カードキャプターさくら『苺鈴外伝』   作:狼と踊る男

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どうにも最近、セリフとか文章とかが無理やりかもしれないと思うこの頃、この話は本当大変でした。暗い話とか相手を傷つけたりして精神的に参ったりとかは単純な戦闘シーンよりもずっと大変ですねぇ~・・・・・・

予定ではこの話を含め本編は残り3話のつもりですが4話になるかも・・・感想もお待ちしています。


16話「なのはと知世と苺鈴の夜」

時は進み、『時の庭園』が完全に崩壊してそれぞれがアースラへと帰還してすぐ・・・アースラの食堂に集まっていた『なのは』チーム・『プリーシア』チームは未だに姿を見せない『苺鈴』のチームの帰還を今か今かと待ちわびていたのであった・・・・・・

 

プリーシア「ふぅ~間一髪であったな」

 

華凜 「助かったぞ。あそこであなたが我々を転送をしてくれていなかったら拙者達は今頃どうなっておった事か・・・」

 

リンディ「お礼を言うのはこちらの方です。おかげでなのはさん達も無事に帰還することが出来ましたから」

 

『時の庭園』が崩壊する直前、『プリーシア』チームには転送系の魔法を使える者がおらず、このまま虚数空間に飲み込まれてしまう所であったが、間一髪リンディの判断で、転送してもらうことが出来、現在『アースラ』へと生還することが出来たのであった。そうこうしている内に扉が開き、三人の人物が部屋に入ってくる。それは暗い表情をした『フェイト』・『アルフ』そして、いつもと変わらぬ表情をしていた包帯を幾つか巻いていた『クロノ』であった・・・

 

なのは「フェイトちゃん!!」

 

フェイト達が帰還してなのはは真っ先に駆け出していきフェイトの前に立つ。フェイト達の無事を喜んでいたなのはを始めとした一同は安堵の表情をしていた。だが、それはすぐに困惑の表情に変わっていった。理由は簡単だ。フェイト達と一緒に行動していたはずの苺鈴とブリジットの姿が無いのだ。なのはが「苺鈴ちゃんとブリジットさんは?」とフェイトに尋ねるとフェイトの顔はとても暗いものになっていた。なのはもふたりは「ただ医務室で手当でもしていて来ていないだけ」程度に考えていた。しかし、フェイトの回答はなのはの想像を大きく上回るものであった・・・・・・

 

アルフ「それが・・・」

 

フェイト「アルフ待って・・・私が言う」

 

アルフ「えっ!?でも・・・」

 

クロノ「いいのか?僕が伝えてもいいんだが?」

 

フェイト「それは駄目。これは私が直接言わないとダメだから。そうでないとあの人に申し訳ないよ・・・ぁっ・・・あのね・・・」

 

なのは「うん?」

 

フェイト「落ち着いて聞いてほしいだ・・・・・・あの人がね・・・」

 

なのは「あの人・・・苺鈴ちゃんの事?」

 

フェイト「うん・・・あの人が・・・苺鈴さんは・・・母さんやブリジット達と一緒に・・・亡くなった・・・・・・」

 

なのは「・・・ぇっ?・・・フェイトちゃん・・・今何て?・・・」

 

さくら「なのはちゃん?・・・」

 

なのは「苺鈴ちゃんが何て!!」

 

「苺鈴が死んだ」・・・その一言を聞いたなのはは「嘘だよね?」とフェイトに恐る恐る詰め寄っていく・・・フェイトは黙ってうなずき自分を庇って虚数空間へとブリジット・

プレシアそしてアリシアと一緒に落ちていった事を伝えた。嘘偽りなく・・・それを聞いたなのはは両目を大きく開き涙を浮かべながらフェイトの胸倉を掴み悲痛の叫びをあげていた

 

なのは「何で!!フェイトちゃん何で見捨てたの!!何で苺鈴ちゃんが死ななきゃいけなかったの!?」

 

フェイト「それは・・・」

 

なのは「何で!!・・・何でなの!!」

 

さくら「なのはちゃん落ち着いて!!」

 

なのは「放してよ!!嘘つき!!」

 

さくら「えっ!?」

 

なのは「さくらさん!!何が『絶対、大丈夫だよ』ですか!!全然大丈夫じゃなかったじゃないですか!!天使が出てきた時だって、苺鈴ちゃん殺されかけてたじゃないですか!!何が無敵の呪文ですか!!苺鈴ちゃん・・・帰ってこないじゃないですか!!」

 

さくら「それは・・・」

 

なのは「さくらさんの嘘つき!!」

 

ケロ 「嬢ちゃん言い過ぎやで!!」

 

小狼 「さくらは嘘つきなんかじゃない!!」

 

なのは「うるさい!!」

 

小狼 「なっ!?」

 

なのは「苺鈴ちゃんを捨てた人の話なんか聞きたくない!!」

 

小狼 「えっ!?」

 

さくら「なのはちゃん!!小狼君はそんな人じゃないよ!!」

 

なのは「じゃあ何で苺鈴ちゃんを選ばなかったんですか・・・」

 

小狼 「それは・・・」

 

なのは「あんなに強くて優しい人よりも・・・あんなに素敵な人よりもそんな嘘つきを選んだくせに!!」

 

小狼 「高町!!さくらは嘘つきなんかじゃない!!」

 

ケロ 「そうや!!それ以上言うと流石に許さへんで!!」

 

フェイト「ぁっその・・・辛いのは分かるけど、この人達に当たってもブリジットもあの人も帰ってこな・・・」

 

なのは「うるさい!!・・・フェイトちゃんのせいで苺鈴ちゃんが死んだんだ・・・返して!!返してよ!!苺鈴ちゃんを返して!!」

 

なのはは涙ぐみながらフェイトの胸倉(むなぐら)を掴み何度も揺さぶる・・・そして、普段のなのはであれば絶対に言う事は無い一言をフェイトにぶつけてしまう・・・・・・

 

なのは「落ちちゃえばよかったんだ・・・フェイトちゃんが落ちちゃえばよかったんだよ!!」

 

なのはは通路の方へ駆け出していき、なのはの一言を聞いたフェイトはその場に崩れ落ちてしまう。アルフはなのはに対してプレシアの時のような鬼の形相(ぎょうそう)になり、なのはを追いかけようとする。しかしそれは華凜によって止められた。

 

アルフ「どけっ!!」

 

華凜 「落ち着け!!怒り任せに力を振るうでない!!」

 

アルフ「どけってんだよ!!あいつ!!フェイトが落ちればよかったなんて言いやがって!!許せない!!」

 

華凜 「しかしだな!!」

 

フェイト「アルフ止めて!!私なら大丈夫だから」

 

アルフ「大丈夫って、何処がそんな風見えるって言うんだい!?あいつは」

 

フェイト「お願いだからやめて!!・・・あの子はあの人の・・・苺鈴さんに託された家族なんだ。そんな子を傷つけるなんて、それこそ命がけで私を庇ってくれた苺鈴さんに申し訳が立たないよ!!恩知らずもいいところだよ!!」

 

アルフ「フェイト・・・」

 

フェイト「だからお願い。あの子を傷つけないで・・・」

 

アルフ「・・・そうだったね。あの子はフェイトの恩人の妹だもんね・・・ごめんよフェイト。私あの人に恩をあだで返すところだったよ」

 

フェイト「いいんだよアルフ。あの子も辛いんだ。辛さをぶつけるところが他に無かっただけなんだ。どんなにあの子に恨まれたとしても、それでもいい。それが辛い事を忘れられるきっかけになってくれれば・・・」

 

そういいつつも、フェイトの目には涙が止まることなく流れ続ける。フェイトもブリジット・プレシア・アリシアを失った悲しみもあって自身も辛かったのだ。そんなフェイトをアルフも涙を流しながら抱きしめる。悲しみだけが包み込まれたこの空間の中、プリーシアだけは別の事が気がかりになっていた。いつも自分のそばにいる彼女がいなくなっていたのである

 

プリーシア(むっ?神楽?・・・何処に行ったのだ?)

 

ユーノ「なのは・・・」

 

さくら「私・・・ちょっとなのはちゃんの所に!!」

 

知世 「さくらちゃん・ユーノ君、なのはちゃんの事は私に任せてはくれませんか?」

 

ユーノ「えっ?知世さんに?」

 

さくら「分かった。なのはちゃんの事お願い」

 

知世 「えぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知世は「えぇ」と返事を返し、なのはの走っていった方へと向かって行く。そして、なのはは自分と苺鈴の相部屋に戻ってきておりそこで泣き崩れていた・・・

その声を部屋の前で聞いていたのは知世ではなく、別の人物であった・・・・・・

 

知世 「やはり先にいらしていましたか」

 

神楽 「・・・・・・」

 

知世 「いつの間にかいなくなっていらしていたのでもしやと思いましたが・・・あなたは確か・・・」

 

神楽 「神楽(かぐら)」

 

知世 「神楽さんですか・・・私は『大道寺 知世』です。神楽さんもなのはちゃんが心配で?」

 

神楽は基本的に表情はあまり変わらず、必要最低限の会話しか中々しない。人間嫌いという訳ではなく、幼少期に起こったある事件によって、感情の変化が乏しくなったのだ。家族や彼女の故郷に住んでいた村人達すべてが死に絶え、ある薬を飲む事によって唯一(ゆいいつ)生き残った事によって・・・・・・

そして、知世の質問に対しても「うん」か頷くくらいの返答しかしないが知世も特にそれを気に留める事もなく、更に続けた・・・

 

知世 「ここは私に任せてくれませんか?」

 

神楽 「・・・どうするの?・・・」

 

知世 「私に出来る事は限られています。さくらちゃんのように魔法を使う事は出来ませんし、皆さんのような力なども持っていません」

 

神楽 「・・・・・・」

 

知世 「ですから、その限られた事をしようと思います。前に苺鈴ちゃん・・・あの子のお姉さんにしてあげたように・・・」

 

神楽 「・・・うん・・・」

 

知世 「恩に着ますわ」

 

神楽はドアの前から離れ、知世は神楽に一礼をして、部屋に入る。そこには予想通り泣き崩れているなのはがおり、知世が入ってきたのに気づいたなのはは、睨むように知世を見つめる。

 

なのは「何しに来たんですか?・・・」

 

知世の表情はどこか悲しそうなものだった・・・先に彼女の親友であるさくらや友人の小狼に対して酷い事を言ったのだからてっきり怒っているのだと思っていたのだから・・・

知世はそのままなのはが顔をうずめているベッドの横に座り込み、なのはの方を見る事は無く正面の壁を遠い目をしながら見つめているのであった・・・

 

なのは「・・・・・・」

 

知世 「血がつながっていなくても姉妹というものは似る者なのかもしれませんね?泣き方も苺鈴ちゃんに似ていますわ」

 

なのは「苺鈴ちゃんの・・・泣き方?・・・」

 

知世 「なのはちゃん。なのはちゃんの家に来てからの苺鈴ちゃんってどんな感じだったか話してくれませんか?」

 

なのはは思った。「こんな時になんてことを聞くんだ!?」としかし、知世はいつもと変わらぬ笑顔で優しくなのはに語り掛けており、なのはも顔を伏せながら答えた。

初めは怖い印象が強く、でも過ごしていくうちに彼女の人柄に触れていき、厳しくちょっと怒りっぽいところがあったが、人を思いやった優しさを誤解されがちだが持っていて、後おっちょこちょいでせっかちで落ち着きが少しなかった・・・本当に強くて憧れの人だと知世に話していた・・・・・・

 

知世 「そうですか・・・なのはちゃんにとって苺鈴ちゃんはただ頼れるお姉さんってだけではないんですね・・・」

 

なのは「本当に大好きで・・・いろいろな事が出来て、強くて、苺鈴ちゃんのおかげでフェイトちゃんとも向き合えることが出来た・・・それなのに・・・」

 

知世 「・・・なのはちゃん。これから私が話すことはタダの独り言です。意識して聞く必要はありません。」

 

なのは「・・・・・・」

 

知世 「・・・これは昔、突然起こった自分ではどうしようもないほど辛くて、でも誰かを恨むでもなく、ただすべての悲しみを、悔しさを一夜で涙と共に流しきった強がりで寂し

がり屋の女の子のお話です・・・」

 

知世は語り始めた・・・その内容は約3年前、知世が小学5年生の頃のある冬の夜に起こった出来事であった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知世 「いらっしゃいましたね。苺鈴ちゃん」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

知世 「立ち話も何ですから私の部屋へ」

 

夜遅い時間・・・小学生一人が出歩き、友人の家に遊びに行くような時間ではなかった。普通ではこんな時間に連絡もなくいきなり泊まり込むような事をされては迷惑なのではないかと思われる所ではあったが、家の住人はこの事を予測していたのか、特に動じる事もなく誰も邪魔が入らないように手はずを整えて、いきなりの訪問者を迎え入れた・・・

 

苺鈴 「うわあぁぁぁっっぁっ~~!!」

 

椅子に座り込んだ知世の膝の上で苺鈴は泣いた。近所迷惑何て考えていられないほどに彼女の心はぐちゃぐちゃになり、今の心境を知世にぶつけた。

 

好きだった者との関係が終わってしまった事・・・・・・

 

好きだった者が自分を選んでくれなかった事・・・・・・

 

そしてなによりも頭の中がぐちゃぐちゃになったのは、自分から大事な人を取っていってしまった憎いはずの『彼女』の事を自分ですら嫌いになれない事であった・・・・・・

 

苺鈴 「もう小狼の事で泣くことが無いようにいっぱい泣いてやるぅ!!・・・目が無くなるぐらいまで死ぬほど泣いてやるわァァッーー!!」

 

 

 

 

 

苺鈴はそれからどれぐらい泣き続けただろう・・・・・・

 

泣き疲れたのか、いつの間にか眠ってしまっていた・・・知世はそんな苺鈴の頭をなでながら寝息を立てている苺鈴に向けて独り言をつぶやいていた・・・

 

知世 「・・・苺鈴ちゃんは強い人ですね。ここに来るまで、ずっと・・・これだけの涙を我慢して、彼にも当たらず、こんな事になっても誰かを好きでいられ続けていることが・・・・・・それに引き換え、私にはそんな勇気何て・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは「あの苺鈴ちゃんに、そんな事があったんですか?あんなに強い人が・・・」

 

知世 「強かったからこそかもしれませんね?心が崩れてしまった時の反動はより大きいものなのでしょう・・・どんなに強くなった人でも涙を流さない人なんてこの世のどこにもいないと、私は思います・・・あの時の苺鈴ちゃんは本当によく泣いておられましたわ」

 

なのは「・・・何で自分の好きな人を奪った相手と、今はあんなに楽しそうに笑っていられたんですか?アースラーで過ごしていた時にさくらさんと話してた時の苺鈴ちゃんの笑顔、あれは本当にうれしそうで、楽しそうで・・・何でなんですか?・・・」

 

知世 「苺鈴ちゃんもその時、腹を立てると同時に言っていました。『それよりもっと腹が立つのは、それでも私がさくらちゃんを嫌いになれない事』だと」

 

なのは「・・・・・・」

 

知世 「それにそのあとすぐに香港からさくらちゃんに送られてきた手紙にはなんて書いてあったと思いますか?」

 

なのは「えっ?・・・・・・小狼さんと幸せに?・・・とか?」

 

知世 「中国語で『私の大切なお友達』と書いてあったそうですわ」

 

なのは「・・・・・・」

 

知世 「実を言うとですねなのはちゃん。私はさくらちゃんの事を親友とは思っていないんです」

 

なのは「ぇっ?」

 

知世 「『好き』なんですの。さくらちゃんの事を友達としてではなく一人の、それこそさくらちゃんと李君のような、なのはちゃんのご両親みたいな『好き』なんです。」

 

なのは「お父さんとお母さんみたいな『好き』・・・」

 

知世 「内緒ですよ。・・・苺鈴ちゃんと違って私には素直にその思いを伝える事は出来ません。伝えたらさくらちゃんは戸惑いながらも受け入れてくれるでしょうから・・・」

 

なのは「・・・受け入れてもらえるのなら何で言わないんですか?」

 

知世 「それは多分、私が求めている『好き』にはならないからですわ。勿論、李君のと同じ気持ちの好きになって私を求めてくれるのでしたら話は別ですけど、そうでないのでしたら、それはきっとその場では丸く収まっても必ず先の未来でほころびが生(しょう)じます。」

 

なのは「・・・・・・」

 

知世 「でも、伝えたかった・・・さくらちゃんに『好き』だと・・・私にはそれを言う勇気がなかった。このまま今の上手くいっている関係が壊れてしまうかもしれないのが本能的に伝えるのを拒んだのかもしれません。前にさくらちゃんに「大好きな人が他に幸せを見つけているのでしたらそれでいい」なんて言っておきながら・・・私はずるいです・・・」

 

なのは「・・・・・・」

 

知世 「だから私はそんな苺鈴ちゃんがうらやましかったのかもしれませんね。そして、そんな彼女の心がつぶれてしまいそうになるかもしれないと分かったあの時、私はあの子の支えにもなってあげたいって思ったんです。苺鈴ちゃんは思いを伝えていた上で李君はさくらちゃんの方へと行ってしまわれましたから・・・」

 

なのは「同情・・・ですか?」

 

知世 「あの子はそれを望みません。ただ、私の思いも一緒に涙で流してほしかった。なのでしょうね・・・」

 

なのは「自分の気持ちなのに分からないんですか?」

 

知世 「案外、他人のよりも自分の気持ちの方が分からない時もありますわ。」

 

なのは「・・・・・・」

 

知世 「なにはともあれ、今なのはちゃんには泣きつくすことが必要だと思った・・・私はそのはけ口になりに来た。それだけですわ。」

 

なのは「何でそこまで私にかまうんですか?・・・」

 

知世 「誰にだって泣きたい時がありますわ。それが大切な人がいなくなった時なら尚更(なおさら)・・・それに先ほども言いましたがどんなに強くなった人でも泣く時は泣くんです。恥ずかしがったり、みっともなく思ったりする必要なんてどこにもありませんし、思われる筋合いもありません。それに・・・私にはこれ位しかできませんから・・・」

 

そう言って知世はなのはを自分の方へと体を寄せ、抱きしめる。なのはは抱きしめられた状態から少しだけ顔を上げると、知世の目尻(めじり)から涙が浮かんでいるのが見えた。

知世も内心ではとても辛くて、悲しくて、それを感じ取ったなのはの目からも自然と涙が再び流れ始めていた・・・

 

なのは「知世さん・・・」

 

知世 「泣いてくれませんか・・・」

 

なのは「ぇっ?」

 

知世 「私の分の悲しみも、なのはちゃんの涙で一緒に流しきっていただけませんか?・・・」

 

なのは「・・・うん・・・」

 

それからなのははまた泣き出した・・・大事な人を失ったのはなのはだけではない。知世もさくらも小狼も、そしてフェイトとアルフも・・・なのはは少なくても、知世と自分の分の悲しみは全部泣きつくしてしまおうと泣き叫んだのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知世がかつて苺鈴にしていたようになのはの悲しみのはけ口になっていた頃、さくらは『闇』と『クリエイト』のカードを発動させている部屋に来ていた。知世になのはの事を任せたは良かったが、以前なのはの事を託されたというのに、これでは自分ではなのはに何もしてあげられない事を物語っているかのような気がして、少しでも行方不明になってしまった彼女を感じ、どうしたらなのはのそして、フェイトの力になってあげられるのかを考えるためでもあり、そして、自身も苺鈴という大事な友を失った悲しみをみんなに見せないようにするためにここに来ていた。

 

さくら「苺鈴ちゃん・・・私じゃダメなのかな?私じゃ苺鈴ちゃんの代わりにならないよ・・・私じゃなのはちゃんもフェイトちゃんも笑顔にしてあげられない・・・折角私を頼って、なのはちゃんを託してくれたのに・・・御免ね・・・私・・・どうしたらいいの?・・・帰って来てよ・・・苺鈴ちゃん・・・」

 

そう言って涙を流していたさくらの背後から二つの人影がやってくる。さくらを呼ぶ声にさくらも振り返ると、そこにはハヤウェイ・プリーシアの二人がいた・・・

 

さくら「ハヤウェイさん・・・プリーシアさん・・・」

 

ハヤウェイ「ゴメン。覗くつもりじゃなかったんだけど・・・」

 

プリーシア「神楽を探しておったらお主がここに入るのが見えてな。神楽を見ておらぬか?」

 

プリーシアの問いにさくらは首をゆっくり左右に振る。それを見たプリーシアも「そうか・・・」と欲しい答えが得られずに少し残念そうにしていた。

 

プリーシア「あぁ~その・・・さくら・・・だったか?苺鈴とやらの事だが・・・残念であったな」

 

さくら「止めてください!!そんな事言わないで!!」

 

ハヤウェイ「プリーシア」

 

プリーシア「うぅ・・・すまん。そんなつもりではなかったのだ・・・」

 

さくら「ごめんなさい。私もつい大声出して・・・」

 

プリーシア「その~なんだ・・・えっとぉ~・・・」

 

さくら「ほぇっ?」

 

普段は大抵の人間にはつんけんするプリーシアであったが、流石にこういう場面では最適な言葉が浮かばず、珍しく煮え切らない態度であった。そして、「あぁぁ~もうっ!!」と頭を掻きむしりさくらに人差し指で差しながらさくらに詰め寄ってきた・・・

 

さくら「ほぇっ!?」

 

プリーシア「お主!!あんな子供に嘘つき呼ばわりされて悔しくはないのか!!」

 

さくら「ほぇぇぇ~!?」

 

プリーシア「ほぇぇ~ではない!!出撃前かわらわ達と別れた後に何があったかは知らんが、お主は初めからあのなのはとかいう子とした約束みたいな事を嘘で終わらせるつもりであったのか!?」

 

さくら「そんな訳・・・そんな訳ない!!私は苺鈴ちゃんが死んだなんて信じない!!言ったんだもん!!おまじないも掛けたもん!!『絶対、大丈夫だよ』って!!絶対帰って来てくれるもん!!・・・」

 

プリーシア「・・・ふっ・・・」

 

さくら「ぁっ!?・・・御免なさい!!また私・・・」

 

さくらの謝罪の後、プリーシアも「ふっ」と笑いながら「構わん」とさくらから1歩距離を取り、話をするには丁度いい位置に移る。すると、笑顔を浮かべながら自分の事を語り

出した・・・彼女が元の世界で結果的にある人物になりすまし、自国である『ヴィントラント王国』や敵国である『サブルム帝国』のすべての人間をだまし、『偽りの王女』とな

っていたことを・・・要するに影武者である・・・・・・もう元の世界で起こっていた戦争も終わり、隠す必要もないのもあるが、そもそも別の世界の人間には関係が無い事なのでぶっちゃけてしまっていた

 

プリーシア「そうして、わらわはずっと行方不明であった王女様の代わりに王女としてふるまい、色んな目から本物の王女様を守るために世界のすべてに嘘をついておったのだ。お主と違って、いわばわらわは国をも惑わす大ウソつきであるな・・・」

 

さくら「そんな・・・でもそれはその子を守るためなんですよね?だったら仕方がないじゃないですか!?」

 

プリーシア「仕方がないっか・・・ふっありがとう。嘘をついていたのにそんな風に言われると正直心が救われる。」

 

さくら「いえそんな・・・私はただ・・・」

 

プリーシア「さくら。わらわはもう大ウソつきでもよい。だが、お主は本当にあの苺鈴とやらの事をあきらめてしまったのか?」

 

さくら「そんな訳ない!!あきらめたくない!!苺鈴ちゃんはきっと生きてる!!」

 

プリーシア「ふっ・・・ならばそれでよかろう」

 

さくら「えっ?」

 

プリーシア「その・・・おまじないの言葉とやらを掛けてあの者が生きていると信じているのであればお主は嘘つきではない。あの者はどこかできっと生きておるさ」

 

さくら「そう・・・なのかな・・・」

 

プリーシア「しっかりせい!!お主が信じんでどうする?それともお主は嘘つきのままで終わってもいいのか?」

 

さくら「ううん!!そんなの嫌だ!!私はまだ苺鈴ちゃんの事、あきらめきれない!!」

 

プリーシア「ならば、そう信じ続けろ。よいな」

 

さくら「はい!!」

 

プリーシア「うむ」

 

プリーシアとさくらのやり取りを見ていたハヤウェイはつい「ふふっ」と笑ってしまっていた。プリーシアが「どうした?」と尋ねると「やっぱりプリーシアは優しいね」と言うとプリーシアは顔を赤らめながら慌てふためいていた。

 

さくら「・・・仲がいいんですね。プリーシアさんとハヤウェイさん」

 

ハヤウェイ「うん」

 

プリーシア「・・・ふふっまぁな!!」

 

三人はつい笑いだしていた。さくらも信じ続ける事にした。「苺鈴達が帰ってくること」を、そう思うと自然といつもの彼女に戻れたのだろう・・・・・・

そして笑い終わったハヤウェイは、ずっと気になっていた事をさくらに聞き出していた。この部屋の中央にある黒い球体について・・・

 

さくら「あぁこれですか?これは私の魔法で作り出した『夜』です。」

 

プリーシア「はぁっ!?」

 

ハヤウェイ「へぇ~そうなんだ。さくらの魔法ってすごいね!!『夜』を作っちゃうなんて」

 

プリーシア「受け入れ早いな、おい!!」

 

ハヤウェイ「っんで、この夜を使って何してたの?」

 

さくら「はい。この中には夜にしか使うことが出来ないカードがあるんです。あっ私の使う魔法ってカードを使うんですけど、中には使える時間が決まっているものがあるんです。

それで、この玉は『ダーク』ってカードを使って強制的に夜にして、その中で夜にしか使えない『クリエイト』ってカードを使っているんです。」

 

ハヤウェイ「へぇ~すごいなぁ~!!本当に僕達って別の世界に来ちゃったんだね?」

 

さくら「あっ!!そういえばブリジットさんも言ってました。私の魔法が『何でもあり』だって・・・」

 

プリーシア「そうなのか?・・・」

 

さくら「はい!!」

 

プリーシア「はぁ・・・・・・」

 

ハヤウェイ「んでさ?その『くりえいと』だっけ?それはなんのための魔法なの?夜じゃないと使えない魔法をわざわざ使うって事はよっぽど必要だったの?」

 

さくら「はい。・・・『時の庭園』に行く前に、苺鈴ちゃんのために作った『仮面ライダー』さんのベルトを作って、それを私の魔力で構成して、私からずっと魔力を送り続けて・・・

・・・」

 

ハヤウェイ「あれ?・・・さくら?」

 

プリーシア「どうかしたのか?」

 

さくらは突如、自分の使っていた魔法の説明を中断した。二人の呼びかけにも反応を示さずなぜだか茫然(ぼうぜん)としていた。そして、小声で「発動してる」とつぶやいていた・・・

 

プリーシア「発動しているとは何がだ?」

 

さくら「『クリエイト』が、まだ力を発動し続けているんです!?苺鈴ちゃんがいなくなったのに!?」

 

プリーシア「ん?それがどうかしたのか?」

 

さくら「おかしいんです!?苺鈴ちゃんが本当にいなくなっているのだとしたらその時点で『クリエイト』の力で作ったベルトも消えて、『クリエイト』が私の魔力を使い続ける事は無いはずなんです!!」

 

プリーシア「おい!!という事は!?」

 

ハヤウェイ「苺鈴も、もしかしてブリジットも!?」

 

さくら「二人が・・・生きてる・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、リンディはハヤウェイから預かった遺体の子供を霊安室に移動させ、リッテ達から天使の事・彼女達の素性を、反対にリンディ達からはプレシアや今いる世界そして、プレシアの話の中で聞いた『アルハザード』の事を聞いていた。しばらく話していた双方(そうほう)であったが、リンディは一度席を外し、リッテ達はフィーリアから『究極天使』について話を聞いていた・・・

 

フィーリア「何であそこに『究極天使』がいたんだろう?ここ別の世界だし、あれって確か12体しか作られていないって聞いてますけど・・・」

 

華凜 「確か拙者達が倒したのはサブルム戦の直前に戦った1体・・・『ウーム』と『バベルの塔』で戦ったのが合計・・・」

 

ヘル 「あの時は確か10体のはずです。それで合計11体、今にしてみれば確かに1体足りませんね?その処はリッテさん何かご存じでないのですか?」

 

リッテ「えぇ。実はサブルム攻略戦の後、報告によると行方不明になっていまして、帰還してきた究極天使は10体しかいなかったらしいんです。他の天使の大群に囲まれて一体位は倒されていたものだとばかり思っていたのですが、道理で残骸なんかも発見されなかったはずです。子供の遺体だけでなく、多少は外装なんかも残りますから・・・」

 

華凜 「成程。ではあの時、『三賢者』も『ジュダス』も出し惜しみをしていた訳ではなく」

 

ヘル 「この世界に何らかの拍子に迷い込みそして・・・」

 

リッテ「プレシア・テスタロッサの駒(こま)にされていた・・・という訳ですね・・・まぁでもある程度納得は出来ましたよ」

 

フェル「へっ?何で?」

 

リッテ「究極天使がこっち世界に迷う込んだように、私達の世界にもジュエルシードが二つも迷い込んだんですよ?こんなことが起こってもある意味不思議ではありません」

 

フェル・フィーリア「あぁっ~成程・・・」

 

華凜 「しかし、折角ブリジットの救援に来たというのにこんなことになるとはな・・・」

 

ヘル 「彼女の事は残念ですが・・・リンディさんの話では虚数空間に飲み込まれた者が生還したという事例はないそうですし・・・」

 

???「へぇ~そうなんですか?という事は私達が記念すべき生還者第一号って訳なんですね、はい・・・」

 

フェル「何言ってんのさぁ?ここにいないのに生還者第一号っておかしいでしょ?」

 

???「いやですから、ここにいますって。勝手に殺さないでくださいってば」

 

フェル「へっ?・・・」

 

フェルに続いてフィーリア・華凜・ヘル・リッテが声のした方へと視線を向けると、少しの間の後、「えぇっ~~!?」と叫び出し、その叫びはアースラに響き渡っていた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知世 「なのはちゃん、もうよろしいのですか?」

 

なのは「はい。まだ少し辛いですが、おかげで泣き切れました・・・知世さん」

 

知世 「はい?」

 

なのは「私・・・フェイトちゃんに酷い事言っちゃった。さくらさんにも・・・私、謝らないと!!」

 

知世 「えぇ。そうですね。行きましょうなのはちゃん。私も一緒に謝りますから」

 

なのは「ありがとう・・・知世さん・・・」

 

知世 「お安い御用です。その代わり・・・」

 

なのは「えっ?」

 

知世 「私がさくらちゃんの事を好きなのと、苺鈴ちゃんが私の膝で泣いていたことは秘密ですよ?」

 

なのは「はい」

 

知世 「うふふふっ・・・」

 

???「何か、すごいこと聞いちゃったわねぇ~・・・」

 

突如、なのはと知世のいる部屋に訪問者が現れる。扉が開いたと同時につい聞こえてしまった事にただ驚きながらも、特にこれといったリアクションをするでもなく、ただ腕を組んで部屋にいる二人を見つめる。反対に二人も、そして、扉の外にいた神楽もその人物を見て開いた口がふさがらず、ただ信じられないと顔に出していた。それもそのはず、その人物は死んだものだとばかり思われていたのだから・・・・・・

 

???「・・・久しぶりね。二人共」

 

なのは・知世「苺鈴ちゃん?・・・・・・」

 

 

 

 

 




苺鈴 「虚数空間に飲まれた私達はそのまま死んだものだとばかり思ってたんだけど・・・」

ブリジット「なのはさん達にとってはあっという間の生還劇でしたが、私達にとっては長い道のりだったんですよねぇ~もう苦労しましたよぉ~」

苺鈴 「そうねぇ~・・・私達にも意外な出会いもあって・・・次回、『カードキャプターさくら外伝』「ジュエルシード編」第17話」

ブリジット「『苺鈴とブリジットとAWAKE(アウェイク)』・・・では苺鈴さん今回は私に合わせてくださいです、はい。」

苺鈴 「了解!!」

ブリジット「では行きますよぉ~!!」

ブリジット・苺鈴「輝け!!心のプリズム!!」


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