カードキャプターさくら『苺鈴外伝』   作:狼と踊る男

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お待たせいたしました。何とか6話目が完成いたしましたのでまた投稿できましたが、今度こそ不定期になりそうです。ではどうぞお楽しみください。


6話「師匠(姉)の意地!!」

アリサ「いい加減にしなさいよ!!」

 

なのはの通う学校「聖祥大附属小学校」の教室でアリサの怒声(どせい)が響く。アリサはなのはに怒っていた。温泉街での一件から少し経ち、それからのなのはと言うと「心ここにあらず」と言った状態であった。原因はフェイト達の事であった。しかし、それを話すわけにも話したところで迷惑にしかならないと思っていたなのはは「ごめん」という事しかできなかった・・・

 

しかし、彼女が怒っていたのはなのはに対してだけではなく、「話してもらえない。話されたところでなのはの力になれないかもしれない自分」に怒っていたのだった。教室を出たアリサはすずかにそのことを話ながらも悔やんでいたのであった・・・

 

 

 

 

 

同じ頃、苺鈴の方はというと今は体育の授業中であった。内容は選択授業の柔道であった。

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

数名のグループに分かれた組が幾つも出来ていく中、この授業の時だけなのかポニーテイルに髪型を変えた苺鈴は一人ぽつんと佇んでいた・・・普段の彼女なら率先して誰かを誘いに行くぐらいの行動力があるのだが、この時はそんな積極性は皆無に見えた。それでも彼女に話しかけるグループが居た。

 

みらい「メ~イリン!!私達と一緒に組もう!!」

 

苺鈴 「みらい・・・リコも」

 

リコ 「私達3人の組みになっちゃうけど、もう人余ってないし、いいわよね?」

 

苺鈴 「えぇ・・・いいわよ。」

 

みらい「やったぁー!!今日こそは勝つよリコ!!」

 

リコ 「えぇ!!毎度毎度負けてばかりじゃいられないわ!!」

 

みらい・リコ「ガシッ!!」

 

苺鈴と組むことが計画だったのか、肘と肘で腕を組み思わず「ガシッ!!」と擬音を口で言ってしまっていた二人。仲のいい友人と組めたというのにそれでも苺鈴の表情は晴れた様子は無かった・・・

 

みらい「まずは私からだよ苺鈴!!わくわくもんだぁー!!」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

リコ 「それじゃあ、行くわよ?・・・始め!!」

 

みらい「とおりゃー!!」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

みらい「おっ?あれれ!?あだっ!!いったぁ~~」

 

何が起こったのかと言うと、まずみらいが突っ込み、苺鈴の柔道着の襟(えり)を掴むよりも前に、みらいは自分の襟を苺鈴に捕まれ、そのまま右足を駆られ、飛び込んで来た勢いも加算されて勢いよく背中から床に叩き付けられたのであった。

 

リコ 「やっぱり一筋縄じゃ行かないわね。次は私よ!!」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

みらい「いたたた、それじゃあ行くよ?・・・始め!!」

 

リコ 「・・・・・・」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

リコ 「へっ?うわぁっ!?くはっ・・・」

 

みらい「・・・あっ!?いっ一本!!」

 

みらいはまだ痛む背中をさすりながら開始の合図を出す。リコは構えながら突っ込むタイミングもしくは苺鈴が飛び込むタイミングを見定めようと構えていた。しかし、予想を大幅に上回る速技で背負投げを駆けられ、反応する間もないくらいであった。それによって、リコもみらい同様受け身もろくにとれず、背中を強打し見事に二人とも返り討ちに遭ったのだった。

 

リコ 「いったたたた・・・」

 

みらい「リコ大丈夫?」

 

リコ 「えぇだいじょって、痛くないし!!ちゃんと受け身とれたし!!」

 

みらい「あはは、それにしてもやっぱり強いねぇ苺鈴は」

 

苺鈴 「強い?・・・」

 

リコ 「むぅ、悔しいけど確かにそうね。苺鈴強いから歯が立たないわ。」

 

二人は、苺鈴とは何度かこの選択授業の柔道で組んでいたが、苺鈴には中々勝てていなかった。二人は苺鈴の強さを素直に褒めたたえただけのつもりであったが、当の本人は「苺鈴が強い」の発言に思わず・・・

 

苺鈴 「・・・なんかない・・・」

 

みらい「えっ?ごめんなんて?」

 

苺鈴 「私なんか強くなんてない!!」

 

みらい・リコ「えっ!?」

 

苺鈴 「ぁっ・・・」

 

つい大声を張り上げてしまっていた。苺鈴の大声に周囲の他の生徒たちも思わず振り返ってしまっていたほどだ・・・我に返った苺鈴はギリギリ二人に聞こえそうな小声で「ごめんなさい」と告げて、二人から距離を取ってしまう。いつもと様子が違う苺鈴に二人は困惑するばかりであった。

 

 

 

 

 

夕方、ビル群の中に一つ、結界のような物が覆っている建物が一つだけ存在していた。そのビルこそがフェイト達の隠れ家であった。広間では、アルフが一人恐らく夕食を食べていた。思いっきりドッグフード系統だったが本人が気に入っているのであれば問題はないであろう。そこにトレーを持ったブリジットがやって来た。

 

アルフ「あぁ、ブリジット。」

 

ブリジット「アルフさん・・・またドッグフードを食べているんですねはい・・・」

 

アルフはブリジットの持っていたトレーを見ると、表情が曇った。簡単な物ではあるが食事が乗っていた。少し食べかけのようであったが、誰のための食事なのかが分かっていたので二人の表情が曇っていたのであった。

 

アルフ「・・・フェイトってばまた・・・」

 

ブリジット「えぇ・・・またろくに食べていないようですはい・・・」

 

ブリジットはアルフに対面する位置の椅子に腰かけ、フェイトの食べかけの軽食を食べ始める。

 

アルフ「いつも悪いね。残飯処理みたいなことさせて」

 

ブリジット「いいえいいんです。ただの貧乏性なだけですから。それに、私のいた世界の故郷でも、食べ物はやっぱり貴重でしたから・・・」

 

アルフ「フェイトってばさぁ、ジュエルシードを探すために結構疲れる魔法も沢山使うのにさぁ、食べもしないし、碌に休まないしでさぁ」

 

ブリジット「ですね。」

 

アルフ「あたしはフェイトの使い魔で、フェイトはあたしのご主人様だから、フェイトが「行く」って言えば何処えでも行くけどさぁ~」

 

ブリジット「がんばりやさんって言葉だけじゃ片付けられないですよねアレは・・・あれではいずれ身も心もボロボロになってしまうのではないかとすら思いますですはい」

 

フェイト「そんな事無いよ」

 

ブリジット「フェイトさん!?」

 

アルフ「フェイト!?」

 

二人がフェイトの事を話していると、別室から起きてきたフェイトが二人の会話に入ってくる。「私は大丈夫」と・・・二人の目の前にある食べかけの物を見ると「それ食べてからまた回収に行こう」と切り出され、二人は慌てて食べていた物を隠すようにそれぞれの体で覆う。それを見たフェイトは思わずクスリと笑うのであった。

 

 

 

 

 

同じ頃、「朝日奈 みらい」と「十六夜 リコ」は帰路に着こうと上履きから革靴に履き替え、校舎を出たばかりの事であった。

 

みらい「苺鈴・・・今日、元気なかったね?」

 

リコ 「というかこの間の連休からずっと元気なかったわよね?今日の柔道でも「私なんか強くない!!」って言ってたけど、本当にどうしたのかしらね・・・」

 

二人が歩きながら「う~~ん」と唸っていた。するとみらいは視界の隅っこで見知った顔を見つける。

 

リコ 「どうかした?」

 

みらい「あれって苺鈴じゃない?」

 

リコ 「本当、何処に行くのかしら?」

 

みらいとリコは連日の苺鈴の様子もあり、後を付けてみることにした。苺鈴は何故か学校の校舎裏なんて場所にあるはずのない4・5メートル巨大な岩があり、その前にまで行くと苺鈴はその岩を見つめ続ける。

 

みらい「苺鈴何やってるんだろう?」

 

リコ 「っていうか、あんな大きな岩この学校にあったっけ?」

 

苺鈴はしばらく岩を見続けた後、拳(こぶし)をグッ!!と握ると岩に向かって・・・

 

みらい「めっ苺鈴!?」

 

リコ 「いけない!!止めないと!!」

 

苺鈴は岩に向かって何度も何度も荒々しい正拳突き放っていた・・・

 

 

 

 

苺鈴は、ふらふらっと校舎裏にあった巨大な岩の前にまでやって来ていた。苺鈴は岩を見つめ続けながら考えていた・・・

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

回想のみらい「あはは、それにしてもやっぱり強いねぇ苺鈴はっは・・・は・・・は・・・」

 

苺鈴 (私なんて・・・私なんて、どこが強いっていうのよ!!)「ああぁぁっーー!!」

 

前回の戦いで切ってしまった手の切り傷はその場で合流したユーノに治療してもらいその傷はとっくに治りきっていた。しかし、巨大な岩を手加減無しで、ただがむしゃらに殴りつけているため、手には別にできた傷からだらだらとまではいかないが、それなりの量の出血をしていた。それでも、苺鈴は止めなかった。まるで、何かを岩にぶつける事で気を紛らわすかのように・・・

 

みらい「苺鈴、もう止めて!!」

 

リコ 「何やっているのよ!?」

 

苺鈴 「みらい!?・・・リコ!?・・・あっ!?離して!!」

 

みらい「あっちょっと、暴れないで!?」

 

リコ 「おとなしくしなさいよってうわぁ!?」

 

突然の行動に二人は飛び出し、苺鈴を止めようとする。二人に飛びつかれ、少しの間の後、苺鈴はまた暴れ出し、リコは転倒して、お尻を打ったのかお尻の辺りをさすりながら「イタタタ・・・」と体を起こす。今はみらいが一人で何とか抑え込んでいるが、これもすぐに引きはがしてしまうであろう。リコは咄嗟に懐から小さい杖を取り出し、苺鈴には見えないようにしながら小声で「キュアップ・ラパパ。苺鈴よ転びなさい」とつぶやくと、不思議な事に苺鈴は足を滑らせたのか背中から地面に転倒したのだ。二人はこれを好機と見て二人がかりで苺鈴を抑え込む。

 

みらい「ナイス、リコ!!」

 

リコ 「シー!!余計な事言わないの!!」

 

苺鈴 「あれ?私何で?・・・」

 

リコ 「取り合えず落ち着きなさいよ。その手も何とかしないと」

 

みらいが包帯代わりに持っていたハンカチをちぎってみらいが右手を、左手をリコが巻いていく。その間も苺鈴は一言もしゃべることも無くただ黙っているだけであった。

 

みらい「ねぇ、一体何があったの?」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

みらい「もしかして、柔道と何か関係がある?」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

みらいの問いに苺鈴は反応も見せない。みらいは更に話しかけようとするが、リコが「待って」と手を出し、ジェスチャーする。

 

みらい「リコ・・・」

 

リコ 「ねぇ苺鈴。話したくないことなら無理やり聞きだすつもりは無いわ。誰にだってどんなに仲のいい人でも話せないことの一つや二つあるもの」

 

苺鈴 「・・・・・・二人共ちょっと聞いていい?」

 

みらい「ん?」

 

リコ 「何?」

 

苺鈴 「もし、自分でやるって決めたことがあって、でもその事をやり遂げるには私じゃ大きすぎる壁があって、逃げ出したくなくって、でもどうしようもないってことがあった時、二人ならどうする?・・・」

 

みらい「う~~ん・・・難しい質問だね・・・」

 

リコ 「・・・ねぇ苺鈴。質問を質問で返して悪いんだけど一つ聞いて良い?」

 

苺鈴 「何?」

 

リコ 「うん。その「どうしようもない事」に向かっていく時って、苺鈴一人なの?」

 

苺鈴・みらい「えっ?」

 

リコ 「その「どうしようもない事」に向かって行く時、周りには苺鈴以外には誰もいないの?」

 

苺鈴 「・・・いるにはいるけど、でも・・・」

 

リコ 「でも?」

 

苺鈴 「あの子は・・・私が守らないといけないのよ・・・私が・・・」

 

みらい「あの子ってもしかして「なのは」ちゃんの事?」

 

リコ 「なのは?あぁ、前にみらいと苺鈴が話してた」

 

みらい「うん。苺鈴の妹みたいな子だよ。」

 

リコ 「ふ~ん、でもその子を守らないといけないってことは、そのなのはって子も関わっているって事よね?」

 

苺鈴 「えぇそうよ」

 

みらい「う~~ん・・・でもさ苺鈴、なのはちゃんって「守られたい」のかなぁ~?」

 

苺鈴 「えっ?・・・」

 

みらい「何度か私もなのはちゃんと一緒に遊んだりしたことあるけどさ、すごく苺鈴に懐いてるって言うか慕っているって言う感じだったからさぁ、苺鈴がそんなに悩んでい

るとなるとあの子も自分の事のようにすごく悩んでるんじゃないかなぁ?」

 

苺鈴 「なのはが・・・私の事を自分の事のように・・・まさかそんな・・・」

 

みらい「ううん。なのはちゃんならありえるよ。多分、「守られる」んじゃなくて、「一緒に立ち向かいたい」んだって思っていると思う。」

 

リコ 「苺鈴。なのはちゃんって子は話を聞く限りじゃ苺鈴よりも年下の妹分なんでしょうけど、だからってあなたが年上だからって理由だけで守ってあげないといけないって事もないんじゃない?」

 

苺鈴 「どういう意味?」

 

リコ 「あなたは多分ね、一人で抱え込み過ぎたのよ。あなたが守りたいって言ってるなのはちゃんはそんなに頼りない子なの?」

 

苺鈴 「ぁっ・・・」

 

リコに言われて初めて苺鈴は気づいた。苺鈴は心のどこかで「弱いから」・「年下だから」といった気持ちが出てきて、なのはを信じきっていなかったのだ。何かに気づいたと思ったリコは更に語りかける。

 

リコ 「確かに年上だから年下の子を守らなきゃ!!って思う気持ちもわからないでもないわ。でもね・・・年下だからって相談したり、力を貸してもらったりするのは恥ずか

しい事なんかじゃないと思うわ!!」

 

苺鈴は眼を大きく開いてリコを見続ける。

 

リコ 「私もね。ちょっと前までは意地っ張りで、負けず嫌いで素直になれないそんな子だったのよ。・・・それまで色んな事を一人で抱え込んで、悩んで・・・でもね、

みらいと出会って変われたのよ。一人で抱え込んでいたことでも、一緒に歩いてくれる人がいて、私の事なのに自分の事のように悩んでくれるみらいといるうちに「誰かと一

緒に乗り越える」って事がすごく大切な事なのかを知ったわ。苺鈴はどうなの?そのなのはちゃんについて、どう思うの?」

 

苺鈴は少しの間のあと、バッと立ち上がり、リコを見る。

 

苺鈴 「なのはは私の大事な妹みたいな子よ!!私と同じように悩んで苦しんで、それでもきっと立ち向かっていこうとするわ!!だったら・・・私も、あの子と一緒に乗り

越えたい!!乗り越えなきゃいけないのよ!!」

 

リコ 「ええ。」

 

みらい「きっとそれがいいよ!!なのはちゃんもきっと喜ぶよ!!だって、大好きなお姉ちゃんが一緒に歩いてくれるんだからさぁ!!」

 

苺鈴 「よ~~し!!二人とも、ありがとう!!おかげでなんか吹っ切れたわ!!じゃあね!!」

 

苺鈴は、二人にお礼を言うと、駆け出して行き、学校を後にする。ソレを二人は苺鈴が見えなくなるまで見送っていた。

 

みらい「・・・苺鈴の悩み、これで解決できたのかなぁ?」

 

リコ 「それはわからないわ。けど、大丈夫よ苺鈴ならきっと・・・」

 

みらい「うん。そうだよね。」

 

???「お悩みを聞いてもらえる相手がいるのは羨ましいですねぇ~」

 

突如聞こえてきた声に二人は身構え、声の主を探す。しかし、周りには誰も見当たらず、上を見上げたときだった。木の枝にコウモリのようにぶら下がり、まさにコウモリ男と呼ぶにふさわしい男性が二人を見つめていた。

 

コウモリ男「私の悩みも聞いていただきたいものですねぇ?」

 

リコ 「何よ!!あなたの悩みって!!」

 

コウモリ男「勿論、あなた方が『リンクルストーン』や『リンクルスマホン』を私に譲っていただけないことに決まっていますよ。」

 

みらい「渡さない・・・『リンクルストーン』もスマホンもどっちも絶対に!!」

 

コウモリ男「そうですか。やはり、交渉決裂ですね。ならば!!魔法、入りました!!いでよ!!ヨクバ~~ル!!」

 

ヨクバール「ヨクバ~~ル!!」

 

みらい・リコ「・・・・・・」

 

コウモリ男が呪文のようなものを唱えると、先ほど苺鈴が殴り続けていた岩と、どこにあったのか、綱引きに使いそうなロープが魔方陣のようなものに吸収され、髑髏(どくろ)の顔をした4・5メートルはありそうな怪物が姿を現す。怪物をみた途端二人は苺鈴が「ジュエルシード」の怪物と戦うときのように、「戦う者」の目をしてみらいの鞄(かばん)から顔をだした熊のぬいぐるみと手をつなぎある呪文を唱える

 

みらい・リコ「キュアップ・ラパパ!!」

 

と・・・・・・

 

 

 

 

 

それからまた時が流れ時刻は午後7時を過ぎた頃であった。なのはとユーノは二人でジュエルシードの探索をしていたのであったが、もう夕飯の時間になってしまい流石(さすが)に帰らないといけない時間になってしまった。ユーノはまだ少し探索するといって、「晩御飯取っといて」と頼んだのちに別行動を取った。

 

丁度同じ時間に、フェイト達の方も町中にジュエルシードがあることを突き止めていたのだが、正確な場所を掴めておらず、強制発動を試みた。結果、見事ジュエルシード・シリアル

19を見つける事に成功した。

 

フェイト「見つけた!!」

 

アルフ「けど、あっちも気付いたみたいだよ。」

 

フェイト達は、なのは達の発した光に気付き向こうもこちらに気付いているはずだと確信した。

 

 

 

 

 

苺鈴「これは・・・結界?」

 

ユーノが咄嗟に張った広域結界は魔力のない物や何らかの手違いが無ければ一般人が巻き込まれることはない。しかし、苺鈴は魔力を持たないため以前ユーノに普段使っているリボン

に魔法を駆けてもらいこれを持っていればこういった結界内でも認知でき、普段道理の行動が出来るようにしてもらっていたのであった。

 

苺鈴 「結界は後ろから張られたように見えたけど、という事は・・・」

 

苺鈴は結界が自分の後ろから広がって行ったように見えた事から推測し、来た道の逆方向に走り出す。おそらくその先になのは達がいると予測したからだ。

そして苺鈴は走る。なのはの元へ、そして、戦いたい相手がいる場所へ・・・

 

 

 

 

 

なのはとフェイトは互いに遠距離からの封印砲を放ち、後はジュエルシードを回収するだけの状態になった。ユーノはなのはに「早くジュエルシードを回収して」とせかすが、狼モードのアルフが二人に飛び掛かる。ユーノが咄嗟にバリアーを張り、アルフをなのはから遠ざける。ユーノとアルフが離れていった直後、なのはの目の前にはフェイトとブリジットがビルから降り立つ。

 

なのは「フェイトちゃん、ブリジットさん・・・」

 

フェイト「・・・・・・」

 

ブリジット「なのはさん・・・一応聞きますけど、あきらめておかえり願いませんか?」

 

なのは「ごめんなさい。それは出来ません。」

 

ブリジット「そうですか。残念です。出来ればあなたとも戦いたくはないのですが・・・フェイトさん。なのはさんは私に任せてください。その隙にジュエルシードを・・・」

 

フェイトが頷くと、ブリジットはなのはに向かっていく。なのはは苺鈴と違って経験から培(つちか)った直感で回避できるほどの動きはまだ出来ないため、バリアーを張って、間一髪で防御する。ブリジットは何度か斬撃を繰り返し、なのははそれを初撃から張り続けるバリアーで防ぐ。しかし、ブリジットの攻撃には妙な点が見えた。それは、目まぐるしいほどの速さで動きながら攻撃しているのだが、当たるのはほぼ同じ個所ばかりであった。

 

ブリジット「はぁっ!!・・・やっぱり固いですねそのバリアー、神楽さんの『鋼』といい勝負ですよはい。」

 

なのは「かぐらさん?」

 

ブリジット「こっちの話ですっよ!!」

 

なのは「きゃあっ!?」

 

ブリジットはなのはのバリアーを破り、なのははバリアーが破れると同時に後方に吹き飛ばされてしまう。転倒したわけではないが、なのはは今までバリアーを完全に破られたことが無く、初戦で戦ったジュエルシードの怪物よりもブリジットは純粋に『力』は劣るはずなのに破れたのだ。その事になのはは動揺を隠すことが出来ず「何故!?」と言う顔をしていた。

 

ブリジット「「何で!?」って顔をしてますね。」

 

なのは「私のバリアーってユーノ君や苺鈴ちゃんはすごく硬いってよく言いますし、今まで一度も破られたことが無かったもので・・・」

 

ブリジット「簡単ですよ。あなたの動きを見て分かります。あまり実戦経験が無いようですよね?」

 

なのは「確かにそうですけど?」

 

ブリジット「だから、あなたはまず避けるよりも、もっと頑丈なバリアーで守ろうとするからそれに頼りがちなんですよ。いくら頑丈でも同じ個所を何度も受け続ければ脆(もろ)くなるのは当たり前ですよ。それなら腕力の劣る私でも破ることは可能です。おしゃべりはここまでですよ!!」

 

ブリジットが駆けだすと、なのははアクセルシュートという技を放つ。追尾式の魔力弾を放つ技ではあるが、ブリジットの足の速さに対応できていないのかほとんどは避けられ、数発は短剣ではじかれるのが関の山であった。そして遂になのはの眼前に迫り、その短剣を振りかざしたその時だった。

 

???「やぁっーー!!」

 

なのはの頭上を飛び越えブリジット目掛けて、飛び蹴りを放つ影が現れる。咄嗟の事ではあったが、ブリジットは二本の短剣をクロスさせ、その攻撃を防ぐ。そして、飛び蹴りを放った人物は自身の飛び蹴りを防ぐ壁になった短剣を足場にして、反転して着地を決めた。

 

なのは「苺鈴ちゃん!?」

 

苺鈴 「お待たせなのは!!」

 

ブリジット「・・・来たんですね?苺鈴さん。てっきり来ないものだと思いましたが・・・」

 

苺鈴 「おあいにく様、私って結構負けず嫌いなんですよ。」

 

苺鈴もブリジットも互いに構える。もうどちらが動き始めてもおかしくない状態である。

 

苺鈴 「なのは。ブリジットさんは任せて。あなたは、あの金髪の子をお願い。」

 

なのは「うん。分かった!!苺鈴ちゃん!!」

 

苺鈴 「何?」

 

なのは「えっと、勝ってね!!」

 

苺鈴 「・・・ふふっ、えぇ。任せておきなさい。師匠の意地に賭けてもね!!」

 

なのはは「うん!!」と大きく頷くと、フェイトの方へと向かっていく。ブリジットはなのはを止めようとはせず、ただ苺鈴を構えながら見つめ続けるだけであった。

 

苺鈴 「・・・あの子を止めなくてよかったんですか?」

 

ブリジット「あの子・・・フェイトさんなら問題ありませんよ。彼女、強いですから。それよりも、あなたの方はどうなんですか?」

 

苺鈴 「敵の心配ですか?心配御無用です。色々、吹っ切ってきましたから・・・」

 

二人は再び睨み合うと、ほぼ同時に飛び出す。ブリジットは短剣を曲切り・突きの連続攻撃で振り回し、対する苺鈴は相手が剣を持っているせいかあまり手を出さずに、手の甲で剣の刃のない部分を滑らせるように受け流し、突きには手をはたくように振りほどく。反対に苺鈴は、突き攻撃を止めるたびにカウンターを狙っていき、それ以外のときにも回し蹴りを中心とした足技を駆使していくが、ブリジットもそのたびに短剣を盾代わりにして防ぎ、その場でホンの数cm単位の反転ジャンプでかわしたりを繰り返す。

 

そして、苺鈴の正拳突きとブリジットの短剣一本の盾代わりにしていた刃のない部分がぶつかり、鍔競り合いになった後(のち)少しの間の後、互いに距離を取りブリジットは、煙球を爆発させ苺鈴を翻弄(ほんろう)する。視界を完全に奪われた苺鈴は辺りを見渡すが、煙でやはり何も見えずにいた。

 

苺鈴 (何も見えない。これじゃあどこからくるか分かったもんじゃないわね。)

 

煙が視界を奪った直後はさすがに隙を作ったが、すぐに苺鈴は目を閉じ意識を集中させる。ホンの一瞬の間(ま)であったが、彼女には長く感じる間(ま)の間にブリジットの影が苺鈴に猛スピードで迫る。

 

ブリジット「はあぁっー!!」

 

苺鈴 「ハイッ!!・・・なっ!?」

 

ブリジットが正面から切り込んでくる。そう感じ取った苺鈴は左腕で正拳突きを放つが、やってきたのはブリジットの持つ短剣が一本のみだった。ブリジットは苺鈴の予想を上回り、苺鈴から見て正面に短剣を投剣(とうけん)し、すかさず苺鈴の背後に回りこみ、投げた短剣を右手で回収してそのまま突きを放つ。

 

ブリジット(もらった!!)

 

苺鈴もブリジットが背後から迫っているのを感じ取り、更にここから反撃に出る。

 

苺鈴 (押して駄目なら・・・)

 

ブリジット(えっ?)

 

苺鈴・ブリジット(引いてみろ!!)・「がはっ!?」

 

苺鈴はブリジットに向き直る事もせず、突き出した左手の手首を右手で掴みながら少しかがんでブリジットが突き出した短剣を回避しながら、右手に力を込めて一気に左腕を後ろに引く。そして、肘(ひじ)打ちをブリジットの腹部に命中させる。思わぬダメージに硬直して短剣を落としながらゆっくりと数歩後ろに下がり腹部を押さえながらひざを突く。

 

ブリジット「くっ・・・なっ!?」

 

苺鈴 「・・・・・・」

 

苺鈴は膝を突きながら腹部を押さえてるブリジットの眼前に拳を突き出す。少しの間の後、最初に口を開いたのは苺鈴だった。

 

苺鈴 「・・・今回は、私の「勝ち」ですよね?」

 

ブリジット「・・・何故、そのまま攻撃しないんですか?」

 

苺鈴 「私達は確かに『ジュエルシード』を集める『敵』同士です。ですけどね・・・」

 

そう言いながら苺鈴は拳を引っ込めながら、握手を求めるかのように手を差し出す。

 

苺鈴 「私達は『殺し合い』をしたいんじゃないんです。分かり合いたいんですよ。なのはがあの子と話したいように、私もあなたとね。」

 

ブリジット「・・・・・・」

 

ブリジットは目を大きく開いて苺鈴を見つめる。苺鈴の瞳を見ていると、とても澄んでいて、嘘をついているようには思えなかった。ブリジットも気づかずいつの間にか差し出された右手を掴もうと左手をゆっくりと差し出していく。

 

ユーノ・アルフ「なのは!!・フェイト!!」

 

突如聞こえた二人の叫び声に思わず苺鈴もブリジットも声が聞こえた方向に振り向く。その直後、なのはとフェイトの姿を確認できた二人が見たモノは、ジュエルシードにレイジングハートとバルディッシュを同時に接触させている瞬間であった。その直後、ジュエルシードからまばゆい光と衝撃波が発生し、その周辺全てのものを包み込んだのだった。

 

 

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