1話「苺鈴と新たな災い」
小狼 「ちょっと待て!?待ってれば元に戻るから!!」
さくら「やだ!!・・・大好き!!」
最後のクロウカード「無」のカードを巡った物語は、相思相愛の二人が晴れて結ばれて終了。
・・・あれから1年と8ヶ月位経って私も、あのバカップルも、もう一人の日本にいる親友も、気が付けば中学2年生か・・・・・・
あの素直じゃないイトコも日本にずっと住むことを決めてあの二人と同じ中学に通っている。・・・・・・
留学までしてきた日本では、私だけはどういう訳か、友枝町を離れた別の中学に通い出して、私のホームステイを快く受け入れてくれた家で今、がむしゃらに頑張っている。
そんなところね・・・けど、私は考えもしなかった。・・・「魔法」と言うのは・・・本当に色々な出会いをもたらしてくれることを・・・・・・
???「・・・ふぅ~・・・」
精神を研ぎ澄ませ、空気に向かって何発も正拳突きや蹴り、手刀など様々な攻撃を素早く、凄まじい気迫を叩きつけるように放っていく。しばらくそれを続けていたが、最後にアッパーにも見える突き上げを終えると自分に向かって、一枚のタオルが投げられる。見事に頭からタオルをかぶって「それで拭け」と、投げてきた本人が話しかけてくる。
???「ありがとうございます。後、おはようございます恭弥さん・美由希さん。」
恭弥 「おはよう。朝から精が出るな。」
美由希「おはよう苺鈴。しかし、君の動きはいつ見ても本当に様になってるよねぇ ~」
苺鈴 「えぇまぁ、小さい頃からやってましたから。拳法は・・・・・・」
恭弥 「よし。美由希、今日も朝の鍛錬行くか!!」
美由希「はい!!」
恭弥 「苺鈴は、これから母さんの手伝いか?」
苺鈴 「はい。その前にちょっとシャワーを浴びてからですから急がないと。」
恭弥 「そうか。じゃあ後でな。」
苺鈴 「はい。美由希さんもこれから鍛錬、頑張ってくださいね!!」
美由希「うん。ありがとう苺鈴!!」
お礼を言われた苺鈴は、すぐに鍛錬をしていた道場を後にし、シャワーを浴びて、すでに台所に立っていた一人の女性に話しかける。
女性 「あら、苺鈴ちゃん。おはよう。」
苺鈴 「おはようございます!!桃子さん。」
苺鈴が桃子という女性と挨拶を交わした後、一人の男性と少女が一緒にリビングに入って来た。
苺鈴 「あっ!!士郎さん・なのは、おはようございます。」
士郎 「ああ、おはよう。苺鈴ちゃん。」
なのは「おはようございます!!苺鈴ちゃん!!」
桃子 「士郎さん。新聞はテーブルの上に置いてありますよ。なのは、ちょっとお皿を運ぶの手伝ってくれる?」
なのは「はーい!!」
苺鈴 「はい、お願いね。」
なのは「はい。お願いされました!!」
なのはは、苺鈴から渡されたお皿数枚を持って、テーブルに運んでいく。しばらくすると、道場から戻って来た恭弥と美由希も食卓に加わり、朝食タイムとなる。
苺鈴 「・・・・・・」
苺鈴は食べながら周りにいる人物達の事を何となく改めて考えていた。
苺鈴 (・・・私の右隣にいる「高町 士郎」さん・「高町 桃子」さん・・・私のホームステイを割とあっさり受け入れ先として志願してくれて、今じゃ本当の家族同然に私の事も接してくれているのよねぇ~なんというか、懐が広いというかなんというか・・・結婚して、恭弥さんの歳を考えるともう絶対に20年ぐらいは経ってるはずなのに今でもまるで新婚夫婦みたいよね~木之元さんと小狼も、結婚すればこんな感じになるのかしら?・・・・・・)
次に、「高町 恭弥」と「高町 美由希」そして、「高町 なのは」を見つめる。
苺鈴 (恭弥さんも美由希さんも、私を妹も同然に可愛がってくれる暖かいお兄さん・お姉さんで、私もこんな兄か姉が居たらこんな感じだったのかなぁ~って思わせてくれるわ。そして、この家の末っ子である「高町 なのは」・・・初めはちょっと怖がられていたけど、私がお世話になっている感謝の気持ちを込めて作った中華料理を食べてから、一緒に作ってみたりしている内に私の事もあんまり怖がらなくなっていって、今じゃよく一緒に遊んであげたりもする、まぁ私の妹みたいな子ね・・・これが、今の私の新しい家族と言っても・・・まぁ、いいか。)
場所は変わって、恭弥さんは大学生・美由希さんは高校生・私も中学生・なのはは小学生なので、昼間はそれぞれ学校に行っている訳なのだが、夕方、今日は私以外はまだ誰も帰ってきていないみたい。私は余っていた部屋を自分の部屋にしてもらって、そこで着替えたり、寝たりしている。私は少し嫌だったけど、あまり洗濯物を増やしたくないから、今日学校で来ていたちょっと生乾きの体操服に着替えて、道場でまた拳法の特訓に励んでいた。
苺鈴 「・・・・・・」
相手はいない・・・朝は、激しい動きと攻撃で特訓をしていたが、今やっている特訓は、魔法が使えない私でも使えるかもしれない体内に流れる「気」を操るものだ。日本の漫画やアニメでは気を操って闘うものがよくあったし、実際に特訓をして、腕力を上げたり、痛みを感じにくくしたりしている人がいるとも聞いたことがあった。だから、私は拳法の稽古と並行して、気を操る特訓もやっている。
苺鈴 (・・・集中・・・集中・・・)
目をつぶっているので見えていないが、苺鈴が意識を右拳(みぎこぶし)に集中させていると、右拳に見えない何か蒸気のようなものがでてきて、一気に目をカッと開くと同時に右拳を前に突き出す。
苺鈴 「やあっ!!」
更に時は進んで、その日の夜の事だった・・・・・・
苺鈴 「ん!?・・・あれは・・・なのは?」
玄関の開く音が聞こえたと思い、カーテンを開けると、そこにはなのはがどこかに向かっていくのが見えた。「こんな時間にどこへ?・・・」と心配になり、こっそり出かけてなのはを追いかける。
なのははずっと先に走っていたが、苺鈴はいともたやすく追いつき、なのはを呼び止める。
苺鈴 「なのは!!」
なのは「うにゃっ!?苺鈴ちゃん!?」
苺鈴 「何してるのよ。こんな時間に?」
なのは「それは・・・・・・」
なのはが言うには、誰かに助けを求められた気がしたということだった。何故だか、夕方助けたというフェレットの事がどうしても気になったなのはは衝動的に家を飛び出してしまったというわけだった。
苺鈴 「はぁ~仕方ないわね。私も行くわ。」
なのは「えっ!?いいの?」
苺鈴 「いいも何も、こんな時間にあなた一人にしておくわけにはいかないでしょ。それに・・・あなたは私の妹みたいな者なんだから、頼りなさい。」
なのは「うん!!」
私はなのはの両頬に優しく手を添えて、なのはと目線を合わせながらこう言うと、なのははとてもうれしそうに大きく頷く。
それから二人で目的地の病院に向かっていた時だった。私達の目の前で壁が壊れ、砂埃(すなぼこり)が舞った。病院の入り口になのはが走ると同時に、なのはの胸に向かって何かが飛び込んで来た。
なのは「・・・良かった。なんとかキャッチできた。」
なのはの目には、フェレットよりもその先にいた黒い塊の怪物に目がいっていた。その怪物が触手のような手を伸ばしてくると、間一髪のところで苺鈴がなのはを抱きかかえて避ける。
苺鈴 「なのは、大丈夫?」
なのは「苺鈴ちゃん!?うん。私は大丈夫!!」
苺鈴 「・・・なのは、私が食い止めておくからその子を連れて早く逃げなさい!!」
なのは「えっ!?でも、苺鈴ちゃんは」
苺鈴 「いいから早く行きなさい!!」
なのは「はっはい!!」
「苺鈴ちゃんはどうするの?」というつもりだったが、苺鈴に言われて、その場を離れようとするなのはとフェレットを追いかけようとする怪物に、苺鈴は飛び蹴りを放つ。手応えは感じたが、決定打になっているようにも見えなかった。そして、苺鈴を目障りに思ったのか、標的を変えて、苺鈴に向き直す。
怪物 「ぐうぅぅぅ・・・・・・」
苺鈴 (思ったよりもタフねこいつ・・・みんなが居ない今、私がなんとかするしかないんだ。私が・・・)「さあ、かかってきなさい!!」
怪物 「ぐあっぁぁっぁぁ!!」
苺鈴 「やぁっー!!」
その頃、なのはは懸命に走り続けていた。その最中、抱き抱えていたフェレットが突然、人間の言葉で話しかけてきたのだった。
なのは「じゃあ、あの怪物を止めるためにも、私がお手伝いすればいいの?」
フェレット「うん。本当なら僕がしなくちゃいけないことなんだけど、アレを放っておいたらもっととんでもない被害が出て来てしまうかもしれない。お礼は必ずします!!だから僕に、力を貸してください!!」
なのは「お礼とかって場合じゃ・・・」
フェレット「あの?・・・・・・」
なのは「じゃあお礼の前借で、苺鈴ちゃんを助ける力を私に貸して!!」
フェレット「分かりました。じゃあ、僕の首についているデバイスを使って。」
なのはは言われるままに行動していく。そして、フェレットの唱える呪文を復唱していくとなのはの体はピンク色の光に包まれていった。その光は、苺鈴と怪物にも見えていた。
苺鈴 「あの光の方向は・・・なのはの逃げた方じゃない!?」
怪物も光を見ていたが、苺鈴が光に気を取られていた隙を狙って、光の方に向かって行った。それを見た苺鈴も急いで後を追いかける。
苺鈴 (なのは・・・無事でいて!!)
光が晴れた後、なのはは白を基準としたロングスカートの衣装を着ていて手には杖が握られていた。
なのは「・・・えっ!?・・・何これ!?」
フェレット「あっ!?上、上!?」
なのは「えっ!?」
なのはの頭上にはさっきの怪物が迫っていた。なのはは咄嗟に杖を上に向けると、ピンク色のバリアがなのはを守っていた。バリアに阻まれなのはに攻撃できずにいたが、それでもじりじりとバリアを破こうとしていた。初めての事に右も左も分かっていない状態のなのはは大慌てだったが、怪物の側面から一つの影が飛び出し、回し蹴りを繰り出す。
苺鈴 「はぁー!!・・・ハイッ!!」
怪物は吹き飛び、なのははその場に座り込み、今自分を助けてくれた相手を見据える。そして、手を差し出された。
なのは「苺鈴ちゃん!!」
苺鈴 「なのはごめん!!危ない目にあわせ・・・って、あなた、その格好どうしたの!?」
なのは「あっ!?えっと、これは・・・・・・」
フェレット「これは彼女に、アレを止めるための力と、彼女が傷つかないようにするための衣装です。」
苺鈴 「なっ!?フェレットが喋ったですってぇっー!?」
フェレット「今は僕の事よりもアレを・・・・・・」
二人と一匹は、怪物に向き直ると、怪物はさっきの一撃が効いていたのか蹲(うずくま)っていた。しかし、回し蹴りで付けたはずの傷が徐々に再生していき、もうじき元の状態に戻りそうであった。
フェレット「まさか、さっきの一撃が効いてるのかも?今なら・・・すみません。封印をお願いします!!」
なのは「はっはい!!」
言われるがままに、なのはは数歩前に進み、「ジュエルシード、封印!!」と唱えながら、杖を怪物に向ける。すると、怪物から何か宝石のような物が飛び出して来て、杖の中に吸収されていった。それと同時に黒い怪物は形を保てずに崩れていった・・・・・・
なのはは終わった事を悟り、思わずその場に座り込んでしまい、まだ現実に起こっていた事だったという実感が湧いていない様子だった。
フェレット「あ、あの~・・・」
苺鈴 「・・・お疲れ、なのは。」
なのは「あっ!?苺鈴ちゃん!!・・・お疲れさまでした。にゃはは・・・・・・」
苺鈴 「・・・・・・」
なのはの肩に手を置き、ねぎらいの言葉を駆ける。しかし、なのははまだ実感が湧かないようで、苦笑いしかできなかった。苺鈴は周りを見渡すと、えぐれた地面・倒れた電柱・穴の開いた壁など、悲惨な状態であった。
苺鈴 「まずいわね・・・ふたり?・・・共、とりあえずここから離れるわよ。ここにいたら面倒な事になるから。」
なのは「あっうん。」
フェレット「分かりました。」
二人と一匹は、急いでその場を離れて近くの公園に辿り着く。ベンチに座り込んだなのはと、普段の鍛錬の賜物(たまもの)なのか息切れしていない苺鈴は立ったまま、フェレットに視線を向ける。
苺鈴 「ここまで来れば大丈夫でしょ。っで、あなた・・・何者なの?・・・・・・」
フェレットは、自己紹介から始めた。名前は「ユーノ・スクライア」といい。自分が別の世界からやってきて、ある遺跡で発掘した宝石「ジュエルシード」を時空艦で輸送中、何らかの事故に遭い、この地球に落っこちて来てしまったのだった。怪物の正体はその「ジュエルシード」が何らかの拍子で発動してしまい、怪物となってしまった者だった。
苺鈴 「成程ね。異世界から・・・・・・」
なのは「でも、なんでユーノ君・・・でいいんだよね?どうして、ユーノ君が一人で集めてるの?」
ユーノ「それは・・・アレを発掘したのは僕だから・・・だから、どんなに危険でも、あるべきところに収めて、皆が傷付かないようにするためにも僕が!!・・・・・・」
ユーノの真剣な顔を見た二人は、思わず魅入っていた。そして、なのはから切り出した。
なのは「あのユーノ君。私にも、「ジュエルシード」集め、手伝わせて!!」
ユーノ「えっ?」
苺鈴 「なのは!?」
ユーノも苺鈴も、今の発言に思わずなのはを見つめる。苺鈴は、なのはの両肩に手を置き、少し怖い顔を浮かべて、なのはに詰め寄る。
なのは「苺鈴ちゃん・・・・・・」
苺鈴 「なのは。あなた、今自分が言った事の意味が分かってる?」
なのは「・・・はい。・・・・・・」
苺鈴 「また、あんな怪物と会わなきゃならないのよ?」
なのは「・・・はい。」
苺鈴 「また、怖い目に遭うわよ?」
なのは「うん。・・・さっきので、それは良く分かった。」
苺鈴 「・・・・・・」
苺鈴は、なのはの目をしっかりと見た。その目には、ちゃんとした覚悟が見て取れた。それが分かった苺鈴は、やさしい笑顔を向けて、「分かったわ。」と言うと、ユーノに向き直り、こう言った。
苺鈴 「私も手伝うわ。その「ジュエルシード」集め。」
ユーノ・なのは「えっ!?」
苺鈴 「ん?何よ、二人してその顔は?」
なのは「いや、だって危ない事なんだよ!?」
苺鈴 「それはなのはだってそうでしょ。」
ユーノ「あの手伝ってくれのはすごく嬉しいんですけど、こう言ってはなんですが、あなたにはなのはさんと違って、魔法の素質が・・・・・・」
苺鈴 「知ってる。」
ユーノ「へっ?知ってると言うと?・・・・・・」
苺鈴 「私には、「魔法の素質は全く無い」って事がよ。それに、協力者は多い方がいいでしょ?少なくても、なのはよりは戦闘経験もあるし、魔法絡みの事件には慣れてるの。」
なのは「えっ?「慣れてる」って?・・・・・・」
苺鈴 「まぁ、その話は置いといて、どうするの?言っとくけど、私にも協力させないと、手伝わさせないわよ。・・・・・・」
苺鈴は、目をキッと細めながらなのはに言い放ちなのはは少し尻込みし、ユーノは考え込み、申し訳ない気持ちと、感謝の気持ち、両方を込めて「お願いします!!」と二人に頼み込んだ。なのはも苺鈴に「お願いします。」と頼み込むのを見て、苺鈴となのははユーノに手を出して、また自己紹介をする。
苺鈴 「「李 苺鈴」(リ メイリン)よ。よろしく、ユーノ。」
なのは「改めまして、「高町 なのは」です!!よろしくね、ユーノ君!!あっでも、さっきみたいに「なのはさん」じゃなくて、「なのは」って呼んでね!!」
ユーノ「こちらこそ、改めて、「ユーノ・スクライア」です。よろしくお願いします。苺鈴さん・なのはさ・・・なのは・・・・・・」
なのは「うん!!」
苺鈴 「よろしく。」
二人と一匹は握手を終わらせると、苺鈴が「そろそろ、帰りましょうか。」と言って、高町家にユーノも連れて帰ったが、玄関には待ち伏せていたかのように恭弥と美由希が
佇(たたず)んでいた。その後、苺鈴が「なのはが助けたって言っていたフェレットが何故か家の近くに来ていて、外に出たら、走ってどこかに行こうとして追いかけている内に遅くなっていた。」と上手くごまかしていた。その後、ユーノは士郎・桃子に可愛がられていたのは言うまでもなかった・・・・・・
苺鈴 「・・・・・・」
色々あった後、自室に戻って、パジャマに着替え髪も降ろして敷布団に寝転んでいた苺鈴は、今日起こっていた事を色々考えていた・・・・・・
苺鈴 (まさか、また新しい魔法の事件に巻き込まれるとは思わなかったわね~・・・あの事件からもう1年以上も経つのに全くもう・・・あんな事言っちゃったけど、私って結局ほとんど役に立ったことは無かったのよね・・・・・・)
苺鈴は、右拳を天井に突き上げては広げて、手の平を見てはまた考えにふける。
苺鈴 (・・・小狼や木之本さんだったら・・・・・・)
そこまで考えると、急にハッ!!と上半身を起こし、両頬をバシバシと叩いた。
苺鈴 「何弱気になってるよ私!!あの子達を守るって決めたでしょ!!何があの二人ならよ、しっかりしなさい!!・・・あの二人は・・・ここには、いないんだから・・・・・・」
そこまで言うと、苺鈴はまた寝転び、深い眠りについた。
第一話で既にわかると思いますが、主役は苺鈴です。個人的に彼女が一番のお気に入りのキャラで、「クリアカード編」ではまず出番はないだろうなぁ~と思い、あまり彼女の話を書いている作品が少ないので思い切って自分で書いてみまして。前作の『『仮面ライダー対プリキュア』よりは構造がそこまでこれないかもしれませんが暖かい目でお付き合いください。