそりと連絡する。
「あの、すいません~そちらに変な人達が入ってしまったので対応お願いします~」
『えぇ!? 変な人達ですか!? こんな日に……一体だれが!?』
危ない状況にも関わらず、電話越しでも自らの肉体を見せるポーズを決めるめが兄ぃさんに困惑しながら、めが姉ぇさんは電話を切った。
(そういえば、みやこちゃん……大会出てなかったけど、大丈夫かしら……何か変なことに巻き込まれてなかったらいいけど……)
謎の集団たちが黒服のままプリパラに入ってくる中、めが兄ぃさんは急いで、プリパラのエントランスまで移動する。
「ようこそ、プリパラへ。今日は一体どのような……」
さすがのめが兄ぃさんでも、黒服たちの恐ろしい圧迫感にこわばった笑顔になってしまう。
「私は教育委員会、教育長の秋月 ヨーコです!」
「はぁ……きょーいく……いいんかいですか……?」
「私たち、教育委員会は、パラ宿プリパラの閉園を要求します!」
「……え?」
めが兄ぃさんは蟹股歩きであとずさりし、一回転して。
「プリパラの!」
半回転し、足を広げ、
「閉園!」
逆立ちして、回転し。
「ですって~~~~~!!!???」
ジャンプしてから、落ちそうなメガネを支えながら立ち上がり、大きな声で叫んだ。