3人 「ごちそうさまでした!!」
さくら「お粗末様でした」
苺鈴 「じゃあ後片付けは私達がやっておくから二人は書庫行ってきなさいよ?」
さくら「えぇ!?でもお客さんなんだし」
苺鈴 「これ位させなさいよ?ねぇ?」
ブリジット「はい。おいしいコロッケのお礼です、はい」
さくら「そう?それじゃあお言葉に甘えさせてもらうね?」
4人はコロッケを完食して片づけは苺鈴・ブリジットが引き受け、さくら・秋穂は約束通り書庫の本を見る事になり二人は書庫に向かおうとする。しかし、その直後秋穂のスマフォにメールの着信が届き秋穂はさくらの一言断ってからメールを確認する。送り主は海渡で「具合が悪くなり、仕事はお休みさせてもらいます。申し訳ありません」という内容であった。その内容に秋穂は海渡の身を案じさくらも察してか「家に帰ってあげて」と秋穂に帰るように促す。それに秋穂も頷き、折角呼んでくれたさくらに一言謝ってから秋穂は荷物をまとめて4人は玄関を出て、秋穂を見送りに出ていた
秋穂 「それでは皆さん。急な事で申し訳ありませんがこれで失礼します」
さくら「ううん。気にしないで?海渡さんにお大事にって伝えといて」
秋穂 「はい。ありがとうございます」
ブリジット「お気をつけて」
苺鈴 「じゃあね・・・」
秋穂が見えなくなるぐらいまで玄関先で見送っていた3人はさくらの家に引き返していき苺鈴の脳裏にある光景が浮かび、それを「懐かしいなぁ~」と口ずさんでいた
さくら「何が?」
苺鈴 「ん?あぁそれがね?この世界に来る前に、別の世界にも篠本さんと海渡さんがいてさ?篠本さんを見て思い出しちゃったのよ?」
さくら「へぇ~」
ブリジット「その後、ヴィントラント王国であっちの世界のさくらさんや知世さん。ついでに小狼さんも見ましたよね?確か?」
さくら「私や知世ちゃん・小狼君もいたんですか!?」
苺鈴 「そっ!!あっちのさくら達とも結構楽しくやってたのよ?皆ローゼンベルグ騎士養成学校の制服も似合ってたなぁ~」
さくら「ほぇ~」
別の世界・・・苺鈴ちゃんが見てきた私達かぁ・・・どんな風だったんだろう?見てみたいなぁ~・・・
苺鈴 「さてと、篠本さんも帰っちゃった訳だし、食器の後片付けしないとね?・・・・・・ん?」
???「苺鈴ちゃん!!」
苺鈴は木之本家の家のドアを開ける。しかしすぐに閉めてしまった。苺鈴は再び扉を開けその先を見るとまた閉めてしまう
ブリジット「何してるんですか?」
苺鈴 「それが・・・最初に扉を開けた先に『さくら』が居て・・・」
ブリジット「はぁ?」
さくら「私がいた?」
苺鈴 「そう。っでもう一度開けたら今度は何も無くて?あっいや元のこの家の玄関が出てきて・・・そういえばさくらだけじゃなくて『知世』も居たような?でも私が見たのってローゼンベルグ騎士養成学校の制服を着た二人だったような?」
ブリジット「そんなバカな?だって向こうのお二人がいるのは『ヴィントラント王国』つまり『アルハザード』なんですよ?こっちの世界にいる訳無いじゃないですか?」
苺鈴 「そんなの分かってるわよ?でも確かにあれはあの学校にいた二人だったのよ・・・」
知世ちゃんか・・・知世ちゃんがいてくれたら苺鈴ちゃんとブリジットさんの事、どうしたらいいか相談出来るんだけどなぁ~・・・
ブリジット「とにかく元の玄関に戻っているというんでしたら入りましょうよ?」
苺鈴 「分かったわよ」
再び苺鈴が扉に手を掛け、開ける。すると再び苺鈴の瞳に映ったのは木之本家の玄関では無くよく見知った一人の少女『大道寺 知世』の姿であった。突然の事ではあったが、今度は咄嗟に扉を閉める事は無く、知世の姿を目視したさくらも目の前に知世がいる事に驚愕する
さくら「知世ちゃん!?」
知世 「さくらちゃん!?どうしてわたくしの家に?それにそちらのお二人はどちら様で?」
知世は扉をくぐり、木之本家の玄関先に移動して一同は外で今起こっている不思議な現象に困惑している。知世はどうやら自宅に居て出かけようとして自分の部屋の扉を開けようとしたら勝手に扉が開きさくら・苺鈴・ブリジットが目の前にいたと言うらしい。そして苺鈴・ブリジットの事もさくらが簡単に説明をしていた
知世 「『平行世界』の私達の友達ですか?」
さくら「そうらしいの?」
知世 「にわかには信じがたい事ですが、さくらちゃんの言う事でしたら信じられます」
さくら「信じてくれるの?」
知世 「勿論です!!」
さくら「ありがとう!!」
苺鈴 「こっちでもこの子は木之本さんLOVEな訳ね?」
ブリジット「ぶれませんね?どの世界でも?」
知世 「という事は・・・あの李さん?」
苺鈴 「『苺鈴』でいいわよ?それに『さん』じゃなくて『ちゃん』でいい」
知世 「よろしいんですの?」
苺鈴 「向こうの二人も初めからそう呼んでるもの?」
知世 「成程。では苺鈴ちゃん、李君のイトコという事はもしやさくらちゃんや李君のお力についても?」
苺鈴 「当然知ってる。私も一緒に『クロウ・カード』捕まえるの手伝ったことあるもの?」
まぁ、役に立ったの一回だけだったけどね?
ブリジット「苺鈴さんとても強いんですよ?私達の知っている方のさくらさんも小狼さんも心強かったんじゃないですか?」
苺鈴 「知ってるくせに?こっちのさくらぁいや木之本さん達が知らないからって持ち上げないの!?言ったでしょ?役に立ったの一回だけだって?」
ブリジット「それでもですよ?それって苺鈴さんが居なかったら捕まえる事が出来なかったっていう立派な成果じゃないですか?」
苺鈴 「まぁ・・・そう言ってくれるのは嬉しいけどさ?・・・」
そっか・・・『クロウ・カード』を捕まえてた頃から一緒に頑張ってたんだ?向こうの私って?いいなぁ~・・・こんな事言ったらダメなんだろうけど、楽しかったんだろうなぁ~苺鈴
ちゃんも加えたカード集め?
珍しくブリジットが苺鈴をからかうやり取りを見て、さくらは二人の知る『木之本 さくら』が羨ましく思い、苺鈴も加えたカード集めが一体どんな風景だったのかを想像すると遂口元が緩み「楽しそうにしてるかな?」と寂しさも感じていた・・・そんな最中、さくらは突如何かを察知して家の敷地から飛び出して道路に飛び出す。その様子を見ていた一同もさくらの後を追い、さくらが向ける視線の先をじっと見つめていた
ブリジット「誰かいますね?」
苺鈴 「何か・・・変わった恰好してない?」
一同が見たのは背を向ける中華風の服装をしている全身ピンクがイメージカラーのさくらや知世よりも若干背が低いぐらいの少女であった。少女はさくら達に視線を向け、数秒の間が開くと突如駆け出して拳を構える
苺鈴 「さくら!?」
さくら「ほぇ!?」
ブリジット「危ない!!」
知世 「きゃっ!?」
少女が繰り出した拳を咄嗟に苺鈴はさくらを・ブリジットは知世を抱き寄せ庇い、初撃は避けたが、ブリジットに向けて少女は蹴りを放ち、背中にまともに受けたブリジットは抱きかかえた知世ごと吹き飛び壁に激突し、倒れてしまう
知世 「大丈夫ですか!?」
ブリジット「ぅぅっ・・・」
知世はブリジットに庇われて怪我は無いようだ。それに引き換えブリジットは肩を押さえている。どうやら壁に肩から激突したようで肩が上手く動かないようだ。それを知ってか知らずか少女はブリジット・知世に近づいていき拳を構え、振り落とすが、両者の前に苺鈴が割って入り、その拳を腕をクロスさせて防ぐ
苺鈴 「不意打ち何て卑怯なんじゃない?」
攻撃を受け止めた苺鈴に今度は狙いをつけたのか少女は拳を引き、拳のラッシュ・足技の連撃で間髪入れず苺鈴を襲うが、同じ素手で戦う苺鈴はその一撃一撃に確実な対処をして、受け流す。
苺鈴 「結構やるじゃない?だったらこれで!!」
さくら「苺鈴ちゃんそのベルト!?何処に持ってたの!?」
苺鈴 「『アンキ』って言ってね?これ一つぐらいなら何とか隠し持てるようになったの!!」
一度跳び引いた苺鈴は背中に手を回してさくらの部屋に置いてきたはずの『サイクロード』を取り出す。そこそこ大きい物なので一体どこに持っていたのか疑問が出て来たが、苺鈴もただアルハザードを旅していた訳ではない。旅の道中万が一のためアサシンであるブリジットは隠し武器の事を指す『アンキ』を苺鈴に伝授していたのだ。応用すれば武器だけではなくかつて小狼がマラソン大会の時に何処に持っていたのか羅針盤を取り出した時のように他の物を持ち運ぶ事が可能になるためだ。
サイクロードを装着した苺鈴は再び少女と対峙する。先は防ぐのは正直厳しかったところだが、今度は割と軽く防げるようになっていた。身体能力5倍の効果は伊達ではない
苺鈴 「ふんふんふんふん!!」
苺鈴と少女の拳と拳がぶつかり合う。両者の力は拮抗(きっこう)しているようだ
苺鈴 「はあぁっ!!」
苺鈴の渾身の張り手が少女の左肩に直撃し、少女は吹き飛ぶ。勝利を確信した一同であったが、少女の体は一度割れたクリスタルのようになったが、再生して再びその体を取り戻す
苺鈴 「嘘でしょ!?」
少女は再び苺鈴に向かって攻撃を繰り出す。左チョップを重く繰り出し、苺鈴はそれを両腕をクロスして引っかける形で受け止める。しかし、少女の攻撃はそれだけでは留まらなかった
苺鈴 「ぐぅっ!?ぁぁっ・・・」
少女はすかさず右拳を苺鈴の腹部に向けて突き出しそれがサイクロードに直撃することで苺鈴自身にはダメージはたいして通らなかったが、サイクロードに大きい亀裂が入り苺鈴は数歩後ろに下がり、膝をついてしまう
さくら「苺鈴ちゃん!?」
苺鈴 「大丈夫!!下がってて!!」
少女は再び苺鈴に攻撃を仕掛ける。それに反応しようとした苺鈴であったが、急に体が重く感じその疲労感にも似た感覚に思わず足がガクッとなり、回避が間に合わず繰り出された蹴りをまともに受けてしまい転倒してしまう
苺鈴 「痛たっ・・・はっ!?」
少女はその隙を逃さまいと追撃に出る。苺鈴は何とか立ち上がり拳を避け、まともにぶつかり合う事を避けるために受け流すように攻撃を対処していく。その様は先とは違いダメージを追っているため余裕は無さそうだ
体が重い!?いいえ違う!!本来の私の体力に戻ったんだ!?何で急に!?まさかサイクロードにダメージが入ったせい!?参ったな?っそれにしてもこの子・・・
少女 「!!」
苺鈴 「ふっ!!まるで『ツイン』のカードの時みたいじゃない!?」
さくら「『ついん』?なんなのそれ!?」
苺鈴 「あったでしょ!?双子のクロウ・カード!?捕まえるのが結構大変だった奴!?」
さくら「そんなカード無かったよ!?」
苺鈴 「何ですって!?もしかして、こっちの世界じゃ『クロウ・カード』の枚数も違うの!?」
さくら「それってどんなカードだったの!?」
苺鈴 「あのカードは双子の兄弟みたいなカードで、捕まえるには同時に倒さないとダメだった!!私と小狼が同時に動きを止めて、あなたが封印したのよ!!」
さくら「小狼君と一緒に?」
苺鈴 「でも今はこの子しかいない!?これはどうすればいいの!?」
動きが鈍くなっていた苺鈴ではあったが、何とか避ける事に専念しているため相手は出来ている。壁に追い込まれていた苺鈴は少女の繰り出してくる拳の連撃をよけながら懸命にこの少女への対策を考えている。それはさくらも同じであった
さくら「そうだ!!肩の所!!今度は両肩の宝石を同時に壊したら!?」
それか!?でも難しい注文ね?サイクロード無しでこの子相手はとてもじゃないけど無理!!ブリジットさんはまだ肩を痛めてそうだし・・・こうなったら!!
苺鈴 「ふっ!!・・・・・・木之本さん!!私に合わせて!!」
さくら「うん!!・・・ほぇ?」
苺鈴 「だから?私に合わせて一緒に戦って欲しいの!?」
さくら「えっ!?えぇっ~~!?私無理だよ!?格闘技なんて出来ないし!?苺鈴ちゃんの動きもよくわからないし!?」
苺鈴 「大丈夫!!私があなたの動きに合わせて指示を出すから!!」
さくら「でっでも?」
苺鈴 「お願い!!私を信じて!!」
さくら「・・・分かった!!やってみる!!」
苺鈴 「ありがとう!!」
少女の攻撃を避け、空中を反転しながらさくらのそばに着地しると同時にサイクロードを外しブリジットに投げる。苺鈴はさくらと共闘して少女の両肩の宝石を破壊する事に決めたようだ。
サイクロードを外したのは亀裂が入って能力が下がっているとはいえ念のためにさくらに動きを合わせやすくするためとデッドウェイトなるためだ。仮に亀裂が無かった状態であってもその状態ではさくらの身体能力と苺鈴の身体能力に差が大きくなってしまうためなのでどっちにしろ外していた訳だが・・・
二人は左右対称に構えて少女の動きに注目する
苺鈴 「来るわよ!!左!!」
さくら「はい!!」
苺鈴 「次、右!!後ろ3歩!!」
さくら「はい!!」
苺鈴 「ジャンプ!!」
さくら「はい!!」
苺鈴 「開(ひら)けて!!」
さくら「はい!!」
右ストレート→宙に跳んで足技の連打→しゃがんで回し蹴り→最後に突進・・・少女が繰り出さしてきた攻撃はこうだ。苺鈴は少女のわずかな動きを見て、経験上の感も持ってか的確にさくらに指示を出しながら避けていく。少女との距離が離れた事により二人は左右対称に背中合わせになりながら構えて再び向かってくる少女に対処する
少女 「!!」
苺鈴・さくら「はぁ!!」
少女 「!?」
苺鈴・さくら「はあぁっー!!はあぁっ!!」
少女 「!?・・・・・・」
苺鈴 「今よ!!」
さくら「うん!!・・・夢の力を秘めし鍵よ!!真の姿を我の前に示せ!!レリィィーズ!!」
あれ?星の杖じゃない!?
さくら「主無き者よ!!夢の杖の元!!我の力となれ!!セキュア!!」
向かってきた少女に対して宙に跳んだ二人のチョップが少女の両肩に命中し、肩の宝石が砕ける。さくらは鍵から杖を具現化して、苺鈴の聞き覚えの無い封印の呪文を唱えて少女は一枚のカードとなる。そのカードを掴んださくら・そしてそのカードを覗き込んだ苺鈴はカードに書かれていた文字を読み上げる
苺鈴 「『争闘(そうとう)』・・・『ストラグル』・・・だから攻撃を仕掛けてきたのね?」
それにしてもこのカードの動き・・・何で途中から私動きがすぐに読めたのかしら?それにさっきは気付かなかったけど、さくらのあの杖・・・どっかで見たような・・・
さくら「うん・・・ぁっ!?苺鈴ちゃん怪我大丈夫!?」
苺鈴 「へっ?あぁっこんなのかすり傷よ?これまでの戦いに比べたら傷のうちにも入らないわ?私の事よりも・・・」
苺鈴の視線の先にはブリジットが映っていた。今一番傷を負っているのは彼女であろう。知世がそばで介抱(かいほう)しているがまだ辛そうだ
苺鈴 「肩大丈夫?」
ブリジット「何とか大丈夫です。今簡易ヒールで治療していますので少し時間を置けばまた動けますよ?」
苺鈴 「それなら良かったわ」
知世 「すみません。私を庇ったばっかりに・・・」
ブリジット「気にしないでください。私にとっても知世さんは恩人なんですから?」
知世 「そうなんですの?」
ブリジット「えぇ。私達の着ているこの衣装だって知世さんが作ってくれたんですよ?」
知世 「私がお二人に?・・・」
ケロ 「さくらぁぁー!!」
突如ケロの叫び声が聞こえてきて一同はケロに視線を集める。苺鈴はジト目でケロに視線を送りながら遅れてやってきた事に思わず軽く毒を吐いてしまう
苺鈴 「あらっ?今頃来たの?もう終わっちゃったわよ?あれだけ騒いでたのに気づかなかったの?」
ケロ 「勿論気づいとったわ!!せやけどワイかて好きで今頃出て来とらんわ!!」
苺鈴 「へぇ~・・・じゃあ何してたのよ?ブリジットさんも怪我しちゃうし、さくらだって慣れない格闘技させて無理させちゃったって言うのに?」
ブリジット「まぁまぁ」
さくら「大丈夫だよ!?大変だったけど無理はしてないから!?ところであの「さくら」って呼んでくれた?」
苺鈴 「へっ?・・・あぁごめん!!いきなり嫌だったわよね?」
さくら「ううん!!そのまま『さくら』って呼んで!!苺鈴ちゃんの知ってる私と同じように!!」
苺鈴 「そっそう?まぁあなたが良いなら?・・・」
さくら「うん!!」
まぁ・・・一緒に戦った仲だしね?
ケロ 「それよりさくら大変や!?家ん中の空間がめちゃめちゃになっとるでぇ!?」
さくら「ほぇ?どういう事?」
ケロは説明する。ケロは『ストラグル』の騒ぎに気付き、窓から様子を見てすぐに向かおうとした。しかし、窓を開けて窓を飛び出した途端風呂場の壁にぶつかりポチャンと湯船に落ちていった。しかもそれだけではない・・・風呂場を出たと思ったら今度は『書庫』に出て本棚の柱部分に激突してまたズルズルと床に落ちていき再び外に出ようと飛び出すが今度は藤隆の部屋・桃矢の部屋そして最後にまたさくらの部屋に戻ってしまい次にさくらの部屋を飛び出したらようやく外に出られ、さくら達と合流したという訳である
知世 「さくらちゃん。もしや他にカードが?」
さくら「うん・・・かすかだけど感じる・・・さっきの『ストラグル』以外のカードの気配がまだ残ってる・・・」
ケロ 「やっぱそうか・・・ワイにはさっぱり気配が感じられん・・・」
苺鈴 「それで?どこから感じるの?」
さくらは周辺を見渡し、集中してカードの気配を探す。数秒ほど周辺を探すが特に不審な点は見つからないが、さくらはかすかにだが感じ取れた魔力の気配を辿って玄関の前に立つ
さくら「ここから気配がする・・・」
ブリジット「『扉』・・・ですね?」
苺鈴 「特におかしなところは見当たんないわね?どうするの?」
さくら「・・・レリィィーズ(封印解除)!!・・・主無き者よ!!夢の杖の元!!我の力となれ!!セキュア!!」
さくらは苺鈴の返答に口で答える代わりに『夢の杖』を具現化して扉の前で封印を施す。扉の前に光が凝縮していきまた一枚のクリアカードがさくらの手元に収まる
さくら「『ゲート』・・・『門』?・・・」
ブリジット「『門』ってことは・・・扉って事ですかね?」
苺鈴 「でもこれってどういうカードな訳?」
知世 「・・・もしや・・・」
さくらが読み上げたカードの名前は『ゲート』。絵柄は神社の鳥居となっており、知世は一つの仮説を立てさくらにそれを伝えるとさくらはスマフォを取り出しある人物に電話を掛ける
???「・・・んっ?・・・さくら?・・・もしもし?」
さくら「(小狼君。今大丈夫?)」
さくらが電話を掛けた相手は『李 小狼』であった。小狼は今自宅である人物が丁度『さくら』の事で訪問していたため、お茶の用意をしていたのだ。さくらが電話で今いる場所を聞き、今会えるかどうかを聞き、小狼はそのお客さんに事情を話しさくらのためという事でさくらの元に行く事を許してくれ、小狼は礼と謝罪両方の意味を込めて一礼をしてからさくらに「今、会える」と返答をする。小狼はすぐにさくらの家に向かおうとしたがさくらは逆に「そのまま家にいて」と矛盾しているような気もする返答をしてきたので思わず小狼も「えっ?」と聞き返してしまう
小狼 「それってどういう・・・」
小狼の言葉が終わる前に小狼の自宅の扉が開きそこからさくらが姿を見せる。いきなり姿を見せるモノだから驚き「すでに近くまで来ていたのか?」と思ったが、扉の先の景色がちらっと見えたので更に謎が深まった
小狼 「お前何処から?」
さくら「ごめん!!詳しい話はこっちに来てからで!!」
小狼 「えっ!?ちょっとおい!?」
小狼が突然さくらに連れられた事で小狼の家にいた『お客』が何事か気になり扉に様子を見に来たが、そこにはもう小狼の姿は無く、気配まで消えていた事に「本当に何事か!?」とさくらの事もそうだが、小狼の無事も祈るのであった・・・・・・
小狼 「ここは・・・さくらの家か?」
さくら「ごめんいきなりで?どうしても相談したい事もあったから・・・」
小狼 「相談?一体何があった?」
さくら「うん。それがね?」
苺鈴 「ちょい待ち!!」
さくら「ほぇ?」
苺鈴 「これ話長くなりそうな事だし、いったんさくらの部屋に移らない?」
さくら「あっ!!それもそうだね?皆、私の部屋に行こう!!」
小狼 「ちょっと待て!!誰だこの二人?」
苺鈴 (ありゃ?小狼まで私を知らないパターンかぁ~・・・)
知世 「素晴らしいですわ!!」
場所を変えてさくらの部屋・・・小狼そして知世にも改めて苺鈴・ブリジットの事を紹介し、苺鈴達の知っているさくら達の事・これまでの事を説明して「これから先」の事をどうしようかと話し出した時にさくらが『ある事』を提案した事で行動方針が決まり、話が一段落したところで知世はさくら・苺鈴に一つ頼み事をしてきた・・・
さくらが『レコード』のカードを使って苺鈴の記憶をたどり、さくらと小狼のコスチュームの3D映像を見ていた。『平行世界の』とはいえモデルである本人達は恥ずかしそうに顔を赤くして下にうつむき、知世が次の衣装の参考と再現のために写真とメモを取りまくっており、苺鈴は細部まで覚えていた訳では無かったが、そこは関係無くまるでカメラで撮っていたかのように細部まで映し出されていた。「ふぅ~」と息を吹き、手が止まった処を見るとどうやら資料は十分に集められたようだ
知世 「こんなにも向こうの私はコスチュームを作って撮影していたのですね・・・これは私も燃えてきましたわ!!」
知世の目にはやる気に満ちた炎を映しており、今から「撮影の時が楽しみですわ!!」ともうその時の事を考えているようで、その様子に知世以外の全員に汗が一滴流れた・・・
苺鈴 「ホントこっちでも知世は知世って訳ね・・・」
ブリジット「ぶれませんね・・・」
知世 「苺鈴ちゃん。本当にありがとうございます!!おかげでいいコスチュームが出来そうですわ!!」
苺鈴 「それはまぁ・・・よかったわね?・・・」
知世 「そしてそのコスチュームを着たさくらちゃんをビデオに収める時が楽しみですわ!!」
一人目を輝かせ、知世の中の未来の映像にうっとりしている中、他の面子(めんつ)は後頭部に汗を一滴かきながらもいつもの光景に特に何も思わなかったし、ツッコミも無かった・・・・・・
小狼 「・・・やっぱり駄目か・・・」
苺鈴 「しゃ~お狼!!隣良い?」
場所は移り小狼の自宅・時刻はもう夜だ。小狼はスマフォで『誰か』に連絡を取ろうとしていたようだが上手く繋がらなかったらしい・・・丁度スマフォを耳から離したところで苺鈴が夜風に当たりに来たらしくベランダに先に来ていた小狼に一声かけてから隣に移った。因みに今夜苺鈴とブリジットは小狼の住むマンションに一晩だけ泊めてもらえることになり現在に至る
苺鈴 「誰かに電話するところだった?」
小狼 「いや。大丈夫だ。ちょっとネットで調べものがあっただけだから」
苺鈴 「ふ~ん・・・やっぱり変わらないわね?ここの景色・・・」
小狼 「苺鈴さんがいた世界でも俺はこのマンションに住んでいたのか?」
苺鈴 「小狼。さくらの家でも言ったけど『さん』付けはいらない。『お前』で良いのよ?」
小狼 「あぁすまない。やっぱり年上の人にいきなり馴れ馴れし過ぎると思うとつい・・・」
苺鈴 「まぁ無理もないか?あなたにとっては今日会ったばかりの人だもんね?私・・・住んでたわよ?あなたが日本に来てから私も数か月後に押しかけて一緒に住んでた」
小狼 「そうか・・・なぁ、お前が婚約者だって知った時、お前のいた世界のさくらはどうだった?」
苺鈴 「向こうのさくら?あぁ変わんなかったわよ?っていっても、私が来たばかりの頃はさくらもあなたの事、異性として好きだった訳じゃなかったし?」
小狼 「そうか・・・その・・・なんだ?」
苺鈴 「ん?」
小狼 「お前が婚約を破棄したって言っていたが、それって『俺の代わり』に言ってくれた事なのか?」
苺鈴 「・・・・・・」
苺鈴とて伊達に小狼の『元』とはいえ婚約者を名乗っていない。小狼の性格はよく知っているつもりだし、小狼本人も真面目だからか、婚約破棄の事は本当は別の世界の小狼が中々口に出せず、苺鈴の方から切り出してくれたのかもしれないという風に考えてしまったのだ。
苺鈴 「それは違う・・・約束だったのよ」
小狼 「『約束』?」
苺鈴 「『小狼に他に好きな人が出来たらあきらめる・・・それまでは私が婚約者よ』って・・・」
小狼 「その他の好きな人が『さくら』か?」
苺鈴 「そゆこと・・・あの子本当にいい子よねぇ~『向こう』でも『こっち』でも・・・愛しの小狼を奪ってちゃった相手だってのに、嫌いになれなかったもん。普通それでも『好き』だって言えないでしょ?」
小狼 「そうかも・・・しれないな?」
苺鈴 「ねぇ小狼。いい機会だから一つだけ言わせてもらうわよ?」
小狼 「ん?」
苺鈴 「『この世界のあなた』が何を知って、何を思ってさくらに接しているのかはこの世界の人間じゃない私には分からない。それでも私はさくらの友達よ?泣かせるような事があったら許さないんだから?」
小狼 「お前何を言ってるんだ!?俺がさくらに何を思ってって!?」
苺鈴 「夕方、さくらの家であの透明なカードの事を相談した時、ほんの少しだけ、表情が曇ったような気がしてね?違った?」
小狼 「・・・・・・」
苺鈴 「一方通行な思いだったとはいえさ?私の方が小狼を見てきた時間が長かったのよ?何となく、無理してるのが分かった」
小狼 「・・・なんだかすべてを見透かされているようだな?」
苺鈴 「無い無い。そんな事クロウリードでも出来っこないわよ?」
小狼 「違いないかもな?」
苺鈴 「ふふっ・・・やっと笑ったわね?」
苺鈴の言葉に思わず顔を触る小狼。そんな小狼に「そういう顔をあの子にも見せてあげなさい」とアドバイスをして、体を伸ばしながら室内に戻っていき、小狼は一人まだしばらくベランダでさくらの事と苺鈴の言葉を考えていたのであった・・・
次回「苺鈴とさくらの寄り道」
ここで一応注意書きです。
『騎士達の卒業』の話の中でローゼンベルグ騎士養成学校のさくら達が教室で一度見かけた苺鈴はこの話でストラグルを封印する直前の苺鈴です