「ねぇねぇ、先週のプリパラTVみた?」
「みたみた! あいかちゃんのライブ凄かったよね!」
「あいかちゃん、高校生になったらアイドル科がある高校に行くんだって!」
あぁぁ……あああ……。
「どうしたの、みやこちゃ」
「うわぁあああああ!! みんなしてあいかあいかってばっかり! あんなエセ関西人のどこがいいの!?」
私の声を聞いた、周りの女の子達が私を見てびっくりする。
いちごちゃんは「まぁまぁ」といって宥めながら苦笑して。
「私がアイドルデビューしたら、あいかなんかよりももっともっと、上のランクに一瞬で上がってやる! はぁあああああああああああああ!!」
「みやこちゃん、全然クールアイドルっぽくないよ!」
学校に着くと、既にそのムカつくあいかは席に座っていて、あいかのライブを見た女の子に囲まれていた。
「や〜、いちご、みやこ、おはよーっさん」
「あいかちゃん、おはよう…」
「おはよ……」
なーにがおはよーさんだ……。
「みやこ、昨日のうちのライブ見てくれた?」
「見てないよ」
「え〜みやこは毎日、損しとるな〜うちのライブなんて滅多に見れたもんじゃないのに」
あいかが私のほっぺたを突くたびに、少しずつムカついてくる。
「特にプリチケ届かん、みやこは生のうちのライブ見れへんしな〜!」
「…………!」
あいかがからってくるのを耐えてると、昨日の夜のことだったり、毎日のことが頭に浮かんできて、そんな大したことは言われてない、いつも通りのちょっかいのはずなのに、なんだか悔しくて。
「黙って……!」
私はちょっと涙ぐんでいて、少しだけぼやけてるあいかを睨みつけた。
「え? あ……」
すぐにその場から離れたかった私は、携帯だけもって教室を出る。
「あ、あの、みやこちゃん、もうすぐ授業だよ!」
「サボる!」
いちごちゃんは出て行く私と教室を慌てながら3回交互に見回して、後ろめたそうに教室に戻った。
教室から出て屋上に登ると、私は屋上に放置されてる椅子に座って携帯で音楽を聴き始める。
一回授業サボるくらいどうってことない。自分の気持ちが落ち着くまで、ここにいておこう。
別に、あいかのことは嫌いなわけじゃない。むしろ逆で。本当は幼い頃からいつも一緒にいた友達だった。
習い事のピアノも同じで、水泳教室も、そろばん教室も小5までは一緒に行ってた。プリチケがあいかのところに届いて、それから何もかもかわってしまった。
将来アイドルになるって、張り切ってたあいかは今まで通っていた習い事は全部やめて、プリパラ一本で頑張り始めた。私はひとりぼっちになってしまった。
あいかは、ちょっかいはかけてくるし、みんなの人気者だし……今じゃガキ大将みたいに気にくわないけど。
でも、私の友達だったんだ。
「めいきっと……ふんふん……ふんふん〜ふんふん〜」
『みんな! 夢を未来を諦めないで!』
『きっと…………友達を……すれば……』
「ジェリア……」
みんな、みんな羨ましい。私が知らない世界を2年前からは体験して、経験してるんだ。
私が1人でライブ映像を見てるときも、みんなプリパラであんなことやこんなことをして、楽しんでいたのに違いない。
特に、あいかは恨めしい。あんなに一緒だったのに。私もずっとずっとアイドルやりたかったのに。
こんなこと思いたくもないのに……。嫌な気持ちで心がいっぱいになる。
年頃の女の子に必ず届くプリチケ。プリチケを手に入れたら、どんな人であろうとプリパラに入ることができる。
でも、逆に年頃の女の子でもプリチケが届かなかったら絶対に入れない。めが姉ぇさんに頼み込んだときは、いつか届くよってずっと励ましてもらったけど……。あてにならない……。
「プリチケ……が欲しいよ……」
「みやこ……」
「みんなと一緒にプリパラ行きたいよ……!」
「みやこ……」
「誰!」
誰かに呼ばれた気がしたけど、振り返ると誰もいない。
携帯の画面を見ると、突然画面が固まってしまって、再生した動画が止まったままになった。
「え、あ、あれ? 携帯壊れちゃった……?」
携帯の画面を何度も叩いたり、電源ボタンをオンオフ切り替えていたりすると、携帯を地面に落としてしまった。
「あ……慌てすぎた……」
私が携帯を拾い上げると、携帯が落ちた場所に黒いチケットのようなものがあって。
「……?」
黒いチケットを手に取ると、表裏、黒いままで
「うーん……?」
目をこすってもう一回見ると……。女の子の名前が見えた。
「…………な、つ、ば、み、や、こ?」
「なんだ、ただのプリチケじゃん……夏場みやこちゃんの……」
夏場みやこちゃんのプリチケ……?
「…………」
「…………」
「……ハッ!」
「夏場みやこって私じゃん! こ、これってまさか……あの、プリチケ!?」
「あ、あぁ…………ああ!!」
私はさっきの黒い気持ちが嘘だったみたいにガッツポーズして。
「ぷ、プリチケ届いたぁあああああ!!」
私は授業に戻らず、駆け足でプリズムストーンへと走った。