そんなこんなで苺鈴達は学校の寮へとルーアの先導で向かう事となりハヤウェイとは男子寮の場所が違うため途中で別れる事になり女子寮にたどり着くと女性陣は中に入り都合よく一人のメイドがいたのでその人物に寮長へ話を通してもらおうと考えたが、ルーアの姿を視界にとらえるとむしろ向こうの方から駆け寄ってくるのであった。やってきたのはこれまた『時の庭園』で出会った者であった
メイド「ルーアさん!?」
ルーア「お久しぶりですフィーリアさん!!」
メイドの正体はハヤウェイの妹であるフィーリアであった。どうやらここで『も』働いているようでデッキブラシを持っていて、ルーアの後ろにいる苺鈴達の事も簡単に紹介し、苺鈴達も改めてフィーリアの事を紹介されていた。するととんでもない事まで明かされその事実にはプレシアは特に気にも留めてはおらず、ブリジットが一番驚愕していた
ブリジット「フィーリアさんが行方不明だった王女様!?」
フィーリア「はい。私もつい最近知ったばかりなんですけどね?」
苺鈴 「王女様がメイドしてるなんて・・・ブリジットさんの世界だと王族がメイドとか執事やるのって普通なの?」
ブリジット「そんな訳ないですよ!?でも考えてみればそうか・・・私元の世界でハヤウェイさんが王位継承者だと疑って調べていたんですもんね?妹であるフィーリアさんが王女の可能性はその仮説の時点で浮かんでいる可能性な訳ですし、いやでもだとすると、マイステル国王陛下とプリンセア王妃の子供がそもそも二人いたって事に?その時点で情報がすでに間違っていた?いやでもそうなると実は義理の兄妹だったとも考えられる訳で・・・」
苺鈴 「な~にぶつぶつ言ってんのぉ?」
フィーリア「なんだかよくわからないけど、とりあえずよろしくです苺鈴ちゃん・ブリジットちゃん」
苺鈴 「こっちこそよろしく」
苺鈴は右手を差し出しフィーリアは握手を返してとりあえず一同は急遽フィーリアがセッティングしてくれた部屋でくつろぐこととして旅の疲れを出来るだけ取ろうと夕飯までは部屋で大人しくしていたそうな・・・
同じ頃、ハヤウェイも在学中お世話になった懐かしい男子寮へと足を運び中へ入ると丁度人が通りかかった処であるようで、その人物は長身で若干薄い緑色のロングヘヤーの眼鏡を掛けた男性であった。その人物もハヤウェイの姿を視界に入れると目を大きく見開き、両者は歩み寄り互いに笑みを浮かべていた
ハヤウェイ「エイン!!」
エイン「ハヤウェイじゃないか?久しいな」
この男性は『エイン・ラッセル』。かつてハヤウェイとルーアがまだ『ローゼンベルグ騎士養成学校』の生徒だった頃からの友人の一人で、(一応)友人の剣士『アクティ・アクセル』と治癒魔法の使い手の『ユング』と言う二人の人物とクエストのパーティーを組んでいた事から密かに『3バカトリオ』と呼ばれていた事もある不憫な人物の一人である。
戦争が終わりその後は母校で教師を務めているようであったため男子寮にいたのであった。
エイン「成程な。それでこんなに早く戻ってきた訳か」
ハヤウェイ「あぁ。ところでアクティとユングはどうしてるんだ?二人の進路聞かないまま旅に出たから・・・」
エイン「アクティは今賞金稼ぎをしながら落ち着けるところを探しているそうだ。ユングは実家に戻って医学校に入学するための勉強中らしい」
ハヤウェイ「医学校に?」
エイン「あいつ、治癒魔法だけでなく魔法を使わない医療も勉強したいと言っていてな。お前達が旅立ってすぐに実家に帰ったんだ。だがキザーロフ校長が臨時招集をかけたもんだから、二人共また戻ってくる事になっている」
ハヤウェイ「じゃあまた皆に会える訳だ」
エイン「そういう事だ。しばらくはお互い教師としてせいぜい頑張っていこうかハヤウェイ『先生』」
ハヤウェイ「ご指導お願いしますエイン『先輩』!!」
エイン「・・・お前にそう言われると、妙な気分だな?」
ハヤウェイ「俺も」
二人は笑い出し、短い期間だが友と再び過ごせる事に喜びを感じハヤウェイも教師を頑張っていこうと意気込んでいくのであった
翌日、再び校長室にてキザーロフの元に集まった苺鈴・ブリジット・ハヤウェイ・ルーア・プレシア・プリーシアそしてエイン。一同はそれぞれ得意分野での授業を担当することとなり、苺鈴は主に護身術という形で拳法を、プレシアは魔法に関する授業を、ブリジットはシノビであることを生かした隠密行動のイロハを、ハヤウェイとルーアは剣術系の指南を行う事となりハヤウェイとルーア・ブリジットとプレシア・苺鈴はエインと組んでそれぞれの教室の担任・副担任を務める事となる。しかし、苺鈴だけはちょっと他のメンバーとは違う点があった
苺鈴 「特別奨学生(とくべつしょうがくせい)?」
キザーロフ「うむ。聞くところによると君は元の世界ではまだ義務教育の段階らしいではないか?そこでこれからいつまでこの世界にいるかも分らん以上この世界の事は出来るだけ学んでいた方がよかろうと思ってな。君は基本担当授業以外ではこの学園の生徒として短い期間ではあるが学んでいってくれたまえ」
苺鈴 「ありがとうございます。なんだか申し訳ないですね?そこまで気を使ってもらって・・・」
キザーロフ「気にするな。優秀な人材を育成するのも、学校の務めであるからな」
プリーシア「苺鈴これを」
苺鈴 「これは?」
プリーシア「この学校の制服だ。急ではあったが、何とか準備できた」
苺鈴 「本当にもう何から何まで・・・」
ブリジット「苺鈴さん。着て見せてくださいよ」
苺鈴 「うぇ!?」
ブリジット「良いじゃないですか?どうせすぐ見せる事になるんですから!!」
ブリジットの押しもあって早速着替える事になったが、プリーシアがキザーロフ・ハヤウェイ・エインを外へ追い出しブリジット達も外へ出て校長室で着替える事となり、少し待つと扉が開き一同は「おぉっ~!!」と声を漏らしていた
苺鈴 「どう・・・ですかね?」
プリーシア「似合っておるぞ。なぁ?」
ハヤウェイ「うん!!」
ルーア「よくお似合いです!!」
ブリジット「懐かしいなぁ~私もついこの間までこの制服着ていたんですよねぇ~・・・」
純粋に『似合う』という言葉を受け取った苺鈴は頬をほんのり赤くしながら照れて人差し指で頬を搔いていた。一緒に付いていた膝より上にまで伸びる白ロングニーソと普通のミニスカートよりも気持ち更に短い気がするスカートが組み合わさった絶対領域がまた男の視線を誘う魅惑の領域となってよく映える
キザーロフ「では諸君。早速ですまないが持ち場へと行ってくれたまえ」
キザーロフの言葉に「はい!!」と応え、校長室を後にし一同はそれぞれの教室へと向かう事となった。因みにハヤウェイとルーアは在学中にいたクラス『ペガサス』クラス・ブリジットとプレシアは『ドルフィン』クラス・エインと苺鈴はエインが在学中にいたクラス『ドラグーン』クラスの担当となっている
エイン「ほらお前達、チャイムが鳴ったぞ!!席につけ!!」
『ドラグーン』クラスへとやってきた二人は丁度チャイムが鳴った事でエインはクラスの学生達に席に着くように促し、生徒達もそれに従い席についていく。エインの後に制服を着た苺鈴が続いて入室し、「誰だろう?」という視線が一斉に苺鈴に向けられ注目の的となる。エインはそのまま苺鈴の事を生徒達に紹介を始めていくのであった
エイン「今日からこの子は特別奨学生として期間は一週間と短いがこのクラスの生徒兼午後の演習の臨時講師として着任する事となった『リー・メイリン』先生だ」
苺鈴 「『李 苺鈴』です。今エイン先生が言ったように私は普段は皆さんと同じこのクラスの生徒ですが、午後の訓練の時間では護身術を皆さんに指導する講師として働かせてもらいます。どうぞよろしく!!」
エインの紹介の後、黒板にチョークで名前を漢字で書き、今エインが言った通りの事をもう一度改めて自己紹介し、「ほとんど生徒の扱いのような者なので気軽に接してほしい」
と付け加えて苺鈴の紹介を終える。そこから生徒一人ずつの紹介となるが、そこには見知った顔が何人もいたのは気のせいでは無かった・・・
さくら「『木之本 さくら』です!!」
知世 「『大道寺 知世』ですわ」
千春 「『三原千春(みはら ちはる)』です!!」
奈緒子「『柳沢奈緒子(やなぎさわ なおこ)』」
山崎 「『山崎貴史(やまざき たかし)』です。ところで『騎士』の名前の由来はね?はるか昔『イシュガル』と呼ばれる地から渡来(とらい)してきた竜殺しの魔法を習得した鋼鉄の魔法操者の口癖が『ギヒッ』って言うらしくて、そこから徐々になまって『ギヒ』・『キヒ』・『キシ』・『きし』・『騎士』になったと言われて」
千春 「はいはい分かったから初対面の人にそんな嘘つかないの」
何人か紹介された後、苺鈴は右手を右目にふんわり添えてまるで「あちゃ~」と表現するかのポーズを取っていた。実際「あちゃ~」などとは微塵(みじん)も思っていない上にそんな場面でもないのだから
苺鈴 (今度はさくら達かぁ~しかも名前も同じ漢字書きだし・・・)
こっちのさくら達も自己紹介の時、出身地や親のどちらかがまた『和の国』出身であったことも話していた。もともと『ヴィントラント』と『和の国』は交流が多いとはいえ、まるで使いまわしのような設定に覚えるのが楽だが、いい加減さも少なからず感じていた
それとは別に苺鈴は一つ気に掛かる事があった。教室の席が『2つ』も空いていた事だ。一つは苺鈴が座るからまだわかる。しかし、もう一つは誰の席なのか?ただ元々二人分空いていただけなのか?ちょっとだけそんな事を考えていたが、紹介が一通り終わった頃に教室の扉が開き一人の男子生徒が入室してくる。その生徒を見た途端エインは「遅刻だぞ」と一言注意したが、その生徒はちょっとエインを睨み返して、そのまま空いていた一番後ろの席に座り込みエインの事を無視して何事もなかったかのようにふるまっていた・・・
エインはその態度に怒りとあきらめを覚えている処からどうやらこれが初めての事ではないらしい事が伺(うかが)えるが、苺鈴はそんな事よりもその男子生徒がある人物とこれまた瓜二つな事に驚愕していた
苺鈴 (小狼じゃないあれ!?)
小狼 「・・・・・・」
苺鈴 「・・・・・・」
苺鈴は小狼の元へと足を運び小狼の横に立つと、「『李 苺鈴』よ。よろしく」と簡単に自己紹介と握手を求めてきたが小狼は我関せずな雰囲気で苺鈴の事も無視をし、怒りを通り越して呆気に取られていた
苺鈴 (これがこっちの小狼!?なんか荒れてるわ・・・)
「あの小狼がこんなことするのか?」とギャップのような物を強く感じていたせいか逆に普通怒りがこみ上げてきそうな場面でも呆気に取られるだけになったが、エインも「とりあえず席につけ」と苺鈴に言い、苺鈴もそれに従って残っていた席へと着席する。そこはさくらの横の席であり改めてさくらに「よろしく」と声をかけ、さくらも「よろしく」と返事を返した。こっちのさくらも元の世界のさくらとあんまり変わんない雰囲気だったのが正直ホッと出来た
エイン「それじゃあ1限目を始める。今日は『歴史』の授業からだ」
授業が始まってすぐ生徒は一斉に教本を開き始めるが、ここで一つ苺鈴はある事に気が付く。キザーロフからある物を渡されていない事に・・・・・・
苺鈴 「教科書が無い?・・・・・・」
実は話が急だったため苺鈴は教科書はおろか筆記用具も書き込み用のノートも何も持っていないのであった。『話を聞く』というのもれっきとした勉強なのではあるが他の生徒が教本を開いて聞いている中、一人だけ何も用意していない様子は浮いていて正直いたたまれない雰囲気である。「どうしよう?」と顔に出ていた苺鈴の横から教本がスッと差し出され苺鈴の目に留まる。横を見るとさくらが教本を広げて「一緒に見よう」と提案してくれたのだ。
苺鈴 「ありがとう。助かるわ」
さくら「気にしないで」
二人は一つの教本を一緒に見て授業に集中していく。今行っている歴史の内容はヴィントラントとサブルムの戦争の歴史の終点とも呼べる所つまり割と最近の事である・・・
苺鈴 (成程ねぇ~・・・)
かつてブリジットから聞いた歴史ではヴィントラント王国とサブルム帝国が現在進行形で戦争中である事までは聞いていたが、戦争はブリジットが苺鈴達の世界に来る直前の『ローゼンベルグ騎士養成学校襲撃事件』の直後大きく動き出した。この事がきっかけで隣国の『ヴィエーラ』の騎士団『テンペリリッター』を中心とした周辺諸国で結成された歴代最大規模の『ザンクトクロイツ(十字聖軍)』が誕生し、およそ一ヶ月で戦争は終結を見せた。しかし、本当の戦いはその先に待っていたのであった・・・
苺鈴 (この時点ではまだ王妃様って見つかっていなかったんだ?)
戦争は終結を見せたが、未だ行方不明となっていたヴィントラントの王妃『プリンセア王妃』は休戦を解消しサブルムと再び戦争を開始したおよそ16年前の時点から「恐らくサブルム帝国に幽閉でもされていたのか?」と思われていたが、終戦後捕らえて尋問していたサブルムの兵士ですら「そんな人物を捕らえたという報告は聞いた事がない!!」と断言するほどもいるほど行方を知らない者がすべてであった。しかし、ある事がきっかけで同時に行方不明となっていた王の『マイステル』国王が見つかり、マイステルの証言からサブルムの宮殿の奥深くにある遺跡『ウーム』に囚われている事が判明し、救援及び探索が開始された
苺鈴 (その中にハヤウェイさんとプリーシアさん。それにあの時見た巫女さんや耳長のちっちゃい人もいたのね?)
『あの時』というのは『時の庭園』であった神楽(かぐら)とフェルの事で、そこから更に戦争の黒幕の事が徐々に明らかになっていく・・・
苺鈴 (成程ね。賢者何て名ばかりじゃない・・・)
ヴィントラントとサブルムは元々両国の一代いや正確に言えば2代前の国王達が戦争を嘆き休戦協定を結んだことで一度は終結したが、マイステルとプリンセアそして当時生まれたばかりの王女である『フィーリア』を襲撃した『青き月の惨劇』という事件がきっかけとなり休戦協定を互いに破棄したがそもそもこれ自体が『ヴィエーラ』に君臨する『3賢者』と呼ばれる者達が当時サブルムの一将軍に過ぎなかった『ゲロート・ポイオス』を利用し、生体兵器『天使』を貸し与えこの事件を起こし両国の戦争を裏で操っていたのだ。長引かせていたのは色々理由があったが、ゲロートはヴィントラントに母親を殺された事で恨みを持ち、3賢者はマイステル国王を排除し、プリンセアを手に入れるためと利害が一致した事もあって3賢者はまんまとプリンセアを手に入れる事に成功したのだ。
苺鈴 (黒幕を倒してもまだ終わっていなかったなんてね・・・)
3賢者はその後、『神の力』を取り込むことに成功し、人知を超えた力を手に入れたがほどなくして暴走・腐敗していき最後はハヤウェイ達によってその最後を迎えた・・・
しかし、戦争の黒幕は3賢者であったが『もう一人』3賢者と同じような目的を持った人物が存在していた。それ人物こそが以前ブリジットがいた方の『PRISM ARK』の世界で血桜と密かに繋がっていた『ジュダス』であった。彼も3賢者の企みの被害者ではあったが、彼は逆に3賢者が倒れた事によって3賢者の成し遂げようとしていた事を変わって自分が世界の『本物の神』として君臨するために3賢者以上の力を得て『魔王ジュダス』として一度は君臨したが、命を懸けてジュダスに決戦を挑んだ者がおり、教本ではそのジュダスと決戦した人物達の事は全く別の人物が参戦し、その人物達の奮戦と特攻のおかげでジュダスは倒れ世界は平和を取り戻し新たな歴史が始まっていった。という内容であった
苺鈴 (このジュダスと戦ったのって・・・確かメディアードで聞いた話じゃハヤウェイさんとルーアさんの事よね?何で『死んだ』って事にしてるのかしら?)
実は教本の内容は少しだけ真実をぼかしている部分があった。以前『メディアード』で『影の爪』がらみでハヤウェイから過程でジュダスとの決戦の話も聞いており、ジュダスと戦ったのは確かにハヤウェイとルーアであったが、二人はその時自身に眠る力が覚醒し死ぬ事無くジュダスを倒したのだが、教本を作る際キザーロフが二人に事実通りに書いていいかを聞くと、二人が内容を変えてほしいという事で直接倒したのは名前も明かされていない別の人物で、その人物達は死亡したという内容に変更となったのだ。何故こう望んだのかというと「騒がれても困るし、この方が都合がいい」ということなのであった。二人はもう何の宿命も持たないただの旅人となったのだから・・・
後でまた二人にその所を聞いてみようと思った苺鈴はそのまま歴史の授業を続けるが、ほどなくして1限目の終了のチャイムが鳴ったのであった・・・・・・
それから4時限目まで進み、12時00分を知らせるタイムが鳴り響く。それと同時に生徒は一斉に昼食を取るために行動を開始する。その動きは授業の時よりもいきいきしていてどの世界でも「そういうところは変わらないものだな」とちょっと元の世界を思い出していた最中、そういえばお弁当をそもそも用意なんてしていないことに気付き「お昼どうしよう・・・」と悩み始めた処でさくら達がお昼を誘ってきてくれたのはありがたかった
苺鈴 「学食なんてあるんだ?」
さくら「うん。苺鈴ちゃん来たばかりで分からないだろうから一緒に行こうと思って」
苺鈴 「ありがとう。助かるわ。あっでもちょっと待って、もう一人・・・」
苺鈴は一度隣の『ペガサス』クラスへと向かい、ブリジットにも声をかけ苺鈴・さくら・知世・ブリジットの4人で向かう事となった。因みにプレシアはチャイムが鳴るといずこかへと消えてしまったので一緒には来ていない。流石にこの学校から出たという事は無さそうではあるが・・・
着いた食堂は広く、昼時なのでやっぱり人は多かったが何とか4人で座れる程度の空きを見つけ、ウェイトレスがいたようなので普通に飲食店に来たような感じである。少し待っていると苺鈴達という新しいお客に気付きトコトコとオーダーを取りにやってきてくれるが、そのウェイトレスの顔にはブリジットも苺鈴も見覚えがあった。
なにせ今朝にも会っているのだから・・・
フィーリア「ご注文はお決まりですか?」
ブリジット「あれ?フィーリアさん。今でもここでお仕事しているんですね?」
フィーリア「はい!!フィーリア接客のお仕事も好きですから」
苺鈴 「王女様がウェイトレスなんて、なんか考えられない光景ねぇ~・・・」
フィーリア「あっ!!ここにいる時はただのウェイトレスですから。他の職員の皆さんも普通に接してくれますし」
苺鈴 「へぇ~まぁでも自然体で接してくれる人の方がとっつきやすいもんね?」
フィーリア「まぁ私自身王女とか今更『寝耳に水』な所もありますから。それで、ご注文はお決まりですか?」
さくら「私はAランチで!!」
知世 「私も『A』で」
ブリジット「私は『Cランチ』でお願いします」
フィーリア「は~い。苺鈴ちゃんは何にしますか?」
苺鈴 「じゃあ私も『Cランチ』で」
ブリジット・さくら・知世「ぇっ!?」
フィーリア「はい!!Aが二つでCも二つですね?少々お待ちください!!」
ブリジット「・・・あの苺鈴さんよかったんですか?」
苺鈴 「何が?」
さくら「『Cランチ』で本当によかったの?」
苺鈴 「う~んどんなのかよく知らないけど、ブリジットさんが迷わず選んでたからハズレは無いかなぁ~って思ってね?なんかまずかった?」
さくらと知世はちょっと困惑したような顔を浮かべ、ブリジットは「あちゃ~」と顔に出し『Cランチ』の内容を教えてくれた。
この学食には主に定番のA・少し変わり種のB・およそ一食A又はBランチの2倍の値段もするSランチ他にも普通に単品の料理も多数存在するのだが、『Cランチ』だけは他の物とは結構違う点があった
苺鈴 「タダで食べ放題!?本当に!?」
ブリジット「えぇ」
苺鈴 「何よそれ!?すっごくお得じゃない!?ん?という事はまさかまずいとか他の料理を作った時の残り物だけのランチセットとかそんなオチ?」
ブリジット「あぁいえそういう訳ではないんです。ただ・・・食べれる物がマッシュポテトだけなんですよ」
苺鈴 「あぁ~・・・お芋オンリーね・・・なるほど・・・」
ブリジット「あっでも、一本だけウインナーもついてくるんです。私も学生時代は金欠(きんけつ)で節約も兼ねてよく食べていましたからそれで・・・」
苺鈴 「あちゃ~知ってたなら教えてくださいよ?」
ブリジット「聞きませんでしたよね?聞かなかったですよね?確認しませんでしたよねぇ!?」
苺鈴 「そうでした・・・まぁでもタダなのは助かりますし、お芋はおなか持ちもいいですし、とりあえずはそれで・・・」
ほどなくしてフィーリアが器用に、そして慣れた動きで4人分の食事を運んで来る。今日のAランチは焼き魚のボイル焼きで付け合わせに小さめだが固形バターもついていてちょっと贅沢感がある。反対に苺鈴とブリジットには焼き芋のようになっている芋と一本だけお情けかのように乗っているウインナーで比べると質素な感じがする。とはいえ見た感じ質の悪そうな芋という感じもしないため思ったよりはいい感じだというのが苺鈴の率直な感想であった。テーブルには付け合わせの塩・胡椒が置いてあるので「時々味変しながら食べるのも悪くない」とも考えていた
苺鈴 「いただきます!!」
という訳で早速一口いただくとほくほくしていて中にもしっかりと火が通っており、「割といける!!」と結構気に入っていた。とはいえ芋ばかりではのどに詰まってしまうので自然と水も飲む量が増えてしまう。
付け合わせのウインナーもこの芋の食事の中では逆に肉汁がとろけるようなうま味をより感じさせ、さくらと知世も自身のおかずから何かお裾分けしようかと提案されたが、この『Cランチ』が思ったよりも気に入ったため断った
苺鈴 「結構おいしいわね?このお芋」
ブリジット「苺鈴さん。あまり食べ過ぎない方がいいですよ?この後実技の授業なんですから?」
苺鈴 「分かってるわよ。食べすぎると動きが鈍くなっちゃうもんね?」
とまぁ確かに芋を食べる手は抑え目ではあったが、口の中の水分が無くなった事で無意識に水大量にとってしまって、割と水でおなかが満たされてしまっていたのであった・・・
昼休みも終わりドラグーンクラスは校庭へと足を運びそれぞれ動きやすい服装へと着替えていた。
因みにキザーロフは女子のみ『和の国』の伝統(らしい)の体操着『ブルマ』を密かに用意しているらしいが、
どうやらそれは間に合わなかったらしい・・・
因みに苺鈴はIF衣装のコートを取った状態であり、流石にやる事がやることなので『サイクロード』は外している
苺鈴 「それでは朝のHR(ホームルーム)で連絡した通り私が皆さんに剣を使わない護身術を指導させてもらいます!!」
一同は「はい!!」と声を高くして返事を返す。続けて苺鈴も「ふざけていると思わぬ怪我もしますから注意してください!!」と付け加えて、一同は再び「はい!!」と高く返事をする。しかし、そこに不満の声を上げる者が一人いた・・・
小狼 「『拳法』とやらをやる必要があるのか?」
苺鈴 「何ですって?」
小狼 「この学校は『騎士』を養成する学校のはずだ。それが剣を使わないだなんて、やってられないな?」
エイン「『シャオラン』!!今は剣を使わない護身術を習得するための授業なんだぞ!!いくら騎士と言えども常に剣を常備しているとも限らないんだぞ!?」
エインの言葉にも耳を傾けず、そっぽを向く小狼。どうやら何かととっつかないと気が済まないらしい。騎士を目指すというのに剣を使わない事に不満をぶつけ端(はた)から見ると「やれやれ」と言いたい光景でもある。そんな小狼に苺鈴は一つ提案をした
小狼 「模擬戦だと?」
苺鈴 「そう。私は拳法で、あなたは剣で戦うのよ。それであなたが勝ったら私は臨時教師を辞職するわ」
エイン「おいっ!?」
小狼 「お前が勝ったら?」
苺鈴 「このまま臨時教師を続ける。あなたにも授業を受けてもらうわよ?」
小狼 「その言葉。忘れるなよ?」
エイン「おいお前達!!何勝手な事を!?」
苺鈴 「受けて立つわ」
苺鈴までやる気満々になってしまいエインは頭を抱えながらうなっていた。そして、急遽苺鈴対小狼のバトルが始まってしまった・・・・・・
他の生徒達は二人の邪魔にならないよう距離を取り、苺鈴は拳を構え、小狼は剣を片手で持ち、苺鈴を睨み付ける・・・
苺鈴 「・・・・・・」
小狼 「・・・・・・」
一同が見守る中、両者は構え沈黙が続く・・・因みに小狼はバスターソードタイプの木刀である。(元の世界の小狼が使っているような剣のタイプである)
小狼 「来ないのか?」
苺鈴 「そっちからどうぞ」
小狼 「舐めるな!!」
苺鈴 「・・・・・・」
小狼 「はぁっ!!ふっ!!ふんっ!!」
苺鈴 「ふっ!!はぁっ!!」
小狼「おわぁっ!?」
突進してくる小狼は縦曲切り→横一線→そして突きを連続で繰りだすが、それを特に構える訳でもないまま苺鈴は軽々と避けて突きで繰りだされた木刀の背をポンと拳をぶつけ、その反動で小狼も苺鈴に背を向ける形になってしまいその隙をつき小狼の背中に蹴りを一撃ぶつけ小狼は転倒し1~2回地を転がりすぐに起き上がると、そのまま苺鈴に再び向かっていき、木刀を振り下ろしていくが、手刀で小狼の腹部を横に添えるような形でぶつけ、小狼の剣は空振りで終わってしまう・・・
苺鈴 「・・・・・・」
小狼 「くそっ!!」
苺鈴 「ふんっ!!・・・はっ!!・・・はあっ!!」
小狼 「がはっ!?」
再び小狼は木刀を突き出すが手刀で薙(な)ぎ払い、そのまま小狼の腹部に左右交互に2回横手刀で切りつけ最後に大きく薙ぎ払うとまた地に背を付けて小狼は倒れる。
苺鈴 「・・・・・・」
小狼 「ぐっ・・・ああっ!!」
苺鈴 「ふっ!!」
小狼は破れかぶれな感じで右拳を放つがあっさりと苺鈴はそれを左手で掴み数秒の硬直の後、苺鈴は力を緩め力を込めたままの小狼は思わぬ力のゆるみに対処が追い付かず苺鈴は右手を張り手の形にし、叫びながら強烈な一撃を小狼にぶつける
苺鈴 「ハイッ!!」
苺鈴は小狼の腹部に張り手をぶつけ小狼はその衝撃に吹き飛び『大』の字に地に倒れる。結果は苺鈴の『圧勝』といって差し支えないモノであった。ほとんどの者がその実力に拍手や喚声(かんせい)を上げ、これはもう文句のつけようが無かった・・・
小狼 「くぅっ・・・」
さくら「あの・・・大丈夫?」
小狼 「こんなのなんてことない・・・」
さくら「でも・・・」
苺鈴 「それじゃあ約束よ。もう言いがかりはつけないでね?ついでにちゃんと授業も受ける事」
小狼 「・・・ふん・・・」
倒れる小狼をただ一人心配するさくら・・・しかし、小狼は素っ気なく返事を返し苺鈴は勝負の前に交わした約束の事を確認して小狼はしぶしぶ整列の位置に直る。
苺鈴 「こほん。色々ありましたが、まぁこれで剣を持てば素手の相手には必ず有利だっていう甘い考えを捨ててくれる事を願います。やる事はシンプルに私の動きを真似してくれればいいです!!それじゃあ始めます!!」
一同 「はい!!」
苺鈴 「ぅぅぅっ・・・結構きついかも?早く行こっと・・・」
そして護身術の授業が終了し一度解散した後、苺鈴は少し小走りである場所を目指していた。『女子トイレ』である。授業の後半あたりから尿意を感じ始めていて体も動かしながらであった事もあって更に尿意が加速し急いでいた。ぶっちゃけ昼の水の飲みすぎである・・・
そして目的地にたどり着いた苺鈴であったがここで問題が発生していた・・・・・・
苺鈴 「これって多分『清掃中』よね?・・・あちゃ~こんな時に、参ったなぁ~・・・」
男子トイレは終わっているのか?それともまだやっていないからか?清掃中の看板が無く、悩んだが結構きつい。そこで思い切って周辺に人がいない事をさっと確認して男子トイレに突入して行くのであった・・・
フィーリア「・・・ふぅ~皆さん綺麗に使ってくれるからお掃除も早く終わって助かるかな。それじゃあ次の仕事はっと・・・」
苺鈴と入れ替わるように女子トイレからフィーリアが出てきてバケツやらモップやらを両手に持っていた。どうやら清掃をしていたのはフィーリアだったようで、皆がきれいに使ってくれるから掃除が楽とどうやら予定よりも早く掃除が終わったようであったが、すぐに次の仕事に取り掛かるようで忙しい様子だ。清掃中の看板も片付け、その場を後にするとそこに丁度今度は小狼が男子トイレに入っていくようであった。
尿意等を感じたわけではないらしい。先の苺鈴との模擬戦の最後の一撃で腹部に強烈な張り手を受けたためかそれからどうにも戻してしまいそうな不快感があったのだ。しばらくいつでも戻せるようにとトイレに来て待機するためにここに来たのだ。ついでに次の授業もさぼるつもりで・・・
苺鈴 「ふぅ~なんとか間に合ったっと・・・・・・へっ?」
小狼 「・・・ん?・・・・・・」
苺鈴・小狼「・・・・・・んなぁっ!?」
扉を閉めた苺鈴はそこに気が回らないぐらい限界だったのか鍵も掛けずに短パンと下着に手を掛け膝下ほどまで下した直後であった。扉が開き小狼が入ろうとするが、お互いそれぞれの顔を見るなり数秒の間を置いた後ようやくリアクションを取ったかと思えば、他の男子の声が聞こえてきて咄嗟に苺鈴は出ていこうとした小狼を個室の中に引き込み扉がそのはずみで閉まり、苺鈴は小狼を自身の胸で抱きしめるような体勢となってしまい、小狼は苺鈴にがっちりと抱きしめられて顔が胸から離れられない状態であった・・・
小狼 「ぉぃっ!?」
苺鈴 「静かにして!!仕方が無かったのよ!!あそこで出て行かれたら逆に注目されそうで見つかりそうだったんですもの!!」
小狼 「それは分かったがお前どうして!?ココ男子トイレだぞ!?」
苺鈴 「仕方が無かったのよ!!隣清掃中で、もう限界だったんですもの!!」
小狼 「はぁ?清掃中?俺が来た時にはもう外れてたぞ?」
苺鈴 「嘘!?あちゃ~それなら待ってれば良かったぁ~・・・」
今二人がいる個室に注目が集まらないようにするため小声で事情を説明する二人であったが、小狼もいい加減引っ付く必要を感じないため「放してくれ」と頼むが、苺鈴はそれを断った。
小狼がその事情を尋ねると苺鈴は先ほどからであるが顔を真っ赤にしながら膀胱(ぼうこう)という名のダムの状態を説明していた・・・
苺鈴 「今動かしたら・・・もう・・・我慢出来そうに・・・ないのよ・・・」
小狼 「いぃっ!?だったらなおの事放してくれないと!?」
苺鈴 「無理!!今出ていかれたら二人で個室に入ってることがバレちゃう!?」
小狼 「ぁっそっか・・・因みに・・・その・・・どっちだ?」
苺鈴 「ぇっ?ぁぁそゆことね?その・・・『水』の方・・・」
小狼 「だったら目をつむっててやる!!見ないからさっさと済ませろ・・・」
苺鈴 「音も聞かないで」
小狼 「腕が動かせないんだ!!耳を塞げない!!」
苺鈴 「何とかして!!」
小狼 「出来るか!!」
苺鈴 「きゃっ!?ぁぁ・・・」
今の「出来るか!!」の一言を言おうとして頭部を動かしたことで今の苺鈴にとってはかなりの刺激になったのか、ギュっと小狼の顔をギュっと抱きしめる力を強めて小狼の顔は苺鈴の足に向いてしまい、視界に女の子の無防備な下半身が映ってしまった事で顔を真っ赤にし、早く頭部を別の場所に移して目の前の光景から目をそらそうとするが、それが逆に苺鈴にとってはかなり厳しい刺激になってしまい、更なる尿意の加速につながってしまい、更に小狼を抱きしめてしまう・・・
小狼 「止めろ!!」
苺鈴 「あぁっ!?くぅぅっ~~!?・・・」
小狼はなんとか肘を曲げ腕を苺鈴の腹部に添えて離れようと力を込めずらい体勢ながらも力を込める。しかし、
それが逆効果でおなかを押し込む事でただでさえ限界の尿意が臨界点を超えようとしていた・・・
小狼 「ふぅぅっ~ん!!」
苺鈴 「もう・・・ダメ・・・ぁぁっ・・・」
小狼 「なぁっ!?」
とうとう限界を迎え小狼の眼前で放尿をしてしまう苺鈴・そして目の前の非日常の光景に思考停止し、じっと見て言葉を失う小狼・・・
よほど溜まっていたのか、はたまた飲んだ水の量が多かったのか放尿は10秒以上かかり、苺鈴は恥ずかしさのあまり顔を赤く染めながらも放尿を続けた・・・
事が終わった頃には他に用足しに来ていた男子生徒もトイレを後にしており、放尿を終えた後数秒はお互い何のアクションも言葉も出ずにただ同じ体勢のままであった・・・
小狼は勢いよく個室から出ていき、苺鈴は紙で股間をふき取り、ゆっくりと扉を開け人気が無いのを確認すると急ぎ水道で手を洗いハンカチで手を拭き男子トイレから出てくると小狼が背を向けていたが、後ろからでもわかるほど顔を真っ赤にしているようであった
苺鈴 「ぁぁ~・・・その・・・恥ずかしい処見せちゃったわね?あはは・・・」
小狼 「ぉっお前何でそんなに冷静でいられるんだ?あんな処見られて・・・」
苺鈴 「そっそりゃ恥ずかしいわよ。あなたよりはずっとね?でも・・・」
小狼 「『でも』?なんなんだ?」
苺鈴 「何でもない。それよりも・・・」
小狼 「なっなんだよ?」
苺鈴 「さっきの事は二人だけの秘密って事でね?」
直接恥ずかしい処を見られたはずの苺鈴の方が案外冷静さを取り戻しているようなそぶりを見せ、小狼の顔に自身の顔を近づけると「二人だけの秘密」と人差し指で『シー』のジェスチャーを取りながら言い、その場を離れていく。小狼は顔を赤くしながらその場にポツンと佇み、しばらく放心状態であった・・・
そして少し小走りに移動していた苺鈴は道中小狼に対して言った『でも・・・』の内容を思い出していた・・・
苺鈴 (未練がましいっていうのかな?別の世界とは言え小狼だったから全部見せられるって心のどこかで思ってるのかもしれない・・・惚れた弱みってのは厄介よね?・・・)
もしかしたら心のどこかで小狼に対してすべて捨てたと思っていた未練が残っていたからなのか、それとも逆にもうこれっぽっちもないからこそすぐに冷静に戻れたのか?答えの分からない自問自答を繰り返しながら苺鈴はドラグーンクラスへと戻っていくのであった・・・・・・
そして放課後のことである。今日の授業を終えたプレシアは休み時間の度(たび)に足を運んでいた場所に再び訪れていた。そこは大量の本棚と多種多彩(たしゅたさい)の本が大量に並ぶ場所つまり『図書館』であった
プレシア「・・・・・・」
プレシアは本をあさり、何冊かを手に取ると机に本を置き、長時間読み込むために席に着き大量の本に目を通していく・・・
プレシア(『この世界』でならきっとアリシアを蘇らせる技術がきっと探し出せる。だからもうしばらく待っていてアリシア・・・)
プレシアは完全に校舎が施錠(せじょう)されるぎりぎりの時間まで本を読み、調べ物を進めていくのであった・・・・・・
小狼 「・・・・・・」
さくら「・・・ぁっ!?居た!?」
小狼 「・・・・・・」
回想の小狼1「来ないのか?」
回想の苺鈴1「そっちからどうぞ」
回想の小狼1「舐めるな!!」
小狼 (なんだったんだあの強さは?それにしても・・・)
回想の苺鈴2「さっきの事は二人だけの秘密って事でね?」
小狼 (何であんなに冷静でいられるんだよ!!俺は男としても見られないって事か!?いやいやそんな事じゃないだろう!?)
放課後・ここは学校の近くにある森の中にある泉の近く・・・春にはきれいな桜も見れる隠れた絶景ポイントである。小狼は泉の周りにある岩の上に寝転がり今日関わった人物『苺鈴』の事を考えており、さくらは実技の授業の事でどうにも小狼の事が気にかかっており彼を探し回っていた。特に何ができるという訳でもないであろう。彼自身誰かと関わるのを避けているふしもある。「放っておけばいい」と周りに言われるのが関の山になりそうではあったがさくらは小狼を探してここまで来た。ついに見つけたが木陰に隠れて、来たのはいいが声をかける事が出来ずにじっと身をひそめるだけになっていた・・・
少し時間が経つと、小狼が何かに気付き立ち上がると上を見上げて何かを見ていた。
さくら「何してるんだろう?・・・」
小狼は唐突に木に登り始めていく。すいすいと登っていき、すぐに太い木の枝にたどり着く。
さくら「あっ!?ネサギ!?」
ネサギというのはヴィントラントに生息する兎に似た生き物である。目がクリンとして耳も大きくふわふわとしたかわいい小動物である。そのネサギが小狼の登った木の枝の上にうずくまっており、どうやら登ったのはいいが降りられなくなったようだ
小狼 「ほらっこっちだ」
小狼はネサギに手を差し出すとネサギはびくつき、なかなか小狼の手に触れようとしない。仕方がないため小狼は何とかゆっくりと近づいていきその度にネサギも逆に警戒してほんの少しづつ離れていくが、もう下がれないところまで来ると意を決して小狼は思いっきり手を伸ばすと遂にネサギを掴むことに成功しゆっくりと戻っていき、木から降りていく・・・
地面に無事足をつけられゆっくりとネサギを下すとネサギに向かって何かをつぶやいていたようだ
小狼 「誰かが必ず助けてくれる訳じゃないんだぞ?もうあんなことするな。いいな?」
ネサギは顔を摺り寄せ「ありがとう」を表現しているのかにっこりとしている。ほどなくしてネサギはぴょこぴょことどこかへと向かっていき一度小狼に振り返るがすぐにまた森の方へと帰っていき、小狼もまたそれを見送っていく・・・さくらも見ていたのだがその時のネサギを見る小狼の顔は学校では見せないふんわりとした優しい表情であった
さくら(やっぱり優しい人なんだなぁ~小狼君は・・・あの時と同じだ・・・)
さくらはこの場から立ち去っていく小狼の後姿を見つめながら彼の本質を知っているかのような事を思い子供の頃に自身の身に起こった事を思い出していたのであった・・・
昔・・・彼はもう覚えていないだろうが、彼に助けられたその時の淡い思い出を・・・こっちの世界のさくらと小狼の始まりの時間を・・・
苺鈴 「・・・・・・」
ブリジット「考え事ですか?」
苺鈴 「ちょっとね・・・」
夜の女子寮、苺鈴とブリジットの部屋にて苺鈴はベッドの上で天井をじぃ~と見ながら少し難しい顔をしていた。ブリジットには「何でもない」と答えたが、考えていたのはこっちの世界の小狼の事であった・・・
時は遡り放課後。それは現在上司にあたるエインとの職員室での会話の事であった
エイン「お疲れだったな?」
苺鈴 「あぁどうも」
苺鈴にも短い期間とはいえ教師としても働く以上仮の机も用意されており今日の授業の事を踏まえて、明日以降の授業をどう進行させていくのかをまとめた予定表を作成しようと寄っていたのだ。因みに服装は学校の制服であるが。エインはコーヒーを苺鈴の分も淹れて来てくれてそれを受け取り一口飲むと砂糖の甘みとミルクのまろやかさが口に広がり考え事をするにはもってこいな味付けとなっていた。
エイン「好みが分からなかったから適当に入れたんだが、口に合うようでよかった。それにしても大変なクラスになってしまって初日から大変だったな?」
苺鈴 「それって『小狼』の事ですか?」
エイン「あぁ。全くあいつにも困ったもんだ」
苺鈴 「エイン先生。彼ってなんであんなに誰かに突っかかるんですかね?」
エイン「あぁそれなんだが・・・」
苺鈴 「ん?」
エイン「あいつの家はな、優秀な魔法操者の家系なんだ」
苺鈴 「へぇ~」(別の世界でもそんな設定があるんだ?小狼に・・・)
エイン「だがあいつは魔法を使えないんだ」
苺鈴 「ぇっ?・・・優秀な家系なのにですか?」
エイン「魔法を使えるのはその素質を持った者だけだからな。親が使えるからと言って血を引く子供も使えるかはまた別の話だ。だがあいつの家はそれを許さなかったんだ」
苺鈴 「許されなかったから、その後どうなったんですか?」
エイン「家から追放されたそうだ」
苺鈴 「追放って、そんな・・・」
エイン「あいつはその家系の統領を務める両親の子供だったそうだが魔法を一切使えなかったそうだ。最初は成長するにつれて使えるようになるであろうとその時は長い目で見てもらえていたそうだが、次第に何の魔法も発動できないあいつに両親ですら愛想をつかされたらしく、「一族の恥さらし」とののしられ放り出されたそうだ」
苺鈴 「酷い話ですね・・・」
エイン「それからあいつは生きるために色んな事をしてきたらしい?俺が聞いただけでも盗みもゴロツキ同士の縄張り争いも色々とな?」
苺鈴 「そんな彼がよく騎士学校に入学しようと考えましたね?」
エイン「いや、どうやらそれはプリーシアが絡んでいるらしい」
苺鈴 「プリーシアさんが?」
エイン「休日で王都に行った時にゴロツキとの縄張り争いで怪我でもしたのか、ボロボロだったらしい?その時にたまたまプリーシアが保護したそうだ。その縁であいつをこの学校に入学させたらしい。まぁ寮住まいではないが・・・」
苺鈴 「そんな事が・・・」
エイン「俺としても事情を知っているから同情はするが、かといってずっとあの調子だからな?正直俺も手を焼いている」
苺鈴 「・・・・・・」
エイン「まぁ君は臨時だからな。無理にあいつに手を焼く必要もないだろう?まぁ適当に相手してやってくれ」
苺鈴 「分かりました」
とまぁ返事を返した苺鈴だが、内心は正直複雑な心境をしておりしばらくは『心ここにあらず』といった状態となっていた・・・
苺鈴 (こっちの小狼は元の世界の私みたいに肩身が狭かったんだ・・・ううん違う・・・私はまだマシだったか・・・)
この世界ではつい最近まで戦争をしていたのだ。優秀な家系ならばその優れた個所を利用して更に家の名前を大きくしようと大人のある意味汚い都合に巻き込まれ実の両親からもそんな扱いを受けて一人で生きて来たのであろう・・・苺鈴も元の世界では肩身は狭かったが流石にそこまでではなかったため、正直立場は似ているが、自身の方がまだマシな生き方をしてくることができた・・・
そして、再び現在の苺鈴に時間が戻る
苺鈴 (『持ってる』小狼と『持ってない』小狼か・・・)
そこまで考え、しばらく似たような事を延々(えんえん)と考えていると、いつの間にか苺鈴の意識は遠のき、翌日の朝までの間は深い眠りにつくのであった・・・
ブリジット「いやはや、恥ずかしい災難に遭いましたね?」
苺鈴 「もうっあんまり言わないでよ!?」
ブリジット「次回はさらに過激に苺鈴さんが脱ぎます!!」
苺鈴 「えぇっ!?私聞いてないわよ!?」
ブリジット「嘘です」
苺鈴 「ほっ・・・ならよかった・・・」
ブリジット「次回『苺鈴外伝』25話「騎士達の学園(はなぞの)中編その2」輝け!!心のプリズム!!」