カードキャプターさくら『苺鈴外伝』   作:狼と踊る男

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突然ですがクロウリードは甘党だと思うんです。なんせ『甘(スイート)』のカードを作ったぐらいですから?




『出会いは100年前 校長とクロウ・リード』

4人 「失礼しま~す!!」

 

校長 「よく来たの?待っておったぞ?」

 

苺鈴達が『魔法界』へとやってきたその初日・・・時刻はもう夜の8時は過ぎている頃であるが、校長室に一同は集まっていた

 

校長 「こんな時間に疲れている処すまないな?」

 

リコ 「大丈夫です。ね?」

 

みらい「うん。私達も校長先生の昔話聞きたいって思ってましたから?」

 

校長 「そうか・・・ところではーちゃん・苺鈴君気になっておったのじゃが?」

 

苺鈴・ことは「何ですか?」

 

校長 「お主ら、いつの間にこの学校の制服を調達したのじゃ?今思い出したのじゃが、あのラブーと名乗っておった魔人が現れた時にはすでにその服装じゃったな?」

 

苺鈴 「あぁそれは・・・」

 

ことは「私の魔法で制服を作ったんです!!」

 

校長 「ほぉ~なんと?そのような魔法まで使えるとは?それもエメラルドの力なのかもしれんな?」

 

校長に席に着くように勧められ、一同は席に着き、机にお茶菓子と紅茶も用意されていた。これから話す事がそれなりに長くなりそうだからか、校長が配慮してくれたようだ

 

因みにこの数時間前『青木 れいか』が戦ったラブーが現れ、一同はラブーと戦った後である

 

校長 「さて。『来るべき災い』に対抗するためにこれからは儂も今出来る事をしていこう思っておる。じゃから儂は決めたんじゃ。『100年前』に儂が体験した一つの事件の事を君達に知ってもらう事をな?」

 

みらい「『100年前』?」

 

苺鈴 「あの?話の腰を折るようで申し訳ないんですけど?校長先生って今おいくつですか?」

 

校長 「さっ?話を続けようかの?」

 

苺鈴 (ぁっ?誤魔化した?)

 

校長 「あれはそう・・・儂がまだ校長になるよりもずいぶんと前の頃じゃった・・・」

 

当時儂のそばにはまだ『ドクロクシー』となる前のクシィがおった・・・

 

儂ら二人は共にこの魔法学校の教師となり、教師としての仕事をこなしながら『来るべき災い』について調べる日々を送っておった・・・

 

『来るべき災い』・・・儂らはまだその頃はそれが『デウスマスト』と呼ばれる存在だという事を知らず、災いを調べていく内に『リンクルストーン』と禁断とされている『闇の魔法』の存在を知り、クシィは徐々にその『闇の魔法』に手を染めていったのじゃ・・・

 

儂はちと強引にクシィを連れ出ししばらくの間、二人でみらい君と苺鈴君の故郷『ナシマホウカイ』を旅をする事にしたんじゃ・・・

 

そして確か・・・イギリスじゃったかな?儂らは奴に言わせれば運命じゃったのか?そこで『クロウ・リード』と出会ったのじゃ・・・奴はそのまぁ・・・何と言うか?性格に少々難があってな?奴には儂もクシィもずいぶん振り回されたかのぉ?

 

苺鈴 「クロウリードとはそんな風に出会ったんですね?」

 

校長 「あぁ。まぁ今思い返せば、あの頃はうんざりする事ばっかりじゃったが、楽しかった日々じゃったな?・・・」

 

みらい「校長先生・・・」

 

校長 「あぁすまんな?それから儂等は意気投合して、クロウの奴も旅をしていた事から儂らは3人で旅を続ける事になってな?それから色んな国を旅していったのじゃ・・・本当に楽しかった・・・あの調子ならば『もう一つの目的』も果たせたかもしれないかったのぉ?」

 

リコ 「『もう一つの目的』?」

 

校長 「うむ・・・苺鈴君は知らんじゃろうが、かつてみらい君とリコ君は『闇の魔法』を極め『ドクロクシー』へと変貌してしまったクシィと戦った・・・旅に出る前のクシィであればまだ引き返せる処であった。そう思ったからこその旅じゃったのだが、その目論見(もくろみ)は最後に訪れたあの町で起こった事件によって打ち砕かれたのかもしれん」

 

苺鈴 「一体、何があったんですか?100年前に?それにその町って?」

 

校長 「100年前・・・儂らの旅の終着点・・・それは日本・・・『いちご坂(ざか)』と呼ばれる街じゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注・校長は本名不明のため過去の世界でも名前は『校長』とします

 

 

クシィ「楽しみだなクロウ?」

 

クロウ「ですね?この町には以前からとても甘くておいしいスイーツの噂がありましたからね?私も以前から気になっていたんです」

 

校長 「お主ら本当に甘い物が好きだな?この間も立ち寄った甘味処でホイップクリームを大量に追加していたしな?しかしもうあれは辞めてくれよ?」

 

クロウ・クシィ「何で?」

 

校長 「それはそうだろう?・・・菓子の原型が見えなくなるほどにまで塗りたくる奴がいるか?」

 

クロウ・クシィ「えぇ~あれ美味しいのに?」

 

校長 「将来『糖尿病』にでもなっても知らんぞ?全く・・・ところでそろそろ目的の店が近いはずだったな?」

 

クシィ「あぁ。私が調べた処によればもう見えるはずだが・・・ん?」

 

クロウ「どうしました?」

 

クシィ「いや、あの男・・・」

 

クシィの視線の先を二人も見つめ、映ったのはボロボロのコートを羽織った一人の男性だった。どうにも足元がおぼつかない・・・3人がその男を見ていたその数秒後、突然その男は倒れ、それを見た3人は急ぎ男のもとに駆け寄り安否を確認していた

 

周辺は騒ぎだし、心配そうに様子を見ている者達がごった返す中、3人は懸命に男に呼びかけ続けるが反応が無い。脈はあるので死んではいないようだがこのまま放置していればいずれは・・・

 

そんな中、エプロン姿の一人の女性が声を掛けてきたのだ「家を使ってください」と・・・

 

校長 「いいのか?」

 

女性 「このまま放っておけません!!さっ!!早く!!」

 

校長 「よし!!クシィ!!済まんがそっちを持ってくれ!!」

 

クシィ「分かった!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校長 「後に目を覚ましたその男は『ノワール』・そのノワールを助けたその女性は『ルミエル』と名乗っておった・・・ルミエルは見ず知らずのノワールの事を心の底から心配しておってな?彼女の献身的(けんしんてき)な看病の介もあってノワールは無事目を覚ます事が出来たのじゃ」

 

みらい「良い話ですね?」

 

リコ 「本当。それにそのルミエルって人もすごいわね?見ず知らずの人にそこまで出来るなんてそうそう無いもの?」

 

苺鈴 「そうね?大抵の人ならちょっと心配して終わりだもの?お人好しって言っちゃうと聞こえは悪いけど、尊敬出来る人ね?」

 

ことは「だね?」

 

校長 「そうじゃな?良い話じゃ。ここまではな?」

 

ことは「『ここまでは』?」

 

苺鈴 「その後何があったんですか?」

 

校長 「うむ・・・その後な?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルミエルの自宅を兼ねたスイーツ工房に倒れたノワールを運んだのは良かったのじゃが、ノワールは数日は目を覚まさなかったのじゃ・・・ルミエルは付きっきりで看病しておったのじゃが、店を閉める訳にもいかず、儂らはいや正確にはクシィとクロウが店のスイーツ目当てもあったが、ノワールの事を気にかけておったのでな?しばらく住み込みで働いておったのじゃ。スイーツを作る事は出来なかったが、その他の業務なら出来たからのぉ?

 

ノワールが目を覚まして数日が経過してな?儂らは儂らで店の仕事を楽しんでおったからよかったのじゃが、ある日ルミエルが折角だからとノワールと共に儂らにもスイーツ作りを教えてったのじゃ・・・

 

ノワール「ずいぶんと手間が掛かるのだな?」

 

クシィ「見ているのと実際に作るのではまるで違うものだな?」

 

校長 「だな?いつもルミエルが手際良く作っておるから気が付かなんだが、これは中々大変だ。ってこらっクロウ!!つまみ食いなどするんじゃない!?」

 

クロウ「あれ?バレました?」

 

校長 「見え見えだ!?」

 

ルミエル「うふふふっ本当、いつも楽しい人達ね?」

 

ノワール「・・・・・・」

 

ルミエル「ノワール?」

 

ノワール「お前はこうやって客のためにスイーツを作り続けるつもりなのか?」

 

ルミエル「そうね・・・私はスイーツを食べて幸せそうな人の笑顔が見れればそれだけで十分なの。だからそれでいい」

 

ノワール「・・・・・・」

 

クシィ「そうだな?確かにルミエルのスイーツは食べれば思わず笑みがこぼれてしまうぞ?」

 

クロウ「ですね?甘いお菓子でしたら幾らでも入りますからね?」

 

校長 「お主らそうやって甘い物ばかり食べおって?いくらルミエルのスイーツが美味いからといって、虫歯になっても知らんぞ?」

 

そんな他愛もない会話が続いていく中でもノワールは一度も笑みを浮かべる事は無かった・・・それからしばらくしてノワールと儂らの作ったスイーツは完成して自分で言うのもなんじゃが、まぁそれなりに良い出来じゃったと思う。クロウとクシィが作ったスイーツもルミエルに教わった介もあってか中々いい出来じゃったのぉ?ただ一つ・・・ノワールのスイーツを除いては・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「そのノワールって人は上手くいかなかったんですか?」

 

校長 「いや違う・・・君達は『キラキラル』というモノを聞いた事は無いかね?」

 

みらい「無いです」

 

校長 「『キラキラル』・・・ルミエルから聞いたのじゃが、スイーツに込められた想いの結晶のような物じゃ」

 

リコ 「『想いの結晶』ですか?」

 

校長 「まぁ簡単に言えば『美味しくなれ』と込めた気持ちがスイーツの中で形を持った物じゃ。このスイーツの中にも恐らく含まれておるかもな?」

 

苺鈴 「えっ!?お菓子の中に入ってるんですか!?・・・・・・クッキー割って見ましたけど普通のクッキーですよね?」

 

校長 「はははっ。確かに結晶化した物ではあるが目に見える物では無いのじゃ。見える者と見えない者がおるようじゃからのぉ?」

 

苺鈴 「霊感を持ってる人と持ってない人・・・みたいな?」

 

校長 「まぁそれでも良いじゃろう?話を戻すぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノワールの作ったスイーツはすべて彩豊(いろどりゆたか)な物が灰色へと変化してしまったのじゃ。その現象はまるで魔法でも使ったかのように異質な現象でな?儂らはただ困惑し、ノワールは「やはりな」とこうなるのが分かっておったかのような素振りを見せておったのじゃ

 

クロウ「何か、心当たりがあるのですか?」

 

ノワール「私は戦場で生まれ、許されない罪を犯してきた・・・」

 

この言葉だけでノワールの過去にはどれほどの事があったのか、容易(ようい)に想像出来るじゃろうな・・・

 

儂らは誰一人として、そんなノワールになんと声を掛ければいいか分からず立ち尽くしておった・・・

 

そんな中でもルミエルはノワールにも『笑顔になれる』・『幸せのなれる』とルミエルの嘘偽りない言葉をノワールにかけておった・・・そんなルミエルじゃったからこそノワールはルミエルにこう言ったのじゃろうな?

 

ノワール「私のためだけに、スイーツを作れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苺鈴 「『私のためだけに』っか・・・それってつまりノワールさんはルミエルさんの事を?」

 

校長 「・・・今となっては正直分からん。じゃがノワールも人の温もりを求めておったのかもしれんな?」

 

みらい「それでルミエルさんの返事は何て?」

 

校長 「・・・・・・」

 

みらい「校長先生?」

 

校長 「そこからじゃった・・・『闇』が、世界を覆い始めたのは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノワール「オオオォォッォォッーー!!」

 

ルミエル「ノワール!!」

 

クロウ「皆さん!!早く外へ!!」

 

スイーツ工房の天井を破壊しながらノワールは闇の力を放出し、いちご坂を己(おのれ)の闇で覆い始めていき、あっと言う間にいちご坂には命の息吹を感じない静寂な世界へと変わってしまった・・・

 

工房から外へと脱出した儂らは豹変したノワールにただ驚愕し、闇の力の強大さに足がすくんでおった・・・

 

じゃがそんな中、ルミエルだけはノワールに向かってその姿を変えて進んでいったのじゃ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校長 「伝説のパティシエ・プリキュアとしてな?」

 

苺鈴 「今!?『パティシエのプリキュア』って言いました!?」

 

みらい「苺鈴?」

 

リコ 「どうしたのよ急に?」

 

苺鈴 「あぁちょっとね?『パティシエのプリキュア』って処に聞き覚えがあった気がしてね?」

 

校長 「話を戻すぞ?ルミエルがプリキュアだと知り、それがリンクルストーンの事を調べていくうちに知った『伝説の魔法使いプリキュア』と同質なモノと感じた儂らはルミエルと共にノワールと戦った。ルミエルの力もすごかったが、ノワールの闇の力はそれ以上に強大であったのじゃ・・・儂らは一進一退を繰り返す戦いを来る日も来る日も続け、ノワールの闇がいちご坂を超えないようにするのが精一杯じゃった」

 

リコ 「古のプリキュアもいて、校長になる前とはいえ校長先生ほどの魔法使いもいたというのにそれが精一杯だったなんて・・・」

 

校長 「それだけ『闇の力』は強大という事じゃよ?当時儂らは心身ともに疲弊しておった・・・正直こちらが先に倒れてしまうのではないかとさえ思っておった。じゃが儂らの前には一筋の希望が見えた・・・ルミエルの意思を継ぐ未来のプリキュア。『キュアホイップ』を筆頭とした『キラキラ☆プリキュア アラモード』の6人という希望の光がな?」

 

苺鈴 「『キュアホイップ』!?」

 

校長 「なんじゃ?どうかしたのかね苺鈴君?」

 

苺鈴 「そのプリキュア私名前は知ってます!?前にキュアホイップの事を知っているプリキュアから話を聞いた事がありまして?」

 

校長 「なんと?それは数奇な?君はもしかしたら『縁』を強く持つ者なのかもしれんな?」

 

苺鈴 「『縁』・・・ですか?」

 

校長 「うむ。っでじゃ?儂等がノワールの生み出した闇の獣と戦っていたその最中、彼女達は現れたのじゃ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『宇佐美 いちか(うさみ いちか)』・『有栖川 ひまり(ありすがわ ひまり)』・『立神 あおい(たてがみ あおい)』・『琴爪 ゆかり(ことづめ ゆかり)』・『剣城 あきら(けんじょう あきら)』・『キラ星 シエル(キラほし シエル)』そして妖精の『ペコリン』と名乗っていた7人はノワールの生み出した闇の獣『ディアブル』との戦いの最中に現れ、儂らの窮地を救ってくれた・・・

 

ルミエルのスイーツ工房に場所を移し詳しい話を聞いていた儂らは彼女達が『未来からルミエルに呼ばれて来た』というところまで事情を聴いたのじゃ

 

校長 「100年後の未来からルミエルが?」

 

クシィ「そんな事、歴代の最強の魔法使いでも出来ん事だぞ?」

 

ルミエル「私に言われても・・・」

 

いちか「ところで皆さん、さっきから気になっていたんですけど何作ってるんですか?」

 

ルミエル「ぇっ?あぁこれはこの町の人達に差し上げるスイーツよ?」

 

校長 「私達も懸命に作っているのだが」

 

クシィ「ルミエルのようには中々上手くいかなくてな?」

 

クロウ「たくさんの生地を泡だて器で混ぜている処なんですが、3人掛かりでも数が追い付かなくて困っている処なんですよ?」

 

いちか「あっ!!だったら私達もお手伝いします!!」

 

クロウ「あなた方がですか?」

 

校長 「気持ちは嬉しいが、これは地味に重労働だぞ?」

 

いちか「大丈夫です!!私達、未来でお店やってますから?」

 

そんなやり取りがあった後、いちか君達も交えてスイーツ作りを再開させたのじゃが、店をやっているというだけあってか?いやそれだけではないな?信頼している者同士だからこその息の合った連携も見せつけてくれたかのぉ?あっと言う間にこのスイーツ工房に避難させた町の人々に配るスイーツを作り上げてしまったのじゃ。そのスイーツを食べている人々を見ていると、体の中から金平糖(こんぺいとう)のような物が見えたが、あれがきっとルミエルの言う『キラキラル』だったのじゃろうな?

 

校長 「町の人達のこんな笑顔を見るのも久しぶりだな?」

 

クシィ「あぁ。これも未来から彼女達が来てくれたおかげかもな?いくらルミエルでも一人では限界もあったろうしな?」

 

クロウ「これは私達も彼女達に負けていられないですね?」

 

校長 「あぁ。それにしても、『魔法界』に伝わる『伝説の魔法使いプリキュア』も、もしかしたらいちか君達のように人を笑顔に出来る存在なのかもしれんな?」

 

クシィ「だが、闇は強大だ。幾ら彼女達といえど、そう簡単に闇の力は払いきれるものではないだろう?」

 

校長 「それはそうだが・・・」

 

儂等の会話はいちか君の叫びに止まってしまった。スイーツ工房の扉が開き、そこから闇が入り込み、人々の体を通り過ぎると、人々の体からキラキラルが抜き取られていったのじゃ。

そんな最中一人の見知らぬ少女が泣きながら駆け込んできたものじゃから『何事か!?』と思ったものじゃ?その者はいちか君達の知り合いだったようで名を『ビブリー』と呼んでおったな?

 

いちか「あれは!?」

 

校長 「ノワールだ!?」

 

いちか「あれがノワール・・・」

 

外へと飛び出したルミエルを追って儂らも外に出ると、視界に映ったのは巨大な影の姿をしたノワールの姿であった・・・ノワールの姿を見たルミエルもプリキュアへと変身し、自分の使命を果たそうと闇を広げようとするノワールへと向かっていったのじゃ

 

いちか「ルミエルさん!!私達も戦います!!」

 

その言葉の後、彼女達もプリキュアへと変身した。本当に頼もしかったし、助かるとも思った。しかし、それをルミエルは拒んだのじゃ。キュアホイップ達はあくまでも『未来』の世界から来た者。それに未来のルミエルは彼女達にノワールと戦ってもらうために過去に送り出したという訳でも無いはず・・・だからルミエルはこの時代の事は自分に任せて未来を彼女達託したのじゃ。ルミエルが一番大事にしていた『絞り器』にルミエルの力を籠め、ルミエルはどうやったのかはわからんが、キュアホイップ達を未来へと送り返そうと杖を振るったのじゃ。その瞬間彼女達の体はキラキラルの光に満ち、徐々に透けていったのじゃ

 

ホイップ「ルミエルさん・・・分かりました。未来は任せてください!!じゃあせめて皆さんこれを使ってください!!」

 

キュアホイップを始め、6人がキャンディロッドと呼ぶ杖を構え『キラキラル』を放出すると、スイーツ工房の中に置いてあった校長・クシィ・クロウの3人が使っていた『泡だて器』にキラキラルの光が集まり、すっぽり手に収まってしまう程度の大きさに変ってしまい、泡だて器というより、小さい電灯のようであった。それが光に乗って飛んでいき3人はそれをいつの間にか手に収めていた

 

校長 「これは?」

 

ホイップ「私達のキラキラルを詰め込んだミラクルライト『ミラクル☆キラキラルライト』です!!これでルミエルさんを応援してあげて!!」

 

クシィ「あぁ。任せろ」

 

クロウ「これも、一種の魔法ですね?」

 

校長 「かもな?・・・この時代の事は私達に任せろ!!」

 

ホイップ「はい!!」

 

キュアホイップの元気な返事が終わると同時に彼女達は完全に消えてしまった。恐らく元の時代に無事戻れたであろう・・・彼女達が残してくれた希望を今ここで使わせてもらうぞ?

 

校長 「頑張れ!!プリキュア!!」

 

ボタンを押して灯したミラクルライトの光と儂の送った声援に続くようにクロウもクシィもノワールに向かっていくルミエルに声援を送った。そしてミラクルライトの光がより一層強い輝きを見せたと同時にルミエルの体にも光が宿りノワールに向かっていく速度を増していき、ノワールもそれに対抗するかのようにルミエルに向かっていったのじゃ

 

ルミエル「ノワール!!」

 

ノワール「ルミエルゥゥゥゥーー!!」

 

両者の光と闇がぶつかった瞬間、強い光と衝撃波が町を襲ったが奇跡的に建物の損壊もなく被害は出ておらんようじゃ?両腕を重ねて顔を覆って衝撃波と光を防御していた儂らがそれを解くと同時にルミエルは儂らの前に降り立ち「ありがとう」とでも言いたかったのか?笑みを送ってくれたのじゃ。儂らもその笑みに微笑み返そうとしたが、再び聞こえたノワールの唸り声に再び空を見上げたのじゃ

 

ルミエル「ノワール!?」

 

校長 「何だと!?」

 

クシィ「あれを喰らってもまだ倒れないのか!?」

 

クロウ「これが闇に身も心も捧げた者の力とでも言うのですか?」

 

ノワール「やってくれたなルミエル?だが私は、私の闇はこのぐらいでは消えぬ!!お前の力で心と体が分裂してしまったが、今しばらくこの抜け殻となった私の体。そうだな・・・『エリシオ』とでも名付けよう。このエリシオを使って闇の力を蓄え、今度こそ世界を私の闇で包んでくれよう!!その時が来るのを楽しみに待っているのだな?」

 

ルミエル「ノワール!!」

 

校長 「消えた・・・奴は一体何処に?」

 

クロウ「ダメですね?完全に気配が消えています」

 

クシィ「恐ろしい相手だった・・・ルミエルの光でも、奴の闇は払いきれなかった・・・」

 

ルミエル「ノワール・・・・・・」

 

それからしばらくして『いちご坂』は元の風景を取り戻していき、その間ノワールが襲ってくることもなかった・・・

 

儂等にもとうとうルミエルとの別れがやってきたのじゃ

 

ルミエル「皆さんもどうかお元気で?」

 

校長 「世話になったな?」

 

クシィ「大変な事ばかりだったが、忘れられない尊(とうと)い時間だったよ?」

 

クロウ「皆さんと食べたスイーツの味は絶対忘れません」

 

ルミエル「またいつでもいらしてくださいね?」

 

校長 「そうだ?キュアップ・ラパパ!!私達の友情は永遠でありますように!!」

 

ルミエル「きれいな光・・・」

 

クシィ「急にどうした?」

 

校長 「まぁ願掛けという奴だ?お前達もどうだ?」

 

クシィ「よしておくよ?そんな事しなくても私達の友情は永遠だろ?」

 

クロウ「その通りです」

 

校長 「なんだ!?私だけやったのではこっぱづかしいではないか!?」

 

ルミエル「うふふふっ」

 

こうして儂らは『いちご坂』を後にしてしばらくしてクロウとの別れもやってきたのじゃ。別れ際にクロウの旅はまだ続くそうなのでその旅の無事を祈り儂とクシィは『魔法界』へと戻ったのじゃ・・・

 

 

 

 

 

それから数年たった頃じゃったな?儂の元に『ナシマホウカイ』から一通の手紙が送られてきたのじゃ?

 

校長 「一体誰だ?差出人は・・・『クロウ・リード』!?クロウからか!?」

 

お久ぶりです。あれからあっという間に時間が過ぎ去りましたね?数年たった今でもあの頃の事が昨日の事のように思い出せますよ?実はあなたに伝えたい事があってこの手紙を送りました。

 

校長 「『伝えたい事』?一体なんの事だ?・・・・・・・・・何だと!?」

 

この手紙を送って数日後には私はもうこの世にはいないでしょう。『何故』と思うでしょうね?寿命が来てしまったんですよ?と言っても私の歳を知っているあなたにしたら寿命が来たと言っても「何を馬鹿な」と思うでしょう?・・・あれから数年の間、私は密かにクシィと連絡を取り合っていたんです。そして私も『魔法界』に頻繁に訪れて彼と共に魔法の研究をしていました。禁断とされる『闇の魔法』をね?

 

校長 「クシィだけではなく、クロウの奴までも・・・」

 

あなたに話せば絶対に止めに来るのは分かりきっていましたので声を掛ける事は出来ませんでした。ですが怒らないでください。これは私とクシィが承知の上で決めた事なんです。

まぁその代償が体への負担による寿命な訳ですが?あなたからすれば『馬鹿な事をして』と怒るでしょうけど、ルミエルですら払いきれなかった闇の力・・・あなたが話してくれた正体の分からない『災い』に対抗するためにも、私には力が必要だった・・・ですから私はクシィと協力して『闇の魔法』の研究を始めたのです。

 

校長 「そんな・・・あの旅が・・・ノワールの闇が・・・狂わせたのか?クシィを?クロウを?だとしたら私は何のために3人で旅をして来たのだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校長 「クロウから送られてきた手紙を読み終えて儂は年甲斐もなく泣いてしもうたかのぉ?」

 

苺鈴 「おかしくないですよ・・・泣くのも当たり前じゃないですか?」

 

みらい「そうですよ!!友達の悲しい知らせなんて、本当につらい・・・」

 

リコ 「校長先生にそんな辛い過去があったなんて・・・そしてそれほどまでにリンクルストーンに希望を抱いている訳も分かりました」

 

校長 「確かに辛い事じゃったのは否定せん。しかし、かといって君達が気負う事は無い」

 

ことは「でも・・・」

 

校長 「君達は君達じゃ。それに悲しんで・儂らの想いを背負ってほしくてこの話をしたのではない。儂等のような事を繰り返さんよう頑張ってほしくてこの話をしたんじゃ。シャキッとしなさい」

 

校長以外「はい!!」

 

校長 「うむ。良い返事じゃ?・・・それでじゃ?何か他に聞きたい事はあるかの?」

 

苺鈴 「はい!!」

 

校長 「何が聞きたいんじゃ?」

 

苺鈴 「校長先生はその後キュアホイップ達には再会できたんですか?『100年後の世界から来た』って話してて、校長先生にとってはそれが100年前の話なんですよね?」

 

校長 「いいや。あれから彼女達には会っておらん。というか顔を全く思い出せんのじゃ?」

 

みらい「そうなんですか?」

 

校長 「ただ時間が経ちすぎて思い出せんのか?それとも彼女達が未来へと変える際にルミエルが何らかの術を儂らに掛けたのか?それとも別の要因があるのかわからんがな?」

 

リコ 「あの仮にルミエルさんがそうしたとして何でそんなことをしたと思うんですか?」

 

校長 「まぁそうじゃな?いちか君達は未来から来たからよいのじゃが、儂らにとっては未来の情報をもたらしてきた者達じゃったからのぉ?彼女達の未来に儂らがどのようにして関わるのかわからん以上、下手に記憶を残しておくのは危険だからじゃ?歴史というのは常に曖昧で不確かななモノじゃからな?」

 

リコ 「成程?」

 

みらい「あの校長先生?私も質問良いですか?」

 

校長 「構わんぞ?して、なんじゃね?」

 

みらい「どうして100年前の事件を経験したのにクシィさんとクロウさんは闇の魔法に手を出したんですか?」

 

校長 「それか?そうじゃな?恐らくその事件を経験したからこそ闇の魔法の研究に没頭したのじゃろうな?」

 

ことは「どういうことですか?」

 

校長 「闇の力は強大で危険な力じゃ。ノワールや『ドクロクシー』となったクシィの事ある。人間が扱う事などできるはずもない」

 

みらい「だったらどうしてそんな力を?」

 

校長 「クシィもクロウも闇の魔法が『危険な力』と分かってはいた。しかし、それ以上に純粋にその『強大な力』に魅了されたのじゃろうな?災いを強大な闇ととらえるのであれば『毒を以て毒を制す』という事じゃろう?」

 

リコ 「クシィさんは『ドクロクシー』になってしまいましたけど、クロウさんは『闇の魔法』を完成させたんでしょうか?」

 

校長 「・・・いや、それは儂にも分からん。クロウは確かに闇の魔法を研究して、その影響で寿命が縮んだそうじゃからのぉ?今となってはもう何も分からんよ?」

 

リコ 「そうなんですか・・・そういえば苺鈴は何か知らないの?クロウさんって苺鈴の遠い親戚にあたる人なんでしょ?」

 

苺鈴 「そうねぇ~・・・ちょっと私には分からないわね?」

 

リコ 「そぉ・・・」

 

校長 「まぁこう言っては何じゃが?クシィは君達との戦いに敗れ無事天に帰った。クロウの奴もクシィのようにならなかっただけまだマシかもしれんな?おっ?もうこんな時間か?ずいぶん話し込んでしもうたのぉ?」

 

みらい「あっ?ほんとだ?」

 

校長 「今日の話はここまでにするとしよう。そろそろ寮に戻ってゆっくりと休むといい?」

 

校長先生の一言の後、私達は挨拶だけすまして部屋を後にして行くんだけど、ドアを閉める直前、校長先生の顔が視界に入ってその表情はどうにも曇っていた。昔の悲しい話をしたからなのか?

それとも・・・何かまだ話していない事があってそれで悩んでいるのか・・・みらい達と違って面識がほとんどない私では校長先生の考えている事なんて全く分からなかった・・・

 

苺鈴達が校長室を後にして部屋には校長と水晶だけとなったその頃、校長は椅子に腰かけ机から何かを取り出そうとしていた

 

水晶 「よろしかったんですの?」

 

校長 「何がじゃ?」

 

水晶 「クロウ・リードの手紙にはまだ続きがあった事を彼女達に話さなくて?」

 

校長 「あぁそれか?・・・」

 

手紙にはこう続きが書いてあった・・・

 

二人で闇の魔法を研究していく内に、私はクシィと袂(たもと)を分かち、闇の魔法の別の使い方を研究していきました。強大な闇の力を扱うためにはどうすればいいのか?ノワールのように闇に溺れるのでは意味が無い。そこで私は思いついたのです。力を分散し、それぞれ役割を持たせた力をカードに組み込み、使用者の負担を減らすのです。

この研究が実る頃には、私自身をモルモットにしていた事もあって無茶が祟(たた)ったのかもう長くはありません。ですから手紙と一緒に『これ』をあなたに送ります。

『来るべき災い』に備えて、この力をどうか役立ててください

 

校長 「クロウの奴も、あやつなりに災いに備えてくれたようじゃがこれもクシィを狂わせ、クロウを殺した『闇の魔法』・・・儂はこれを・・・この『クロウカード』を表舞台に出す気は無いのじゃ。もう二度と儂らのような悲劇を繰り返さんためにもな?」

 

クロウリードの送った物・・・52枚と1枚のトランプが収まった箱を取り出し校長はそれを『クロウカード』と呼んだ・・・

 

苺鈴は魔力を持たないためクロウカードを使った事が無いから気付かなかったのだが、クロウ・リードはクシィとは違う『闇の魔法』を完成させていたのだ。

 

それがかつて『木之本 さくら』・『李 小狼』が集めた52枚そして封印された『無』のカードの合計53枚の『クロウカード』の事だったのだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『魔法つかいプリキュア!』の章は一応この話で終了です。

実を言えばこの『苺鈴外伝』は明確な終わりを考えていないまま始めた作品のため物語を一度ここで『未完』として終了させていただきます。これまで読んでくださった皆様には本当に感謝いたします。

一応新しい章を考えている最中なのですが全然まとまらない状態のため完成が年単位で先になりそうです。

一応『魔法つかいプリキュア!』編で書きたい番外編もありますのでもしかしたらそっちでまた投稿する日が来るかもしれません。もしくは実は新しい作品で『苺鈴外伝』に登場した苺鈴とみらい達を出演させる予定の話がありますのでそっちでもまた苺鈴達の活躍を見てもらえるかもしれません。

それでは皆さんここまでありがとうございました。
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