プリパラから出て行く直前、あいかとすれ違った。
「みやこ! ライブ見たで! やっとプリパラデビューしたんか!」
「…………」
「冬樹あいか……ここのプリパラじゃ、超有名人のアイドルハトね。……知り合いハト?」
「別に」
私がプリパラから出ていこうとすると、あいかが私の右手を掴んだ。
「みやこ、その……朝のこと…………」
「いいよ、いつものことだし気にしてないし」
「…………」
「それに私は……プリチケが届いても……アイドルにはなれなかったんだから……」
「え?」
私はあいかの手を払って、走ってその場を立ち去る。
「み、みやこ!」
「みやこ、別にアイドルやらなくても、チケットさえあればプリパラには行けるハト! だから」
ハトさんが私を必死に励ます声が聞こえたけど、最後まで聞かずにプリパラから出た。
プリパラから出たら、めが姉ぇさんが目の前で立っていた。
めが姉ぇさんを見ると、ついめが姉ぇさんに抱きつき、泣いてしまった。
「頑張ったわね、みやこちゃん……」
「めが姉ぇさん…………」
「中のめが姉ぇさん、めちゃくちゃ不気味だったよ〜!」
「そこぉ!? まぁ……たしかに中のめが姉ぇさんは不気味よね……あはは……」
「めが姉ぇさんはどうしたいいと思う? 私……マネージャーのハトさんにアイドル向いてないって」
「……それはみやこちゃんが決めることよ。私はアイドルをサポートすることしかできないから」
それはそうだよね……。
私みたいな子だって、私ほど……ひどいライブではないとはいえ、ライブで失敗する子なんてたくさんいるはずだし……でも、今後、アイドルを続けて……ずっと失敗し続けたら……一度も、アイドルらしいライブができなかったら……。
「でも……みやこちゃんなら、大丈夫よ。文句言いながらも、プリチケ届くまでずっと我慢することができたじゃない! きっと、みやこちゃんなら、いい答えが見つかるわ……めが姉ぇさん、信じてるから」
「うん……」
それからずっと、1週間、私はアイドルを続けるか悩んでいた。
プリパラにはハトさんからプリパスを渡された時とハトさん用のカゴを買った時以外行けずにいた。
あいかとも全然喋らなくなって……気まずい。
今までかけてきたようなちょっかいもない。
相変わらずみんなからは人気者だけど……。
「あいかちゃん! 今日はどんなライブするの?」
「えー今日はレッスンだけやわ! でもでも……! 土曜日にすっごいライブするから……絶対見てな〜!!」
「みるみる! あいかちゃんのライブ絶対見るよ!」
「私も、私も!」
あの女の子達もまぁ……飽きずに……。
私の失敗したライブを見て、陰でクスクス笑ってたくせに……。
「みやこちゃん、気にすることないよ」
「いちごちゃん、ありがとう」
頑張って笑顔を作るけど、いちごちゃんが励ましてくれるのは嬉しいけど、全然、気持ちが晴れないよ……。
プリパラってこんなものだったのかな……。
私が知るプリパラって……もっと、優しいものだった。ジェリアのライブの見過ぎて……理想を持ちすぎていたのかもしれない。
私が暗い顔をしていると、いちごちゃんが少し震えた声をあげた。
「あの! あの、あのね! 今週の土曜日は私、習い事がないから……一緒にプリパラ行かない?」
「え?」
「別にアイドルやらなくたって、プリパラには行けるし……それにどうしても見たいアイドルのライブがあるの! その、お願い! 1人で行くの今まで寂しかったんだ!」
「…………」
いちごちゃんには今までお世話になってるし……それくらいだったら。確かに、プリパラに入ったからってアイドルをしないといけないわけじゃないし。
「うん、いいよ」
「ありがとう! みやこちゃん!」
見たいアイドルって何だろう……?
いつも言ってるアイドルのことかな?
土曜日になると、いちごちゃんが家まで来てくれて、一緒にプリズムストーンに行く。
プリズムストーンで私たちをみためが姉ぇさんが少し驚いて。
「あ、あれ……!? いちごちゃんとお友達だったの?」
「……? そうだよ?」
「そうなのね、あはは……」
「?」
「みやこちゃん! 早く行こう!」
「う、うん」
「「プリパラチェンジ!!」」
プリパラチェンジして、プリパラの中に入ると、ハトさんが待っていた。
「みやこ……もう大丈夫ハト?」
「ううん……」
「そうハトか。 そのメスはだれハト?」
「この子は、いちごちゃんって言って私のお友だ…………あれ? いちごちゃん?」
いちごちゃんをみると、ずっと地面をみて黙ったままで、固まっていた。ちょっと怖い雰囲気だけど……。
「おーい……いちごちゃーん」
「…………………………」
「だ、大丈夫!? いちごちゃ」
突然、いちごちゃんが顔を上げて、私の方を見る。
「わぁあ!?」
「………………ごめん〜! ちょっと寝てたよ!」
「あ、そうなんだ」
プリパラチェンジの時に寝るってどういうことだろう……?
「さ、プリパラTVのところに行こう!」
「う、うん。ハトさんカゴの中に入る?」
「自分でついて行くハト」
「そう……」
カゴ買わなくてもよかったんじゃ……。
「みやこちゃん、私が見たいアイドルってね……」
いちごちゃんが受付で立ち止まると突然、私の方に振り返った。
「みやこちゃんなの!」
「え?」
「ハト!?」
私はいちごちゃんの言葉を聞いて、キョトンとする。
「みやこ」
「あいか!? なんでいるの!」
「……行くで」
あいかが私の手を握って、会場に連れて行こうとする。私はその手を払って、
「待ってよ! どういうこと……!」
「みやこちゃん、あいかちゃんはね……ずっと、アイドルデビューしてからずっと、ライブのエントリーの人数を2人にしてたんだよ」
「え?」
「いつ、みやこちゃんにプリチケが届いてもいいように。みやこちゃんがデビューしたら、すぐに一緒にライブができるようにって」
「…………」
その言葉を聞いて、声が出なかった。
あいかは少し顔を赤くして、俯く。
「……あいか」