カードキャプターさくら『苺鈴外伝』   作:狼と踊る男

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何とか定期的に投稿を続ける事が出来ましたが、次の話は恐らく次週に間に合わないと思われますので投稿日が決定次第後書きに投稿致します


『苺鈴と夏合宿』

 

みらい「うわぁっ~!!リコリコ!!海だよ!!海!!」

 

リコ 「見えてるわよ?ほんとキレイねぇ~二人共?」

 

ことは・なのは「・・・・・・」

 

リコ 「もう~二人共そろそろ機嫌治したら?」

 

みらいとリコ・ことはとなのはそして朝比奈家の家族やなのはのクラスメイトの二人『アリサ・バニングス』・『月村 すずか』と共に朝比奈家の車で海水浴を楽しむため海水浴場に向かっていた。しかしそこに苺鈴の姿が無く、しかも苺鈴が約束を破った形になってしまったためことはもなのはも頬を膨らませ、目を『一』文字にして不機嫌そうにしていたのだ

 

アリサ「そうむくれないの?アタシ達がいるじゃない?」

 

すずか「あのみらいさん?なのはちゃんはともかくえっと・・・『ことはさん』?もどうしてなのはちゃんと同じようなむくれ方をしているんですか?」

 

みらい「あはは・・・それが苺鈴が急用でこれなくなっちゃってそれでね?」

 

リコ 「二人共苺鈴の事好きだからそれもあるけど・・・」

 

ことは「だって苺鈴約束したのに・・・」

 

なのは「浮かれちゃって私達との約束すっかり頭から飛んで行っちゃってもうっ・・・」

 

リコ 「まぁまぁ、苺鈴も悪気があった訳じゃないんだし、そろそろ許してあげたら?それにこれから行く海にはマナさんと六花さんも来るんだからそんな顔してると気を悪くしちゃうでしょ?」

 

ことは・なのは「むぅ~・・・」

 

みらい「でも奇遇だよね?マナさんと六花さんも同じ日・同じ場所に海水浴に来るなんてさ?」

 

リコ 「それ・・・本当に偶然なのかしらね?」

 

みらいの祖母「あぁっそうだわ。二人の機嫌が直るとっておきの事教えてあげる」

 

ことは「何々?」・なのは「なんですか?」

 

みらいの祖母「これから行く海水浴場の海の家で売ってる『苺メロンかき氷』がとってもおいしいのよ?着いたら皆で食べましょうか?」

 

みらい・ことは・なのは「今!!苺メロンかき氷って言いました!?」

 

リコ (良かった。これで二人共機嫌治りそう?それにしても・・・苺鈴今頃着いた頃かしら?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「はぁ~」

 

いおな「えっと・・・何かあった?良かったら相談に乗るけど?」

 

苺鈴 「あっいえいいんです。自業自得な事なんで?あんまり触れない方向でお願いします」

 

いおな「そっそう?まぁ無理には聞かないけど、無理しないでね?」

 

苺鈴 「ありがとうございます」

 

ゆうこ「ほら苺鈴ちゃん?トンネル抜けたよ?」

 

苺鈴 「んっ?うわぁ~!!」

 

同じ頃、暗い表情をしながらため息を吐いていた苺鈴であったが、電車がトンネルを抜けて海が一望できる絶景に暗い表情も吹き飛び、いおな・ゆうこ・れいかもその景色を堪能しているのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を遡る事『数日前』の事である・・・

 

みらい「夏だ!!海だ!!水着を買いに行こう!!」

 

苺鈴 「『買い行こう!!』っじゃないわよ!?いきなりでしょ!?」

 

なのは「苺鈴ちゃん・・・こういうのって連絡もらった時にツッコムんじゃないかな?」

 

苺鈴 「それで?何でいきなり水着を買いに来た訳?」

 

みらい「うん・・・そう、それは今朝の事だったの・・・」

 

苺鈴 「何でナレーション風の説明!?」

 

みらい「今度海に行くって事になったんだけど、私達は重大な問題に気が付いたの」

 

なのは「『重大な問題』?」

 

みらい「そう・・・それは」

 

苺鈴 「ようするにことはの水着が無い訳ね?」

 

みらい「あれ?よく分かったね?」

 

苺鈴 「そりゃそうでしょ?ことはこの間までこんなに小さい妖精で、つい最近大きくなったんでしょ?リコは授業で見たからスクール水着は持ってるの知ってるけど、ことはに至ってはそれすら無いでしょ?」

 

みらい「おぉっ~見事な推理!!」

 

苺鈴 「ふふ~ん『脳細胞が、トップギアだぜ』」

 

リコ 「それ『仮面ライダードライブ』の台詞でしょ?」

 

苺鈴 「あっ?バレた?」

 

みらい「という訳でさ?折角だから皆で新しい水着でも買いに行こうと思って誘ったんだ?」

 

苺鈴 「成程」

 

みらい「それじゃあ早速レッツゴー!!」

 

みらいを除いた全員の「おぉー!!」の掛け声の後、私達はショッピングモールの中へと突入するのだった

 

みらい「お買い物終~了ぉぉっ~~!!」

 

苺鈴 「はやっ!?えっ!?ちょっと待って!?買い物シーン一行も書かれてないんですけど!?」

 

みらい「駄目だよ苺鈴。そんなメタ発言しちゃ?」

 

苺鈴 「これが『メタ』なのかどうかはともかくとして?折角の女の子の水着の買い物シーンなのよ!?キャッキャッウフフッなトークは!?嬉し恥ずかしの着替えイベントは!?」

 

リコ 「何思春期男子みたいな事言ってるのよ?大体あなた女の子でしょ?」

 

苺鈴 「いやそうなんだけど・・・そうなんだけどさ?」

 

みらい「まぁいいじゃん?どうせ挿絵があるわけじゃないから苺鈴の水着姿は読者には分からないんだし?」

 

苺鈴 「何で私限定!?」

 

みらい「そりゃなのはちゃんは検索すれば水着の写真がたくさんあるし、私達の水着姿は『TV版』見てれば分かるし?」

 

苺鈴 「そっちの方が思いっきりメタ発言じゃないの!?っていうか私も一応水着の写真あるからね!?」

 

まぁ友枝小のスクール水着姿だけどね!!

 

リコ 「それに私達の水着買い物トークならドラマCD聴いたほうが早いでしょ?」

 

苺鈴 「身も蓋も無い事言うな!?」

 

ことは「まぁいいじゃん?それより楽しみだな~皆で海!!」

 

なのは「はい!!」

 

色々ツッコンでる私をよそに、今度の海水浴の事を考えて楽しそうな表情を浮かべている二人を見て、確かに細かい事なんてどうでもいいわよね?って思っちゃった。

 

そうよね?たまには思いっきり羽を伸ばしてきたって罰(ばち)は当らないわよね?この間もことはの部屋のリフォームのための買い物中にヤモリに襲われて台無しだったし?お店から移動しようとした私達だったけど、私のスマフォに着信が来て、名前を見ると『氷川 いおな』の名前が出ていたものだから通話ボタンを押して電話に出たの

 

いおな「苺鈴。今大丈夫?」

 

苺鈴 「こんにちは。どうかしたんですか?」

 

いおな「実は今度、家の道場が持っているコテージにプリキュア合宿に行くんだけど、良かったら苺鈴もどうかしら?もちろん都合が悪いのなら無理にって訳ではないのだけれど?」

 

苺鈴 「『プリキュア合宿』!?行きます!!ぜぇぇ~~対!!行きます!!」

 

いおな「そっそう?それじゃあ今度の土曜日に○○駅に朝の6時に集合で?」

 

苺鈴 「今度の土曜日ですね?分かりました!!」

 

通話を終えた私は今、すんごく舞い上がってる。今度の土曜日。プリキュア合宿に参加出来るなんて夢のようだわ!?うふふふっ早く土曜日にならないかな~・・・・・・げっ!?ことは・なのはなんかすんごい冷めた視線を私に突き刺してくるんですけど!?って言うか今度の土曜日って『海』に行く日だった!?私は恐る恐る二人に声をかけるけど、二人とも、顔は笑ってるんだけど背後に黒と紫の混ざった炎のようなオーラが見えるんですけど!?

 

ことは「苺鈴今度いおなさん達と合宿行くんだ?」

 

苺鈴 「えっ!?ぁっはい。そうです」

 

なんか敬語になっちゃった!?

 

なのは「ふ~ん・・・私達との海の約束を忘れて有頂天(うちょうてん)になってたんだ?苺鈴ちゃん?」

 

苺鈴 「ふぇ!?いっいや別にそっそんな事は?」

 

ことは「でも、さっきすんごく、嬉しそうだったよね?苺鈴?私達との約束すっかり忘れちゃうぐらいに?」

 

苺鈴 「あっ!?いやその・・・はい。嬉しかったです。その時すっかり頭から抜け落ちていました。すみません」

 

ことは・なのは「ふ~~ん・・・」

 

苺鈴 「ぁっ・・・ぇっとその・・・」

 

ことは「ねぇなのは?お腹すかない?」

 

なのは「奇遇ですね?私もです」

 

ことは「苺メロンパンでも食べに行こうか?苺鈴のおごりで?」

 

苺鈴 「へっ?」

 

なのは「いいですねそれ?私も丁度お腹ペッコペコだったからたくさん苺メロンパン食べちゃおう。苺鈴ちゃんのおごりで?」

 

苺鈴 「へっ!?いやっ!?あの私今月そろそろピンチで!?」

 

ことは・なのは「苺メロンパン。た・べ・た・い・な?」

 

苺鈴 「うぅっ!?・・・はい」

 

しょんぼりする苺鈴をよそにことは・なのはが先導して一同は苺メロンパンのワゴンへと足を運ぶ。そして苺鈴の財布が空になるまで苺メロンパンのやけ食いに付き合うことになってしまったみらい・リコも苺鈴に向けて静かに合掌(がっしょう)をするのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで時は戻って現在・・・

 

いおな「着いたわよ?」

 

苺鈴 「へぇ~きれいなコテージですね?」

 

ゆうこ「懐かしいなぁ~前にもここにプリキュア合宿で来たんだったよね?」

 

目的地のコテージに着いたようで苺鈴はコテージの感想を述べ、ゆうこは2年前にいおなに誘われてこのコテージに『プリキュアの強化合宿』という事でやってきていた事を懐かしむように思い出していた

 

一同が玄関で立ち止まっていると、コテージの中から一人の高校生ぐらいの少年が顔を出し、その様子からどうやら苺鈴達がやってくるのを待っていたようであった

 

少年 「ようやく来たか?」

 

れいか「いおなさんこちらの殿方(とのがた)は?」

 

苺鈴 (今時『殿方』って・・・)

 

いおな「紹介するわね?『相楽 誠司(さがら せいじ)』君。今回の合宿のために来てもらったの」

 

ゆうこ「私達が幻影帝国と戦っていた頃から私達を支えてくれていた仲間なんだよ」

 

苺鈴・れいか「へぇ~」

 

誠司 「改めて『相楽 誠司』だ。よろしく」

 

誠司から差し出された右手を初対面の苺鈴・れいかは順番に握り返していき自己紹介をしていく

 

ゆうこ「でも相楽君良かったの?彼女との予定とかあったんじゃないの?」

 

苺鈴 「彼女いるんですか?」

 

誠司 「知ってるだろ?めぐみはヒメの帰省に付いていってしばらくは『ブルースカイ王国』で過ごすって?」

 

ゆうこ「そうでした」

 

れいか「あのいおなさん?『めぐみ』さんと『ヒメ』さんとはどなたの事ですか?」

 

いおな「あぁそうでしたね?その二人が残りの『ハピネスチャージ!プリキュア』のメンバーでめぐみが『キュアラブリー』でヒメが『キュアプリンセス』なんです」

 

れいか「あぁなるほど」

 

ゆうこ「ちなみに相楽君とそのめぐみちゃんは付き合ってるんだよ?」

 

苺鈴 「そうなんですか!?」

 

誠司 「まっまぁな?」

 

苺鈴 「ほぇ~『プリキュアの心を射止めた人』っか・・・」

 

いおな「はいはい!!そろそろお喋りはここまで!!苺鈴!!荷物を置いたら早速特訓を始めるわよ?」

 

苺鈴 「もうですか!?」

 

いおな「当然!!そのためにやってきたんだから?時間はあんまりないわよ!?さっ!!用意してもらった部屋に荷物を置いて水着に着替えたらまたビーチに集合!!」

 

苺鈴 「はい!!すぐ行ってきまーす!!」

 

いおな「さっ、れいかさんも準備お願いします」

 

れいか「分りました」

 

ゆうこ「私はお昼ご飯の準備をしなくっちゃね?」

 

いおな「お願いねゆうこ?相楽君も悪いけど準備してきてくれる?」

 

誠司 「おう。それにしてもあの子がプリキュアになった氷川を倒したって言う子か・・・」

 

いおな「そうよ?彼女、強いわよ?彼女に余力が残ってたら相楽君にも組手お願いしようかしら?」

 

誠司 「考えておくよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

れいか「よ~い!!・・・」

 

れいかの鳴らした笛の合図で苺鈴・いおなは同時に倒れこんでいた砂場から起き上がり、180°回って駆け出す。れいかは二人が走る先に立っており、二人は砂場を裸足で懸命に走り抜ける

 

誠司 「・・・それ!!」

 

グラサン「そらよ!!」

 

二人が走る最中、誠司とグラサンは苺鈴に向かって塗料が付いた水鉄砲を打ち込み、何発か放たれた水を苺鈴はよけていきながら、二人は走り続ける

 

苺鈴・いおな「はあぁぁっー!!」

 

突如二人は同時に滑り込む。理由は単純だ。これはビーチフラッグだったのだ。だから二人は砂に支えられて立つ旗を取るために走っていたのだ

 

苺鈴 「・・・やった!!私が取った!!」

 

いおな「あちゃ~また負けたか~・・・」

 

れいか「タイムは前回の走りよりもまた縮みました。いい調子ですよ二人とも?」

 

苺鈴・いおな「ありがとうございます!!」

 

れいか「それにしても・・・流石に全弾回避という訳にはいきませんでしたね?」

 

れいかの指摘に苺鈴は自身の体を見てみる。着ているスクール水着(旧)には命中した白塗料の付いた水が付いており、苺鈴もその結果には悔しさを感じていたようで表情にも少し出ているようだ

 

いおな「それじゃあ苺鈴。早速海でその塗料落としてきて?その塗料は六花さんが言っていたんだけど自然に帰る薬品らしいから気にしないで行ってらっしゃい?」

 

苺鈴 「は~い」

 

海に入り、水着に着いた塗料を落とし、水面から飛び出す苺鈴・・・水しぶきが勢いよく飛び跳ね、その光景は絵になりそうだ・・・

 

因みにこの塗料は今回の合宿のために六花が『四葉 アリス』という幼馴染で大企業の令嬢に頼んで用意してもらったものだ。ご都合主義さまさまである

 

苺鈴 「ふぅ~・・・・・・って!?そういえば何で私ビーチフラッグやってるんだっけ!?特訓に来たはずなんだけど!?」

 

いおな「今更な事急に叫びだしたわね?ビーチフラッグで足腰を鍛えようかと思ってね?」

 

苺鈴 「何でビーチフラッグで足腰を鍛えられるんですか?」

 

いおな「ほら?これって砂場でやるでしょ?砂場は足を取られるから思っている以上に体力を消耗しやすいのよ?だからそれに慣れてしまえば、多少足場が悪くても体力の消耗を抑えることが出来るから?」

 

苺鈴 「あぁ~そういえば、確かに足取られますね?」

 

れいか「今回の合宿は苺鈴さんを中心にトレーニングメニューを組んでいますから、苺鈴さんにとっては厳しい条件ばかりになってしまいますが、これも修行です・・・頑張ってください」

 

苺鈴 「あぁ~それで私には水鉄砲の妨害があったんですね?納得」

 

いおな「それはともかく、さっ!!特訓再開よ!!時間はあんまりないんだから!!」

 

苺鈴 「はい!!・・・っで?次はどんな特訓を?」

 

いおな「それね?次は組手でもやってみましょうか?相手は私よ」

 

苺鈴 「お願いします!!」

 

そして二人は距離を取り構えた後、少しの間を置いた後に同時に飛び出す。二人は手を互いにつかみ合いながら力比べを始めたようだ

 

苺鈴・いおな「ふんっ!!」

 

二人は同時に手を離し、跳び引く。跳び引いた直後に二の字を描くように駆け出していき止まると同時にまた攻防が始まる

 

いおな「ふっ!!やっ!!」

 

いおなは右正拳突き→左蹴りを繰り出すが、苺鈴は正拳突きを上半身だけで避け、蹴りには右腕を盾にすることで防いだ

 

苺鈴 「やあぁぁっー!!」

 

苺鈴はいおなの左足を咄嗟に掴み体を180°回転させ、その遠心力も利用して宙にいおなを数メートルは投げ飛ばす。普通の人間にそんな芸当は当然無理だが、それだけ修行で苺鈴の腕力も上がり、それだけ苺鈴も頑張ってきたという事であろう・・・しかし、投げ飛ばされたいおなは何とか体勢を宙で整え足から着地し再び苺鈴と向かい合う

 

誠司 「すごいなあの子?変身していないとはいえあの氷川と互角に渡り合ってる!?」

 

グラサン「それだけあの嬢ちゃんも色々頑張ってきたって事だぜ?」

 

誠司 「確かにそうかもしれないが、それでもやっぱり信じられないな?プリキュアでもない、俺と同じただの人間がプリキュアになった氷川に勝ったなんて・・・」

 

れいか「ふふっ確かにそうかもしれないですね?ついでに言いますとプリキュアになった私にも勝ちましたよ?苺鈴さん」

 

誠司 「えっ!?そうなんですか!?」

 

れいか「はい。私の時もそうでしたが、いおなさん・・・キュアフォーチュンと戦った時の苺鈴さんの気迫は凄まじいものを感じました。あの子はきっと・・・まだまだ強くなれるはずです。例えプリキュアになれなくとも?」

 

誠司 「へぇ~・・・」

 

グラサン「おっ!?そろそろ勝負がつきそうだぜ?」

 

苺鈴 「はぁぁ~・・・波動拳(はどうけん)!!」

 

いおな「えぇっ!?ちょっと!?」

 

苺鈴 「波動拳!!波動拳!!」

 

いおな「ちょっと待って!?あなたそんな技出来たの!?」

 

苺鈴 「しょ~うりゅ~拳!!」

 

いおな「危な!?」

 

苺鈴 「竜巻旋風脚(たつまきせんぷうきゃく)!!」

 

いおな「本当にあなたただの人間!?」

 

誠司 「本当にすごいなあの子・・・氷川に勝ったのも頷けるな?」

 

れいか「あのような技を使えたんですね苺鈴さん?」

 

何故か使えた『波動拳』・『昇竜拳』・『竜巻旋風脚』を駆使した苺鈴は、砂場に爆発音に近い音と衝撃でいおなを吹き飛ばし、その様子を見ていたれいかは「こんな技使えたんだ?」と唖然し、誠司は目の前の光景を見てどうして苺鈴がキュアフォーチュンに勝つことが出来たのかを一人納得していた

 

因みにこの後、先の技は苺鈴曰(いわ)く「何故かこの時は使えたけど、もう何度やっても使えない」と言っていたそうだ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いおな「それじゃあ今日の最後の特訓を始めるわよ!!」

 

と、高々に発言するいおなであったが、一同が集まっていたのは晩御飯もすまし、夜のリビング。しかも全員すでに寝間着(ねまき)である

 

苺鈴 「はい!!いおなさん!!」

 

いおな「何かしら?」

 

苺鈴 「お風呂上りなのであまり汗は搔きたくないです!!」

 

いおな「正直で結構!!でも安心して?体を動かす訳じゃないから?」

 

れいか「ではどんな特訓を?」

 

いおな「これの鑑賞会です!!」

 

いおなが背中に手をまわして取り出した物はDVDであった。その表紙を見た苺鈴はいち早く反応して目を輝かせていたが、同時に「何で?」と疑問も持っていた

 

苺鈴 「何で『仮面ライダーストロンガー』の鑑賞会?」

 

いおな「ほら?前に戦ったジョーカーなんだけど、れいかさんから話を聞いてピンと来たの。デルザー軍団のゼネラルシャドウと戦術が似てるところがあるってね?トリッキーな技を使うところとか・トランプを使うところとか・不気味な雰囲気を持つところとか?」

 

苺鈴 「言われてみれば確かに!?」

 

れいか「私もいおなさんから『仮面ライダーストロンガー』の中でそのような敵役がいるという事を聞いて拝見してみたのですが、確かにジョーカーと通じるところがありました」

 

苺鈴 「意外なところでヒントが転がってたなんて・・・」

 

いおな「という訳で、またジョーカーと戦う時のためにストロンガーの中でゼネラルシャドウとの戦闘シーンがある話をピックアップして観ていこうという事?」

 

苺鈴 「了解です!!」

 

ゆうこ「皆。お茶が入ったよ?」

 

苺鈴「いただきます!!」・れいか「いただきます」

 

いおな「悪いわねゆうこ?」

 

ゆうこ「いいのいいの。TVの鑑賞会ならお茶とお菓子は欠かせないからね?」

 

いおな「一応これ特訓なんだけどね?」

 

誠司 「とか言いつつも氷川も本当は最後の特訓ぐらいは楽しめるやつにしようと思ってこれにしたんだろう?」

 

いおな「まぁね?」

 

誠司 「2年前にめぐみ達と来た時も傍(はた)から見たら特訓というより楽しんで遊んでいたみたいな感じもあったからな?今回も俺に仮面ライダーの話を持ち掛けてきてどれを選べばいいか相談に乗ったからな?」

 

ゆうこ「あらあら?」

 

いおな「私も昔は道場に来てた相楽君や他の門下生の子達が楽しそうに話してたのを聞いて見始めてたっけ?最近はちょっと疎遠になっちゃったけど、この間みらいが「苺鈴は仮面ライダーが好き」って言っててそれで思いついたの」

 

ゆうこ「あぁそれで?」

 

誠司 「そういう事だったのか?」

 

いおな「因みに私は昭和ライダー派なんだけど相楽君はどっち派だったの?」

 

誠司 「俺はそうだな・・・平成ライダーの方を見てばっかだったかも?」

 

と、そんな会話が交わされているのにも気づかず、苺鈴はれいかにシャドウの攻撃にどこがジョーカーの動きと通じるものがあるかの指導も受け、楽しみながら『仮面ライダーストロンガー』の鑑賞会を数時間続けていたのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は過ぎ、鑑賞会も終わり解散となった苺鈴はしばらくして浜辺に出ていた。座り込み都会では見れないきれいな星空を眺めて目の保養と言ったところだろうか?

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

誠司 「よう。どうかしたか?」

 

苺鈴 「相楽さん?」

 

誠司 「星・・・眺めてたのか?」

 

苺鈴 「えぇ。都会じゃ全然こんなきれいな夜景見れないもんですから新鮮で」

 

誠司 「そっか・・・確かにここの夜景はきれいだもんな?隣良いか?」

 

苺鈴 「どうぞ?」

 

誠司 「よいしょ・・・・・・なぁ?一つ聞いてもいいか?」

 

苺鈴 「なんですか?」

 

誠司 「何で君はそんなに強くなろうと思ったんだ?」

 

苺鈴 「あぁっ・・・それですか・・・」

 

 

 

 

 

いおな「・・・・・・ひゃっ!?」

 

ゆうこ「飲む?」

 

いおな「びっくりするでしょ?いきなりよく冷えた缶ジュース頬に当てたら?」

 

ゆうこ「ごめんごめん。っで?飲む?」

 

いおな「折角だし頂くわ?」

 

いおなは外のいる誠司と苺鈴を見つめており、気を取られていたからであろう?ゆうこが背後から近づき頬によく冷えたスポーツドリンクの缶を当てそれに思わず驚いてしまう。蓋を開けたと同時にれいかも加わりれいかから会話が再開される

 

れいか「六花さんから連絡がありました。やはり闇の魔法使いのヤモリはことはさんを狙ってきたようです」

 

いおな「ジョーカーは?」

 

れいか「それが今回は姿を現さなかったようです」

 

いおな「そうですか・・・やっぱり苺鈴を誘って正解だったかもしれないですね?」

 

れいか「今の苺鈴さんでは流石にまともに彼らと戦うのは荷が重すぎるでしょう。どちらに現れるかわからないので二手に分かれましたが、あわよくば・・・」

 

いおな「今回の襲撃ですべて終わってくれればよかったんだけれど、そう上手くいかないものですね?」

 

れいか「そうですね?今回の合宿が取り越し苦労で終わってくれればそれが最善だったのですが仕方がありません。次にすべてを終わらせましょう。特にジョーカーとの事は私(わたくし)が何とかいたしませんと?」

 

いおな「その時は私も力になります」

 

れいか「頼みます」

 

ゆうこ「ところでいおなちゃん。そろそろ聞いてもいいのかな?」

 

いおな「何を?」

 

ゆうこ「相楽君をこの合宿に連れてきた本当の理由?ただ苺鈴ちゃんを鍛えるだけなら相楽君まで連れてくる必要はなかったはずだし?」

 

いおな「やっぱり気付いてたのね?」

 

ゆうこ「まぁね?」

 

れいか「それは私(わたくし)も気になっていました。いおなさん?一体何故彼を?」

 

いおな「それなんですけど・・・きっと苺鈴は私達には『弱音』を吐いてくれないだろうなぁ~って思って?」

 

れいか「『弱音』・・・ですか?」

 

ゆうこ「それはまた・・・何でそう思ったの?」

 

いおな「苺鈴にとって私達はやっぱり『プリキュア』。憧れの存在なのよ。だから『強み』は見せても『弱み』は意識してなくても見せようとしないと思う。だから」

 

ゆうこ「相楽君ならそれを見せて、吐き出させてくれるかも?って事なんだね?」

 

いおな「うん」

 

れいか「相楽さんの事をそれだけ信頼しているからその役を任せたのですか?」

 

いおな「それもありますけど・・・彼と苺鈴は似た者同士なのかも?って思ったんです」

 

れいか「『似た者同士』・・・ですか?」

 

いおな「はい・・・彼も、大切な人のために頑張れる人ですから?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠司 「成程な?好きだった人の隣にいるために・・・」

 

苺鈴 「結局、友達にとられちゃいましたけどね?」

 

誠司 「その・・・これ聞いちゃいけないんだろうけど、その好きだった人とその友達はどうしてるんだ?」

 

苺鈴 「二人共今はバカップルの呼び方がお似合いの仲ですよ?私も時々二人に連絡とりますし?」

 

誠司 「仲・・・良いんだな?」

 

苺鈴 「彼も、そして彼女の事も・・・どうしても嫌いになれなくて・・・それだけ私も二人の事本当に好きなんだなぁ~って?」

 

誠司 「そっか・・・」

 

苺鈴 「相楽さんは?」

 

誠司 「『誠司(せいじ)』でいい」

 

苺鈴 「へっ?いいんですか?」

 

誠司 「あぁ。俺と君は似た者同士みたいだからな?」

 

苺鈴 「さが・・・誠司さんが?」

 

誠司 「あぁ・・・俺も似たようなもんだよ?まっ俺の場合は好きな子を守れるための力が欲しかった・・・だから子供の頃から道場で鍛えた。でも『めぐみ』がプリキュアとして戦うようになっていつの間にか俺、守られる側になっちゃってさ?」

 

苺鈴 「それかぁ~・・・私も妹がいるんですけど、あっという間に追い抜かれちゃったなぁ~・・・」

 

誠司 「しかもさ?『めぐみ』も『ヒメ』も『大森』も『氷川』も神様からプリキュアの力を与えられて、そのめぐみもいつの間にか神様を好きになって・・・」

 

苺鈴 「ちょっと待って!?今更っと『神様』って言いました!?」

 

誠司 「いたんだよこの星には神様のブルーって人が?」

 

苺鈴 「ほぇ~・・・」

 

誠司 「でもめぐみは神様に失恋したんだ」

 

苺鈴 「神様と人間だから?」

 

誠司 「それ以前に告白もしてない」

 

苺鈴 「何で?」

 

誠司 「神様にはずっと昔から好きだった人がいたからさ?元『幻影帝国』のクイーンミラージュ・・・ミラージュさんの事がさ?」

 

苺鈴 「また衝撃の真実!?それじゃあ敵だった人を愛しちゃったって事!?」

 

誠司 「もともと神様とミラージュさんはパートナーみたいなものだった。でも神様は恋愛よりも地球の皆の幸せを優先してミラージュさんの気持ちに応えず、自分の気持ちにも蓋をした・・・それから二人の気持ちがすれ違って」

 

苺鈴 「2年前の幻影帝国の宣戦布告って事だったんですね?」

 

誠司 「あぁ・・・でもめぐみがミラージュさんと戦ってそれからあの二人は互いの気持ちを伝えあって、それから・・・めぐみは失恋した・・・」

 

苺鈴 「辛(つら)い・・・ですよね?そのめぐみさんは?」

 

誠司 「その後色々あって俺の気持ちを本当の敵に付け込まれて、利用された事があった」

 

苺鈴 「本当の敵?」

 

誠司 「神様のお兄さん。『レッド』って人にな?」

 

苺鈴 「神様にも兄弟っているんだ?」

 

誠司 「それから俺はプリキュアの皆と戦うことになって、まぁそれがあったから俺も気持ちを吐き出すいいきっかけになったんだろうな?」

 

苺鈴 「それから神様と神様のお兄さんはどうなったんですか?」

 

誠司 「ミラージュさんも一緒に惑星レッドってところに行って、復興を手伝ってる。多分俺達が生きている内に再会することはないかもな?」

 

苺鈴 「それはまた何で?」

 

誠司 「それだけ時間が掛かる事なんだ。まぁ俺が思ってるだけだけどな?」

 

苺鈴 「なんかもう壮絶だったんですね?誠司さんの方も?」

 

誠司 「まぁな?でも李も」

 

苺鈴 「苺鈴でいいですよ?私だって下の名前で呼んでるんですし?」

 

誠司 「そっか・・・苺鈴もすごいと思うぞ?」

 

苺鈴 「そうですか?私って正直全然役に立ってなかったですよ?この間だって・・・」

 

誠司 「でも氷川を・・・キュアフォーチュンを倒した。ただの人間の苺鈴が・・・こんなこと誰にでも出来る事じゃないだろ?」

 

苺鈴 「でもわかってるんです。『本当の戦い』いえあれが『殺し合い』だったのなら私は間違いなくあの勝負で敗れてた。それも瞬殺だったってわかってるんです。やっぱり心のどこかで皆はブレーキをかけてくれて、それでようやく私はかろうじて勝った。だから私の実力なんて所詮(しょせん)あの時は運が味方してくれただけの奇跡だったんですよ・・・」

 

自分で発言した内容がやはり悲しかったのか苺鈴は膝を抱えてうつむいてしまう。そんな苺鈴の様子を見た誠司はポケットから一つの小さい球を取り出しそれを苺鈴に渡した

 

誠司 「これやるよ?」

 

苺鈴 「きれいな球ですね?これは?」

 

誠司 「『愛の結晶』って言うんだ。神様が地球を離れる時に、俺達に送ってくれたお守りみたいな物なんだ。やるよ」

 

苺鈴 「えぇっ!?そんな神様からの贈り物なんて大事な物受け取れませんよ!?」

 

誠司 「俺からの餞別(せんべつ)って事で受け取ってくれ。それに神様から贈られた物ならご利益はお墨付きだぞ?」

 

苺鈴 「本当にいいんですか?」

 

誠司 「いいさ?その代わり・・・俺みたいに敵に付け込まれて苺鈴の大事な人達を傷つける事なんてないように頑張れよ?」

 

苺鈴 「はい」

 

誠司 「良し!!そろそろ寝ようぜ?明日も早くから特訓だろ?氷川のしごきはきついぞ?」

 

苺鈴 「は~い。そうします」

 

そんなやり取りが終わり二人は寝床に着くことにする。布団にもぐった苺鈴は誠司からもらった『愛の結晶』を見つめながら「明日も頑張ろう!!」と意気込み、疲れも出たのかすぐに深い眠りに落ちていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤモンド「煌めきなさい!!トゥインクルダイヤモンド!!」

 

麦わら帽子ヨクバール「ヨクッ!?」

 

ハート「あなたに届け!!マイスイィィッ~トハァァート!!」

 

麦わら帽子ヨクバール「ヨクゥゥッ!?」

 

ハート「フェリーチェ!!」

 

フェリーチェ「はい!!プリキュア!!エメラルドリンカネーション!!」

 

時は遡り苺鈴がいおなとの組手をしていた頃、れいかの聞いた話通りことは達の方にもヤモーが現れており麦わら帽子と尖った岩を素材としたヨクバールを生み出し一同は戦っていたがダイヤモンドの『トゥインクルダイヤモンド』が容赦なくヨクバールを襲い動きが止まったところでキュアハートの『マイスイートハート』の光がヨクバールを包む。それにより弱まったヨクバールにとどめでフェリーチェの『エメラルドリンカネーション』が炸裂し、ヨクバールは浄化され元の麦わら帽子と岩に戻るのであった

 

ヤモー「ぬっ!?」

 

なのは「そろそろ大人しく降参してくれると嬉しいんだけど?」

 

ヤモー「冗談はよしてください。誰が降参なんかしますか!?次こそは必ず!!・・・オボエテ~ロ!!」

 

なのは「・・・・・・」

 

ヤモーと対峙していたなのはとミラクル・マジカルもヤモーが撤退したことで変身を解き、ことはの安否を気にかけ一同はことはを中心に集まっていた。その様子は上空にいるジョーカーが見ており、今回はただの様子見のようだ

 

ジョーカー「やっぱり勝てませんでしたか?それにしても今日は皆さん動きが心なしかいつもより良かった気がしますね~?そういえばあの中華風の小娘はいなかったようですがそれはそれは・・・やはり狙うとすれば・・・」

 

独り言に近いつぶやきを終えたのか、ジョーカーも瞬間移動でこの場から離脱し、この襲撃から数日、ジョーカーは姿をくらまし、一同はそれに気付く事無く再び海を満喫するのであった・・・・・・

 

 





次回『ジョーカーからの暑中見舞い』

2021年12月22日午後9時00分投稿

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