リンディ「組織が出す命令や指示は、その組織に関わる人達を守るためにあります。それは知っていますよね?」
先の命令違反の出撃から帰還したなのは・さくら・小狼・ユーノ・ケルベロスそして苺鈴であった・・・真ん中にいた苺鈴は他のメンバーよりも2・3歩分前に出ていた。まるで、今回の一件についての代表者だと言わんばかりにリンディの話を聞いていた・・・
リンディ「それで、今回の命令違反の首謀者(しゅぼうしゃ)は苺鈴さんあなたなんですね?」
なのは「ちがっ・・・」
苺鈴 「・・・・・・」
なのはは今回の一件が苺鈴の独断(どくだん)で他のメンバーに命令した事という事にされそうになり「違う!!」と言おうとするが苺鈴はツリ目になり少し顔を動かして横目でなのはを見つめる。その目は「有無をも言わさない」そして「黙っていなさい!!」と言っているように感じ、その気迫に押されなのはは黙り込んでしまった。
さくらもなのはのように苺鈴のせいではないと言い出そうとしたが、小狼がさくらの肩を掴みそれを止める。なのははもう喋ることは出来ないと判断したユーノは小狼が何を言わんとしているのかが分かっていたので、さくらに念話で語りかける。さくらと小狼もユーノとなのはに念話を教わっていたが、やはりユーノの方が上手いので小狼はアイコンタクトでユーノにさくらに語りかけるように頼み込んでいたのだ。さくらは受信は出来るのだが、返事がまだうまく返せないのであるため、聞くだけの状態である。
ユーノ「(今は苺鈴さんに任せましょう。)」
さくら(えっ!?何で!?)
ユーノ「(何でって思ってますよね?出撃の時、苺鈴さんがなのは以外のメンバーに言った言葉覚えてますか?)」
さくらは先の出撃の際に確かに苺鈴は「行って」ではなく「行きなさい命令よ」とわざわざ言い直していたのを思い出す。ユーノは念話で「恐らく、こうなることを予測していたんだと思います」と伝え、「苺鈴さんはこうして罪をすべて自分がかぶるつもり何だと思います。」と最後に付け足す。無論ユーノもリンディが今の苺鈴の話を鵜呑(うの)みにすることはないと踏んでいたためユーノも小狼も『今は黙っている』という判断に至ったのもさくらに念話で伝えていた。
リンディ「・・・しかし、ここにいるメンバーは苺鈴さん。あなたの友人のはずです。しかもなのはさんに至っては妹同然だと私は認識していますが、「頼み込む」ことは出来ても「命令」なんてとても出来るとは思えませんけど・・・」
リンディが『苺鈴が命令をした』という事に疑問をぶつけると、少し顔が明るくなるなのはとさくらだったが、それをすかさず苺鈴は否定した。
苺鈴 「簡単です。彼女達は私にバラされたくない秘密を知られてしまっている。それで脅しをかければ嫌でも動きます。」
リンディもこの一週間、伊達に『李 苺鈴』という人間を見てきていない。口ではこう言っているが、後ろにいるなのはやさくらの表情を見て本気で「脅し」なんて真似(まね)が出来る人間ではないという事は重々(じゅうじゅう)分かっているつもりである。それでも一歩も譲らない所を見ると彼女が「罪をかぶる事」を望み、それによって他のメンバーにはおとがめなしを狙っているのは容易に想像できた。
そして、このまま続けても平行線になると感じたリンディは一つため息を吐き、そしてこの一件を終結させる。
リンディ「はぁ~・・・まぁ今回は、ロストロギアの危険性と最悪の事態を回避できたことを考慮(こうりょ)して、苺鈴さんは半日ほど謹慎を命じます。他の皆さんは不問と致します。」
今回の出撃の顛末(てんまつ)はこうだ。あの後、なのは・フェイトの協力プレイで割とあっさりと4つのジュエルシードを回収出来そうになったのだが「それはそれ、これはこれ」でアルフが2つ・封印した直後に転移してきたクロノが2つ隙をみて回収しておりプレシア・テスタロッサの仕業と思われる雷撃を受け双方撤退していったのであった。
そのすぐ後にリンディに呼び出された一同が現在に至っていた・・・
リンディから「次はありませんよ」と釘を刺され指令室を後にする一同。一人リンディに言われた通り自室に戻ろうとしている苺鈴をなのはとさくらは引き止める。
なのは「苺鈴ちゃん!!」
苺鈴 「・・・・・・」
さくら「さっきの話、嘘だよね?ほら私達のバラされたくない秘密を知ってるって・・・私達そんなやましい秘密何て」
苺鈴 「あるでしょ秘密、皆・・・」
さくら・なのは「えっ!?」
苺鈴 「木之本さんは魔法の事は周りには秘密。なのはもそう・・・小狼は昔、婚約(こんやく)してた私を振った事がある。ユーノは高町家やアリサ・すずか達には人間だって事は秘密。ぬいぐるみは私達以外には生きている事は秘密・・・これだけの秘密があれば脅しには十分でしょ?」
さくら「そんなの!!」
苺鈴 「じゃあ皆に話せる?」
さくら「それは・・・」
苺鈴 「・・・私もう行くわよ?一応謹慎言われた身だし・・・」
なのは・さくら「あっ!?」
なのは達を背にして部屋に戻ろうとする苺鈴の前には知世が立っていた。知世を見た苺鈴は、一瞬足を止めたが、すぐにまた歩き出す。知世の横を通り過ぎた辺りで、知世が「苺鈴ちゃん」と声を掛け、苺鈴は振り返らずに立ち止まる。知世も、苺鈴に向き直るわけでもなくそのまま話し出す。
苺鈴 「何?大道寺さん・・・」
知世 「・・・私は何があっても苺鈴ちゃんの味方のつもりですわ。」
苺鈴 「・・・・・・」
知世 「ですが、それは私だけではありませんわ。・・・ご自身も、気付いているのではないのですか?」
苺鈴「・・・・・・」
さくら「苺鈴ちゃん?」
知世の言葉を聞いた苺鈴はさくらの方へ向かって行く。さくらの前で立ち止まった苺鈴は少しの間の後、正面からさくらに手をまわし、抱きしめ耳元で小声で何かを伝えていた。さくら以外の者には聞こえないように・・・
さくら「ほぇ!?苺鈴ちゃん!?」
苺鈴 「黙って聞いて・・・私にはあなたや小狼みたいに魔法の力は無い。だから肝心な時になのはの力になってあげられない。」
さくら「・・・・・・」
苺鈴 「私にはこんな風にしか手助けは出来ない。だからその分あなた達は思う存分動いてほしいの。汚れ役なら私が引き受ける。だから・・・もしも私に何かあった時はあなたがあの子の力になってあげて・・・」
さくら「・・・うん」
苺鈴 「頼んだわよ木之本さん」
さくら「あっ・・・」
苺鈴はそれだけ言うとさくらから離れ、三度(みたび)自室に謹慎待機をしに戻る。残ったメンバーの内、小狼から「今は一人にしてやれ」と言われ、さくら達もこれから自室に戻り、一度自宅に戻る準備に取り掛かるのであった。
場所は変わり友枝町の夕方、和風のかなり広めの家が一件あり、その家に住んでいると思わしき眼鏡をかけて、色白の銀髪の青年が、掃除のためか箒(ほうき)を一本持ちだし、庭に出ていた。青年が「うぅ~ん!!」と思いっきり伸びをした後、「さぁ、掃除に取り掛かろう!!」と、箒を持ち直した直後、「ドサァッ!!」と何かが倒れる音が聞こえ、気になった彼は、音のした方へ様子を見に行くことにした。
眼鏡の青年「・・・・・・」
青年が音のした物陰の方へ行くとそこには、傷だらけになった狼が倒れこんでいたのであった・・・
苺鈴 「・・・ん?」
ブリジット「おかえりです。」
苺鈴 「来てたんですね?」
ブリジット「えぇ」
苺鈴が自室に戻ると、そこにはブリジットがおり、そのまま苺鈴はベッドに横になる。
苺鈴 「・・・・・・」
ブリジット「・・・苺鈴さん」
苺鈴 「何ですか?今あんまり楽しい話題に乗れる気分じゃないですよ?」
ブリジット「さっきは、ありがとうです、はい・・・」
苺鈴が「さっき?」と何の事かを問いかけると、フェイト達を助けになのは達を送り出してくれた事だった。今の自分では何もできない状態で、そんな自分の心境を組み込んでくれたような・・・そしてなにより、フェイトとアルフを助けてくれた事にお礼をどうしても言いたかったのだった。
しかし、苺鈴は「助けたのはなのは達で、私は脅して無理やり行かせた。」とリンディの時と同じ事を言い続けた。それでもブリジットは苺鈴に「それでも、ありがとうです」と
お礼を言い続けた。彼女も苺鈴が「脅し」なんて真似が出来るような人間ではない事を信じているからこそのことだったからだ。
ブリジット「それでは私はこれで」
苺鈴 「・・・ブリジットさん」
ブリジット「ん?」
苺鈴 「・・・ありがとう・・・」
ブリジット「いえいえ」
ブリジットが部屋を後にしようと立ち上がるが、扉が開いたと同時に苺鈴がブリジットに背を向けたまま小声でお礼をつぶやいた。それを聞いたブリジットもニッと笑って返事を返し、部屋を後にしたのだった・・・
さくら「ケロちゃん。忘れ物ないようにちゃんと確認してね?」
ケロ 「わぁ~とぉるがなぁ~ちゃぁんと持ってきた携帯ゲーム機はさくらのカバンにしもうとる!!」
さくら「ケロちゃん他に荷物ないの?」
ケロ 「ワイはこれとおやつがあれば十分やぁ!!」
ブリジットが苺鈴と話していたそのしばらく後、さくらと知世も一時帰宅の準備に取り掛かっていた。そんな最中、さくらのスマフォに一本の電話が入る。「ほぇ?」の一言の後、相手の名前を確認すると、『月城 雪兎』の名前が出ていた。
さくら「はい!!さくらです。」
雪兎 「久しぶりだね、さくらちゃん」
さくら「お久しぶりです。」
雪兎 「今、電話大丈夫?」
さくら「はい。大丈夫です。」
雪兎 「実は・・・」
ケロ 「雪ウサギかぁ~なんや久しぶりに聞いた気がするなぁ~」
知世 「でもなんの御用でしょうか?私達が魔法関連の一件でアースラーにお邪魔していることはお知らせしているはずですが?」
知世が雪兎からの電話を不思議がっていると雪兎の電話にさくらの表情が驚愕のものに変わっていく。雪兎に「今なんて?」と聞き返すと意外な者が彼の家に来ていたのだという。
額に宝石のような物が埋め込まれた、オレンジ色の狼が・・・
その翌日、ユーノ・ケルベロス以外のメンバーは平日に戻ってきたので一度学校に向かい、久々の授業を受けていた。なのはの方もなんだかんだでアリサとの仲も戻りつつあり普通に話せるぐらいにまでは回復していた。
すずか「じゃあまたすぐに行っちゃうんだね?」
なのは「うん。色々あったから今日は一度戻れることになってね、明日の朝にはまた・・・」
すずかが「そう・・・」と残念そうに返事を返すとアリサが「だったら今日は家に遊びに行く?」と新しいゲームも釣り餌にしてなのはとすずかを誘うが、なのはは少し表情が曇り、申し訳なさそうに「御免(ごめん)、この後ちょっと・・・」とやんわり断ろうとしていた。
すずか「また大事な用?」
なのは「うん」
アリサ「それも話せない訳?」
なのは「ごめん。」
すずか・アリサ「・・・・・・」
なのはの謝罪に無言になってしまった二人・二人に何も話せない申し訳なさに黙り込んでしまうなのは。少しの間の後、なのはの携帯に着信が入る。相手の名前を見ると、『李 苺鈴』の名前が出ていた。二人に視線を移すと、すずかは「どうぞどうぞ!!」と手を出し、アリサは「さっさと出なさいよ」とシッシッとするような雰囲気の手ぶりをする。一応二人の許可をもらったなのはは「もしもし、なのはです。」と礼儀正しく一応名乗っておく。
苺鈴 「なのは、今大丈夫?」
なのは「あっうん大丈夫」
苺鈴 「私の方も今学校が終わったところだから一度帰るところだけど、なのはは何か用事とか出来てない?」
なのは「あっえっとぉ~・・・あっ!?」
アリサ「苺鈴さん!!」
苺鈴 「えっ?アリサ?・・・」
なのはが電話越しで苺鈴に予定を聞かれていて、返答に困っていたところでアリサがなのはの携帯をヒョイッ!!と取り上げ電話を変わる。いきなりアリサに相手が変わった苺鈴も少し驚いたが、電話越しのなのはの反応が歯切れが悪かったのはアリサ、もしくはすずかも込みの何かがあったからかと納得していた。
苺鈴 「えっと、何かしら?」
アリサ「あの、今日なのはの用事ってどうしても外せないんですか?」
苺鈴は思わず「えっ?」と聞き返しすぐに察した。アリサそして恐らくそこにいるであろうと思ったすずかも『なのはと一緒にいたい』と思っていた事を・・・少し考えた末に苺鈴は一度「なのはに替わって」とアリサになのはに携帯を返すように促(うなが)す。携帯を返してもらったなのはは「替わったよ。」と返事を返した。
苺鈴 「なのは。今日はそのままアリサのところに行っちゃいなさい。」
なのは「えっ!?でもこれから・・・」
苺鈴 「まぁ十中八九(じゅっちゅうはっく)木之本さんの言っていた所にいるのはアルフさんでしょうね。特徴から聞いて、でもまだ確定している訳じゃないわ。それに、ユーノがついてるし何かあれば念話で話せるでしょ?」
なのは「それはそうだけど・・・」
苺鈴 「それに、なのはは二人といるのは嫌になったの?」
なのは「ううん!!そんな訳ないよ!!」
苺鈴 「よね。だったら、折角だし友達との時間を大事にしなさい。確認と話をしに行くだけでもあるし、こっちは任せなさい。」
なのは「・・・うん。分かった!!」
なのはの良い返事を聞いて、苺鈴も「じゃあまた後で」と電話を切り、なのはも『友達との時間を大事にしなさい』の言葉に甘えるように三人でアリサの家に向かう事にした。
苺鈴 「・・・あっ木之本さん私。ユーノに転送をお願いしてもらえる?」
さくら「分かった。ユーノ君、苺鈴ちゃんの転送お願い。」
ユーノ「分かりました。・・・ふっ!!」
なのはとの電話を切った苺鈴は友枝町にいるさくらに連絡をとり、先日の雪兎からの連絡の絡(から)みで、すでにさくらの家に来ていたユーノに個人転送をお願いする。(因みにフェレットの姿)さくらを介して連絡を受けたユーノはさくらの部屋に苺鈴を個人転送させる。今日はさくらの家族『木之本 藤隆』と『木之本 桃矢』はどちらも仕事とアルバイトでいなかったためさくらの家を転送場所に選べたのだった。
苺鈴 「・・・・・・」
さくら「いらっしゃい。苺鈴ちゃん!!」
苺鈴 「ふぅ~ほんと便利よね、転送魔法って」
さくら「だね。」
さくらの家から三人は月城家に向かい、玄関で待ち合わせていた小狼・知世と合流し、インターホンを鳴らして家の住人である『月城 雪兎』に連絡をとり、家から出てきてもらった。
さくら「雪兎さん」
雪兎 「久しぶりだね、さくらちゃん。知世ちゃんと李君も、それに苺鈴ちゃんと・・・君は初めてだね?さくらちゃんから話は聞いてるよ。僕は月城 雪兎。」
ユーノ「初めましてユーノ・スクライアです。雪兎さんの事もさくらさんから聞いています。」
雪兎は苺鈴の肩に乗っていたフェレットのユーノと握手をする。そして、一同を家の中に入れたところで雪兎は一度立ち止まる。
さくら「雪兎さん?」
雪兎 「ここからは『もう一人の僕』の方がいいと思うから、変わるね・・・」
雪兎から翼が生え、その翼が彼を包み込むとそこにはロングヘアーの銀髪の別人が現れる。この青年こそがもう一人の『クロウ・カード』の守護者「ユエ」である。ユエを初めて見たユーノの印象は雪兎は優しそうな青年でユエは少し怖そうな雰囲気を感じていた。
ユエ 「・・・・・・」
苺鈴 「そういえば月城さんがユエさんに替わるところ初めて見たわね。」
ユエ 「お前はあまり雪兎とは接点がないからな。」
苺鈴 「私がちゃんとあなたと会ったのも、前の撫子祭の時だけですものね?」
ユエ 「ところで、お前達は世間話をしに来たわけではないはずだが?」
苺鈴 「あぁそうでしたね。すみませんが、案内してもらえますか?」
ユエが「こっちだ」と一同を先導すると、居間に包帯を巻かれた狼モードのアルフが横たわっていた。
苺鈴 「やっぱりアルフさんだったわね」
ユーノ「えぇ。間違いないですよ」
ユエ 「やはりお前達の知り合いだったか。という事は以前主が言っていた『ジュエルシード』の関係者か?」
ケロ 「あぁそうや。しかしこの獣姉ちゃん何でこないに傷だらけなんやぁ?」
一同が、目的の大型犬がアルフという事を確認したところでアルフも目を覚まし、苺鈴達を見るなり「何でここに!?」と思わず立ち上がりかけたが、傷が痛むのか立ち上がり切れずに膝をつく。苺鈴はそのままでいいと無理をさせないように促し、アルフはどうしてここにいるのかを覚えていない様子であった。
アルフ「アタシは何でここに?」
ユエ 「覚えていないのか?昨日この家に倒れこんでいた。雪兎が手当てを施(ほどこ)し、お前の事を知る主達に来てもらった。」
アルフが「主?」と今ここにいるメンバーを見渡すと、さくらが控えめに手を挙げていて「アンタが?」と意外そうにさくらをまじまじと見つめていた。
少しの間の後、ユーノに一本の念話が入る。クロノからであった。
ユーノ「(どうかしたの?)」
クロノ「(あぁ、こちらの方でもそちらの状況をモニターしていたんだが、ブリジットがアルフと話したいと言っていてな)」
ユーノ「(ブリジットさんが?)」
クロノ「(あぁ。彼女にも見てもらっているからな。それで彼女から提案があってな。ユーノ、彼女をそちらに個人転送出来るか?)」
ユーノ「(彼女を?何で?)」
クロノが言うには、ブリジットが直接顔を見せた方が警戒心を解き、彼女に何があったのか?そして、何故ここにフェイトがいないのか?それを聞き出すためとの事だった。無論クロノもそのまま彼女を行かせるわけにもいかないので厳重にバインドをかけてから転送となった。
しばらくして月城亭に転送されたブリジット。傷だらけのアルフを見て、怪我の経緯におおよその予想がついていたためか心が大きく乱れそうになったが、ブリジットの腕がプルプル振るえているのに気づいた苺鈴が彼女の手を握りだす。静かにこちらを見て頷く苺鈴を見たブリジットはなんとか心を落ち着かせながらアルフにここまでの経緯を問いただした。
アルフ「というわけさね」
さくら「酷い・・・」
ブリジット「あの人ならやりかねませんね」
アルフ「それで気が付いたらアンタたちがここにいた。そんなところだね。」
苺鈴 「・・・・・・」
アルフが言うには先の海上の一件の後、プレシアはフェイトに罰という名の虐待を行った。酷い物であった。体中傷だらけにされ、これでは頑張っても報われはしない。ただ心身共に崩壊するだけである。ついに堪忍袋のをが切れたアルフはプレシアに戦いを挑んだが返り討ちにされてしまいフェイトをあの悪魔の手から誰でもいいから救ってもらうために再び地球にやってきたのであった・・・
知世 「ブリジットさん。フェイトちゃんと何とか連絡をとって私達の方に来ていただくことは出来ないのでしょうか?」
ブリジット「恐らく無理だと思います。前にフェイトさんは言ってました。「どんなことをされたとしても、それでも、私のたった一人の母さんだから」と・・・」
苺鈴 「・・・・・・」
ブリジットの話したフェイトの言葉「たった一人の母さんだから」この言葉を聞いた直後に小声で「たった一人の母さん。っか・・・」とつぶやき少しの間の後「じゃあ無理でしょうね」と諦めたように発言した。
小狼 「何でそう思うんだ?」
苺鈴 「今ブリジットさんが言ってたでしょ?「たった一人の母さん」だからよ。何となくだけど、多分フェイトの気持ち、わからなくは無いわ・・・」
小狼をはじめとして他の皆も言った意味がよく分からないといった顔をしているが、お構いなく話を進めていく。
苺鈴 「それよりも今をどうするかよ。アルフさんやブリジットさんの話を聞く限り多分フェイトは最後の最後までプレシアって人の方に就くでしょうね。悠長にしていてもフェイトに危害が及ぶだけ」
ブリジット「じゃあ・・・どうするんですか?何かいい手でも?」
苺鈴 「えぇまぁ・・・ジュエルシードも未だ行方不明の一つを除いてはもう私達とフェイトが持ってる。それを餌(えさ)にして短期決戦を仕掛けるのがいいと思うんです。」
ブリジット「短期決戦・・・ですか?」
苺鈴の考えはこうだった。以前、海鳴温泉で戦った時、「掛けて」と苺鈴とブリジットの勝負が始まりこちらが負けたため一つ差し出すとまだ持っていたのに脅迫もせずに大人しく引き下がってくれた事があったのだ。フェイトは律儀に敵である自分達に対しても約束を守ったのだ。そこで、今度は一対一の全力前回の真剣勝負で互いの残りのジュエルシードを掛ける事であった。
小狼 「いい考えだとは思うが、そんな賭け事あいつ(クロノ)が許可してくれるとは思えないが」
クロノ「(いいや。いい考えだと思う。)」
アースラーからモニターしながら通信も行っていたクロノは意外にも苺鈴の博打に賛成していた。クロノのそばにいたエイミーという女性もこれには驚きを隠せないでいた。
クロノ「(こちらから餌を撒ける分、色々用意が出来る。フェイトがこちらの魔導士と戦っている隙に彼女の帰還先を追跡するための準備も十分稼ぐことが出来るはずだ。それにそれがうまくいけば仮にフェイトが勝負に勝っても問題ない)」
執務菅であるクロノの同意も得られ、とんとん拍子に事が進んでいく。その話はユーノから念話でなのはにも伝わり急ピッチで準備が進められた。
その翌日の早朝、とある空間にてなのはとユーノそしてアルフが一人の少女が来るのを待っていた。「フェイト」だ。なのははフェイトがやってきたのを察知したのかフェイトに背を向けたまま「来たねフェイトちゃん」と声をかける。
フェイト「あなたがアルフを通して呼び出したからね・・・ねぇ一つ聞いていい?」
なのは「ん?」
フェイト「ブリジットとあなたのお姉さんは?」
フェイトはやってきた時から思っていた。何故いつもいるはずの者苺鈴と、アルフがいるのだからいると思われていた者ブリジットがいなかった。はっきり言って訳が分からなかった。
なのは「ブリジットさんは苺鈴ちゃんが大事な用で連れて行っちゃった。」
フェイト「大事な用?あの人があなたの事よりも?・・・」
フェイトは意外そうな顔をして「寂しくないの?」とつい聞き返してしまうが、なのはの回答にフェイトはまた意外そうな顔をする。
なのは「寂しくないっていったら嘘になるね。でも、苺鈴ちゃんは言った!!」
なのははレイジングハートをフェイトに向けながら力強く苺鈴に言われた事を言った。
なのは「『次はなのはが勝つ!!』ってね!!」
フェイト「・・・・・・」
なのは「やろうよフェイトちゃん。私とあなたの最後の勝負を!!」
なのは「フェイトちゃんとの決闘の最中、苺鈴ちゃんとブリジットさんは調査を始めていた。」
ユーノ「それにはさくらさんのある力を借りる必要があって・・・」
なのは「次回、『カードキャプターさくら外伝』「ジュエルシード編」第12話」
ユーノ「『苺鈴とブリジットと旅人達』」
なのは「リリカル・マジカル・・・こっちは任せてね。苺鈴ちゃん・・・」