苺鈴・ブリジット(なのは、ゴメン・フェイトさん、御免ですはい)
なのは・フェイト「苺鈴ちゃぁぁーーん!!・ブリジットォォーー!!」
なのはとフェイトの一際(ひときわ)大きな悲痛の叫びがこだまし、ファギェルの照準が二人を捉(とら)え、ついに光の矢の発射準備が整った。飛び出そうとしたなのはとフェイトだが二人『が』間に合う事は無かった・・・・・・
・・・・・・『なのはとフェイトの二人が』・・・・・・
「クリティカルブレイク・マキシマム!!」
「レッドホッドショッォ~~ト!!」
苺鈴・ブリジット「えっ?」
突如響いてきた叫び声の後、横から雨のように剣の突きが降り注ぎ命中した個所(かしょ)からバラの花びらが開花したような幻覚が発生しながらザクェルの頭部が制御プリズムむき出しになりそのままプリズムは砕かれザクェルは顔を両手で押さえながら雄たけびをあげて倒れこむ。
同様にファギェルも雨のような剣の突きを受け、光の矢を放つ砲台が砲撃を放つには支障が起きるほどに破損され暴発する。その一瞬の後、更に横から一つの人影が飛び出し、ファギェルの胴体を切り裂く。真っ二つになった訳ではなかったが、その一撃はファギェルを行動停止に追い込むには十分だったようだ。そのままザクェルにぶつかり二体ともその動きを完全に停止させた。
苺鈴 「誰?・・・」
ブリジット「嘘・・・でしょ?あなた達は!?」
ザクェルとファギェルを倒したと思われる人物達が空中にいたようで、苺鈴とブリジットの前に着地して倒したザクェルとファギェルの方をツリ目で睨んでいた。後ろ姿ではあったが、ブリジットにはその二人が何者なのか信じられなかったがすぐに分かった。一人は両翼の細身の剣を構えた青年の手前位の風貌の少年と金髪のアホ毛と二つの三つ編みが特徴のレイピアを構えた少女がいた
両翼の剣の少年 「大丈夫ブリジット?」
レイピアの少女「加勢しに来たぞ!!」
ブリジット「ハヤウェイさん!?プリーシア様!?どうしてお二人がこの世界に!?」
ハヤウェイ「色々あってね。」
プリーシア「それに、来ているのはわらわ達だけではないぞ?」
ブリジットが「えっ?」と聞き返し、プリーシアが首をくいっと他のメンバーの方へ向けるとそこには予想もしなかった光景が広がっていた。
小狼の方では・・・
???「壬生(みぶ)流剣術奥義!!竜牙斬(りゅうがざん)!!」
ラディエルと交戦していた小狼の下には日本刀を二刀流で扱う侍(さむらい)と呼ぶのがしっくりくる女剣士が剣先から竜を連想させられる衝撃波がラディエルに直撃する。まともに受けたラディエルは「イぎぃゃぁぁぁぁっっっぁッ~~~!!」と雄たけびを上げながら墜落した。
二刀流の剣士「少年!!天使相手によく耐えたな。誇ってよいと思うぞ?」
小狼 「あんたは?」
華鈴 「うむ。拙者は「壬生 華鈴(みぶ かりん)」!!あそこにいるブリジットの元教官だ。」
小狼 「ブリジットの?」
華鈴 「うむ。」
???「・・・・・・」
ケルベロス「ぐっ・・・あんた何しとんのや!?ぼさっとつったとるとやられるで!?」
???「喋るライオン?・・・問題ありません。この程度の相手なら何度も倒してきましたから・・・では・・・神に裁きを!!」
ケルベロス・ユーノ・クロノの所には黒いボロボロのシスター服を着たシスターが十字架を模倣(もほう)した巨大な剣を構え、ファギェルもまた巨大な魔法陣を展開していた。そして、シスターはその場でジャンプして、十字架の剣にしがみつくように体を預け、空中で高速回転を行いファギェルに向かって一直線に進んでいく。
シスター「フォルティス・アァビィィス!!」
ファギェルは広範囲系の炎(ほのお)魔法「バーニング・インパルス」を放ったが、それをもろともせず炎の中をドリルで穴をあけるかのように突き進んでいきそして、ファギェルの胴体に攻撃が通ったと思ったら、少しの間の後ファギェルに風穴があき、倒れることもなく膝立ちのまま行動停止に陥(おちい)った。
???「フロストバスタァァーー!!」
ラディエル「イぎぃゃぁっっぁッ!!」
フェイト「ぇっ!?」
???「大丈夫?まだ立てる?」
フェイト「あなたは?・・・あれ?とがった耳?」
フェル「OKOK!!それだけ喋れるなら大丈夫そうだね。ここは天才魔法操者(まほうそうしゃ)のフェルちゃんにまっかせときなさい!!」
フェイトの前に現れたのはまるでファンタジーの世界に存在するエルフ族のようなとがった耳をした彼女の背丈を越えている大きな杖を抱えたフリフリのはたから見たらちょっと恥ずかしい衣装を着たよく聞くとユーノの声に似ている少女であった。その少女が放ったと思われる魔法は氷(こおり)系の魔法であり大きな雪の結晶を雨のようにラディエルの頭上から振り落としラディエルの羽が見るも無残な状態になり、そのまま床に激突した。そして「まかせなさい」の宣言通りまだ何とか反撃しようと起き上がろうとするラディエルを睨んで杖をラディエルに向けて更に演唱を始める。
フェル「我が意に従い!!我が手に集うべし!!静かなる繁栄の海!!母なるウンディーネの安息!!・・・アイスジャベリン!!」
ラディエル「イぎぃゃぁぁぁぁっっっぁッ~~~!!」
フェルは再び氷系魔法を発動させ先ほどとは違い広範囲に及びそうなモノではなく、氷の槍のような物が幾つも具現しそれが一斉にラディエルに直撃する。そしてラディエルは断末魔をあげてその体に氷の槍で空けられた穴が幾つも出来上がっていた。
フェル「おっし!!」
フェイト「すごい・・・」
フェル「へへ~ん!!当然だよ!!この天才魔法操者のフェルちゃんに掛かればざっとこんなぁ!?へっ・・・へっ・・・へっくちっ!!ぶるるる・・・」
フェイトに素直な賞賛を受けて得意げになっていたが、最後にくしゃみをしてなんか閉まらない雰囲気になってしまっていた。そんねフェルを見てフェイトは唖然としたときに出てくる汗が一滴流れた。
苺鈴 「なのは!!」
突如響いたなのはの名を叫ぶ苺鈴の声・・・それにつられるようにフェイトはファギェルと交戦中のなのはを見ると、ファギェルの手刀と攻撃魔法をかわしながら大きな一撃を狙うなのはの姿があった。フェイトは考えるよりも先に体を動かしバルディッシュを大剣へと換装させながら高速でファギェルに接近する。
フェイト「はあぁぁぁっっ~~!!」
フェイトが立て一文字の大ぶりな一閃を放ちファギェルの右腕を切断する。さすがに腕を切られたせいか動きに乱れが生じたファギェルに向け隙やりと言わんばかりにフェイトそして、なのはも続けてそれぞれ片手をかざす。
フェイト「ロック!!」
なのは「ふっ!!」
右腕を失くし力を込めずらいのかファギェルの力も弱まり尚且(なおか)つなのはとフェイトの二人同時のバインドによって完全に動きを止めてしまう。それをチャンスと言わんば
かりになのはは『ディバインバスター』よりも一際大きな収束魔法を発動させる。
なのは「スターライトォォ・・・ブレイカァァァッッ~~!!」
なのはの最強の攻撃魔法『スターライトブレイカー』はファギェルのその巨体をも飲み込み断末魔を上げる。胴体から頭部までが粉々になり、下半身だけとなったその巨体が動き出すことは無かった。
なのは「フェイトちゃん!!」
フェイト「・・・・・・」
なのは「やったね!!」
フェイト「・・・うん」
連携を上手く決めた事が嬉しかったのか、それともフェイトが助けに来てくれたことが嬉しかったのか、なのははフェイトに向けて握りこぶしに親指だけ上に向けるサムズアップを送る。対するフェイトも両頬をほんのり赤らめながら頷き返すのであった。
フェル「へっ・・・へちゃ~・・・・・・」
華鈴 「・・・天使を一撃で・・・末恐ろしい娘だな・・・」
小狼 「あっあぁ・・・」
いつの間にか合流していた小狼・華鈴とフェルの三人。遠目になのはの砲撃を見ていた三人はファギェルを無残な姿にしてしまったなのはの力に頼もしさよりも何とも言えない恐怖を覚えていた・・・・・・
???「我が意に従い、我が手に集うべし!!躍動する大地の力、我らを見守るノームの総意、ストォーン・ウォ~~ル!!」
突如さくらとアルフを襲っていたファギェルの背後から岩の巨人が現れファギェルを羽交い絞めにする。更に空中にいたさくらとアルフの足下の方に眼鏡を掛けたなのはやフェイトと同じぐらいの背丈の少女が魔法陣を展開していて、どうやらこの岩の巨人を操っている張本人のようであった。
アルフ「何だいあの子?」
さくら「もしかしてあの子があれを操ってるの!?」
眼鏡の少女「これでどうです!!」
眼鏡の少女が叫ぶと、暴れるファギェルを一度解放した岩の巨人は、向かい合ったファギェルに向かって拳をぶつける。装甲が剥がれ、制御プリズムがむき出しになっていたファギェルをもう一度取り押さえる岩の巨人とファギェルは手と手をがっしりと組み、硬直状態が少しの間続いていく。両者の力は均衡(きんこう)していた。
眼鏡の少女「くっ!!・・・今です神楽ちゃん!!」
神楽 「・・・・・・」
眼鏡の少女が「神楽」と呼んだ長い黒髪の巫女服の人物に向かって叫ぶと、その当人は弓を構えて、確実な一発を狙い定める。
神楽 「さよなら・・・夜叉(やしゃ)・・・」
神楽の放った一発が的確にプリズムを打ち抜き、ファギェルもまた断末魔をあげ行動を完全停止した。それを見届けた眼鏡の少女は岩の巨人を崩壊させ、神楽と呼ばれた少女も弓を一度退いた。
苺鈴 「すごい・・・あれだけ強力なやつらをこんなにあっさり・・・」
ブリジット「奇跡です・・・奇跡が起きましたよ。それも予想だにしなかった飛び切り嬉しい奇跡じゃないですか!!」
プリーシア「懐かしい顔ぶれであろう?」
ブリジット「えぇ!!」
???「ブリジットちゃ~~ん!!」
ブリジット「えぇっ!?この声ってフィーリアさん!?」
フィーリア「良かったぁ~無事で。ってブリジットちゃん足が!?」
ブリジット「えぇさっき床に激突した時に挟まれちゃってこの様(ざま)です、はい。」
ハヤウェイ「フィーリア頼む。」
フィーリア「OK!!任せて」
ハヤウェイは瓦礫をどけ、フィーリアと呼ばれた赤い服でタイトスカートをはいたメイド服のデッキブラシを持った少女はブリジットの足に手をかざし、緑色の魔法陣を展開させる。すると、ブリジットの足のケガが見る見るうちに治っていった。
苺鈴 「すごい。怪我がどんどん治っていく・・・」
ブリジット「フィーリアちゃんいつの間に治癒魔法を?」
フィーリア「えへへ、『建国際』の後に使えるようになったかな。」
ハヤウェイ「僕の治癒魔法よりもずっと効くでしょ?」
ブリジット「確かにこれはすごいですはい!!」
神楽 「沈丁花(じんちょうげ)」
天使軍団を片付けた一同は苺鈴とブリジットの周りに集まりブリジットにとっては懐かしい顔ぶれが勢ぞろいしていた。そして、神楽はフィーリアと呼ばれた少女と似たような緑色の魔法陣を他に怪我を負ったメンバー全員に一斉に掛け出して行った。
苺鈴 「わぁ~・・・こっちの黒髪の人のもすごい。もうほとんど突入した時と変わらないぐらいまで回復しちゃった!!」
プリーシア「神楽の治癒魔法は相当のモノだからな。当然だ。」
フェイト「ブリジット足は大丈夫?」
ブリジット「えぇ。フィーリアちゃんのおかげでもう平気です。・・・皆さんありがとうございます。おかげで助かりました。」
フェル「お礼なんていいよぉ~ブリジットちゃん。私達の仲でしょ?それよりブリジットちゃんが無事でよかったぁ~」
フェイト「ブリジットこの人達と知り合いなの?」
苺鈴 「ブリジットさんの事を知っているって事はもしかして!?」
ブリジット「えぇ。お察しの通りです。こちらにいる方々は私の元居た世界にいた人達です。」
苺鈴 「ほぇ~・・・こういっちゃあ何ですけど、この人達ブリジットさんよりずっと強いですよね?」
ブリジット「ほっといてください。でもあの建国際から2ヵ月位しか経っていないというのに天使軍をあそこまであっさり倒せるほどになっているなんて正直驚きましたよ!?」
増援チームは今のブリジットの「2ヵ月」というセリフに思わず「2ヵ月!?」と聞き返してしまう。それが意外そうなリアクションだったので「何かおかしなこと言いました?」と聞き返すとその返答にブリジットは同じような反応を返すことになった。
プリーシア「どういうことだ?わらわ達は3ヵ月ほど過ごしておるぞ?」
ブリジット「あれぇ!?どういうことですか!?」
ユーノ「あの多分ですけどブリジットさんのいた世界と僕達がいる地球だと次元が違うので時間の流れ方が違うんじゃないかと?」
フェル「へっ!?『違う世界』?どゆこと?」
シスター「セリマ。そもそもここは・・・」
ブリジット「ぎゃあぁぁぁ~~~!!わぁ~わぁ~わぁ~!!」
シスターがブリジットを違う名前で呼んだのを聞いて怪我の痛みは何処えやら、飛び上がり慌ててシスターの口をふさいで大声を張り上げる。それもそのはず、『セリマ』という名前は彼女の本名である。『ブリジット』という名前は彼女が『ヴィントラント王国』に潜入するために考えた偽名なのだから。そしてもちろんこの中でそれを知っているのは『セリマ』という名前を知って、それがブリジットの事だと知っているこのシスター『サブルムの悪魔』という二つ名を持っている『サブルム帝国』に雇われていた傭兵(ようへい)『シスター・ヘル』だけであるからだ。二人は『サブルム帝国』にいた頃からの知り合いであり、簡単に言うと上司と部下みたいな関係でもあった。
フェル「ブリジットちゃん大丈夫。私達もう全部知ってるから!!」
ブリジット「えっ?・・・」
ブリジットがキョトンとした隙に彼女の手をどけたシスター・ヘルがその理由を説明した。
シスター・ヘル「実は私達は先ほどまで『アルク』と呼ばれる場所にいてそこで『ある者』と戦っていました。それを倒したその後、彼が持っているあの石があなたの所にまで導いてくれたのです。」
ブリジットが「あの石?」と聞き返しシスター・ヘルのいう彼『ハヤウェイ』の左手にはブリジットや苺鈴達にはよく見覚えがある石が握られていた。
ブリジット「ちょっこれハヤウェイさん『ジュエルシード』じゃないですか!?どうしてそれを!?」
ユーノ「すみません。ちょっとそれを見せてもらっていいですか?」
「あぁいいよ」とユーノに渡し、それをよく見ていると刻印されているナンバーが行方不明となっていた最後の一つ『シリアルⅡ』であった。
ハヤウェイ「うぅぉおおぉぉぉっっっ~~~~!!」
時は遡りシスター・ヘルの言っていた『アルク』内にて、彼らは『ある者』と戦っていた。戦いはもう終盤。異形の、天使とはまた違う異質さを放つ天使よりも更に巨体な怪物がハヤウェイの渾身の一閃(いっせん)を受け断末魔をあげながらその巨体を崩壊させた。着地して肩で息をしていたハヤウェイに仲間たちは走り寄ってきた。
プリーシア「ハヤウェイ!!」
華鈴 「見事であった!!」
それぞれが止めを刺したハヤウェイに称賛の声をあげるが、本人も「みんなのおかげだよ!!」と自分一人の勝利ではないと謙遜していた。ただ一人フィーリアは視線の片隅で何かが光ってるのを見つける。それを拾いに行き「何だろうこれ?」と再びみんなのもとに走り寄ってくる。パッと見た他のメンバーの反応は「何これ?」や「綺麗な石だなぁ~」位の反応だったが、少しの間の後眼鏡の少女事『リッテ・ラートゥス』だけが違う反応を示した。
ハヤウェイ「リッテ先生この石知っているんですか?」
リッテ「知っているっていうかこの石、『建国際』でブリジットちゃんと一緒に消えてしまった石なんです。」
シスター・ヘル「セリマと消えた?それはどういうことですかリッテさん?」
ブリジットの事を『セリマ』とつい呼んでしまった事で一同の視線がシスター・ヘルに向けられ、しまったと思ったがもう後の祭り。ヘル自身も「サブルムが滅んだからもういいだろう」とブリジットの秘密を洗いざらい答えてしまった。
一つ『ブリジットは偽名で本名は「セリマ」』
二つ『そもそも何故偽名を使っていたのかというのは彼女がサブルム帝国の出身であり、彼女がゲロートの姪であった事』
三つ『任務で行方不明の王女を探し出し、暗殺するためにヴィントラント王国にやってきていた事』
これらの事を聞いた一同はリッテを除いては流石に驚きの顔を隠せなかったが、フィーリアから石を見せてもらっていた時に自分の手に収めていたリッテが「あれから何処に・・・」と石を握りしめながらもブリジットを最後に見かけていたのもあって一番責任を感じ、安否(あんぴ)を気にしていた。すると突如、石がリッテの指の隙間から光を漏らしながらも眩(まばゆ)い光を放っていた。そして光が何もない空中に向かって伸びていき一点で止まったと思ったら光の輪が作られ何かが映し出されていく。そこには今話に出ていた人物であった。
フェル「これって・・・ブリジットちゃん!?何で!?」
神楽 「この子・・・誰?・・・」
ブリジット「・・・・・・」
黒髪の少女「・・・・・・」
二人は無言で、黒髪の少女は足下をジリッと鳴らし、まるで相手を恐れ、それでも強がっているかのような表情をしていた。
先に動き出したのはブリジットだった。ブリジットは一気に駆け出し、持っていた短剣で曲切りを何発も放つ。黒髪の少女はフェイトほどの速度でなくても彼女の攻撃は速く、鋭い。想像以上
の動きの速さに初撃は驚くながらもギリギリで回避し、その後の連撃も二つの短剣に翻弄され払いのけることも出来ず回避に専念していた。正直反撃する間もない位であった。
ブリジットが二つの短剣で同時に切り込もうとした直後、黒髪の少女はブリジットの両手首を咄嗟に掴み彼女の腹部を台として蹴り上げ、そのまま反転しながら後方に着地し、そのまま正拳突きを放つ。
黒髪の少女「やぁー!!」
しかし、拳が届くよりも前にブリジットはまるで影になったかのような速度で残像を残し、黒髪の少女が拳を空振りしたことに動揺している隙に背後に回り込まれ右手の短剣で斬りかかろうとする。それもかすりはしたがなんとかかわした黒髪の少女だが、その勢いで右方向に転がって行き即座に起き上がったが今度は更に短剣を正面に向けて突きを放たれる。
ブリジット「やぁーー!!」
黒髪の少女「ふんっ!!うっ!?」
放たれた突きを何とかすんでのところで止められた黒髪の少女だが、真剣白刃取りと違い、素手で短剣を掴むだけと言う荒っぽい防御であった。そのため手のひらを切ってしまいぽたぽたと血を流し、苦痛の表情を浮かべながらも耐えていた。
黒髪の少女「くっううぅぅ~~!!」
ブリジット「苺鈴さん。その手を離してくれませんですかねはい・・・」
苺鈴 「ふっおあいにくさま。そう簡単に離すなんてするとでもえっ!?」
ブリジット「これは・・・」
一同が見ていたのはブリジットが黒髪のお団子ツインテールの少女と森林で戦っているところであった。勝敗はブリジットの勝ちであった。
プリーシア「ブリジットの勝ちか・・・」
華鈴 「風景が変わったぞ?」
シスター・ヘル「この方は一体?・・・」
風景が変わり今度は王宮の玉座の間のようなところにて妖艶でそして、どこか冷たい雰囲気を出している女性と対峙しているところであった。そして勝敗はブリジットの完敗であった・・・
フィーリア「ブリジットちゃん何だか怖い、かな・・・」
フェル「ブリジットちゃん・・・あんな怖い顔出来たんだね?私知らなかった・・・」
シスター・ヘル「確かに、私もセリマのあのような顔を見るのは初めてです。」
そしてまた風景が変わり、今度はどこかの施設で金髪のツインテールの少女と共に傀儡兵をなぎ倒しながら進んでいくブリジットの姿があった。
それは丁度『時の庭園』をなのは・苺鈴の加勢に向かおうとしていた時であった。
ハヤウェイ「ブリジットは今何と戦っているんだろう?」
フェル「リッテ先生!!ブリジットちゃんのいるところって何処か分かりませんか?今この瞬間にあの変な兵隊と戦っているんなら私助けに行きたい!!」
シスター・ヘル「よろしいのですか?彼女は敵対していた私が言うのもなんですが、あなた方をだましていたのですよ?」
今のシスター・ヘルの発言にフェルも「それは・・・」と少し口ごもってしまったが、それを意外な人物がフェルの後押しをした。それは狙われていたはずのプリーシアであった。
プリーシア「構わんさ。もうサブルム帝国はない。ならばもう終わったことだ。」
シスター・ヘル「・・・意外ですね?あなたは一応狙われていた身だというのに・・・」
プリーシア「そうだな・・・だがな、ゲロートの最後の姿を、あの悲しみに泣き崩れた姿を見せられてはな。それがヴントラント側に原因があるとなってはわらわが奴を責める気など起こりはせん。だから・・・」
「だから・・・」のセリフの後、プリーシアはフェルと神楽・そして、フィーリアやハヤウェイを見ながら力強く言い放った。
プリーシア「だから、わらわ達がこれから助けに行くのはそのサブルム帝国の『セリマ』ではない!!ヴィントラント王国のわらわ達の友『ブリジット』を助けに行くぞ!!」
「応!!」とプリーシアの発言に答えた一同であったが、肝心の本人は何処にいてどうやって行けばいいのかがさっぱり分からないでいた。そこでリッテはあることを思い出していた。
ブリジットが消えた直前・後に起こった事を・・・
リッテ「ハヤウェイ君この石を使ってみて下さい。」
ハヤウェイはそういわれ石を受け取ると、リッテは以前に偶然使用した時に強い願いのような事を想像し、その後に彼女はどこかへ消えていったと説明した。今度はその願いに少し変更を加えて発動させてみようというのだ。しかも石をハヤウェイの剣『アーラ・グラディウス』にはめて使おうというのだった・・・
リッテ「やってくれますか?ハヤウェイ君」
ハヤウェイ「・・・やります。僕は先生を信じる!!」
ハヤウェイは石を剣にはめ込み、誰もいない方向に向けて剣先を向け強く願った。「ブリジットのいるところへ!!」と・・・そして、光がその場にいた全員を包み込み気が付いた時には『時の庭園』の入り口に出ていたのであった。
ハヤウェイ「・・・着いたのか?」
リッテ「ここにブリジットちゃんが・・・」
プリーシア「皆!!行くぞ!!」
一同「応!!」
フェル(ブリジットちゃん今行くよ!!それまで持ちこたえて!!)
シスター・ヘル「という訳です。」
ブリジット「そうだったんですか。皆さん私のために・・・」
フィーリア「あれ?ブリジットちゃん泣いてるかな?」
ブリジット「べっ別に泣いてなんか!!これは・・・」
苺鈴 「「これは目に汗が付いた」ですか?無理しちゃって」
ブリジット「んなぁっ!?苺鈴さん別に私無理何て!!」
苺鈴 「いいんじゃないですか?泣いたって。もう会えないと思っていた上に敵だったって知っているうえで助けに来てくれた人達に、また会えたんですから。私も同じ立場だったら多分泣いてましたよ?」
ブリジットは「ぐっ!?」とこれ以上何か言う物なら更に恥ずかし目に遭いそうに感じそれ以上は黙っていた。そして、再びシスター・ヘルは尋ねる。「ここは何処で、今どんな状況なのか?」と・・・
ブリジット「時間がないので簡単に言います。ここは私達が元居た世界ではありません。そして、こちらにいるフェイトさんのお母様、プレシア・テスタロッサの暴走を止めなければ幾つもの世界が壊滅的な被害を受けてしまうかもしれません。」
リッテ「幾つもの世界が崩壊ですか!?」
フェル「しかもここ別の世界なの!?」
ブリジット「そのとおりです、はい。」
苺鈴 「あの人はジュエルシードを使って、アルハザードとかいう所に行くためにどんな犠牲が出ようと止まることはなさそうなんです。皆さん!!どうか私達に力を貸してくださいお願いします!!」
苺鈴がハヤウェイ達に頭を下げるとブリジットをはじめなのは・フェイトも「お願いします!!」と頭を下げる。その真剣な態度を見てハヤウェイ達も二つ返事で答えた。
ハヤウェイ「勿論!!」
プリーシア「そのために来たのだからな」
神楽 「うん」
フェル「まっかせなさぁ~い!!」
シスター・ヘル「乗り掛かった船です。最後まで付き合いますよ」
華鈴 「うむ。任せろ!!」
リッテ「生徒の力になるのも先生の役目です!!」
フィーリア「微弱ですけど、頑張るかな!!」
苺鈴・ブリジット「ありがとうございます!!」
プリーシア「うむ。では行くぞ!!」
プリーシアが先陣を切ろうとしたが、また崩れた壁から天使と傀儡兵の大群が押し寄せてきていた。それを見た苺鈴は呆れ混じりに嫌そうな顔をした。
苺鈴 「げぇっ!?また来たの!?しかもごちゃまぜ・・・」
なのは「時間が無いのに!!」
プリーシア「・・・・・・」
ブリジット「プリーシア様?」
プリーシア「ブリジット。お前達は先に行け!!ここはわらわ達が引き受ける!!」
プリーシアが混合軍団の先頭に立ちレイピアを構える。先ほど交戦した時よりも数が多い軍団を目の当たりにして『残る』という選択肢をしたプリーシアに『危ない』と反論しようとしたがそれをフッと優しい顔で笑いながらもそれに答えた。
プリーシア「退路を確保するのも大事な事だ。お主(ぬし)達が帰るための道をしっかり守っておいてやる。だから気にせず行ってこい。」
ブリジット「プリーシア様・・・はい!!」
フェイト「皆、行こう!!」
フェル「あっちょっと待った!!フェイトちゃんだっけ?ブリジットちゃんの事お願いね!!」
フェイト「はい!!」
神楽 「苺鈴ちゃん?」
苺鈴 「えぇ。そうですけど?」
神楽 「あなたも・・・ブリジットちゃん・・・お願い」
苺鈴 「えぇ!!無茶しないようにしっかり見張っておきますよ!!」
ブリジット「えぇっ!?それ苺鈴さんに言われたくないですよぉ!?」
プリーシア「ハヤウェイ!!フィーリア!!お主達もついていけ!!まだ奥に天使がおるやもしれぬからな!!」
ハヤウェイ「分かった!!」
フィーリア「皆さん気を付けてかな!!」
苺鈴 「ここは頼みます!!」
苺鈴達が奥に続く道に進むと追っ手を阻(はば)むかのようにプリーシア・神楽・フェル・華鈴・ヘル・リッテの六人が混合軍団の前にプリーシアが筆頭に立ちふさがる。
プリーシア「ここから先へは一歩も通さんぞ!!」
混合軍団をプリーシア達に任せプレシアと『時の庭園』の駆動炉の下へ向かう一同。走りながらも苺鈴は横を走るハヤウェイに不安を漏らしていた・・・
苺鈴 「ハヤウェイさん・・・でしたよね?あんな事言った手前でこんな事言うのも何ですけど本当にあの人達だけに任せてよかったんですか?あの軍団相当強いですよ?」
ハヤウェイ「プリーシアが大丈夫って言っているんだし多分大丈夫!!それに皆強いしね!!」
苺鈴 「そう・・・だったらもう何も言いませんし気にしませんよ!!」
ハヤウェイ「OK!!」
クロノ「止まれ!!分かれ道だ!!」
クロノが全員の足を一度止め分かれ道をどちらに進むかを決めるためにフェイトに相談していた。フェイトがいうには右は駆動炉へ続くエレベーター、左は恐らくプレシアがいると思われる部屋へと続く通路であったそうだ。
ユーノ「なのは。僕達は駆動炉の方へ向かおう!!あれを止めないとこの次元震も多分止まらない。」
なのは「分かった。」
さくら「私も行くよ!!」
小狼 「俺も駆動炉へ行く」
ケルベロス「そんならワイもやな」
フェイト「アルフ・ブリジット私達は母さんの所に」
苺鈴 「フェイトちょっといい?」
フェイト「何ですか?」
なのは「苺鈴ちゃん?」
苺鈴 「私もあなたのお母さんの所へ一緒に行くわ」
苺鈴の思わない発言にハヤウェイ・フィーリア以外は「えっ!?」と苺鈴を凝視する。
なのは「苺鈴ちゃんどうして?」
ブリジット「そうですよ。ここはなのはさんと駆動炉へ行く流れでは?」
苺鈴 「そうかもね。でもね・・・これだけたくさん迷惑かけられたのよ?フェイトのお母さんに文句の一つでも皆を代表して言ってやらないと気が済まないの!!悪い?」
フェイト「えっと・・・そのぉ~・・・」
さくら「ねぇ苺鈴ちゃん。なのはちゃん的には一緒に来てほしいと思うんだけど・・・」
なのは「うんうん!!」
苺鈴 「そうねぇ~そうしてもいいんだけど、それだけじゃないのよ、フェイトについていくの・・・似たのも同士だからかしらね?」
フェイト「似た者?私とあなたが・・・ですか?」
苺鈴 「そうよ」
苺鈴はフェイトの頭に手をのせて撫でる・・・というよりも軽くグルングルンと回すようにちょっと弄(もてあそ)ぶ。フェイトはちょっと困ったような、でもどこか満更でもなさそうな風に軽く頬を赤くしていた。そして、フェイトの頭をグリングリンしながら「そう思うと、あんたが心配でしょうがないのよ!!」と最後に軽くポンポンと頭を叩いてそこから苺鈴はなのはを見つめ、なのはの前に膝立ちになりなのはの両肩にふわりと両手を乗せながら更に語り掛ける。
苺鈴 「それに、なのはは本当に強くなった。心身共にね・・・もう魔法を使い始めたばかりの頃の弱かったなのはじゃない。ここに来る前にも言ったけど、あのフェイトに勝ったのよ?もう私がぴったり引っ付いていなくても大丈夫自信を持ちなさい。・・・任せたいのよあなたに。出来る?」
なのは「うん。出来るよ。任せて!!」
苺鈴 「うん。いい返事ね。頼りにしてるわよなのは!!」
なのは「うん!!」
苺鈴 「ユーノ・さくら、なのはを頼んだわよ。」
ユーノ・さくら「はい!!・うん!!」
苺鈴 「小狼も!!」
小狼 「あぁ」
苺鈴 「ハヤウェイさんとフィーリアさんも頼みます。私の大事な妹と友達を・・・」
ハヤウェイ「任せて!!」
フィーリア「了解かな!!」
苺鈴 「良し!!それじゃあ・・・」
クロノ「待て!!」
クロノが突如叫ぶと、来た道に魔法陣が展開されそこからまた人型サイズの傀儡兵達が通路を埋め尽くしていく・・・・・・
それを見た一同は「またこんな時に・・・」とうんざりするような顔をし、その傀儡兵の集団の方へクロノは一歩進んでいく
ユーノ「クロノ?」
ハヤウェイ「ちょっと?」
クロノ「君達は先に行け!!今度は僕が残る!!」
苺鈴 「・・・いけるの?あなたも回復したとはいえそれなりに消耗しているでしょ?」
クロノ「心配はいらない。さっきの『天使』とやらが出てこない限りは負けるつもりはない!!」
苺鈴 「・・・ふふっなんか弱気な発言ね。でもいいわ!!任せるわよクロノ執務官!!」
クロノ「あぁ、君達の方もしっかりとな。僕もこいつらを片付け次第すぐに追いかける!!」
この場をクロノに任せ、苺鈴は仲間達になのはを託し、「行きましょう!!」とフェイト達とプレシアの下へと駆け出していく。それを見届けたなのは達もなのはの「行こう!!」の掛け声とともに駆動炉へと続くエレベーターに搭乗する。そして、エレベーターが目的地に到着するまでの間、さくらは小狼に小声で尋ねていた。先の苺鈴の言葉「似た者同士」と言った意味を・・・
小狼 「・・・多分昔のあいつと叔母上(おばうえ)の事を言っているんだと思う。」
さくら「昔の苺鈴ちゃんとお母さん?どういう事?」
小狼 「さくらも知っているだろう苺鈴には魔力が無い事・・・」
さくら「うん。でもそれと苺鈴ちゃんとフェイトちゃんが似た者同士ってどう関係があるの?」
小狼 「さくらはすっかり忘れているだろうが、苺鈴は『李』家にとっては本当に珍しい『魔力を持たない者』なんだ。それが原因(げんいん)で分家の大人達やその子供達からも色々された事があったんだ。そのせいで叔父上(おじうえ)はまだよかったらしいんだが、叔母上にですら冷たくされていた時期があったらしい・・・」
さくら「そんな!?お母さんにですら・・・それじゃあブリジットさんやアルフさんから聞いたフェイトちゃんみたいじゃ・・・そっか・・・だから」
小狼 「あぁ。多分苺鈴は昔の自分と今のフェイトを重ねているんだ。あいつも叔母上に認めてもらいたいって気持ちがあったから俺と一緒に拳法をやっていたってのもあったからな。今でこそもうそんな溝は無くなっているが、当時は苺鈴も本当に辛かっただろうから少しでも、力になってやりたいって思ったんだと思う。」
さくら「そうだったんだ・・・小狼君」
小狼 「うん?」
さくら「なのはちゃんは必ず私達が守ろう!!苺鈴ちゃんが私達に託した大事な家族だもんね。」
小狼 「あぁ」
さくら「それにユーノ君の事も。あの子も苺鈴ちゃんの弟みたいな者だし!!」
小狼 「あぁ」
さくら(それに・・・苺鈴ちゃんにはブリジットさん達もついてるし、あのベルトや知世ちゃんが作ってくれたお洋服もある。きっと大丈夫だよね?あの時の夢・・・絶対帰って来てくれるよね?苺鈴ちゃん・・・)
ユーノ「皆さん、そろそろ着きます。準備を!!」
ユーノのナビ道りエレベーターは駆動炉があると思われる部屋(へや)に止まり扉が開く。扉が開くと同時に部屋に突入する一同の前に巨大な黒い何かが一機だけ静かに佇(たたず)んでいた。
ハヤウェイ(これって!?)
ユーノ「これは・・・」
さくら「ねぇ小狼君、これさっき私達が戦った兵隊のどれでもないよね?」
小狼 「あぁ。どちらかというと、ブリジットが言っていた『天使』って奴に似ている気がするが・・・」
フィーリア「嘘!?まだいたのかな!?」
ユーノ「フィーリアさんあれの事知っているんですか?」
なのは「あれも『天使』何ですか?」
フィーリア「うん。でもあれって・・・お兄ちゃん!?」
ハヤウェイ「うん。あれは・・・『究極天使(ウルティマ・アンゲル)』!!」
なのは「ウルティマ・・・」
さくら「アンゲル・・・」
究極天使「ぐががあぁぁっっぁぁっっ~~!!」
ハヤウェイが目の前の巨体の名前を言い当てると、究極天使は目の前の標的を定めたのか雄たけびをあげ、戦闘態勢に入る。それを見た一同も構え、ハヤウェイが先頭に立つ。
なのは「ハヤウェイさん?」
ハヤウェイ「皆!!あいつは僕に任せて!!その隙に駆動炉を何とかして!!」
なのは「えっ!?でも・・・」
さくら「無茶ですよ!?あんなのに一人で相手するなんて!!」
ハヤウェイ「ありがとう大丈夫だよ。それに僕は・・・」
「それに僕は・・・」の後の少し間(ま)の間(あいだ)に究極天使は口を大きく開きまるで生き物かのように白い歯を見せながらその口元に魔法陣を展開させ、光弾を発射する。その光弾をハヤウェイは「うおおぉぉぉ~~!!」と雄たけびを上げながら力いっぱいの一閃を放ち、それを爆散させる。その様子を見たフィーリアを除く一同は「ぽか~ん」としていた。
ハヤウェイ「それに僕は、皆を守る『騎士』だ!!こんなところで終わったりしない!!うおおぉぉっっ~~!!」
ハヤウェイは単身究極天使に突っ込み、戦闘を開始した。なのは達もハヤウェイの行動を無駄にしないためにも一刻も早く駆動炉を止め、ハヤウェイの加勢に入るため行動を開始した。
そしてこの時は誰もが予想しなかった。いや、出来なかった。先のエレベーターでの分かれ道の選択が後(のち)になのはとフェイトに大きな溝を作ってしまう事になるなんて・・・
プレシア「アリシア・・・もうすぐよ・・・もうすぐやっとあなたを取り戻せる。そしたら今度こそ静かに暮らしましょう・・・」
フェイト「母さん!!」
『時の庭園』の崩壊が進む中、遂に苺鈴・フェイト・ブリジット・アルフの四人はプレシアの下へと辿り着く。フェイトが一声(いっせい)を掛けると、邪魔者が来たと言わんばかりに鋭い目つきになり、フェイト達に向き直る。
プレシア「・・・何をしに来たの?もうあなたは用済みだって言ったはずだけど?」
フェイト「・・・・・・」
フェイトは先頭に立っていたが、いざプレシアの前に立つと怯えたかのように後ろに無意識に一歩下がってしまいそうになった。実際に足が動いていたが、それを背後からブリジットが受け止め、フェイトと目が合うとゆっくりと一回頷く。そのすぐそばにいた苺鈴もフェイトの肩に手を置きブリジット同様一回だけゆっくり頷く。それは二人がフェイトを後押ししているかのようであり、実際二人もそのつもりであった。二人からエールをもらったように感じたフェイトも正面のプレシアに向き直り一回「うん」と頷き前に向かって歩き出す。
フェイト「あなたに、言いたい事があって来ました。」
プレシア「いまさら何を言いに来たとでもいうの?」
フェイトは立ち止まり、一つ深呼吸をしてから言葉を発する。
フェイト「私はフェイト。『フェイト・テスタロッサ』なんです。決して『アリシア・テスタロッサ』じゃありませんし、私はアリシアにはなれません。」
プレシア「・・・・・・」
フェイト「あなたにとっては私は只(ただ)の人形でしかないのかもしれません。それでも・・・私にとってあなたは私を育ててくれたたった一人の母さんで、そしてあなたの娘
である事を誇りに思っています。これは私の・・・フェイト・テスタロッサの嘘偽りない気持ちです。」
プレシア「・・・・・・」
フェイト「母さん・・・」
プレシア「ふっ!!」
苺鈴 「ちぃっ!!」
突如フェイトに向かって雷属性の魔法弾を放つが咄嗟に前に出た苺鈴がそれを払い、その弾は苺鈴達の後方に飛んでいき爆破する。爆発の後に発生した砂煙が苺鈴達を覆い、それが晴れるのを待っているかのように全員の動きが一時的に止まる。その間(かん)苺鈴はずっとプレシアに対して睨み続けていた。
苺鈴 「・・・やってくれるわねプレシアさん・・・」
プレシア「目ざわりねあなた。そんな出来損ないの子を庇うなんて」
苺鈴 「出来損ないだから何?」
プレシア「・・・・・・」
ブリジット「苺鈴さん・・・」
フェイト「・・・・・・」
アルフ「あんた・・・」
苺鈴 「出来損ない?上等よ。でもね・・・出来損ないにだってお母様のため・そして、自分を認めてもらうために強くなろうと行動する事だって出来るわ!!」
プレシア「・・・・・・」
苺鈴 「プレシア・テスタロッサ!!フェイトと同じ出来損ないと言われ続けた私があなたをぶん殴ってでも止めて見せる!!」
フェイト「・・・・・・」
苺鈴 「フェイト。あなたはここにいて。お母さんとは戦えないでしょ?ここは任せなさい。それにここからは・・・私の個人的な喧嘩・・・みたいなものよ!!」
苺鈴は指を指しながらプレシアに宣言する。それを目障りと言わんばかりに歯ぎしりしながら苺鈴を睨み付けるプレシア。宣言後、苺鈴は戦闘態勢に入り一機に駆け出す。
苺鈴 「ふっ!!」
プレシア目掛けて走り出す苺鈴に対して再び雷属性の魔法弾を数発放つがそれを難なくかわしながら接近する。
プレシア「目障りよ!!」
こちらに接近する苺鈴に向かい杖を鞭(むち)の形態に変化させ、その鞭を縦横無尽にしならせる。それが直撃しようとした時、咄嗟に後方に飛び引き回避したのを皮切りに次は鞭による連撃を繰り出す。
苺鈴 「ちぃっ全くうっとおしい鞭ね!!だったら!!ふっ!!・・・チェェ~~ンジ!!エレキハンド!!」
プレシアの鞭の連撃を振りほどき後方に大きく距離を取りながらバック転を一回行い距離を取る。そして苺鈴は再び『ファイブハンド』のアタッチメントを再び『エレキハンド』へと換装する。
そして、両手をまるで医者が手術を始める際に両手をあげる時のような形で上げ、更に迫りくる鞭をよく監察し狙いを定める。
苺鈴 「エレキ光線発射!!」
迫りくる鞭に対して勢いよく右手を伸ばしたまま突き出す。すると苺鈴の腕から電気のビームが放たれ鞭を焼き切る。それを見たプレシアは再び魔法弾を数発放つがそれを今度は連射で光線を放ち撃ち落とす。
苺鈴 「何発撃っても無駄よ!!全部撃ち落とす!!」
プレシア「・・・爪が甘いわねあなた?」
苺鈴 「えっ?・・・なっ!?」
爆音飛び交(か)う中、プレシアのつぶやきの内容が聞こえた苺鈴に一瞬の隙が生まれ、突き出していた右手首に黄色いリングが取り付けられる。それを始めとして次は左手首、更に右足首・左足首に次々とリングが苺鈴の動きを止めていく。必死にもがいてはずそうとしていたがその隙にプレシアはゆっくりと苺鈴に向けて右手をかざし、言葉を発する。
プレシア「サンダー・・・レイジ!!」
苺鈴 「があぁぁぁっっぁぁっ~~~!!」
ブリジット「苺鈴さん!!」
アルフ「ちょっと!!まずいよありゃ!?」
ブリジット「しかもあの技は私が喰らった魔法・・・苺鈴さん・・・・・・」
苺鈴 「きっ・・・ぅぅっっ~・・・」
プレシア「ん?」
苺鈴 「ぐぅっ~~・・・エ・・・エレキ・・・光線・・・放射!!」
プレシアの「サンダーレイジ」を受けながらも苺鈴は力を込めてエレキハンドの電気を自信の周囲に暴散させる形で放出し、バインドを無理やり破壊する。その衝撃でサンダーレイジも解けその場に四つん這いになり、肩で息をしていた。その様子から見て、これまでの激戦もあってか相当体力が奪われたのは明らかであった。
プレシア「まさか、あんな形でバインドを解くなんて思わなかったわ。でももうお終いのようね?」
苺鈴 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・まだ・・・まだぁ~!!」
プレシア「目障りよ!!」
いつの間にか修復が完了していた鞭をしならせ、苺鈴を狙う。必死に立ち上がらろうとするが、まだダメージが残っているせいか上手く立ち上がれない苺鈴。
その鞭が苺鈴に直撃しようとしたが、それをまるでチャクラムのようになり、ブーメランの如(ごと)く飛翔(ひしょう)してきた一本の短剣が鞭を切り裂く。
プレシア「うっ!?」
苺鈴 「今の短剣・・・ブリジットさん!!」
苺鈴が振り返ると、飛んできた短剣を掴み取るブリジットの姿があり、苺鈴のそばに駆け寄り肩を貸し、苺鈴を立ち上がらせる。
ブリジット「加勢しますよ」
苺鈴 「・・・いいんですか?フェイトのお母さんですよ?よりフェイトの近くにいたあなたが戦うのはフェイトからしたら複雑に思っているんじゃないですか?」
ブリジット「かもですね。ですがね・・・一言文句言ってやりたいのは苺鈴さんだけではないんですよ。フェイトさんに一言御免なさいって言わせないと気が済まないんです!!これは私にとっても個人的な喧嘩なんですよ。」
苺鈴 「ブリジットさんにとっても・・・ですか・・・」
ブリジット「えぇ。それに・・・あの人強いですよ。ハッキリ言って私一人に手こずっている程度の苺鈴さんでは勝てませんよ?」
苺鈴 「なっ!?かぁっ~!!よくもまぁ~そんな事ハッキリ言っちゃいますねぇ!?」
ブリジット「それはまぁ一度戦ったことがあるからでしてねぇ~体験談ってやつですよ。ですから・・・分かりますよね?・・・」
苺鈴 「・・・ふふっ分かったわよ!!はぁ~あ、しょうがないですね。一人で戦ってちゃっちゃと片付けてかっこよく終わらせたかったのにぃ~・・・」
ブリジット「でも、こういう時ってボロボロになりながらも色んな人の助けをうけながらも最後にはって方がかっこいいんじゃないですか?」
苺鈴 「あんまりボロボロは嫌だなぁ~・・・」
ブリジット「わがまま」
苺鈴 「いいじゃないですか」
二人は軽く言い合いながらも口元が緩み、笑みを見せあいながら互いに背中を合わせブリジットは短剣を構え、苺鈴は拳を構えプレシアを見つめる。
苺鈴 「・・・そういえば初めてですよね?」
ブリジット「何がですか?」
苺鈴 「私達二人だけで一緒に戦うのがですよ。」
ブリジット「一応さっき天使相手に二人だけで戦いましたよ?」
苺鈴 「それはそれ!!これはこれ!!ですよ!!今度は本当に二人だけって感じなんですし」
ブリジット「あぁ。初めての共同作業的な」
苺鈴 「ふふっその響き、あなたとなら悪くないかも!!」
ブリジット「それは私もですけど、一応私百合(ゆり)の趣味はないですよ?」
苺鈴 「私だってないですけど、ブリジットさんとならちょっと有りかも」
「えっ!?」と身の危険を多少感じたため心なしか一歩離れたブリジットに対して「ちょっと・・・」と引かれたくなかった所だったのかプレシアに向けていた右手をブリジットに向けて手招きする。プレシアも「もういいかしら?」とその一言で気を取り直した二人は再び臨戦態勢を取る。
苺鈴 「頼りにしてますよブリジットさん!!」
ブリジット「私もです苺鈴さん!!あなたとならきっと・・・」
苺鈴 「きっとじゃないですよ」
ブリジット「へっ?」
苺鈴 「『勝つ』んですよ!!この喧嘩!!」
ブリジット「はい!!」
二人は「だあぁぁっーー!!」と駆け出しプレシアに向かって行く。ここからが本当のプレシア・テスタロッサとの最後の決戦が始まった・・・・・・
苺鈴 「遂に始まった私とブリジットさん対プレシアさんとの闘い」
ブリジット「この戦いで後に『ジュエルシード事件』と呼ばれる事件にも終わりが訪れようとしています、はい」
苺鈴 「次回『カードキャプターさくら外伝』「ジュエルシード編」第15話『苺鈴とブリジットと戦うプレシア・テスタロッサ(後編)』」
ブリジット「リリカル・マジカル頑張りましょう苺鈴さん!!」
苺鈴 「えぇ!!これで終わらせる!!」
ブリジット「はい!!」