カードキャプターさくら『苺鈴外伝』   作:狼と踊る男

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私用で大変遅くなりまして申し訳ございません。ついでに言いますとこの話は最後の方はもう少し続いてから終わる予定でしたが、自分がしびれを切らして投稿しちゃいました。
またしばらく空いちゃいますが、どうぞお楽しみください。
後、プリズムでイリヤな子と同じ声の人が出てきます


『PRISM ARK AWEKE(アウェイク)』編
17話『苺鈴とブリジットとAWEKE』


『アースラ』内、フェイトとアルフのいる隔離部屋ではフェイトはまだ泣き続けていた。あんなことを言われたのだからそのショックは中々消えないであろう・・・アルフも目じりに涙を浮かべながらもフェイトをなでて、少しでも慰めようとしていた・・・そんな中、フェイト達のいる部屋の扉が開き、二人の少女が部屋に入室してきた。その人物たちの姿を確認すると、フェイト・アルフの両名は自身の目を疑い、何度か目をこすり、指を震えながら指していた・・・

 

フェイト「ブリジット?・・・苺鈴さん?・・・・・・」

 

ブリジット「ただいま帰りました。フェイトさん・アルフさん」

 

苺鈴 「心配かけたわね」

 

アルフ「あんたたち・・・どうして?・・・」

 

フェイト「ブリジット!!」

 

フェイトは立ち上がり、ブリジットに抱き着き彼女の胸の中で泣き出した。しかしこれは悲しさから来たものではなくうれし涙のようなものであろう、なにせ死んだと思われていた人間が生きて目の前に帰って来たのだから・・・

 

ブリジット「遅くなってしまってすみませんですはい」

 

フェイト「ううんいいよ。無事に帰って来てくれてよかった・・・本当に・・・」

 

ブリジットはフェイトの頭をなでて自身も「本当に帰って来たんだなぁ~」としみじみとかんしょうに浸っていたが、苺鈴はフェイトにある用事があったため悪いとは思ったが二人の間に割って入った

 

苺鈴 「これを見てほしいの」

 

フェイト「これ?・・・」

 

苺鈴が手に取った物は自身のスマフォであった。一同はベッドの方へと移り、ブリジットにスマフォを渡し、画面を向けると一つの動画が再生されていった。その動画を見てしばらくすると、フェイトはまた涙を浮かべてアルフとブリジットはフェイトをやさしく抱きしめていく・・・

そして、動画に夢中になっていた内に部屋を出ていた苺鈴は部屋のすぐそばの壁に少しの間もたれかかっていたが、フェイトの鳴き声を聞いてまるで安堵したかのような表情を浮かべながら小声で一言つぶやきながらこの場を去っていった・・・・・・

 

苺鈴 「約束・・・無事に果たしたわよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「というわけでみんな・・・ただいま・・・」

 

さくら「お帰り苺鈴ちゃん!!」

 

食堂に集まっていた一同と再会した苺鈴はさくらに抱き着かれさくらの後頭部をやさしくなでる。ほかのメンバーも苺鈴とブリジットの帰還を心から喜び安堵の表情が出ていた。(もっとも今ブリジットはフェイトの所にいるわけだが)そんな中なのはは知世の後ろに隠れながらゆっくりとこの場に姿を現す。照れくさそうな雰囲気ではなく何か後ろめたさのようなものを感じさせていた・・・

 

知世 「なのはちゃん」

 

なのは「ぁっ・・・ぇっと・・・その・・・」

 

苺鈴 「お出迎えはない訳なのは?」

 

なのは「ぇっ?・・・」

 

苺鈴 「そりゃさっきフェイトの居場所聞いてさっさと出てっちゃったけどさぁ、お姉ちゃんとしては出迎えなしってのも寂しいなぁ~・・・チラッ・・・」

 

実は先に知世・なのはと再会した苺鈴はフェイトの居場所を聞いたらそうそうに部屋を後にしてしまいブリジットと合流してフェイトの元へ行ってしまったのだ。そのためろくな挨拶もなしになってしまったのだ。「悪いことした」と一応、非を認めた上であえてなのはに催促(さいそく)していた。ワザとらしくそっぽ向き「チラッ」と擬音を口にしながら視線はなのはに向ける。なのははゆっくりと知世の後ろから一歩、また一歩と歩き出していく・・・それを見た苺鈴はさくらを抱きしめる力を緩め、さくらもゆっくりと苺鈴から離れていき一歩分後ろに下がる。苺鈴の名前を叫びながら苺鈴に飛びつくなのはとそれを受け止める苺鈴。苺鈴に抱き着いたなのはは苺鈴の名前を何度も涙ぐみながら呼び続けていた・・・

 

苺鈴 「遅くなって本当にごめんね。なのは・・・ただいま・・・」

 

なのは「うん!!・・・おかえり・・・苺鈴ちゃん」

 

苺鈴 「うん・・・知世もただいま。後回しになっちゃってごめん」

 

知世 「お構いなく・・・っと言いたい処でしたけど、ちょっとムッ!!としてますわ」

 

苺鈴 「へっ!?」

 

知世 「・・・・・・」

 

珍しく知世が拗ねているかのような事を言って、おまけに片頬を膨らませ、目に光がなくなっているところから割と本気っぽい雰囲気を感じ取った苺鈴も「あの知世が!?」と珍しく慌てふためき、なのはを抱きしめる片手を放して、知世を受け入れる体勢に移すと知世もいつもの笑顔を浮かべながらゆっくりと苺鈴に抱き着きその身を苺鈴にゆだねる。なのはと知世、二人が身をゆだねる分、支える苺鈴もうっかり後ろに倒れないようにするのも少し大変な様子だ

 

苺鈴 「う~~ん・・・この体勢って、二人分は結構しんどいわね」

 

知世 「心配かけたんですからこれ位耐えてください」

 

なのは「そうだよ!!これ位苺鈴ちゃんなら余裕でしょ?」

 

苺鈴 「そりゃ余裕だけど限度ってものがってあらぁ~!?」

 

体勢が悪かったのかうっかり足を滑らせた苺鈴は後ろに知世となのはのクッションになるかのように倒れてしまう。知世となのはは苺鈴がクッションになったことで特に痛みはなく苺鈴一人が「いたたっ・・・」と痛みを訴えていたが、なのはと知世は目尻に涙を浮かべながらも笑っていたのであった・・・

 

さくら「大丈夫皆!?」

 

小狼 「ほらっ手を貸せ!!」

 

なのは「ぁっ・・・」

 

さくらと小狼は倒れた三人に手を貸そうとしたが、さくらを見た途端なのはは暗くなった。それもそうだ。ついさっきあんなこと言ったばかりなのだから、とりあえずさくらの手をとったなのはは立ち上がり、知世も小狼の手を掴み立ち上がる。そして最後に知世と小狼の手を取って苺鈴も立ち上がるとなのはの様子が明らかにおかしいのに気づきこっそり知世に耳打ちしてなのはとさくらの間に何があったのかを聞き出していた。

 

知世 「実は苺鈴ちゃんが帰ってくる少し前なんですけどカクカク・シカジカで・・・」

 

苺鈴 「なるほどねぇ~・・・ってそれってまんま私のせいじゃない!?」

 

小狼 「それでよく通じたな?」

 

苺鈴 「今それ突っ込んでる場合じゃないでしょ!?まさかこんなことになるなんてねぇ~はぁ~あの時、記念撮影だのなんだのとか言って浮かれてた自分が情けない・・・」

 

知世・小狼「記念撮影?」

 

苺鈴 「その話はおいおい、今は先にあっちよ」

 

ものすごく気まずそうにしているなのはとさくら。しかもその原因は自分にあるということから苺鈴の心にも罪悪感が大きくなっていき、慌てながら二人の前に飛び出し、体を90度に曲げて長いツインテールも下に垂れ下げながらさくらに「ごめんなさい!!」と謝罪をしていた

 

さくら「ほぇぇ~~!?」

 

なのは「何で苺鈴ちゃんが謝ってるの!?」

 

苺鈴 「当り前よ!!妹の不始末は姉である私の責任でもあるし、それにこうなったのも私のせいなのよ!!それに、よりにもよってさくらと小狼にそんなこと言っちゃうなんて・・・本当にごめんなさい!!」

 

さくら「そんな顔をあげてよ!!私も小狼君も気にしてないから!!」

 

苺鈴 「許してくれるの?」

 

さくら「もちろんだよ!!それに苺鈴ちゃんなのはちゃんにちゃんと教えてくれたもん」

 

苺鈴 「私がなのはに?・・・何を?」

 

さくら「苺鈴ちゃんが無事に帰ってきてくれたから、私が掛けた呪文がちゃんと効いて、『嘘つきじゃない』って証明してくれたでしょ?」

 

苺鈴 「さくら・・・」

 

さくら「だから・・・ね?・・・」

 

苺鈴 「ありがとう」

 

さくら「うん」

 

苺鈴 「小狼も本当にごめん!!なのはを許してくれるかしら?・・・」

 

小狼 「俺もさくらと同じ意見だ。さくらが気にしてないのなら俺もそれでいい」

 

苺鈴 「二人共・・・ありがとう!!」

 

なのは「苺鈴ちゃん・・・・・・さくらさん・小狼さん、ひどいこと言ってごめんなさい!!」

 

頭を下げ続ける苺鈴を見習ってか、なのはも同じように体を90度に曲げて頭を下げ、謝罪する。その姿を見てさくら・小狼も二人に「顔を上げて」と謝れた方ですらあたふたしてこれでなのはとさくら・小狼に出来た溝もほとんど修復出来た事に周りの者達も安堵の表情が出来ていたのであった・・・

 

ハヤウェイ「これで一件落着かな?」

 

ユーノ「ですね」

 

フェル「いやぁ~一時はどうなることかとひやひやしたもんだ」

 

神楽 「よかった・・・・・・」

 

小狼 「ところで苺鈴、お前達はあれからどうやって戻ってきたんだ?」

 

虚数空間に飲まれた者はまず生還したという事例はなく、そもそも管理局でも虚数空間の事自体も未だ解明がほとんどされていないような現状で、あっという間にけろっと帰ってこれた苺鈴達には多くの謎が残されていたのだ。小狼の当然の疑問を投げかけられた苺鈴に、その場にいた全員の視線が集中する。それに応えるかのように苺鈴は自分とブリジットの身に起こった事を語りだしていく・・・・・・

 

苺鈴 「それがさぁ~なんとびっくり!!私達ブリジットさんの故郷に行ってきたのよ!!」

 

さくら「ブリジットさんの故郷?・・・」

 

知世 「という事は・・・」

 

ハヤウェイ「僕達の世界って事?」

 

苺鈴 「まぁ正確に言うと、『同じだけど、同じじゃない』世界だけどね」

 

苺鈴の言っていることが理解できない一同は?マークを頭上に浮かべ、それを感じ取った苺鈴は更に詳しい事を話し出した。『時の庭園』崩壊後に経験した、新しい冒険譚(ぼうけんたん)を・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれはそう、私が虚数空間に飲まれてすぐだった・・・・・・しばらく体の感覚も消えて深い眠りについたかのような気がしたわ・・・

 

 

 

 

 

・・・あれは・・・なのは?・・・・・・

 

視界の中に、なのはが映ってる・・・雨の中、墓石の前で泣き崩れている?・・・その後ろにいるのは・・・知世!?さくらに小狼も!?・・・桃子さん・史郎さん・恭弥さんに美由紀さん。ありさにすずか・・・みらいにリコまで!?それに端っこに見えるのは・・・・・・香港にいるお父様・お母様!?ウェイや小狼のお母様やお姉さま達まで!?待ってよ!!私まだ生きてる!!意識がここにあるのよ!?お願い気付いて!!誰か気付いて!!皆、行かないで!!私を置いていかないで!!私はここにいる!!ちゃんとここにいるってばぁ!!

 

 

 

 

 

苺鈴 「行かないで皆ぁぁ!!・・・ぁっ・・・」

 

苺鈴は目を覚ました。右手を天井に向けて、目には涙が流れていた。恐怖それとも孤独を感じたのか表情も暗く、「夢?・・・」となんとか体を起こし、天井に向けていた右手を見つめていた。

そして、「生きている」という感触を感じた苺鈴は状況を整理しようと今自分がいる場所を確認していた。どうやらどこかの施設にいて、自分は丈の長い白いシャツに着替えさせられており、ベッドの上で眠っていたようであった。

 

???「・・・あっ!?良かった。目が覚めたんですね?」

 

苺鈴のいた部屋のドアが開き、一人の少女が入ってくる。デコを出してクリーム色っぽい感じのツインテールをして、物腰が柔らかそうなブリジットに負けないほどの巨乳の少女であった。

 

苺鈴 「あなたは?」

 

ルーア「私はルーアって言います。この街の外の川辺で倒れているのを見つけて知り合いのいるこの孤児院であなたの介抱をさせてもらっていました」

 

ルーアと名乗った少女に対して自分も自己紹介を簡単に済ませた苺鈴は詳しい話をルーアから聞き出す。そこで分かった事はこれだ。

 

一つ・今いるこの場所は『メディアード』と呼ばれる貿易都市で、その中の孤児院にいる事

 

二つ・苺鈴が眠っていたのはおよそ1日であった事

 

三つ・苺鈴が眠っていた付近には他には誰もいなかった事

 

そして、四つ目にこの世界には『日本』が存在していない事・・・『和の国』と呼ばれる国はあるが、それが自分の知る日本と同じとは思えず、この世界なりの日本なのであろうと考えられたのだ。

ほどなくして部屋にルーアの名を呼びながら別の訪問者がやってくる。その人物を見た瞬間苺鈴は驚愕した。その人物とはついさっき知り合ったばかりではあったが、妹や友人達の事を頼んだ人物であったのだから・・・・・・

 

ルーア「あっハヤウェイさん」

 

ハヤウェイ「おっ?目が覚めたみたいだね?俺はハヤウェイ。気分はどう?」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

ルーア「あっ!!警戒しなくて大丈夫ですよ。ハヤウェイさんは私の旅の仲間で、ここまで運んでくれたのも彼なんです」

 

苺鈴 「ハヤウェイさん?・・・何ですよね?」

 

ハヤウェイ「へっ?そうだけど?・・・」

 

苺鈴 「ハヤウェイさん!!なのは達はあれからどうなったんですか!?フェイトも無事何ですか!?それにブリジットさんはいないんですか!?詳しく聞かせてください!!」

 

ハヤウェイ「へっ!?ちょっと待ってよ!!君誰なんだよ!?なのは?フェイト?それにブリジットって一体誰!?」

 

苺鈴 「どういう事なの?・・・・・・」

 

ルーア「ハヤウェイさん!?この子と知り合いだったんですか!?」

 

ハヤウェイ「知らないよ!?俺も昨日あの川辺で見たのが初めてだし!!」

 

苺鈴は混乱していた。この右も左も分からない状況で唯一(ゆいいつ)の知り合いである

ハヤウェイが自分を知らないときたものだから・・・

3人が困惑していた最中またもや部屋に訪問者が現れ、少し乱暴にドアを開けハヤウェイとルーアの名前を叫ぶ一人の女性がそこに立っていた。シスターの服を着てスタイルのよい金髪の女性であったがこの人物も苺鈴には見覚えがあった・・・

 

苺鈴 (あれ?この人って確か・・・『シスター・ヘル』さん・・・だったかしら?でも・・・服がきれいだし、眼鏡も掛けてなかったような・・・それになんか雰囲気も違う・・・)

 

苺鈴が見たシスターは『時の庭園』で出会った『シスター・ヘル』に瓜二つであった。「双子?・・・」とも考えたのには理由があった。雰囲気が違っていたのだ。

『シスター・ヘル』は怖く冷たそうな印象が強く、目の前のシスターはその反対の印象が強かった。それにヘルはしていないが、このシスターは眼鏡をしていたのだ。視力が悪い

者が戦闘中に眼鏡をかけていないのは不自然に思え、普段の生活の方だけでつけるとは考えにくいと判断したからだ。もっとも世の中、良すぎるために逆に落とすためにする者もいるが『シスター・ヘル』の個人情報を詳しく知らないため実はこのシスターが『シスター・ヘル』本人という事には気付く事は無かった苺鈴である。因みに『シスター・ヘル』というのは二つ名のような物なので本名は『テレサ・ティレット』という・・・

 

テレサ「ウェル達を見ていませんか!?」

 

ハヤウェイ「いや、こっちには来てないけど・・・」

 

苺鈴 「ルーアさん、ウェル達って誰?」

 

苺数がルーアに尋ねた人物は今、苺鈴がいる孤児院で暮らしている子供達の事で、ウェル・エテ・メトという三人の子供の姿がどこにも見当たらないというのである。

嫌な予感を覚えたテレサは必死になって三人を探している処であったのだ。それを聞いたハヤウェイとルーアは三人を探すのを手伝う事にするが、それに苺鈴も加わると苺鈴自身が志願してきたのだ・・・

 

ルーア「助かりますけど、まだ休んでいた方が・・・」

 

苺鈴 「そんな話を聞いた後じゃ逆に心配でおちおち寝てられないですよ。それにお世話になった恩もありますし、私にも探すのを手伝わせてください!!」

 

正直に言うとけが人に無理をさせたくはないが、あの子達に何かあってからでは遅いと申し訳なさそうに頼み込む。ハヤウェイ達の許可ももらった苺鈴も、机にたたまれて置いてあった知世の作ってくれたコートを羽織り「行きましょう!!」と四人は部屋を後にした・・・

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「エテ君!!・・・メト君!!・・・」

 

テレサ「ウェル!!・・・何処ですかぁぁぁ~~!!・・・」

 

苺鈴達は二手に分かれて子供達を探すことにした。ハヤウェイはルーアと苺鈴はテレサと組む事にして『メディアード』の中のいたるところまで探し回っていた。探し始めて小一時間ほど経ち、テレサには焦りも見た目で分かるほど出ており、苺鈴も小さい子供という事を聞いていたため正直焦っていた・・・

 

苺鈴 (参ったわね・・・こんな時に何か人探しに使えそうな魔法か道具でもあれば・・・私が持ってるのって言ったら・・・この手だけなのよねぇ~・・・んっ?・・・『手』?・・・)

 

何かに気付いた苺鈴は自身の手を見ると、「あっ~!?」と急に叫び、思わずテレサも苺鈴に向けて視線を変え何事かを尋ねると、苺鈴はある事を尋ねた

 

苺鈴 「テレサさん!!私のベルト知りませんか!?」

 

苺鈴が尋ねたベルトとは『サイクロード』の事であり、『レーダーハンド』の機能を使えば探し人も「すぐ見つかるのでは」と考えたのだが、苺鈴が目を覚ました場所にはコートはあったが、サイクロードは部屋に無かったのだ。テレサの話によると、このメディアードに入国する際には武器の類(たぐい)は護身用の短剣以外は持ち込みできない決まりになっており、ハヤウェイ達が苺鈴を連れて来た時にベルトから強い魔力の反応があったため安全のために関所(せきしょ)で預かっているとのことであった。しかし、サイクロードを取りに行くまでもなく事態は動いていった・・・

 

???「お嬢さん方、誰かをお探しかい?・・・」

 

苺鈴とテレサの前に一人の中年男性がふらっと現れ何となく不審者な気がした苺鈴は思わず身構え、テレサは若干嫌そうな顔をしてその人物を見る。その人物は何となくつかみどころがないようで、若干ヘラヘラしてそうな感じでもあった。しかし、見た目はそれなりに紳士な男性な感じも持っていた・・・

 

テレサ「何故あなたがここに?いつの間にかどこかに消えたと思ったらまだメディアードにいたとは・・・」

 

苺鈴 「あれ?テレサさんこの人知り合い何ですか?」

 

テレサ「一応・・・仲間です。実力はありますが、私はあまり好きではありません・・・」

 

???「それはひどい話だなぁ~折角お前さん達が食い尽きそうな話を持ってきてやったんだがなぁ~・・・」

 

どうにも胡散臭そうな感じがしてテレサが「ほっといて行きましょう」とその場を後にしようとするが、「ついさっき子供を見かけたんだけどなぁ~」とつぶやくと二人は目を大きく開き男性に振り返る。

 

テレサ「あの子達を見たのですか!?」

 

苺鈴 「教えてください!!お願いします!!」

 

男性が言うには、チラッと見えただけであったらしいが、ウェルという女の子に似た子を見かけ、その時は気のせいかと考えたらしいが、孤児院の子供たちの名前を叫んで周辺を捜索している二人を見かけて声を掛けたという訳だ。男性の話だと町はずれの林に通じる方へと向かったらしく、二人は取り合えず一言お礼を言いその場を後にして、町はずれへと急行するのであった・・・・・・

 

苺鈴 「とりあえず手がかりがつかめましたね!!」

 

テレサ「えぇ!!・・・皆無事だといいのですけど・・・」

 

???「まてぇぇ~~!!」

 

町を走っていた苺鈴とテレサの前方から大声で走ってくる騎士甲冑の騎士一人とその前を走る小太りの男が見える。二人はそれどころではないので構わず行こうとするがそうも

いかなくなった・・・その理由は小太りの男が刃物を取り出し振り回しながら苺鈴に近づいてきたからだ

 

小太り男「どけぇぇ~~!!」

 

苺鈴 「なっ!?んんっ!!」

 

小太り男「ぐぇっ!?」

 

苺鈴 「邪魔しないで!!危ないじゃないのよ!!」

 

小太り男は短剣を一本前に突き出し、苺鈴・テレサをどかせようとする。しかし苺鈴はすぐさま対応してその突き出していた右手首・腕をつかみ背を向けて背負い投げを放つ。

小太り男の走ってきた勢いも合わさって地面に叩きつけられた衝撃も強く小太り男は背中を強打し目を回していた・・・

小太り男を追いかけてきた騎士はその様子を見てそのまま近づいてはいたが思わずぽかんと開いた口が塞がらない顔をしていた。近づいてきた騎士に小太り男を引き渡した苺鈴は再びテレサとともにその場を駆けていく。その騎士は走っていく二人というより苺鈴の後姿を見えなくなるまで見ていた・・・

 

騎士 「・・・すごかったなあの子・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「はぁ~・・・はぁ~・・・はぁ~・・・」

 

メディアード郊外の花畑がきれいな林にて、そこには苺鈴達が探していた子供達『ウェル』・『エテ』・『メト』がいた。しかし、三人はひどく怯えとある少女の背に隠れて自分達の目の前にいる巨体の姿を見つめる。その巨体の正体はこの世界では戦争に駆り出されていた生体兵器の一体『ザクェル』であった。そしてその3人を庇っていたのはブリジットだった

 

ザクェルが雄たけびを上げると大地は震え、その声は子供達に更なる不安をあおるには十分で子供達を庇うブリジットにも危機を感じさせるには充分であった・・・

ブリジットは血まみれになっており、左腕はだらんと下がり、右手には愛用の短剣を逆手に持ち構え、息を切らしていた。少し前・・・ブリジットはこの花畑で目を覚ました。子供達の声が聞こえてきてそれで目が覚めたのだ。その時はブリジットも特に大怪我を負っていた訳ではないが、その直後にザクェルがこの場所に現れたのだ。そのとき子供達を狙った攻撃を代わりにまともに受けたことで今の状態になってしまい、今この状況の打破に向けて試行錯誤している真っ最中であった・・・・・・

 

ブリジット「はぁ・・・困りましたね・・・うっぅぷっ!!ぶはぁっ!!」

 

ブリジットは吐血し、足元には血だまりが出来ていた。子供達は「お姉ちゃん!!」とブリジットを心配するが、「下がって!!」と子供達を下げさせる。ザクェルを睨みながらブリジットは子供達に告げる。「合図したら行って」と・・・

 

ブリジット「でぇい!!」

 

ブリジットは力一杯、煙玉を投げる。それがザクェルの顔面に命中するとザクェルの頭部を煙が包み込みザクェルは煙の中、頭部を左右に動かし、目の前にいるはずの目標

を捉える事が出来なくなっていた。その直後ブリジットは「逃げて!!」と子供達に合図を出し、ブリジットはザクェルめがけて駆け出す。しかし、ザクェルは腕を思いっきり振るいその衝撃波で煙も消え体力に余裕がなかったブリジットも簡単に吹き飛ばされ子供たちのいる方へと転がって行ってしまう。子供達は思わず足を止めブリジット・ザクェルを交互に見る。ゆっくりと近づくザクェルの距離がおよそ5メートルほどにまで達した時、ザクェルは右腕を高々と掲げ、ブリジットは咄嗟に体を動かし、子供達を抱きしめ体を張って盾になろうとした。

 

ザクェル「ヴぉおっぉっぉぉぉ~~~!!」

 

ブリジットも、子供達も咄嗟に目をぎゅっとつぶった。その場にいた者全員が「もう駄目だ!!」と死をも覚悟した・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「今、雄たけびみたいなのが聞こえましたよね?」

 

テレサ「えぇ!!こっちのはずです!!」

 

森に急行していた苺鈴とテレサはザクェルの雄たけびが聞こえてきて、その方角へと向かっていた。しばらく走っていると、爆発音も聞こえてその後にザクェルの悲鳴に似た雄たけびも聞こえてくる。その声と音が聞こえてきたため、最悪の光景も脳裏に浮かんだ二人は更に走る速度を速めた・・・

 

苺鈴 「・・・何よこれ?・・・」

 

テレサ「あれは!?」

 

苺鈴 「・・・ブリジットさん!?」

 

二人は森を抜け、見晴らしのいいところに出る。とはいってもやはり森の中なのだが、苺鈴とテレサの視線の先には頭部が焼け焦げて首(こうべ)を垂れるザクェルと血まみれのブリジットにブリジットに抱きかかえられた子供達の姿があった。苺鈴はブリジットを、テレサは子供達の名前をそれぞれ呼び、駆け寄る。ブリジットの怪我はひどく、出血も多かったために意識を失っていたのか、反対に子供達は外傷も見られず、気絶しただけであろうと判断できた。ブリジットには申し訳ないと感じたが、子供達だけでも「無事でよかった」とホッとしていた。

 

苺鈴 「テレサさん。これってザクェルですよね?『サブルム帝国』が使役(しえき)していたっていう『天使』の・・・」

 

テレサ「えぇ。確かにこれはザクェルです。とはいえこれは『はぐれ天使』のようですが・・・」

 

苺鈴 「はぐれ天使?」

 

テレサ「えぇ。主をなくした『天使』ですよ。行き場をなくした兵士の成れの果て、とでも思ってください」

 

テレサは動きを止めたザクェルを見ながら思った。「この少女が倒したのか?」と・・・そう思ったところでテレサは草むらに紫色の何かがあるのが見えた。それを苺鈴にも伝えると苺鈴はテレサに倒れている4人を任せその紫の正体を確かめに行く・・・

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

苺鈴は得体のしれない何かに警戒を怠らずゆっくりと近づく・・・そして、あと一歩で完全に姿を捉える事が出来る位置まで来て少しの間の後、一気にばっ!!と飛び出す。すると紫の何かの正体がはっきりと見る事が出来た。その正体は意外な『者』であった・・・・・・

 

苺鈴 「プレシア・・・テスタロッサ?・・・・・・」

 

 

 




苺鈴 「ここに来てまさかの異世界旅とはねぇ~・・・」

ブリジット「それにしてもハヤウェイさんといたあのルーアって方、何者なんでしょうか?」

苺鈴 「次回、『カードキャプターさくら外伝』「ジュエルシード編」18話・・・」

ブリジット「『騎士達のアルバイト』輝け、心のプリズム!!・・・ところで苺鈴さん知世さんと小狼さんとの会話の中で言っていた『記念撮影』ってあの時の・・・」

苺鈴 「それは今は内緒よ」
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