武装局員達「うわあぁぁーー!!」
プレシア「はぁ、はぁ、はぁ・・・うぶっ!?・・・」
苺鈴達が連絡を受けアースラーに戻るほんの少し前、なのはがフェイトとの決闘に勝利したと同時に時の庭園から直接プレシアが攻撃魔法を放ち、なのは達・アースラーにダメージを与えたのだが、行動不能に陥るほどの損害も出ず、この大規模攻撃から時の庭園の座標を割り出し武装局員を派遣し、プレシアの逮捕に臨(のぞ)もうとした。しかし、玉座の間で待ち構えていたプレシアの近くにあったある物を見られると彼女が豹変し、一気に武装局員を一人残らず返り討ちにしてしまう。
プレシア「・・・もう時間が無いみたいね・・・もうじき邪魔な魔導士達がやってくる。その時は、フェイトと同じまがい物のアレが役に立つわね・・・アリシア・・・もうじきよ・・・もうじきアルハザードの技術のすべてを手に入れて、あなたを・・・」
アースラーのメインブリッジにて、リンディは艦長席に座ったまま武装隊とプレシアの動向を見ていた。これから逮捕というところに差し掛かったところでなのはとフェイト・ユーノとアルフがメインブリッジにやってきた。
なのは「リンディさんあの人はもしかして・・・」
リンディはなのはの質問の意味が分かっていたため無言を決めていたが、念話で「母親の逮捕の瞬間は見せられない」と伝え、別室に連れて行くように頼み込む。しかし次の瞬間、武装隊員達の叫びが聞こえてきてモニターを思わず凝視した。そこにはプレシアにやられた隊員達が床に転がっているところであった。
ユーノ「すごい・・・」
アルフ「あの人強いとは思ってたけどここまでなのかい!?」
苺鈴 「なのは!!」
なのは「苺鈴ちゃん!?皆さん!?」
ブリジット「フェイトさん!?」
フェイト「ブリジット?・・・」
ブリジット「よくご無事で」
一同がモニターに釘付けだった最中、友枝町から転移してきた苺鈴達もブリッジにやってきた。苺鈴がなのはに状況を問いただそうとするが、さくらが「あれ・・・」とモニターを恐る恐る指を指す。なのは達が見ていたプレシア対武装局員の結末であった。それを見た苺鈴達もプレシアの実力は想像以上だと驚愕していた。
プレシア「・・・見ているかしら管理局そしてフェイト?もうここまで来たのなら隠す必要もないわね?あなた達が知りたがっていた私の目的を教えてあげるわ」
今の自分をモニターされていると確信していたプレシアはそのまま玉座の間の更に奥の施錠(せじょう)された部屋に入るとそこにはいくつものカプセルがあり、中央には一際(ひときわ)大きなカプセルが存在し、その中には誰かがカプセルの中の液体に漬かされていた。しかし、その誰かはモニター越しに見ていた一同にはよく見おぼえがあった。
なのは「ふぇ・・・フェイト・・・ちゃん?」
ユーノ「アルフ!!あれはどういう事!?」
アルフ「しっ知らないよアタシも!?何でフェイトがもう一人!?」
フェイト「誰?・・・」
一同がカプセルの中のフェイトに瓜二つの少女に注目が集まる中、ブリジットが苺鈴に耳打ちをする。
ブリジット「苺鈴さん。彼女はもしかして・・・」
苺鈴 「多分アリシアね。まさか遺体があんなところで液体漬けにされてたとはね」
プレシア「この子は私のたった一人の大事な娘『アリシア』・・・ある日突然この子は私の下からいなくなってしまった・・・私にとってアリシアはすべて。だから私はアリシアをよみがえらせようと『プロジェクトF』と名付けらえたクローン精製技術を使い、アリシアの記憶をあなたに植え付けた。でも、その子は記憶はアリシアの物そのものだったけどアリシアにはならなかった・・・フェイトあなたの事よ。私はアルハザードの技術を手に入れるためにジュエルシードを使って、アルハザードへ行くわ。出来損ないのお人形を娘扱いするのももうお終い。どこえなりとも消えなさい!!」
なのは「酷い・・・」
さくら「あんなのお母さんが娘に言う事じゃないよ!!」
プレシア「よくお聞きフェイト私はあなたの事がね・・・大っ嫌いだったのよ!!」
フェイト「・・・ぁっ・・・」
なのは・ブリジット「フェイトちゃん!?・フェイトさん!?」
プレシアの「大っ嫌いだった」の一言を聞いたフェイトは目の光を失い、その場に倒れこむ。それをなんとか支えるなのはとブリジットはフェイトを呼びかけながら体を揺さぶってみるが何の反応も示さなかった。そしてそのまま医療室にフェイトを運び込んだのだった・・・
苺鈴 「・・・・・・」
フェイト・ブリジット・アルフを除いたメンバーはフェイトが運び込まれた病室の前に集まっていた。皆(みな)がフェイトの容体(ようだい)を気にしている最中、苺鈴は先のプレシアの発言が頭の中で何度もこだましていた。「出来こそないの人形」・「あなたの事・・・大っ嫌いだったのよ」この二言が止まるなく響いてきて、苺鈴にとってとても嫌な事を無意識に思い出していた。自分がまだ香港に住んでいて、まだ幼い子供の頃を・・・・・・
「魔力無し!!」
「李家の恥さらし!!」
「何でお前みたいな役立たずが分家にいるんだよ?」
今日も色んな事を同い年位の他の分家の子にたくさん言われた・・・・・・私はいつもそれが悔しくて、辛くてその場で泣き崩れているしか出来なかった・・・
たまに初恋の彼や優しい人が私をかばってくれたけど、それでもやっぱり辛い日々だった・・・・・・でもいいんだ。他の子が、他の人が分かってくれてなくても血のつながった実の両親は私の存在を肯定してくれる。そう思ってた。けど・・・・・・
苺鈴 「おかあさ・・・」
苺鈴の母「あっちに行ってなさいよ!!」
苺鈴 「ひっ!?」
苺鈴の母「なんであなたは持っていないのよぉ~!!・・・うぅっ・・・」
幼い私はお母様の言う事をただ怯えながら黙って聞いていた・・・お母様の視界に入らないように部屋を出ていこうとした時、お母様の目からは机に伏せっていても涙が流れているのがチラッとだったけど確かに見えた・・・・・・
・・・今なら分かる。お母様も辛かったんだ・・・・・・探せば他にいたかもしれないけど、『魔力無し』の烙印を押されて、そんな私を生んでしまって私の知らない所で大人達からも私同様に色々言われていたんだってわかる。それだけじゃない・・・そんな私を生んでしまって、自責の念もあって、それを原因である私にぶつけていたんだ。ある意味仕方がなかったんだ。『出来損ない』の私なんかじゃ、嫌われても仕方がなかったんだなぁ~って、だから私は色々頑張ってきた。勉強も家事も、そして、偶然だったけどたまたまついていたTVのあるヒーローのどんな状況にあってもあきらめずに戦い抜いていった姿に憧れて、小狼と一緒に魔力のない私でも強くなれる『拳法』も頑張ってきた。実際そのおかげで乗り切れた場面が幾つかあった・・・・・・
『ツイン』のカードとの闘い・・・
初めてなのはが魔法少女になった夜・・・
なのはの2回目の実戦・・・
2回目のブリジットさんとの死闘・・・
今までの事は無駄じゃなかった・・・今の私には昔と違って大勢の仲間も友達も出来たし、私を受け入れてくれる新しい家族もいて、お母様も私の存在を認めてくれていった・・・
でもあの子には・・・・・・
『フェイト』は・・・お母さんにいつ認めてもらえるの?・・・・・・
昔の事を思い出していると、医務室からブリジットが出てくる。そして苺鈴は「容体は?」と問いかけ、苺鈴の問いにブリジットは「気を失っただけ」と答えとりあえず無事だという事が分かり一同は安堵する。そして、せわしなく空中にモニターが現れリンディが顔を出し、なのは・ユーノ・さくら・小狼・ケルベロスにも出撃要請がかかり部屋を後にしようとするが、苺鈴は動こうとしなかった・・・出撃要請の掛かったメンバーには入っていなかったこともあるだろうがどうもそれだけって訳でも無さそうであった。
なのは「あれ?苺鈴ちゃん行かないの?」
苺鈴 「残念だけど私が行っても足手まといにしかならないわ。何せ私は魔法使えないしね。木之本さん・小狼・ユーノ・ぬいぐいえケルベロス・・・なのはを・・・頼んだわよ・・・」
なのは「足手まといってそんなことないよ!!実際苺鈴ちゃんには何度も助けてもらったし!!」
苺鈴 「ありがとうなのは。でも無理なのよ。明らかに私程度じゃ木之本さんや小狼みたいにいざって時に役に立てないし、ここまでのレベルになると尚更(なおさら)よ。それになのはは本当に強くなった。・・・あのフェイトに勝ったんですもの自信を持ちなさい。」
苺鈴もそう言いつつも拳をぎゅっと握り、顔はまだ優しい笑顔を作っていたが悔しさを隠しきれているようにも見えなかった。そんな苺鈴を見た知世は苺鈴の両手を握り名前を呼んだ。
苺鈴 「何?大道寺さん?」
知世 「苺鈴ちゃんにお渡ししたい物があります。」
苺鈴 「私に?」
「えぇ」と知世は一度背を向け、「よいしょ」と大きい紙袋をそれぞれに渡す。「どこから出したの?」と思いながらも受け取った紙袋から取り出した物を広げてみると服であった。
濃い青のナインブラインドの大き目のサイズにした膝まで丈があり幾つも小さいポーチが付いている青いコートと肩まで露出している黒いシャツと黒い短パンであった。
ブリジット「服・・・ですねはい」
苺鈴 「大道寺さんこの服は?」
知世 「さくらちゃんやケロちゃんは勿論の事、李君の服も私が作らせてもらっています。ですが、苺鈴ちゃんの服は一度もありませんでしたからね。『ホープ(希望』)』のカードの一件以降もそんな機会が無かったので」
苺鈴 「確かにね」
ブリジット「でも知世さんなにもこんな時に・・・」
知世 「あぁそういえばブリジットさんはご存知無かったですね。私がさくらちゃんにコスチュームを着ていただくのはただ記念撮影をしたいだけではないんです。」
ブリジット「えぇ!?違うんですか!?」
苺鈴 (やっぱりそう思われてたのねぇ大道寺さん・・・)
なのは・ユーノ(違うんだ・・・)
知世 「さくらちゃんはクロウ・カードの時も、エリオル君が起こした事件の時も、他の事件の時も無事に笑顔で帰ってきてくださいました。私の作ったコスチュームと一緒に。ですから苺鈴ちゃんにもご無事に帰ってきてくださるようにと」
苺鈴は満面の笑みを浮かべながら「ありがとう」と知世にお礼を言う。ただ、「それはそれ、これはこれ」でこの衣装は何がモチーフなのかを苺鈴が問いただした。
知世 「えぇ、実は最近スランプ気味でして、そんな折にインターネットで適当に検索をしてみてたまたま見つけたキャラを参考にしまして。『超次元ゲイムネプテューヌ』というゲームに出演している「IF(あいえふ)」というクールで姉御肌なキャラです。苺鈴ちゃんのイメージにピッタリだと思いまして」
苺鈴 「私のイメージ・・・っていうかこれって作者の趣味ってだけよね?」
知世 「それは言ってはいけないお約束ですわ。更にもう一つ苺鈴ちゃんに」
苺鈴 「まだあるの?」
知世は「えぇ」と腰に手を回して後ろからベルトのような物を取り出し、苺鈴に手渡す。ベルトをよく見てみると、ただのベルトではなくどこかヒーローがつけていそうな特殊な構造をしている物に見えた。しばらくそれを見続けていた苺鈴はどこかで見たことがあるような気がして「う~ん・・・」と唸っていた。そして、思い出す。彼女が昔憧れたヒーローの一人を・・・
苺鈴 「思い出した!!大道寺さんこれってまさか『サイクロード』じゃないの!?」
知世 「えぇ。その通りですわ」
ブリジット「さいくろーど?何ですかそれ?ただのベルトじゃないんですか?」
苺鈴 「違いますよ!!これは私が小さい頃に再放送で見ていた特撮ヒーローの『仮面ライダースーパー1』の変身ベルトですよ!!拳法の使い手でこのヒーローがいたからこそ私も拳法を頑張ってたんですから!!」
ブリジット「とくさつ・・・ヒーロー?・・・」
苺鈴 「でっこのベルトどうしたのよ?おもちゃって訳じゃなさそうだけど?」
知世 「えぇ、そう遠くない内に大きな何かがあるのではないかと思いまして、そのお洋服と並行してさくらちゃんに作ってもらっていました。」
「木之本さんが?」とさくらの方を向きながらさくらも「知世ちゃんにお願いされてたの。苺鈴ちゃんのパワーアップアイテムを作ってほしいって」と説明する。しかし、さくらははっきり言って手先が不器用でこういった事は苦手のはずなのではと思ったが、以前知世は苺鈴から特撮ヒーローが好きと聞かされており、そのことを再会してから思い出した後、小狼に聞き、「もう一人の拳法の先生だ」と尊敬もしている『仮面ライダースーパー1』の力を利用しようと考え、『創造』の力を持つカード『クリエイト』のカードでこのベルトを作ってもらっていたのだった。
苺鈴 「そうだったの。私のために・・・」
さくら「ちょっと大変だったけどね。『クリエイト』は夜にしか使えないから、『ダーク』のカードを使って『クリエイト』の周りだけ暗くして『クリエイト』に夜だって誤認させてるんだよ」
苺鈴 「木之本さん・・・私のためにそんな無茶して」
さくら「いいんだよ!!それにこれなら苺鈴ちゃんもなのはちゃんの力になれるでしょ?」
苺鈴 「えぇ!!皆の思いが詰まった装備ですもの。役に立たないはずないじゃない!!しっかり使いこなして見せるわ!!」
苺鈴の力強い発言に他の皆も気合が入り別室へと一度移動し、知世からもらった服に着替えた苺鈴の姿はばっちりと決まっており、知世もイメージぴったりとビデオカメラを回していた。
因みに苺鈴は髪型は普段のままであったが、苺鈴はリボンを緑色の双葉リボンに変え、腰にはさくらに作ってもらったベルトを装着していた。
さくら「あっそうだ!!苺鈴ちゃんプレゼントのお返しもらってもいいかな?」
苺鈴 「えぇ!?こんな時に何言ってるのよあなたは!?」
さくら「こんな時だからだよ!!それに難しい物じゃないし」
苺鈴は「こんな時に」とため息を一つはきながら「言ってみなさい」と聞いてみる。それは確かに難しいが簡単な事であった
さくら「『さくら』って呼んでほしいの。小狼君やなのはちゃん・ブリジットさんみたいに、お願い!!」
意外な返答に苺鈴は目を大きく見開き、つられるように知世も「では私も『知世』と呼んでくださいな」と便乗する。二人の視線が苺鈴に注がれる中、苺鈴は少し照れながらもぎこちなく
苺鈴 「さっ・・・さくら・・・とっ・・・知世・・・」
二人の名前を呼ぶのであった。苺鈴が初めて自分達の名前を呼んだことに二人は喜び、苺鈴の手を握る。
苺鈴 「ありがとうさくら・知世・・・皆・・・行きましょう!!」
一同が「おう!!」・「うん!!」とそれぞれの返事を返し、いざ行かんとした一同だがさくらが「あっごめん忘れもの」とさくらと知世以外はその一言に思わずこけかける。苺鈴が「今度は何よぉ!!」とさくらに詰め寄る。そして、詰め寄った苺鈴にさくらは両手を握りある言葉を伝える。
さくら「絶対、大丈夫だよ」
苺鈴 「えっ?・・・」
さくら「覚えてる?この呪文?」
苺鈴 「・・・そうね。これがないと私達の最終決戦は始まらないわよね!!」
さくら「うん!!」
なのは「ん?」
ユーノ「あの知世さんさくらさんのアレって何ですか?」
知世 「うふふ、無敵の呪文ですわ。」
なのは・ユーノ・ブリジット「無敵の呪文?」
知世 「えぇ」
それから苺鈴が先頭を切り、転送ポートで待機していたクロノと合流した一同は「準備はいいか?」と尋ねられたが苺鈴となのはが「準備OK!!」と代表して即答する。それを聞いたクロノはこの場にいた全員を時の庭園に向けて自身と共に送り出す。それを見送った知世は「皆さん・・・おきおつけて」と今決戦に向かった一同を気遣い、今来た道を戻っていくのであった・・・
苺鈴 「・・・ついに来たわね。『時の庭園』・・・」
さくら「ここがそうなんだね?」
さくらの質問に「えぇ」と頷く苺鈴をよそになのはも「ここにフェイトちゃんのお母さんが・・・」とレイジングハートを握る手にギュっと無意識に力が入る。クロノから「こっちだ!!」と入り口と思わしき通路を通り、中へ侵入する。
道中の通路はところどころに妙な空間のようなものが見える穴が開いており見ているだけでまるで吸い込まれそうな錯覚まで起きるほどだ。
クロノ「その穴には絶対に落ちないでくれよ。その穴は虚数空間になっていて落ちてしまったら最後、奈落の底に真っ逆さまだ。」
苺鈴 「それは厄介ね。でも落ちてもなのはかさくらに引き上げてもらえば」
ユーノ「いいえ苺鈴さんその考えは捨てた方が良いですよ」
苺鈴 「何で?」
ユーノ「この虚数空間では魔法は一切発動できないんです。落ちたら最後、僕達も空を飛べなくなりますからもう助ける手段はありません。」
「ですから絶対に落ちないでください」と付け足され、自力で空を飛べない苺鈴と小狼は特に「肝に銘じておこう」と心から思いながらもいつの間にか虚数空間が丸見えになっている通路から抜け出し、前方にプレシア・テスタロッサが放ったと思われる無人の鎧の兵隊が立ちふさがり、クロノが先頭に立つ。
クロノ「君達は先に、ここは僕が・・・」
苺鈴 「ちょっと待った!!ここは私に任せてくれない?」
クロノ「何?」
苺鈴 「え~と・・・数は5体。肩慣らしには丁度いいわね。」
苺鈴は右肩をぐるぐる回しながらクロノよりも前に進み、立ち止まると右手を広げ、その右手に向かって左手でグーパンチをする。その後、兵隊へ向かい構えて叫ぶ。
苺鈴 「さぁ掛かってきなさい!!」
5体の兵隊は槍(やり)のような物をかまえ一斉に苺鈴に向かって行く。繰り出される槍の連撃をいともたやすく回避・払いを繰り返し、最後の一体が繰り出した突きも、槍を掴み、背負い投げの要領で投げ飛ばし床に強打させる。投げ飛ばし、槍を手放した苺鈴は自分の右手を見ていた。
苺鈴 (フェイトやブリジットさんと違ってただの人形って事もあって動きが単調だったってのあるけど、いつもより体が軽い!?それになんか腕力も上がってない私!?・・・これがきのいいえさくらがこしらえてくれた仮面ライダーの力)
苺鈴が自分の新しい力に驚愕している最中、起き上がった兵隊とその後ろに隊列を作る残り4体の兵隊は再び苺鈴に向かって構える。それに気づいた苺鈴もすぐさまこのベルトのある機能を思い出し応戦を試みることにした。
苺鈴 (そうだわ!!確かスーパー1には『あの手』があったわ。あれなら)「・・・チェェ~~ンジ!!パワーハンド!!」
苺鈴が左腕を回しながら叫び出すと同時に兵隊2体が苺鈴に向かって唐竹割りで槍を振り降ろす。しかし、苺鈴は両手で二本の槍を掴みそれを止める。兵隊は槍を引き抜こうとするがまるで固い物に刺さった物が抜けなくなってしまったかのように槍がびくとも動かなくなった。よく見ると苺鈴のしていたグローブが銀色のヒラヒラが付いたものから真っ赤なグローブに替わっておりこれこそ『仮面ライダースーパー1』のパワーアップアイテム『ファイブハンド』の一つ・力に特化した『パワーハンド』であった。次第に槍から鈍い音が響いていき、最後には苺鈴に握りつぶされ無残にへし折られてしまう。
苺鈴 「・・・ふっハイィィーー!!」
兵隊の槍をへし折った後、両手を握りしめ腰に引っ込み掛け声を出しながら2体の兵隊に正拳突きを放つ。かなり力を込めた甲斐あってかかなりの速度で兵隊が吹き飛び、残りの3体の兵隊に激突し、無残な残骸が転がっていた。
なのは・さくら・ケルベロス「ほえぇ~~・・・」
小狼・クロノ・ユーノ「・・・・・・」
苺鈴 「・・・ふぅ~・・・行きましょう!!プレシアを止めに!!」
なのは・さくら・ユーノ「あっはい!!」
小狼・クロノ・ケルベロス「おっおうっ!!」
苺鈴の驚異的なパワーアップに思わずベルトを渡したさくらですら唖然としていた一同。しかし、苺鈴の一言で我に返った一同は兵隊の後ろにあった扉を勢いよくドンッ!!と開き中に侵入する。その中には先ほどの兵隊と同じような兵隊が何十体も待ち構えていた。
苺鈴 「げっ!?こんなにいるの!?」
クロノ「さっきのはただの門番といった処か・・・」
小狼 「だがやるしかないだろ!!やらなきゃ俺達がやられる!!」
さくら「うん。ここで立ち止まっていられないよね?」
なのは「・・・・・・」
さくらの一言の後、なのはは先頭に立ち無言でレイジング・ハートを構え砲撃モードにして予告もなく
なのは「ディバィィ~~ン・・・バスタァァ~~!!」
目の前の兵隊達に向かって砲撃を放った。放ち終わったなのははレイジング・ハートを構えたまま兵隊達に向かって叫ぶ。
なのは「ここは、押し通らせてもらいます!!」
なのはが叫び終わると同時に兵隊達も一斉になのは達に向かって行く。それに対抗するかのようになのはを筆頭(ひっとう)に苺鈴達も兵隊に向かって突撃を開始した。
その頃、アースラーの医務室にてアルフはフェイトと時の庭園を映したモニターを交互に見て、ブリジットはフェイトの方をずっと見ていた。傀儡兵の大群と対峙している一同を見ていると、椅子からすっとアルフは立ち上がり、部屋を後にしようとする。
ブリジット「アルフさん?」
アルフ「ブリジット。フェイトをお願い。アタシはあの子達を手伝ってくるよ」
ブリジット「分かりました。・・・お気をつけて」
アルフ「・・・アタシが言うのもなんだけど、行かないのかい?」
ブリジット「行きたいのは山々何ですけど、なのはさん達にもフェイトさんの事頼まれましたからね。アルフさんまでいなくなったらフェイトさんが起きた時に誰もいないですからね。それに・・・」
アルフ「それに?何だい?」
ブリジット「信じたい・・・のかもしれないですね。さっきお母様から捨てられた直後だというのに、きっと立ち上がってくれるんじゃないかって信じたいですよ。フェイトさんの事も私がフェイトさんを信じたい気持ちをね・・・」
アルフ「・・・分かった。じゃあフェイトをお願い。行ってくる!!」
ブリジット「ご武運を」
アルフはフェイトをブリジットに託し、時の庭園に向かって行ったメンバーに加勢に向かう。部屋からアルフが出ていくと、ブリジットはフェイトの手を握り祈っていた。彼女が目覚めてくれることを・・・・・・
待っていたかいがあったのか、ほどなくしてフェイトはうつろながらも目を覚まし『時の庭園』内のリアルタイム映像を見ていた。
フェイト(・・・この子・・・何て名前だったっけ?・・・)
フェイトはたまたま映ったなのはを見て、これまでのなのはとのジュエルシード争奪戦の出来事が頭の中をよぎってくる。
フェイト「・・・ブリジット・・・」
ブリジット「フェイトさん!!気が付きましたか!?」
フェイト「ねぇブリジット。私って、いらない子・・・だったのかな?・・・」
ブリジット「ぇっ?」
『時の庭園』の映像の方を見ていて、ブリジットの視線から目をそらしていたフェイトの顔を覗き込んで見たブリジットの目に映ったのは涙を流しながら自分の存在価値に疑問を問いかけるフェイトの姿があった。初めてみたフェイトのこんなに涙ぐんだ姿にブリジットもなんて声を掛けたらいいのかと悩んだ。こんな場面に直面する人なんてまずそうそういないものだ。正しい回答何て簡単には出てきっこない事である。しかし、ブリジットは彼女の性格からして意外とも思える回答をフェイトにぶつける。
ブリジット(あわわわどうしましょう~!?こんな時に何て声を掛ければいいんでしょうか!?残ったはいいんですけどなんて声をかけるか考えていませんでした!!えぇっ~~とぉぉっ~あうぅぅっ~~・・・)
フェイトに何て声をかけるか悩んでいながらも『時の庭園』内の映像をチラッと見たブリジットは『ファイブハンド』を駆使しながら傀儡兵と戦う苺鈴の姿が映った。苺鈴を見たブリジットは苺鈴の戦いをじ~と見つめると、何かを決意したかのような目つきをしていた。
ブリジット「フェイトさん・・・」
フェイト「・・・・・・」
ブリジット「私はいらない子なのか?って聞きましたよね?」
フェイト「うん。どうなのかな?」
ブリジット「フェイトさんのお母様にとっては「いらない子」っだったのかもしれません。」
フェイト「・・・やっぱり・・・そう・・・だったのかな・・・」
ブリジット「お母様に「いらない子」なんて言われたらそれは辛いでしょうね。でもフェイトさん一つ聞かせてください」
フェイト「何?」
ブリジット「『あなたにいてほしい』と言ってくれる人は誰もいないんですか?」
「ぇっ?」とブリジットの質問に疑問を浮かべながらブリジットの話に聞き耳を立てるフェイト。ブリジットはモニターに映っているなのはを見ながら続けた・・・・・・
ブリジット「あの子は・・・なのはさんは苺鈴さんと同じです。苺鈴さんは私と分かり合いたいって言ってくださったように、あの子はハッキリと言ってくれましたよ「友達になりたい」って・・・フェイトさん。あなたは真剣に自分と向き合ってくれた方を放(ほう)っておけるような薄情な人でしたか?」
ブリジットの問いにフェイトは答えない。だが少しの間の後、ゆっくりと起き上がりモニターを見続けながらブリジットに問いかける。
フェイト「ねぇブリジット・・・私・・・このまま終わっていいのかな?」
ブリジット「それは・・・あなたがどうしたいのかによります。フェイトさんの本心はどうしたいって言ってますか?」
フェイト「私はいらない子って言われた・・・でも、このまま何も進まないままで終わりたくない!!母さんの事も、あの子の事も全部!!」
フェイトが力を振り絞りながら吐き出した思いを聞き届けたブリジットはフェイトの両肩を掴み、自分の方へ向きなおさせバルディッシュを渡す。そして、彼女も良い答えを聞けたと口には出していないが、良い表情をしていたのであった。
ブリジット「行きましょうフェイトさん!!なのはさんの所へ!!そして、お母様の所へ!!」
フェイト「うん!!」
二人は部屋を出ようとすると、別の訪問者が部屋に大きな紙袋を持って入ってくる。おかげで二人は部屋に引き返すことになった。
ブリジット「知世さん!?」
知世 「行かれるのですね?お二人共」
ブリジット「・・・聞き耳を立てていたんですか?」
知世 「失礼(しつれい)だとは思いましたが、きっとお二人は出てきてくださると思い外で待機していました。これをブリジットさんにお渡ししたくって」
知世は持っていた紙袋をブリジットに渡すと「開けてみてくださいな」と催促されたブリジットは紙袋から中身を取り出すと一着の服が入っていた。広げてみると『C』の文字が形作られたカチューシャと上半身はニットの服と赤と黒のテェックのミニスカートに黒ニーソのセットと小さいハートがポイントのチョーカーに少し大きめのCの文字が入ったウエストポーチといった暖かそうな服等が入っていた。
フェイト「・・・服?」
ブリジット「知世さんこれって・・・」
知世 「なのはちゃんにはフェイトちゃんが必要ですわ。そして苺鈴ちゃんにはブリジットさんあなたが必要なんです。ですからこれを着て彼女を助けてあげてください。」
ブリジット「知世さん・・・えぇ。任せてください。」
知世 「後ブリジットさん初めに断っておきますね」
ブリジット「はい?」
知世 「その服は差し上げた訳ではありませんのであしからず。」
ブリジット「えっ!?この流れはくれるんじゃないですか!?」
知世 「差し上げません。お貸しするんです。」
知世は首を左右に振りながらキッパリと「あげない」と言い渡し、「そんなぁ~」とブリジットはがっくりと両肩を落とす。そんなブリジットにお構いなしに知世は話を続けていく。
知世 「お貸しするんです。ですから・・・苺鈴ちゃんとちゃんとお返しに来てくださいね。そして、記念撮影させてくださいね。」
ブリジットは「えっ?」と知世の顔を見、言葉の意味をくみ取ったブリジットは笑みを浮かべながら「はい!!必ず!!」と知世と約束を交わす。因みにこれもコスプレ衣装だったようで元になっているのは苺鈴の時と同様『超次元ゲイムネプテューヌ』という作品のキャラの『コンパ』という人物の私服であった。
知世 「『IF』さんと『コンパ』さんはとてもいいコンビらしいのでクールな感じのIFさんを苺鈴ちゃんに、ほんわかした巨乳お姉さんにはブリジットさんで再現するのがピッタリだと思いましたので!!」
ブリジット「知世さんまでそれ言うんですか!?」
ブリジットは苺鈴だけでなく知世まで自身の胸をネタにされたことに赤面しながら両腕で胸を隠し、対する知世も口元に手を当てながら「おほほほほ」と控えめに笑っていたのであった。
そんなこんなで無事に着替えが終わり知世はビデオカメラを回しながらブリジットといつの間にかバリアジャケットを着ていたフェイトのツーショットを取っていた。フェイトのバリアジャケットをまじかで見ながらこんなことを考えていた。
知世 (黒いコスチュームに映像で見たフェイトちゃんのバルディッシュの鎌の形態・・・まるで死神みたいな感じですけどこういうのも有りかもしれませんわ!!今度はさくらちゃんにこんな感じのコスチュームを作ってみましょう!!スカートにするか、パンツタイプにするかそれともちょっと冒険してもらってハイレグのレオタードタイプなんてのも!!)
知世はさくらに来てもらう次のコスチュームの事を考え、そんな知世をよそにフェイトは転移魔法陣を展開し二人は知世に「行ってきます」と言い『時の庭園』へと向かって行くのであった・・・・・・
苺鈴 「冷凍ガス発射!!」
苺鈴は『ファイブハンド』を冷気と熱を操る『冷熱ハンド』へと換装し、瞬時に物質を凍らせるほどの冷気のガスを傀儡兵の大群に向けて放射する。迫りくる傀儡兵の大群はその冷気を浴びて凍り付き、その動きを停止する。その後ろにいた傀儡兵達も凍り付いた兵達が障害となり苺鈴に近づく事も出来ずにいた。
苺鈴 「続けてこれよ!!超高温火炎!!」
更に苺鈴は炎を放射し、別方向からやってきていた傀儡兵に向ける。傀儡兵達はその高温に装甲が持たず、融解していき、ドロドロに溶けていった。
苺鈴が『冷熱ハンド』で交戦している最中、さくらはカードを駆使して、小狼も札や剣技で、なのはやクロノも砲撃を中心に、アルフは素手で、ユーノはバインド系で全体のサポートを行いながらそれぞれ傀儡兵と交戦していた。
なのは「ふっ!!・・・はあぁっ!!」
なのはは前方にいた傀儡兵にディバインバスターを放ち、傀儡兵を倒そうと試みる。しかしその最中なのはの後方から別の傀儡兵が不意打ちを仕掛けようと忍び寄る。レイジングハートがなのはに危機を知らせるがなのはも気づいた時には防御も回避も間に合う状態ではなかった。
なのは「ぁっ!?」
なのはも「しまった!!」と内心焦りを覚えたが、自身より高い位置の上空から叫び声と雷撃が降り注いだ。
フェイト「サンダァァ~~・・・レイジ!!」
なのはの後ろにいた傀儡兵は雷撃をまともに受け行動不能に陥り、あっけなく重力に従ってその身を地に落とす。フェイトは魔法を打ち終えるとなのはのそばに飛びよって来てなのはを見つめる。
それと同時に苺鈴が対峙していた傀儡兵も突如かまいたちにでもあったかのような切り傷を作り、無残な残骸を残して崩れ去る。苺鈴には今そんな事をやってのけた人物は一人しか思い浮かばなかった。
苺鈴 「ブリジットさん!!」
ブリジット「苺鈴さんお待たせしました!!フェイトさんも無事、復帰出来ましたよ。」
苺鈴 「そうみたいね。思ったよりもずっと早かったのね?」
ブリジット「なのはさんの日頃の行いのせいですよ。」
苺鈴 「なるほど」
「なのはの行い」と聞き納得した苺鈴。しかし、思わぬ援軍の登場に浮かれている暇もなく新たな傀儡兵がなのはとフェイトの前に壁を破壊して現れる。それを地上から見ていた苺鈴・ブリジットは今までの者よりも巨大な敵に険しい顔をしていた。
ブリジット「また出ましたね!!しかもお二人の前に・・・」
苺鈴 「・・・・・・」
少しの間の後、苺鈴は「ふふっ」と小さく笑う。不審に思ったブリジットはその訳を問いただすと、「なのはが嬉しそうに笑ってる」と答える。
ブリジット「それがどうかしたんですか?」
苺鈴 「動くわ」
「えっ?」となのはとフェイトを見ると、魔力のない苺鈴ですら何となく感じるほど、二人の足元にビリビリでとても巨大な力を感じる魔法陣が展開されていた。そして、それに対抗するかのように傀儡兵も砲撃の用意を始めていた。
苺鈴 「なのは達を援護します!!行けますよね?」
ブリジット「えぇ!!もちろん!!」
苺鈴 「それじゃあ行くわよ!!チェェ~~ンジ!!エレキハンド!!」
ブリジット「我が意に従い、我が手に集うべし!!・・・」
苺鈴は『ファイブハンド』を換装させる。今度は両手が青く、メーターのような物が取り付けられた状態に変化する。これは電気の力を宿す『エレキハンド』であり、ブリジットは傀儡兵に手をかざしながら呪文を演唱していく・・・
なのはとフェイトそして、傀儡兵も砲撃のエネルギーが溜まり切った状態へとなり両者が打ち出そうとするその直前地上にいた苺鈴とブリジットは同時に叫び、打ち放つ。
苺鈴・ブリジット「エレキ光線!!・ライトニングブラスト!!」
二人の放った雷の力を宿したエネルギーは途中で混ざり、より強大な雷の力へと進化し、傀儡兵の砲身へと直撃する。砲身が爆発し、その反動か動きを鈍らせた傀儡兵は思わず地上にいた苺鈴とブリジットに目線を移す。つられたなのはとフェイトも地上にいた二人を見ると苺鈴もブリジットも攻撃を放った体制のままでニッと笑いながら叫んだ。
苺鈴 「撃ちなさいなのは!!」
ブリジット「やっちゃってくださいフェイトさん!!」
なのは「うん!!フェイトちゃん!!」
フェイト「うん」
なのは「ディバイィィ~~ン・・・」
フェイト「サンダァァ~~・・・」
なのは・フェイト「バスタァァ~~!!・スマッシャァァ~~!!」
二人は「せぇぇっ~~の!!」と溜め込んだ魔力を傀儡兵に向けて放出する。
なのはとフェイト二人の合体技をまともに受けた傀儡兵は木っ端微塵(こっぱみじん)に砕け散り天井にも大穴が開くほどの砲撃を放った二人は肩で息をしておりここまでの連戦での消耗がかなり激しい事が容易に想像できるほどであった。ゆっくりと地上に降り立ったなのはとフェイトに苺鈴は走り寄って二人に抱き着き、「よくやった」と二人を褒めたたえながらわしゃわしゃと頭をなでる。そんな様子を見ながらブリジットも三人に近づきフェイトもその視線に気づくとブリジットを見つめていた。
フェイト「ブリジット・・・」
ブリジット「よく出来ました。」
フェイト「えっ?」
ブリジット「なのはさんとの連携、素晴らしいものでしたよ。」
ブリジットの発言に思わず聞き返してしまったが、フェイトは頬を赤らめながら「ありがとう」と返事を返す。そんなやり取りを遠目で見ていたさくら達もその光景を暖かく見ていた。
だがそれも次の瞬間、別の壁が壊された事により中断する。その場にいた誰かが壊した訳ではない。砂埃(すなぼこり)の向こうから先になのはとフェイトが倒した傀儡兵と同等の巨大な影がゆっくりと迫っていく、砂埃の外に全身を移動しきったその巨体は苺鈴達を視界に入れたと同時に雄たけびを上げた。
新手の巨大傀儡兵「ヴゥぉォォぉ~~~~~!!」
ブリジット「えっ?・・・」
なのは「何っ!?」
苺鈴 「新手!?」
フェイト「母さんこんな兵力も持ってたの!?」
ユーノ「アルフ、あの傀儡兵は何!?」
さくら「すごく大きな羽があるよ!?」
クロノ「見たところこれまで戦ってきた者とはまるで違うような雰囲気を出しているな・・・」
アルフ「知らないよあんなの!!あたしだって初めて見るよ!?」
ケルベロス「おい小僧気づいとるか?」
小狼 「あぁ。あいつからは禍々(まがまが)しいものを感じる。これならさっきの兵隊と戦っている方がマシだ。」
それぞれが目の前の巨体に注目している最中、ブリジットだけは皆とは大きく反応が異なった。震えながら「何でここに・・・」とつぶやき、苺鈴はそんな様子を見て「ブリジットさん
どうしたの!?」と声をかけるがブリジットは苺鈴の声に気づいてないようでそのまま目の前の翼の生えた巨体の名前を呼んだ。何故彼女が名前を知っているのかというとそれは、
彼女がよく知っている『生体兵器』であったからであった・・・・・・
ブリジット「何でここに・・・『天使』が!?」
彼女が呼んだこの巨体の正体は、彼女の元居た世界の故郷『サブルム帝国』の主力兵器『天使』の内一体『ザクェル』であったのだ。彼女が名前を叫んでいる最中もザクェルもその巨大で固そうな腕を振り上げ、目の前にいた苺鈴達に向かって拳を突き出す。
苺鈴 「ぁっ!?散ってぇ!!」
苺鈴の一言で我に返ったなのは・フェイト・ブリジットはなのはとフェイト・苺鈴とブリジットのペアで左右に避ける。ザクェルの突き出した拳が床に直撃し、ザクェルがその腕を引っこ抜くとまるで月面にあるクレーターのようなくぼみが出来上がり、地形が変わったようであった。はっきり言って純粋な力はこれまでの魔道兵とは比べ物にならないほどであった。
苺鈴 「間一髪」
ブリジット「危なかったですね」
苺鈴 「ブリジットさん『アレ』が何なのか知っているんですか!?」
ブリジット「アレは以前私が話した元居た世界の3種類の生体兵器『天使』の内の一体『轟力(ごうりき)天使のザクェル』ですよ!!何であれがこの世界に?」
二人が態勢を整えている内にザクェルも苺鈴とブリジットに向き直り、二人を標的に定め再び雄たけびを上げる。
苺鈴 「へぇ~やろうって訳?やってやろうじゃない!!」
ブリジット「苺鈴さん気をつけてください!!ザクェルはスピードは無いですがその分パワーがあります!!まともに受けるのだけは避けてください!!」
苺鈴の「了解!!」一言と同時にザクェルも拳を二人に向けて放つ。また左右に避け、ザクェルはそのまま苺鈴に向かって何度も拳を放つ。それを出来るだけ最小限の動きで避け、ブリジットは苺鈴に向かってザクェルいや天使全体に言える弱点を伝えた。
ブリジット「苺鈴さん頭部の内部にあるプリズムを狙ってください!!それを砕けば機能を停止するはずです!!」
苺鈴 「えっ?プリズムって何ですか!?」
ブリジット「えっ!?あっそっか、プリズムじゃ分からないか。要するに頭の中にあるジュエルシードみたいな魔法の石を壊せばいいんです!!」
苺鈴 「分かった!!」
天使の弱点を聞いた苺鈴だったが、中々反撃には転じることが出来ないでいた。連続で繰り出される拳は攻撃範囲が広く、腕に飛び乗ってもぶんぶん振り回されすぐにバランスを崩されるか、飛びついた蚊(か)を叩き殺すようにバシンとされるかのどちらかであった。
ブリジット(これではプリズムを破壊できない!!ここはイチかバチか!!)「苺鈴さん!!」
苺鈴 「えっ?何!?」
ブリジット「私が隙を作りますので止めはお願いします!!」
苺鈴 「了解!!頼んだわよブリジットさん!!」
ブリジットも「了解!!」と返事を返し、再び苺鈴はザクェルに向かって突き進む。その間にブリジットの足元には魔法陣が浮かび演唱を続けていった・・・
ブリジット「我が意に従い、我が手に集(つど)うべし!!大いなる焦(こ)がれる力、眠れるサラマンドルの炎!!」
演唱を続けながらブリジットは手の平に更に浮かべた魔法陣をザクェルの頭部に向かって照準を合わせる。そして、最後に必殺技を叫ぶかのように叫び、放つ
ブリジット「フレイムランス!!」
ブリジットの手の平の魔法陣から炎の槍ともいえる物が飛んでいき、それがザクェルの頭部に命中する。命中して煙があがりその煙の晴れた先にはジュエルシードと違いひし形ではなく丸い石が埋め込まれており、それが先に彼女が話した天使の制御プリズムと確信した苺鈴はザクェルがひるんだ一瞬を逃さずその場で反転ジャンプを行い両足を突き出す。
苺鈴 「これでも喰らいなさい!!はぁっ!!スーパーライダァァダブルキィィッック!!」
苺鈴の怒涛(どとう)の一撃をまともに喰らい頭部に貫通穴がぽっかりと開いたザクェルは叫び声のような雄たけびを上げながら前のめりに倒れこんだ。そして二度と動く事は無かった。
苺鈴 「・・・ふぅ~・・・決まったぁ~~!!」
ブリジット「お見事です、はい!!」
苺鈴 「うふふありがとう。いやぁ~技名叫んで倒すのっていいわねぇ~癖になりそう!!」
ブリジット「そっそんなものですか?」
苺鈴 「だって私、必殺技って呼べる技ないんですものそれに折角『仮面ライダースーパー1』と同じ力を持ったんですもの技名位叫びたいのよってあらららっ!?」
ザクェルを倒したのもつかの間、突如また地震が起きる。「今度は何!?」と苺鈴がザクェルの通ってきたて来た道を見てみると、その穴から更に複数・数種類の巨体がやってくるのがみえた。その中には先に倒したザクェルも数体混じっていた。
苺鈴 「えっ!?ちょっまだいたの!?」
ブリジット「あれはラディエルにファギェルまで!?しかもこんなに!?」
ブリジットの言うラディエルはザクェルに比べパワーがないが、その分スピードにたけており二本の剣を駆使し、飛行して戦う事も出来るタイプだ。そして、ファギェルはブリジットの知る『天使』の中でも攻守ともに優れた最強の兵器であり、他の二体と違い砲撃に優れ、魔法も使えるタイプだ。しかもこのファギェル一体が現れたら相当の被害が敵にもたらされるともされているほどだ。それが数体もいるのだ。彼女の脳裏にはこの場にいる全員が無残な死体となりその辺りに転がり辺りも真っ赤に染まっているところが無意識に浮かんだ。そのせいか彼女の顔は絶望に染まったような顔をしていた。
ザクェル「ヴぉおっぉっぉぉぉ~~~!!」
新たに現れたザクェルが苺鈴とブリジットを捉えその腕を振りかざす。二人は咄嗟に左右にジャンプして避けるが、ブリジットの方には更に高速で迫る巨体が一つあった。そいつは二本の巨大な剣を高く掲げる。
苺鈴 「ブリジットさん!!」
ブリジット「しまっ!?」
ラディエル「ホォウっッッ!!」
二本の剣を構えたラディエルは、空中で身動きが取れないブリジット目掛けて斜め十字切りを繰り出す。それを短剣で何とか直撃は防いだが、その反動で後方に大きく吹き飛ばされ瓦礫(がれき)の山に激突する。「うぅぅっ~・・・」とゆっくり迫りくるザクェルを見つめながらなんとか立ち上がろうとするが、上手く立ち上がれない。その原因は彼女の足にあった。
ブリジット「くっいつっ!?しまった足が!?」
ザクェル「ヴぉおっぉっぉぉぉ~~~!!」
ブリジット「うわぁぁぁぁ~~!?」
苺鈴 「ブリジットさん!!ちぃっ!!・・・くぅっ!!」
ブリジット「苺鈴さん!?助かりました!!」
苺鈴 「ぐぅぅ~!!・・・ブリジットさん早く離脱して!!」
ブリジット「すみません!!そうしたいんですけど足が・・・」
苺鈴が「えっ!?」と聞き返し、ブリジットの足を見てみると激突した拍子(ひょうし)に彼女の足が瓦礫に挟まれ出血して動けない状態であった。すぐに彼女を助け出したいところだが、苺鈴も繰り出されたザクェルの拳を『パワーハンド』でやっと防いでいる状態であった。この状況には苺鈴もヒア汗をかいていた。チラッと他のメンバーの状況を見てみるとどこも芳(かんば)しくなかった。
小狼 「雷帝将来!!」
小狼が対峙していたのはラディエルのようで、小狼の得意の雷魔法を放つがラディエルはすかさず通常モードから二本の剣を正面に構えた突撃モードに移行し更に飛行速度を増してそれを回避する。「くそっ!!」と自身の攻撃が中々決まらない事に焦りといら立ちを覚え舌打ちをする。
ユーノ「チェーンバインド!!」
ファギェル「ギィッ!?」
ユーノ「これで・・・」
ユーノはバインド魔法を白い巨体のファギェルに掛け、手足を縛る。しかし、元々巨体であるため単純な力はザクェルに劣(おと)っていたとしても力づくで無理やりそれを引きはがすなんて荒業(あらわざ)をやってのける。
クロノ「スティンガー!!」
ケルベロス「こいつぅぅ!!」
ファギェル「ギィッ!?」
クロノ「やったか!?」
ケルベロス・ユーノ「・・・・・・」
ファギェルがユーノのバインドを引きちぎった直後、すかさずクロノの攻撃とケルベロスの火炎攻撃が直撃する。直撃した際に発生したねずみ色の煙が晴れるのを待っていたら中から黄色の光が一瞬輝き、次の瞬間ファギェルは両腕を広げながら「ヴゥァアァァァァ~~~!!」と雄たけびをあげ、正面に魔法陣を展開する。それを見た瞬間ケルベロスは「あかん!!よけろ!!」と何か来ると予感し、回避を呼びかける。次の瞬間魔法陣から巨大な火の玉が放たれその余波で直撃はま逃れたものの壁やら床やらに激突する。
なのは「ディバインバスタァァーーー!!」
ファギェル「ギィアァァァァ~~~!!」
なのはの方もフェギェルと交戦していた。なのははディバインバスターをファギェルは光の矢と呼ばれるなのはのディバインバスターにも匹敵するほどの砲撃を放ちバスターとバスターの力比べが始まる。しばらくバスターの鐔競(つばせ)り合いが起こったが、爆発が起こりなのはは少し後方に吹き飛ばされたがなんとか踏ん張り煙が晴れるのを待ち相手の出方を伺(うかが)った。しかし、なのはの予想を超えてファギェルの細いようでデカい腕がなのはをまるで虫をはたき落とそうとするかのように振り落とされる。それを何とか咄嗟に避け、更になのはを叩き落そうと腕をまた振りかざすがそれも何とか回避する。
回避したと同時にファギェルから距離を取ったなのははこちらに向き直るファギェルを見ながら対処法を考えていた。
なのは(強い。ろくに溜めてないバスターだったけど、私の威力と同等ううんそれ以上かも!?装甲も硬そうだしユーノ君達の方をみても接近戦も強いみたいだし、スターライト・ブレイカーなら、ううん駄目!!あれは溜が長い!!フェイトちゃんだったらまだバインド出来たけど、あれが相手じゃ力が違いすぎる!!どうすれば・・・)
ラディエル「ハアァァッッ!!」
フェイト「はあぁぁっ!!」
フェイトは先にブリジットを吹き飛ばしたラディエルと空中戦を繰り広げていた。何度も空中でぶつかり、Uターンしてまた互いの剣がぶつかる。それが何度か続き、大剣のバルディッシュとラディエルの二本の剣が交差しながら鐔競り合いを繰り広げる。
フェイト「ぐっうぅぅぅ~~!!」
ラディエル「・・・ギィィァァッッ!!」
フェイト「ああっ!?」
鐔競り合いはラディエルの勝ちのようで、フェイトはたまらず吹き飛び、床に激突する。どこが目なのか分からないが、正面を向いているので床に倒れているフェイトを見定めているのかフェイトの出方を伺うかのようにその場にとどまり続けた。
アルフ「でやぁぁぁ~~!!」
さくら「えぇぇ~~いぃ!!」
ザクェル「ヴォッ!?」
アルフと『フライ(飛行)』で空を飛び、『パワー(力)』のカードで力を底上げしたさくらが同時にザクェルに向かって行く。アルフは正拳突きをさくらは星の杖をバットのように振るいザクェルの二本の正拳突きに対抗する。結果はザクェルが力負けし、背中から床に倒れこむザクェルの姿があった。二人は「良し!!」とそれぞれのリアクションを取っていたが、背後から「ヴァアァァァァ~~~!!」と高い声が響いていき、振り返るとファギェルが溜め込んだ光の矢を放とうとしていた。
アルフ「やばっ!?」
さくら「『シールド(盾)』!!」
さくらは咄嗟にアルフの前に出て『シールド』のカードを使用して何とか防御する。しかし、なのはの時のように溜無しとは段違いな威力にまだ破られそうな気配はないがそれでも身動きが取れず、激しい光に思わず目をつぶっていた。
他のメンバーの様子を見てすぐに援護は求められないと分かった分、余計に焦りが出ていた。ザクェルの腕を防ぎながらもどうすればいいか考えていた。しかし、ゆっくり考えている時間もなく更にまずい状況になっていった。
苺鈴 「ぐぅぅ~~・・・えっ!?もう一体!?」
苺鈴が何かが来た気配を感じ視線を少し横にそらすと、そこにはファギェルが横から光の矢を放とうとエネルギーをチャージしていた姿があった。苺鈴はザクェルと硬直状態・ブリジットは怪我と瓦礫で動けない。状況を整理しても二人が助かりそうな道が浮かばず八方塞がりであった。
苺鈴 「・・・ブリジットさん。何とか一人で抜け出せませんか?」
ブリジット「それが、さっきから何とか抜こうとしているんですけどびくともしなくて・・・苺鈴さん、もういっそ私を置いて逃げ」
苺鈴 「「逃げろ」なんて言いませんよね?私がそんな事出来るように見えますか?」
ブリジット「見えませんね。しかし、このままじゃ二人共!!それに私は一度いいえ二度も本当なら死んでいてもおかしくなかったんです!!それが今に延命されただけですよ。だから・・・」
苺鈴 「ふざけんじゃないわよ!!この馬鹿!!」
ブリジット「ばっ馬鹿って・・・」
苺鈴 「あなたね?何にも考えてないの!?あなたが死んだりしたら誰が泣くと思ってるのよ!!誰が私を恨むと思っているのよ!!むしろ私があなたを恨むわ!!フェイトとアルフさんの事なんにも未練ない訳!!」
ブリジット「あるに決まってるでしょうが!!私だってお二人に未練たらたらですよ!!そんな事言う苺鈴さんだって思いっきり私を逃がして自分を犠牲にする気満々だったんじゃないですか!!」
苺鈴 「そうよ悪い!!」
ブリジット「悪いに決まっているでしょ!!私に馬鹿って言えた立場ですか!?」
苺鈴 「じゃあ何か手はありますかね?二人共助かりそうな方法?それも数秒以内に。二人共心中(しんじゅう)なんて御免(ごめん)ですよ?」
ブリジット「あはは悪いんですけど何にも思い浮かばないですね。これはもう奇跡でも起こりませんと・・・」
苺鈴 「ふふっそうね。その通りね。・・・さくらのおまじないも今回ばかりは効かなかったかぁ~・・・私、まだまだやりたい事たくさんあったんだけどなぁ~ブリジットさんみたいにぼっ・きゅん・ぼんのナイスバディになって、仕事をささ~とこなせる出来る女!!ってなってみたかったんだけどなぁ~・・・」
ブリジット「って、最後に言うセリフがそれですか!?」
苺鈴 「自分で言っておいて何ですけど、緊張感ゼロな事言ってますよね私・・・」
ブリジット「ですね。」
こんな状況でこんな風にのんきな会話までしているなんて余裕があるのか?と思ってしまいそうだが、実際全くない。もうファギェルのチャージも完了したっぽいようにも見え、とうとう最後の瞬間が来たかと半(なか)ば二人してもうあきらめているような雰囲気が流れていた。そんな絶体絶命の状況は他のメンバーにも目視出来ており、それぞれ苺鈴とブリジットの名前を叫ぶ。
苺鈴 (もうこれは無理ね・・・なのは・・・)
ブリジット(フェイトさん・・・)
苺鈴・ブリジット(ゴメン)
なのは・フェイト「苺鈴ちゃぁぁーーん!!・ブリジットォォーー!!」
なのはとフェイトの一際(ひときわ)大きな悲痛の叫びがこだまし、ファギェルの照準が二人を捉(とら)え、ついに光の矢の発射準備が整った。飛び出そうとしたなのはとフェイトだが二人『が』間に合う事は無かった・・・・・・
なのは「放たれたファギェルの光の矢が容赦なく苺鈴ちゃんとブリジットさんを包みこもうとする」
フェイト「天使軍団を退(しりぞ)けた私達は、母さん・・・「プレシア・テスタロッサ」との最後の勝負に打って出る。」
さくら「次回『カードキャプターさくら外伝』「ジュエルシード編」第14話「苺鈴とブリジットと戦うプレシア・テスタロッサ(前編)」」
苺鈴「リリカル・マジカル・・・・・・どうなっちゃうのよ私達!?」