カードキャプターさくら『苺鈴外伝』   作:狼と踊る男

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なんか勢いに乗れたって感じで筆が進んだので30話目を投稿いたします。

とうとう苺鈴達の旅もこれにて終了となります。(やっとここまで書けた )




30話「騎士達の帰還」

プレシア「・・・・・・」

 

アリシア「お母さん!!」

 

プレシア「アリ・・・シア?・・・」

 

ベッドに横たわるプレシアにアリシアは抱き着く。プレシアはまだ起きたばかりではっきりと目が覚めていないようだ・・・因み今いるのは医務室であり、ここには二人の他にリッテ・パルティ・ハヤウェイ・ルーア・華凛もいて一同はプレシアが目を覚ました事に安堵していた

 

リッテ「上手く行ってよかったです」

 

プレシア「一体どういう事なの?私は確か・・・」

 

リッテ「結論を言いますとあなたは一度死にました。元々体が弱っていたうえにジュエルシードの封印という行為が負担が大きかったようです」

 

プレシア「死んだはずの私がどうして?・・・まさかプロジェクトFの技術がこの世界にも?」

 

リッテ「『プロジェクトF』?よくわかりませんが、私が施(ほどこ)したのは別の技術です」

 

プレシア「一体何をしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリジット「苺鈴さん!!」

 

アリシア「お母さん!!」

 

苺鈴 「皆!!」

 

時間は遡りクディスが華凛に倒され、苺鈴が連絡してきた直後・・・ブリジット達は苺鈴の元へと急行し、詳しい事を聞いていた・・・因みにアリシアはブリジットが苺鈴と連絡している時に目を覚まし、とりあえずハヤウェイの服よりも面積が大きい華凛の服をアリシアに着せてハヤウェイがおんぶして運び、苺鈴達の所に着くとアリシアはプレシアに駆け寄り呼びかけ続ける

 

ルーア「体が冷たい・・・」

 

苺鈴 「ルーアさん!!ハヤウェイさん!!治癒魔法を早く!!このままじゃ手遅れに!!」

 

ルーア「ごめんなさい・・・こうなってはいくら私達の治癒魔法でももう・・・」

 

苺鈴 「そんな!?折角アリシアと再会出来て、フェイトの事も娘だって認めてくれたのに!!そんなのあんまりよ!!何とかしてくださいよ!!」

 

ルーア「ごめんなさい・・・」

 

ハヤウェイ「俺達も何とかしてあげたいけど、俺達にも出来る事は限られるんだ・・・」

 

苺鈴 「でも!!」

 

ブリジット「苺鈴さん!!」

 

苺鈴 「ブリジットさん?」

 

ブリジット「無茶を言わないでください!!」

 

苺鈴 「でもこんな終わり方無いわよ!!」

 

ブリジット「そんなの・・・私や他の皆さんも一緒ですよ・・・こんな・・・」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

リッテ「・・・一つだけ・・・方法が無い事もありません」

 

苺鈴・ブリジット・ハヤウェイ・ルーア「えっ!?」

 

華凛 「リッテ殿、口を挟んですまないが死人を蘇らせる事など出来るはずが・・・」

 

リッテ「ハヤウェイ君とルーアちゃん。それに苺鈴ちゃんとブリジットちゃんは知ってますよね?『パルティ』ちゃんと『アリシア』ちゃんの事を・・・」

 

リッテの一言に苺鈴達は思い出した。『アリシア』も『パルティ』も一度『死んだ』状態から『蘇生』されたのだ。それをやったのもこの『リッテ』だ。彼女には治癒魔法ではない別の蘇生技術を持っているもしくは知っている事になる・・・苺鈴達はリッテの言葉を黙って聞いていた・・・

 

リッテ「プレシアさんにも天使の因子を注入するんです。パルティちゃんやアリシアちゃんのように・・・そうすればもしかしたら・・・」

 

ルーア「プレシアさんが生き返るって事ですか?」

 

苺鈴 「だったらそれをすぐにお願いします!!」

 

リッテ「ただ・・・問題があるんです」

 

苺鈴 「問題?」

 

ブリジット「それは?」

 

リッテ「天使の因子の人体注入はこの間にも言いましたけど、データが不足していて二人が生き返ったのは奇跡に近いぐらいだったんです。仮に生き返られたとしても体が拒絶反応を引き起こす可能性の方が十分考えられますし、苦しんで苦しみぬいて死ぬ・・・という事も十分考えられます・・・」

 

苺鈴 「そんな・・・」

 

ブリジット「そんな事急に言われても答え何てすぐ出せる訳ないじゃないですか・・・」

 

アリシア「博士お願い!!お母さんを助けて!!」

 

ブリジット「アリシアさん・・・」

 

リッテ「アリシアちゃん。今私が言った事が分かっているんですか?失敗したらお母さんはものすごく痛い思いをして死ぬかもしれないんですよ?それどころか、怪物になるかもしれないんですよ?」

 

アリシア「難しい話はまだよくわかんない・・・でも、私のせいでお母さんが苦しくて死んじゃうんなら・・・・・・私も一緒に天国に行く。もうお母さんを一人にしない!!」

 

苺鈴 「・・・私からもお願いしますリッテさん」

 

ブリジット「私からもお願いします!!」

 

リッテ「皆・・・」

 

苺鈴 「危険な事なのはわかりました。でも・・・今この人を死なせたりしたら私達はきっと一生後悔する・・・もしプレシアさんが暴走でもしたら・・・」

 

ブリジット「今度は私達が止めて見せます!!必ず!!」

 

リッテ「・・・・・・」

 

ハヤウェイ「リッテ先生、俺からもお願いします!!」

 

ルーア「私からもお願いします!!」

 

リッテ「・・・分かりました。責任は私が取ります!!」

 

華凛 「リッテ殿、よいのか?」

 

リッテ「子供達の希望を守るのも私達『大人』の役目です。そして何より私達の『生徒』のこんな真剣なお願い・・・断れる訳無いじゃないですか?」

 

華凛 「・・・そうですな。承知した。拙者からはもう何も言いませんぞ?」

 

リッテ「はい・・・時間がありません!!早速準備に取り掛かります!!誰でもいいのでプレシアさんをウームの中へ!!」

 

苺鈴 「はい!!」

 

ハヤウェイ「手伝うよ!!」

 

苺鈴 「助かります!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

リッテ「それからは大変でした。ただでさせ弱った体への調整な上に、天使の因子の注入による拒絶反応が出ないようにするのは困難ですから。正直パルティちゃんとアリシアちゃんが今のところ反応が出ていないのが奇跡と言えるぐらいです・・・」

 

プレシア「そうだったの・・・ごめんなさいねアリシア。心配をかけて・・・」

 

アリシア「ううん!!私は大丈夫だよ?」

 

プレシア「あなた達にも心配を掛けてしまったわ。ごめんなさい」

 

リッテ「いいえ。私もアリシアちゃん達が強くお願いしたからやったまでです。正直上手くいく可能性の方が低くて下手をしたらプレシアさんが天使となり暴走する危険の方が高かったので」

 

プレシア「そうだったの?」

 

リッテ「はい。天使の因子の研究は治療が目的の研究ではなかったので」

 

プレシア「そう・・・なんにしてもそのおかげで私は命を拾ったわ。ありがとう」

 

リッテ「いえいえ」

 

プレシア「そういえばあの子達は?」

 

ハヤウェイ「それって苺鈴達の事?」

 

プレシア「えぇ。あの子達にもお礼を言わないとね?」

 

ハヤウェイ「苺鈴とブリジットなら確か・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「じぃぃっ~~・・・」

 

ブリジット「苺鈴さん・・・やっぱりやめましょうよ?覗きなんて」

 

苺鈴 「でもさ?ブリジットさんも気になってるでしょ?」

 

ブリジット「それはまぁ気にはなりますけど・・・」

 

苺鈴 「それに『私達』の事を『私達』が見るのって覗きになるのかしら?」

 

ブリジット「そう言われれば・・・そうなんですかね?いやいや!?それただの屁理屈では!?」

 

苺鈴 「あっ!?動き出したわ!!」

 

ブリジット「どれどれ?」

 

苺鈴とブリジットは物陰に隠れていた。二人の視線の先にはメイリンとセリマが映っており、二人は互いを見つめ合っていた・・・

 

メイリン「好き!!」

 

セリマ「いきなりですね!?」

 

メイリン「私はセリマが一番好き!!この世の誰よりも!!一人の女性として愛してる!!」

 

セリマ「いけません!!あなたは一国の王!!そんな事を軽々しく!!ましては私みたいな者に対してなんて事を!?」

 

メイリン「そんなの関係無い!!今私はサブルム共和国の王としてではなく、『ただのメイリン』としてあなたと向き合ってる!!」

 

セリマ「『ただのメイリン』ってそんな・・・じゃあ何ですか?この間の戦場に現れた時も私の身を案じてとでも言うんですか?」

 

メイリン「そうよ」

 

セリマ「何を馬鹿な!?まさか何かあった時に私の代わりに怪我を負うつもりだったとか言いませんよね?」

 

メイリン「そりゃ死にたくはないけれど・・・それで怪我を負ったとしても構わない!!だって・・・王の代わりは作れても、セリマの代わりはいないもの!!」

 

セリマ「・・・・・・」

 

メイリン「私にとってあなたはそれほど大きい存在なのよ・・・私はあなたを愛しています」

 

セリマ「では証明してくださいよ?」

 

メイリン「どうやって?」

 

セリマ「そうですね・・・では唇にキスでもしてもらいましょうか?ただ唇触れるだけではありませんよ?中で舌を絡めちゃう大人でエロエロな奴をですね?」

 

メイリン「なっ!?」

 

セリマ「こう見えてメイリン様ってかなり奥手ですからね?こんな大胆な事出来る訳がむぅっ!?」

 

メイリン「・・・・・・」

 

喋り続けるセリマの不意を突くようにメイリンはセリマの唇を奪う。しかもよく聞くと色んな音も聞こえてくる上に、動きが大きい処からどうやら大人なキスをしているようだ・・・

 

数秒間の接触から唇を放す二人の舌からは二人の唾液からつながった糸が引かれ、それが地面に向かって落ちていく様子が何とも艶(なま)めかしい。しかも美少女同士の濃厚なモノとくれば見る方にも興奮を覚えるほどであろう。唇を放されたセリマは口をパクパクさせ動揺し、メイリンは顔を真っ赤にしながらセリマから視線を逸らす

 

メイリン「これで証明されたかしら?」

 

セリマ「参りましたです、はい・・・」

 

メイリン「じゃあ私と付き合ってくれるの?」

 

セリマ「それはその・・・私は立場的にですね?そのぉ~・・・」

 

メイリン「セリマ彼氏いないわよね?私はあなたが良い!!あなたの一番でいたい!!」

 

セリマ「『一番』ってそんな困っちゃいますよ!?私達『同姓』ですし・・・」

 

メイリン「セリマ!!私より好きな人がいるの!?」

 

セリマ「いえ!!いませんけど・・・」

 

メイリン「セリマに私よりも好きな人が出来たらその時は潔(いさぎよ)くあきらめる・・・でも!!それまでの間は私がセリマの恋人よ!!良い!?」

 

セリマ「いやっそう言われましても・・・」

 

メイリン「良い!?ぅぅっ・・・」

 

セリマ「ぅっ!?」

 

メイリン「ぅぅっ~~・・・」

 

メイリンの真剣な表情・声そして、目尻に浮かべる涙からセリマは彼女の気持ちが本気の物と感じた事もあり、頬を赤らめながら頷くとメイリンの表情は一気に明るくなり二人はいつ切れるかわからない期間限定での恋人となった瞬間であった。それを遠目で見ていた苺鈴は昔自身が小狼に告白した時の事を思い出し、ブリジットも先日のダーツの時の話を聞いた後であったためか安堵の表情を浮かべ、二人の事を暖かい眼で見ていた

 

苺鈴 「なんか懐かしいなぁ~」

 

ブリジット「『懐かしい』なんですか?」

 

苺鈴 「こっちの私の告白が、私が小さい時に小狼にした時のとよく似てるのよ?まぁ流石にあんなえっちぃチュウなんてしてないけどね?」

 

ブリジット「へぇ~どっちの世界の苺鈴さんもやっぱり苺鈴さんなんですね?」

 

苺鈴 「かもね?・・・あの二人・・・なんか上手くいったみたいでよかったわ。見てよセリマさんも満更でもなさそうなにやけ顔しちゃって?」

 

ブリジット「ですね」

 

苺鈴 「とりあえず記念に一枚っと・・・」

 

ブリジット「ほんとスマフォって便利ですよね?すぐ写真が撮れるんですから?」

 

苺鈴 「まぁね?ほら」

 

ブリジット「あっ!!結構いい感じですね?」

 

苺鈴 「それじゃあそろそろお邪魔虫は退散しますか?」

 

ブリジット「今更ですね・・・」

 

苺鈴 「ところでさ?」

 

ブリジット「はい?」

 

苺鈴 「元の世界に帰った後の話ですけどね?・・・」

 

ブリジット「何です?急に改まって?」

 

苺鈴 「覚えてる?前に私が『ジュエルシード集めをすべて終えた後はどうするの?』って聞いた事?」

 

ブリジット「あぁそういえばそんな事言ってましたっけ?」

 

苺鈴 「なんやかんやでジュエルシードも全部集まって、色んな事が一応終わって、プレシアさんが目を覚ました後は私達が元の世界に帰るだけですけど、海鳴市に戻ったらブリジットさんはやっぱり向こうの世界のハヤウェイさん達と一緒に帰っちゃうんですか?」

 

ブリジット「気が早いですよ?まだ私達が戻れる保証もないですし?それに向こうのハヤウェイさん達が元の世界に戻れるかどうかも分からないのに・・・」

 

苺鈴 「それは戻るわ。それは決定事項ですもの?」

 

ブリジット「言い切っちゃいますねぇ~?まぁ苺鈴さんらしいですけど?」

 

苺鈴 「それに今は『もしも』の話として聞きたいって事でいいじゃないですか?それで・・・実際の所ブリジットさんはどうしようと思ってる?」

 

ブリジット「それについてはもう決めてるんです」

 

苺鈴 「どんな風に?」

 

ブリジット「それはですね・・・・・・」

 

メイリン・セリマの様子を一通り見て、この場を後にしながら二人はそんな話をしてプレシアが眠っていた病室へと再び足を運ぶのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「来たわよ!!プレシアさん!!」

 

ブリジット「お邪魔しますです、はい」

 

プレシアのいる病室にやってきた二人は、プレシアの様子を見て安堵し、リッテからも「一先ずは安心です」と話されプレシアが天使へと変貌する事は無いらしい・・・

 

苺鈴 「なにわともあれ、よかったわ?無事に生き返って」

 

プレシア「そうね。あなた達も私のために頭を下げてくれたそうね?ありがとう。あなた達にもずいぶん迷惑を掛けたわね?」

 

苺鈴 「よしてよ急に、なんか調子狂っちゃうじゃない?」

 

ブリジット「今までこんな風に接せられる事無かったですもんね?」

 

プレシア「そうね?でも今は素直に受け取ってほしかったわね?」

 

ブリジット「そうですよ苺鈴さん!!」

 

苺鈴 「アンタもでしょが!!ブリジットさん!!」

 

ブリジット「おっと!?」

 

プレシア「ふふっあなた達って本当に仲が良いわね?・・・私も、フェイトに会ったら今までの事をちゃんと謝って、やり直していかないといけないわね?」

 

苺鈴 「ぁっ!?そうだった?」

 

ブリジット「ちょっと?苺鈴さん?まさかそれ忘れていたんじゃないでしょうね?・・・」

 

苺鈴 「あははっ何の事かしらぁぁっ~」

 

ブリジット「何故顔を背(そむ)けるんです?」

 

苺鈴 「あははっ・・・」

 

ブリジット「完璧に忘れていたでしょ?プレシアさんをフェイトさんに謝らせる事?」

 

苺鈴 「はい・・・忘れてました」

 

ブリジット「それ忘れちゃダメな奴ですからね!?」

 

苺鈴 「色々あったもんだからつい・・・」

 

ブリジット「全くもぅっ~・・・」

 

苺鈴 「すみません・・・」

 

ハヤウェイ「という事は二人はこれから元の世界に帰るための手がかりをまた探す旅に出るって事?」

 

苺鈴 「あぁ~そういえばそうですね?リッテさんにも心当たりが無い訳ですし、他の国に行って探す事も考えないと駄目かも?」

 

ブリジット「ここで探すにも限界がありますもんね?」

 

ルーア「でしたらまた私達と一緒に行きますか?」

 

苺鈴 「良いんですか?」

 

ハヤウェイ「俺達もずっとここにいる訳じゃないし、乗り掛かった舟だろ?」

 

ブリジット「お二人がついてくれるのは心強いですよね?」

 

苺鈴 「ホントホント!!」

 

リッテ「あぁ、それについてなんですけどお二人共、ちょっと確認したい事があるんです」

 

ブリジット「二人って、私と苺鈴さんの事ですか?」

 

リッテ「はい」

 

苺鈴 「一体何よ?」

 

リッテ「以前聞いたお話で思い出したんですけど、お二人はこの世界に来る前に『時の庭園』という場所にいたんですよね?」

 

苺鈴 「そうですけど・・・」

 

ブリジット「それが何か?」

 

リッテ「確かそこでブリジットちゃんの『元居た世界の』ハヤウェイ君達が別の世界からやってきてくれたと言っていましたよね?」

 

苺鈴 「確かそう言ってましたよね?」

 

ブリジット「でしたね?確か、ジュエルシードを使ってルーアさんを除いた皆さんが助っ人に来てくれましたはずです」

 

プレシア「そうだったの?彼とその剣が?・・・」

 

ハヤウェイ「あぁいやっそれ俺じゃなくて、別の世界の方の俺ですから?」

 

リッテ「この世界がもし『アルハザード』だとすれば、大掛かりな事をしなければ来れないはずのこの世界に簡単に飛び越える事が出来た事となって、ジュエルシードの膨大な魔力を眠っていたハヤウェイ君とアーラ・グラディウスの力が上手く制御出来るように魔力をコントロールして・・・」

 

リッテはぶつぶつとつぶやきながら仮説を立てている・・・考えがまとまったようで、リッテは考えた仮説を苺鈴・ブリジット・プレシアに説明を始める

 

リッテ「もしかしたら、世界を超える事が出来るかもしれません」

 

苺鈴 「本当ですか!?」

 

プレシア「詳しく聞かせてもらえる?」

 

リッテ「あくまで仮説ですが、別の世界のハヤウェイ君はこの世界のハヤウェイ君と同様に、眠っていた力が解放されている状態で、その上でジュエルシードを『アーラ・グラディウス』を通して使用し、『次元を超える力』を手に入れ、その力を使って次元の壁を越えてきたっという事になります。この仮説通りでしたらこっちの世界のハヤウェイ君にもジュエルシードを使えば『次元を超える力』を使う事が出来ると思うんです」

 

ブリジット「成程。それが上手くいけば元の世界に帰れるって事ですね?」

 

リッテ「恐らく・・・確証はありませんが、試してみる価値はあると思います」

 

苺鈴 「上手くいけばラッキィィ~!!ようやく帰れるのね?長かったなぁ~・・・」

 

ブリジット「苺鈴さん。まだ仮説ですからね?仮説」

 

苺鈴 「とかいってブリジットさんも顔がにやけてるわよ?」

 

ブリジット「ありゃ?」

 

アリシア「元の世界に帰れるって事は、私フェイトに会えるの?」

 

苺鈴 「そうよ?時の庭園から落ちた後の事は分からないけど、きっと無事だろうからみんなで帰ったら会いに行きましょう」

 

アリシア「うん!!」

 

プレシア「良かったわね」

 

アリシア「うん!!早く会ってみたいなぁ~私の妹?どんな子かなぁ?」

 

パルティ「アリシア帰っちゃうでしか?」

 

アリシア「ううん。帰らないよ?行ってくるの。だって私の家はパルティや博士がいるここだもん」

 

パルティ「ならいいでし。お見上げ頼むでし」

 

アリシア「OK!!」

 

苺鈴 「全く、この子達ったら・・・」

 

ブリジット「あははっまるで旅行に行くみたいですね?はい・・・」

 

リッテ「・・・・・・」

 

プレシア「どうかしたの?」

 

リッテ「残念ですけど、アリシアちゃんとプレシアさんはこの世界に残ってもらいます。別の世界には行かせられません」

 

プレシア「えっ?」

 

アリシア「博士?・・・」

 

ブリジット「リッテ先生それはどういうことですか?」

 

苺鈴 「訳を聞かせてくださいよ!?」

 

リッテは語る。プレシアとアリシアが蘇生出来たのは天使の因子を体内に注入しているからであり、天使の因子によって引き起こされる体の拒絶反応が出た時、天使化して暴走するか、苦しみながら死を迎えるかのどちらかが引き起こされる可能性があり、それを調整・検査できるのは長年それの研究に関わっていたリッテだけであったからだ。リッテがおらず、十分な知識が他の者に無い・万が一暴走したら倒すしかなくなる・・・しかしリッテが診て、十分な設備もあれば事前の対処も可能となるはずだからこそ、下手に手出しが出来ない別の世界に連れ出すのは許可出来ないのであった

 

リッテ「プレシアさんも苺鈴ちゃんもブリジットちゃんも、アリシアちゃんをまた天使にしたくはないでしょ?もちろんプレシアさんも・・・」

 

プレシア「それはまぁ・・・そうだけど・・・」

 

リッテ「元の世界とやらで万が一暴走して、フェイトちゃんという子を傷付けたらそれこそ本末転倒ではありませんか?」

 

プレシア「・・・・・・」

 

リッテ「それにプレシアさんはまだ天使の因子が体になじみ切っていません。今無理をすれば今度こそ死にますよ?そうなれば折角娘達に会えても、また悲しませてしまうだけです」

 

プレシア「それは嫌ね・・・」

 

アリシア「お母さん」

 

プレシア「何?」

 

アリシア「私・・・ここに残る!!フェイトの所には行かない!!」

 

プレシア「ぇっ!?でもアリシア妹を欲しがっていたじゃない!?折角会えるのに?」

 

アリシア「そりゃ会いたいよ。でも・・・そうしたらお母さんまた一人ぼっちになっちゃうよ!?」

 

プレシア「アリシア・・・」

 

アリシア「もうお母さんを一人ぼっちにしない・・・私がそばにいる」

 

ベッドに横たわるプレシアの手を両手で握り、本来ならなのはやフェイトよりも年上であるが、まだ幼い少女の強い覚悟を垣間見たプレシアはその言葉に思わず涙ぐみ始め、「私もよ・・・」と自身もアリシアとずっと共にいる事を改めて決意し、二人はこの世界に残る事を決めるのであった

 

ブリジット「泣かせてくれますね?」

 

苺鈴 「でもどうにかして二人の事をフェイトに伝えたいもんね?ただの伝言じゃなくてさ?何か良い手はないもんかな?」

 

ブリジット「こっちの世界には記録映像のプリズム何て無いですし・・・あっ!!苺鈴さんスマフォで撮影すればいいんじゃないですか?」

 

苺鈴 「あっそっか!?」

 

リッテ「あの二人共、何の話をしているんですか?」

 

苺鈴 「プレシアさんとアリシアの伝言を私のスマフォで・・・この機械を使って記録するんですよ」

 

リッテ「そんな事が可能なんですか?」

 

苺鈴 「えぇ。これに二人の伝言を残してフェイトに伝える。それでいいわよね?」

 

プレシア「それでお願いするわ」

 

アリシア「私も!!」

 

苺鈴 「うん」

 

リッテ「苺鈴ちゃん。何にしてもしばらくはプレシアさんの体力が回復するまではまだ安静にする必要があります。記録をつけるのはまた後日という事で」

 

苺鈴 「そうですね。その間に二人共、フェイトに言う事考えておいてよね?」

 

プレシア「そうさせてもらうわ」

 

アリシア「は~い!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後・・・ブリジット・メイリン・セリマ・ハヤウェイ・ルーア・パルティはウームにて集まっており天使の因子との相性が良かったのかプレシアの体力も思っていた以上の回復を見せ、今一同から少し離れた所から苺鈴はスマフォを構えながらプレシアとアリシアを撮影していた・・・

 

因みに華凛は道に迷っていた道中で拾われた旅の商人が今度はヴィントラントへと向かう事になっていたため、用心棒を兼ねて同行することとなっていたためもうサブルムを旅立っていたのでここにはもういない・・・

 

リッテ「それにしても技術の進歩はすごいですね?あんなに小さい機械で鮮明な記録を残せるとは・・・」

 

ブリジット「その内こっちの世界でも似たような物は出来ると思いますよ?わたしがいた方のこの世界でも記録映像プリズムなんて物がありましたからね?」

 

セリマ「あっ3人がこっちに来ますよ?」

 

セリマの言うように撮影が終わったのか苺鈴・プレシア・アリシアが一同の元へとやってきて「お待たせ」と苺鈴が声をかける

 

ハヤウェイ「もういいの?」

 

苺鈴 「えぇ。撮影はバッチリよ!!」

 

メイリン「本当に便利よね?それ?」

 

苺鈴 「いいでしょ?まぁ戦争も終わってるっていうこの国とヴィントラントが力を合わせれば通信機器何てすぐ出来るんじゃない?」

 

ブリジット「出来ますよきっと。私のいた方の世界ではすでにあったんですから?」

 

リッテ「ウームの技術には未だ解明されていない事も多いのでそれを調べれば何か使える物があるかもしれませんね?」

 

ルーア「それにしても・・・これで苺鈴さんとブリジットさんとはお別れなんですね?」

 

苺鈴・ブリジット「・・・・・・」

 

セリマ「寂しくなりますね?」

 

ブリジット「私もです、はい・・・」

 

苺鈴 「ねぇ私?」

 

メイリン「何?」

 

苺鈴 「やるじゃない?セリマさんとの『あれ』?こっちまで疼(うず)いちゃったわよ?」

 

メイリン「『あれ』?・・・ぁっ!?」

 

耳元で小声で苺鈴から聞いた『あれ』は数日前の告白の時のメイリンのキスの事を言っていると思ったメイリンは顔を真っ赤にしながら煙がポンッ!!と吹き出し、メイリンは覗かれていた事を知り苺鈴をポンポンと叩きだし、その様子は正直可愛らしいモノであった・・・

 

リッテ「ハヤウェイ君。それではお願いします」

 

ハヤウェイ「はい」

 

ハヤウェイはリッテからジュエルシードを受け取り、『アーラ・グラディウス』にセットする。そして精神を集中すると剣が光だし、一筋の光の線が約2~3メートル先に延び、空中で途切れたかと思ったら途切れた個所に空間の丸い穴が開き、それがこの世界と元の世界へとつながっているはずの空間の亀裂のようだ・・・

 

ハヤウェイを除く一同「おぉぉっ~!?・・・」

 

ハヤウェイ「これでいいのかな?」

 

ルーア「この先がお二人のいた世界になっているんですか?」

 

ブリジット「さぁそこまでは・・・」

 

苺鈴 「繋がったのはいいけど・・・それが私達の帰りたい世界なのかどうかう~~ん・・・ん?」

 

空間が裂けた処までは良かったが、これが元の世界に通じているのかどうかまでは確認のしようが無いため、ここにきてためらいが出てしまい唸っていたが、苺鈴の腰に装着していた『サイクロード』から細い光が伸びていき、それが丸い穴の先の空間の中を更に奥へと進んでいく様子が見えた

 

ブリジット「どうなってるんですか?」

 

苺鈴 「さぁ?私にも何やら・・・」

 

ルーア「この光の線・・・魔力を感じますね?それもこの場にいる誰のモノではありません」

 

リッテ「『誰のものでもない』ですか?苺鈴ちゃん。心当たりはありませんか?」

 

苺鈴 「私ですか!?」

 

リッテ「これはあなたの装備ですからね?あなたにこの装備を託した人の内蔵されている魔力ではないかと思いますが?」

 

苺鈴 「託してくれた人の魔力・・・だとしたらこの線って、さくらの魔力!?」

 

リッテ「やはりそうですか・・・だとすればこの線は元の世界のそのさくらちゃんという子の元につながっているかもしれませんね?」

 

ブリジット「本当ですか!?リッテ先生!?」

 

リッテ「確証はありませんし、どういう原理かはわかりませんが、魔力同士がひかれあっているのかも?そもそも苺鈴ちゃんはこの世界に来てその装備は割とよく使っていたんじゃありませんか?」

 

苺鈴 「えぇまぁそれなりに・・・」

 

リッテ「なるほど。世界のつながりが途切れているはずの中でその装備には絶え間なく魔力が送られてきているような気がしていましたが、どうやら完全に途切れていた訳ではなさそうですね?だからその装備はずっと使えていたんですよ」

 

苺鈴 「言われてみれば確かに・・・」

 

要するに元の世界でならさくらがいたから魔力の供給が出来るが、離れ離れとなった時点で魔力供給も止まると思われるはずだったが、かすかに元の世界とつながりが残っていたためかさくらの魔力がこっちの世界にやってきて、サイクロードに供給出来ていた。そのおかげで魔力同士が次元を超えて繋がり、光の線が出来たのだ

 

ブリジット「やりましたね苺鈴さん!!」

 

苺鈴 「えぇ!!帰ったらさくらには本当に感謝しなきゃ!!」

 

プレシア「良かったわね?」

 

苺鈴 「プレシアさん・・・」

 

プレシア「あなた達とは色々あったけど、あなた達には感謝しているわ」

 

苺鈴 「そんな大した事してないわよ?私達は自分が思うようにやってきただけ」

 

ブリジット「その通りです、はい」

 

プレシア「そうだとしてもよ。こんな事を言えた義理では無いかもだけれど、無事に元の世界に戻れるよう祈っているわ」

 

苺鈴 「それはどうも」

 

プレシア「そういえばあなたにも誤っておかないといけなかったわね?」

 

ブリジット「私ですか?」

 

プレシア「えぇ。前に『時の庭園』でフェイトの事で怒って、私が返り討ちにしてしまった時の事よ。あの時は本当にごめんなさい。それとフェイトの事で怒ってくれてありがとう」

 

ブリジット「よしてくださいよ!?あの時は私も怒り任せに切りかかったんですから!?」

 

苺鈴 「プレシアさん」

 

プレシア「ん?」

 

苺鈴 「本音を言えば直接フェイトに謝らせたかったけど、こんな事になっちゃったからね?だから約束する。二人の伝言は必ずフェイトへ伝えるって!!その代わり・・・今度こそはアリシアと一緒に幸せになりなさいよ?」

 

プレシア「えぇ・・・その願い・・・必ず叶えるわ。今度こそ」

 

苺鈴は右手を差し出し、プレシアはその意図に気付くと、プレシアも右手を差し出し、二人は和解と誓いの握手を交わし苺鈴とブリジットは丸い穴の手前まで移動して一度振り返り一同を見つめる

 

苺鈴 「皆さん!!今までお世話になりました!!」

 

ブリジット「どうかお元気で!!」

 

メイリン「御武運を!!」

 

セリマ「私達の方も色々ありがとうです、はい!!」

 

ルーア「皆さんとの旅も楽しかったです!!」

 

アリシア・パルティ「バイバァァ~イ!!」

 

リッテ「気を付けてくださいね!!」

 

ハヤウェイ「・・・それっ!!」

 

一同の言葉の後、空間は閉じ、完全に苺鈴・ブリジットはこの世界から消えてしまい数秒の間沈黙が流れそれぞれ感傷に浸っていた・・・

 

ハヤウェイ「これでもう多分こっちから苺鈴達には会えなくなったんだね?」

 

ルーア「ですね?ジュエルシードはさっきハヤウェイさんが投げ渡したのも含めてすべて持たせてしまったんですから・・・」

 

ジュエルシードもこの場にはもうない・・・ジュエルシードについてはこの世界の者達には知識が無いに等しい・・・仮にまた何かあったとしても、対処出来るのはプレシアのみとなる。そうなると無理に保管するよりも、苺鈴達と共に元の世界へと運び、適切な対処を施せる上に、対処が出来る人材も多い世界へと持っていく方が何かと都合がいいという事だ。

 

それぞれが再び足を運びだし、各々(おのおの)はそれぞれの道へと進んでいき、個々の物語が再び始まっていく・・・

 

ハヤウェイとルーアはしばらくサブルムに滞在し、事後処理の手伝いの後再び旅に出る事に・・・・・・

 

リッテはウームの研究のためサブルムにまだまだ滞在することし、プレシアを自身の助手という事で一先ず雇い・・・・・・

 

プレシアはアリシアとともに再び暮らせる事となり忙しい毎日を送りながらもアリシアもパルティという年の近い友もいることでかつてのような寂しい思いをする事ももう無いであろう・・・・・・

 

そしてメイリンとセリマは・・・・・・

 

メイリン「チェックメイト」

 

セリマ「ぐぅっ!?がくっ・・・」

 

メイリン「今度は私の勝ちね?」

 

セリマ「また負けました・・・ちょっとは手加減してくださいよぉ?」

 

メイリン「嫌よ?だって負けるの嫌だもん」

 

セリマ「その口調に負けず嫌いな所、苺鈴さんみたいですね?」

 

メイリン「そう?・・・まぁ・・・そうかもね?彼女には色々刺激をもらったからかもしれないわね?」

 

セリマ「苺鈴さんも、同じあなたなだけあって、素敵な人でしたよね?」

 

メイリン「・・・・・・うりゃっ」

 

メイリンはチェス台を置いている机からゆっくり身を乗り出し、セリマの両頬を軽く引っ張る。セリマは特に反撃する訳でもなく、頭上に?を浮かべるだけである

 

セリマ「ふぇいひんふぁま?(メイリン様?)」

 

メイリン「私をほめてくれるようで嬉しいけど、でもあれは私じゃないから、ちょっと複雑な訳?」

 

セリマ「ふぁい(はい)」

 

メイリン「だから私はヤキモチを焼いてちょっと怒っています」

 

セリマ「ふぁい(はい)」

 

メイリン「・・・だから、行動で示して欲しいの?私がこういう時してほしい事をしてね?」

 

セリマ「はいはい」

 

セリマの頬から手を放し、ゆっくりと席に戻るメイリンに今度はセリマが身を乗り出し、メイリンの両頬に手を添えて、両者は目を閉じ、静かに唇を交わす・・・

 

次に目明けると唇は離れ、二人共席に戻っており、二人はほんのり頬を赤くしながら互いを見つめ合い、微笑み返す

 

セリマ「そういえば・・・」

 

メイリン「何?」

 

セリマ「近隣の国からお見合いの話が来ているそうですけどどうなさるおつもりなんですか?確か相手は国の王族だそうですけど?」

 

メイリン「あぁあれね?流石に情報が入るのが早いわね?あれは断わちゃった」

 

セリマ「えぇっ!?そんなあっさり!?」

 

メイリン「だってさ?今は私・・・セリマの恋人だもん」

 

セリマ「ぉぉっ・・・これも苺鈴さんの影響でしょうか?この国・・・この先どうなっちゃうんでしょうか?」

 

メイリン「先の事はまた改めて考えればいいわよ?大事なのは今この先も後悔しないって選択をする事なんじゃないかしら?」

 

セリマ「物は言いようですね?はい・・・」

 

メイリン「それともセリマは・・・私と恋人になるの嫌だった?」

 

セリマ「それは・・・」

 

メイリン「・・・・・・」

 

セリマ「愚問ですよ?嫌な訳・・・ないじゃありませんか?」

 

メイリン「ふふっそう言ってくれると思ってた・・・・・・今頃どうしているかしら?彼女達・・・」

 

セリマ「きっと元の世界で上手くやっていますよ?なにせ『私達』ですよ?」

 

メイリン「ふふっそうね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「あ痛たたた・・・もう~なんで最後はこんな雑なのよ!?」

 

ブリジット「そりゃまぁ限界だったからじゃないですか?結構無理があったんだと思いますよ?」

 

苺鈴 「っっっそれもそっか?ところで・・・ここ何処?元の世界のはずよね?」

 

二人は宙から段ボールの山の上に落ちてくる。クッションになった事で硬い地面に直撃することは無かったがそれでも体をぶつけた事には違いないので二人はぶつけた個所をさすりながら周辺を見渡す。場所は薄暗く、どうやら倉庫のようであった

 

ブリジット「あっここ、多分アースラの倉庫ですよ?前に迷って入った事があるんです」

 

苺鈴 「という事は・・・」

 

ブリジット「アースラなのは間違いないと思います」

 

苺鈴 「でもここって本当に私達の乗ってた方のアースラなの?」

 

ブリジット「さぁ?」

 

苺鈴 「そうよね・・・そうなるわよね・・・」

 

ブリジット「とりあえず・・・外に出ましょうか?」

 

苺鈴 「そうね・・・」

 

ブリジット「っんで?とりあえずどうします?」

 

苺鈴 「一先ずフェイトを探しましょう?プレシアさんとアリシアの伝言を伝えなきゃだし?」

 

ブリジット「では二手に分かれましょう。他の情報も欲しいですし?」

 

苺鈴 「了解。じゃあまたここで落ち合いましょう」

 

ブリジット「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリジット「と自分で提案したのはいいモノの・・・こんな時に限って誰にも会わないとか・・・ないですよねぇ~・・・んっ?」

 

華凜 「しかし、折角ブリジットの救援に来たというのにこんなことになるとはな・・・」

 

ヘル 「彼女の事は残念ですが・・・リンディさんの話では虚数空間に飲み込まれた者が生還したという事例はないそうですし・・・」

 

ブリジット「へぇ~そうなんですか?という事は私達が記念すべき生還者第一号って訳なんですね、はい・・・」

 

フェル「何言ってんのさぁ?ここにいないのに生還者第一号っておかしいでしょ?」

 

ブリジット「いやですから、ここにいますって。勝手に殺さないでくださいってば?」

 

フェル「へっ?・・・」

 

苺鈴と別れたブリジットはアースラ内を歩き回っていたが、食堂付近に来た時に聞き覚えのある声に中を覗いて見ると、フェル・フィーリア・華凛・『シスター・ヘル』・リッテが食堂に集まっており、自分に関わっている話だったため、つい口を挟んでしまい、一同の注目を集める・・・そしてフェルに続いてフィーリア・華凜・『シスター・ヘル』・リッテが声のした方へと視線を向けると、少しの間の後、驚愕した時の叫びを発し、その叫びはアースラに響き渡っていた

 

フィーリア「ぶっブリジットちゃん!?」

 

フェル「どういう事!?何でここに!?」

 

ブリジット「まぁ色々ありまして・・・ところで皆さんあれからどれだけ経ちました?」

 

リッテ「あれから数時間経ちましたよ?」

 

ブリジット「ふぇえっ!?たった数時間!?そんな風に調整されてたんですか?」

 

リッテ「『調整』?」

 

ブリジット「あぁいえこっちの話です。ところで皆さん。フェイトさんって今どちらにいるか知りませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「ふ~~ん・・・別れたのは失敗だったかな?・・・あれ?」

 

神楽 「んっ?」

 

苺鈴 「神楽さん・・・よね?」

 

神楽 「・・・・・・」

 

苺鈴 「覚えていますか?ほら学校で?ってそっか?あれは向こうの神楽さんだから・・・」

 

一方の苺鈴は神楽と再会し、神楽は声には出さないが目を大きく見開き驚愕の表情を浮かべている。苺鈴は神楽が立っている部屋がなんなのかが気になり神楽に尋ねるが神楽はまだ驚きが強いせいか口を開けない・・・

 

苺鈴は扉の前に立ち、聞き耳を立てるとそこからなのはと知世の声が聞こえてくるのであった

 

苺鈴 (思い出した!?ここって私となのはの部屋じゃない!?)

 

知世 「実を言うとですねなのはちゃん。私はさくらちゃんの事を親友とは思っていないんです」

 

なのは「ぇっ?」

 

苺鈴 (えっ!?)

 

知世 「『好き』なんですの。さくらちゃんの事を友達としてではなく一人のそれこそさくらちゃんと李君のような、なのはちゃんのご両親みたいな『好き』なんです。」

 

なのは「お父さんとお母さんみたいな『好き』・・・」

 

苺鈴 (向こうの私とセリマさんみたいな『好き』・・・)

 

知世 「内緒ですよ。・・・苺鈴ちゃんと違って私には素直にその思いを伝える事は出来ません。伝えたらさくらちゃんは戸惑いながらも受け入れてくれるでしょうから・・・」

 

なのは「・・・受け入れてもらえるのなら何で言わないんですか?」

 

苺鈴 (うんうん!!)

 

知世 「それは多分、私が求めている『好き』にはならないからですわ。勿論、李君のと同じ気持ちの好きになって私を求めてくれるのでしたら話は別ですけど、そうでないのでしたら、それはきっとその場では丸く収まっても必ず先の未来でほころびが生(しょう)じます。」

 

なのは「・・・・・・」

 

苺鈴 (確かにさくらなら受け入れかねないわね?)

 

知世 「でも、伝えたかった・・・さくらちゃんに『好き』だと・・・私にはそれを言う勇気がなかった。このまま今の上手くいっている関係が壊れてしまうかもしれないのが本能的に伝えるのを拒んだのかもしれません。前にさくらちゃんに「大好きな人が他に幸せを見つけているのでしたらそれでいい」なんて言っておきながら・・・私はずるいです・・・」

 

なのは「・・・・・・」

 

苺鈴 (おんなじだ・・・向こうの私と・・・)

 

知世 「だから私はそんな苺鈴ちゃんがうらやましかったのかもしれませんね。そして、そんな彼女の心がつぶれてしまいそうになるかもしれないと分かったあの時、私はあの子の支えにもなってあげたいって思ったんです。苺鈴ちゃんは思いを伝えていた上で李君はさくらちゃんの方へと行ってしまわれましたから・・・」

 

苺鈴 (あの時・・・そんな風に思ってたんだ・・・)

 

なのは「同情・・・ですか?」

 

知世 「あの子はそれを望みません。ただ、私の思いも一緒に涙で流してほしかった。なのでしょうね・・・」

 

苺鈴 (なんか・・・私の方がずるい気がしてきなぁ~・・・知世は涙を我慢して、誰にも思いを伝えずに私ばっかりが吐き出して・・・)

 

なのは「自分の気持ちなのに分からないんですか?」

 

知世 「案外、他人のよりも自分の気持ちの方が分からない時もありますわ。」

 

なのは「・・・・・・」

 

苺鈴 (確かにそうね?)

 

知世 「なにはともあれ、今なのはちゃんには泣きつくすことが必要だと思った・・・私はそのはけ口になりに来た。それだけですわ。」

 

なのは「何でそこまで私にかまうんですか?・・・」

 

苺鈴 (確かに?・・・)

 

知世 「誰にだって泣きたい時がありますわ。それが大切な人がいなくなった時なら尚更(なおさら)・・・それに先ほども言いましたがどんなに強くなった人でも泣く時は泣くんです。恥ずかしがったり、みっともなく思ったりする必要なんてどこにもありませんし、思われる筋合いもありません。それに・・・私にはこれ位しかできませんから・・・」

 

苺鈴 (知世・・・)

 

なのは「知世さん・・・」

 

苺鈴 (行かなきゃ!!)

 

知世 「泣いてくれませんか・・・」

 

なのは「ぇっ?」

 

苺鈴 (ぇっ?)

 

知世 「私の分の悲しみも、なのはちゃんの涙で一緒に流しきっていただけませんか?・・・」

 

なのは「・・・うん・・・」

 

苺鈴 (・・・・・・どうしよう・・・なんか今出て行きずらくなっちゃった・・・・・・)

 

神楽 「苺鈴ちゃん?・・・」

 

苺鈴 「神楽さん」

 

神楽 「ん?」

 

苺鈴 「どうしよう?」

 

神楽 「んん~~・・・」

 

そこからしばらくなのはが泣きだしてしまい、本格的に入りずらくなってしまった苺鈴はなのはが無き尽くすまでの間、扉の前で息を殺しながら「早く行かなきゃ!!でも行きずらいなぁ~・・・」と自問自答を繰りかえし「良し!!聞かなかった事にして入ろう!!」と若干開き直ったかのようにそろそろ泣き止んできたところで突入を決めるのであった

 

知世 「なのはちゃん、もうよろしいのですか?」

 

なのは「はい。まだ少し辛いですが、おかげで泣き切れました・・・知世さん」

 

知世 「はい?」

 

なのは「私・・・フェイトちゃんに酷い事言っちゃった。さくらさんにも・・・私、謝らないと!!」

 

知世 「えぇ。そうですね。行きましょうなのはちゃん。私も一緒に謝りますから」

 

なのは「ありがとう・・・知世さん・・・」

 

知世 「お安い御用です。その代わり・・・」

 

なのは「えっ?」

 

知世 「私がさくらちゃんの事を好きなのと、苺鈴ちゃんが私の膝で泣いていたことは秘密ですよ?」

 

なのは「はい」

 

知世 「うふふふっ・・・」

 

苺鈴 「何か、すごいこと聞いちゃったわねぇ~・・・」

 

苺鈴 「・・・久しぶりね。二人共?」

 

なのは・知世「苺鈴ちゃん?・・・・・・」

 

苺鈴 「そのぉ~・・・あのね?なんて言うかぁ~そのぉ~・・・」

 

なのは・知世「・・・・・・」

 

苺鈴 「そっそぉよ!!フェイト!!フェイトは今どこかしら!?」

 

知世 「ふぇっフェイトちゃんでしたらこの先にある部屋にいます」

 

苺鈴 「ありがとう知世!!じゃあね!!」

 

意気込んで入ったまでは良かったが、結局動揺しまくり、不自然に話題を切り替えた苺鈴はフェイトの居場所を聞き、逃げるように駆け出して、この場を後にしていくのであった・・・

 

 

 









次回『ブリジットの選択』
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