苺鈴達がただ大乱闘スマッシュブラザーズで遊んだら・・・
軽い気持ちで指示を出して作ったそんなお話です。
(修正版)とこの後に(原作)版で同じような話が合計2話投稿です。
# 読み切りの章
## 『苺鈴争奪?知世邸スマブラ大乱闘杯』
大道寺邸の一室に、いつもとは少し違う緊張感が漂っていた。
大画面テレビ。
人数分のコントローラー。
きれいに並べられた座布団。
そして、中央に置かれたニンテンドースイッチ。
知世「本日は皆さんにお集まりいただきまして、ありがとうございます」
知世が上品に一礼する。
その場にいるのは、苺鈴、さくら、小狼、ケルベロス。
さらに、ブリジット、みらい、リコ、ことは、モフルン。
なのは、フェイト。
ゆい、ここね、らん、あまね。
ソラ、ましろ、ツバサ、あげは、エル。
そして、なぜかトーナメント表には、彼女達の名前に混じって「CPU」の文字まで並んでいた。
苺鈴「……ちょっと待って。なんでCPUまで参加してるのよ?」
知世「せっかくですから、より大会らしくしてみました」
ケルベロス「ええやんけ! 強いCPUに勝ってこそ真の王者や!」
小狼「ゲームで王者になってどうする」
さくら「でも、みんなで遊ぶのって楽しそうだね」
みらい「うん! わくわくもんだぁ!」
リコ「みらい、ゲームだからって油断しないのよ」
モフルン「はーちゃんも頑張るモフ!」
ことは「うん! わたし、絶対勝つ!」
その言葉に反応した者がいた。
なのは。
ことは。
ここね。
ブリジット。
四人の目に、妙な炎が灯る。
苺鈴「……な、何よ。その目は」
知世「実は、なのはさん、ことはちゃん、ここねちゃん、ブリジットさんには、事前に少しだけお話しておりまして」
苺鈴「嫌な予感しかしないんだけど」
知世はにこりと笑った。
知世「この四名のどなたかが優勝された場合、苺鈴ちゃんとの一日デート、または独り占めの権利を差し上げると」
苺鈴「勝手に何を景品にしてるのよ!?」
さくら「ほええええ!?」
小狼「大道寺、本人の許可は取ったのか」
知世「取っておりません」
苺鈴「堂々と言わない!」
なのは「苺鈴ちゃん。わたし、今日だけは本気でいくよ」
ことは「わたしも! 苺鈴と一日遊びたい!」
ここね「苺鈴。勝負なら、正面から取りに行く」
ブリジット「私も負けません。TVアニメ版はおろか、CDドラマでも踏んだり蹴ったりで、ハヤウェイとラブラブ~な展開なんてこれっぽっちも起きやしませんでしたが! せっかくの苺鈴外伝での番外編、ここで私も一花咲かせるのです、はい!」
リコ「その人だけ動機が別方向に重いわね」
みらい「でも、すごく本気だね!」
モフルン「ブリジット、目が燃えてるモフ……」
フェイト「えっと……私は普通に遊べればいいかな」
なのは「フェイトちゃんも頑張ろう?」
フェイト「うん。でも、テレビゲームはあまり得意じゃないから……」
あげは「大丈夫大丈夫! こういうのはノリも大事だから!」
ソラ「勝負である以上、私も全力で挑みます!」
ましろ「ソラちゃん、ゲームでも真面目だね」
ツバサ「ルール把握は重要です。ストックは一つ、制限時間は二分ですね」
あまね「短期決戦か。判断力が問われるな」
ゆい「勝っても負けても、終わったらみんなでご飯食べたいね!」
らん「それ最高! ゲーム大会からのごはん、盛り上がり味がすごい!」
エル「えるぅ!」
この時点で、苺鈴だけが深くため息をついていた。
苺鈴「……もういいわ。こうなったら私が勝って、こんな景品は無効にしてやるんだから」
知世「では、第一回・知世邸スマブラ大乱闘杯、開幕ですわ」
### 使用キャラクター発表
知世が用意した一覧には、各自の使用キャラクターが記されていた。
苺鈴はリュウ。
さくらはカービィ。
小狼はリンク。
知世はピーチ。
ケルベロスはクッパ。
ブリジットはゼルダ。
みらいはマリオ。
リコはルフレ。
ことははパルテナ。
モフルンはバンジョー&カズーイ。
なのははサムス。
フェイトはマルス。
ゆいはカービィ。
ここねはゼロスーツサムス。
らんはパックマン。
あまねはルキナ。
ソラはキャプテン・ファルコン。
ましろはサムス。
ツバサはピット。
あげははベヨネッタ。
エルはプリン。
さらに、CPU枠として、フォックス、パックンフラワー、スティーブ、セフィロス、勇者などがランダムに参戦することになった。
苺鈴「有料ダウンロードのキャラまでいるじゃない」
ケルベロス「本格的やな!」
さくら「エルちゃん、プリンなんだ。かわいいね」
エル「ぷりん!」
ソラ「エルちゃん、とても似合っています!」
ましろ「でも、エルちゃん、ちゃんと操作できるかな?」
エルはいつもの赤ちゃんの姿ではなく、成長した姿でコントローラーを握っていた。
プリキュア達の戦いが終わった今、エルが大きくなること自体は、もう誰も奇跡とは呼ばない。
ただ、スマブラ大会のために大きくなっている光景は、やはり少し不思議だった。
あげは「まあ、エルちゃんが楽しそうならオッケー!」
ツバサ「操作説明は僕がしました。あとは実戦です」
エル「がんばる!」
### 一回戦・フェイト対CPUフォックス
最初の注目カードは、フェイト対CPUフォックスだった。
フェイトの使用キャラはマルス。
相手はCPUフォックス。
なのは「フェイトさん、落ち着いて操作すれば大丈夫です」
フェイト「う、うん。頑張ってみる」
苺鈴「フェイトって、こういうの苦手なの?」
なのは「はい。フェイトさん、運動神経はすごいんですけど、テレビゲームはちょっと……」
開始直後、フェイトのマルスは前へ出ようとして、なぜかその場で空振りした。
フェイト「あれ? 今、攻撃したつもりだったんだけど」
なのは「フェイトさん、それジャンプです!」
フェイト「えっ」
CPUフォックスが一気に近づく。
マルスは剣を振るが、向きが逆だった。
ケルベロス「逆や! 敵はそっちちゃう!」
フェイト「え、えっと、こっち?」
次の瞬間、フォックスの攻撃が連続で入る。
フェイトは慌てて復帰しようとするが、崖の方向を間違えた。
フェイト「あ……」
マルスは静かに画面外へ落ちていった。
勝者、CPUフォックス。
フェイト「……負けちゃった」
なのは「フェイトさん、どんまいです」
フェイト「ごめんね、なのは。やっぱりゲームは難しいね」
苺鈴「逆に新鮮ね。フェイトにも苦手なことがあるんだ」
フェイト「うん。魔法戦の方が分かりやすいかも」
小狼「それは比較対象がおかしい」
### 一回戦・ましろ対CPUフォックス
続いて、ましろの試合だった。
相手はまたしてもCPUフォックス。
ましろの使用キャラは、なのはと同じサムスである。
ましろ「なのはさんと同じキャラなら、なんだか頑張れそうな気がする!」
なのは「ましろさん、チャージショットは溜めてから撃つと強いですよ」
ましろ「はい!」
試合開始。
ましろのサムスは、距離を取ってBボタンを押し続けた。
サムスの腕部にエネルギーが溜まっていく。
ソラ「ましろさん、頑張ってください!」
ツバサ「相手が近づく前に撃てれば有利です!」
あげは「ましろん、いっけー!」
ましろ「ヒーローガール! プリズムショット! でやっ!」
気合いと共に、最大まで溜めたチャージショットが放たれる。
だが、その瞬間。
CPUフォックスがリフレクターを展開した。
跳ね返されたチャージショットが、一直線にましろのサムスへ戻ってくる。
ましろ「えっ、戻って――」
爆発。
サムスは大きく吹き飛び、そのまま画面外へ消えた。
勝者、CPUフォックス。
ましろ「わ、私のプリズムショットが……!」
ソラ「ましろさんの必殺技が跳ね返されました!」
あげは「ゲームって時々こういう理不尽あるよねー」
なのは「ましろさん、今の撃ち方はすごく良かったです。ただ、相手が反射技を持っていたので……」
ましろ「スマブラ、奥が深い……」
小狼「叫んだから威力が上がるわけではないんだな」
さくら「でも、ましろさんらしかったよ」
### 一回戦ダイジェスト
その後も、一回戦は次々と進んでいった。
さくらのカービィは、モフルンのバンジョー&カズーイと対戦。
さくらは吸い込みと復帰で粘ったが、モフルンのワンダーウイングに押し切られた。
モフルン「勝ったモフ!」
さくら「ほええ……強かったね、モフルン」
みらい「モフルンすごい!」
リコ「はーちゃん、油断しちゃだめよ。モフルンも結構強いわ」
ことは「うん! わたしも負けない!」
知世のピーチは、CPUパックンフラワーに敗北した。
しかし知世はまったく落ち込まず、むしろカメラを構えていた。
知世「ピーチさんがパックンフラワーさんに吹き飛ばされる映像……これはこれで貴重ですわ」
苺鈴「自分が負けても撮影優先なのね」
ケルベロスのクッパは、小狼のリンクと激突。
重量級の怪力で押し込むケルベロスだったが、小狼は爆弾と弓矢で距離を取り、最後は回転斬りで撃墜した。
ケルベロス「なんでや! パワーならワイの方が上やろ!」
小狼「考えずに突っ込むからだ」
らんのパックマンは、CPUスティーブに敗北。
らんは最後までフルーツターゲットを使って楽しそうだった。
らん「負けたけど、パックマンってなんかおやつ感あっていいよね!」
あまね「戦術の話はどこへ行った」
あまねのルキナは、CPU勇者に勝利。
的確な剣さばきで、相手の呪文を許さなかった。
あまね「運に頼る前に斬る。それだけだ」
ゆい「かっこいい!」
ここね「さすがあまね」
ツバサのピットは、CPUセフィロスと対戦。
慎重に空中戦を挑んだが、長いリーチに捕まり惜敗した。
ツバサ「リーチ差を見誤りました……」
ソラ「ツバサくん、よく戦いました!」
あげはのベヨネッタは、華麗なコンボでCPUパックンフラワーを撃破。
あげは「大人のお姉さん、まだまだいけるでしょ?」
そして、なのは、ことは、ここね、ブリジットの四人は、それぞれ一回戦を突破した。
なのはのサムスは堅実に。
ことはのパルテナは直感で。
ここねのゼロスーツサムスは静かに精密に。
ブリジットのゼルダは、何かを取り戻すような執念で。
苺鈴「……あの四人、やっぱり気合いが違いすぎるわ」
小狼「お前が景品にされているからな」
苺鈴「他人事みたいに言わないで!」
### 注目カード・苺鈴対ソラ対ゆい
トーナメントは基本一対一だったが、人数調整のため、一部の試合だけ三人乱闘となった。
その中でも最大の注目カードが、苺鈴対ソラ対ゆいである。
苺鈴のリュウ。
ソラのキャプテン・ファルコン。
ゆいのカービィ。
ストックは一つ。
制限時間は二分。
ソラ「苺鈴さん、ゆいさん。正々堂々、全力で勝負です!」
ゆい「うん! お腹いっぱい楽しもう!」
苺鈴「二人とも、遠慮はしないわよ」
試合開始と同時に、ソラのキャプテン・ファルコンが猛烈な勢いで走り込んだ。
ソラ「ヒーローは前へ進みます!」
苺鈴「まっすぐすぎる!」
リュウが波動拳で牽制する。
しかしゆいのカービィは、それをふわりと飛び越えた。
ゆい「いただきまーす!」
苺鈴「ゲームでも吸い込むの!?」
カービィがリュウを吸い込もうと近づく。
そこへキャプテン・ファルコンの突進が割り込んだ。
三人のキャラクターが一気にぶつかり、画面上は大混戦となる。
らん「ゆいぴょん、吸い込みの食欲がすごい! ソラちゃんは一直線ヒーロー味! 苺鈴は完全に格闘家!」
あまね「実況が独特だな」
ここね「でも、内容は意外と合っている」
苺鈴は無理に攻めなかった。
波動拳で二人の接近を抑え、隙を見て昇龍拳を合わせる。
ソラ「そこです!」
キャプテン・ファルコンが横から踏み込む。
リュウに強烈な一撃が入る。
苺鈴「くっ、速い!」
だが、ソラが攻めた直後の着地を、ゆいのカービィが逃さなかった。
ゆい「えいっ!」
カービィの一撃で、ソラがステージ外へ押し出される。
ツバサ「復帰ルートが読まれています!」
ましろ「ソラちゃん、戻って!」
ソラ「まだです!」
ソラは復帰を狙った。
しかし、苺鈴のリュウがそこへ波動拳を置く。
ソラ「しまっ……!」
キャプテン・ファルコンが落下。
まず、ソラが脱落した。
ソラ「見事です、苺鈴さん!」
残るは苺鈴とゆい。
ゆい「苺鈴、強いね!」
苺鈴「ゆいも粘るじゃない」
ゆい「でも、最後まであきらめないよ!」
カービィは軽い。
しかし復帰力があり、なかなか落ちない。
苺鈴は焦らず、着地の瞬間を待った。
苺鈴「ここ!」
リュウの昇龍拳が、カービィを捉える。
ゆい「あーっ!」
画面に勝利表示が出る。
勝者、苺鈴。
苺鈴「よし! この調子なら、景品無効まで行けるわ!」
知世「苺鈴ちゃん、とても凛々しかったですわ」
なのは「苺鈴ちゃん、やっぱりすごい……」
ことは「苺鈴、かっこいい!」
ここね「苺鈴は勝負勘がいい」
ブリジット「これでこそ、私が追いかける価値のある相手です、はい~」
苺鈴「追いかけなくていい!」
### 二回戦・なのは対まさかのマリオ
なのはの相手は、CPUではなく、みらいのマリオだった。
みらい「なのはさん、よろしくお願いします!」
なのは「はい、みらいさん。こちらこそ」
みらい「マリオって分かりやすいから、何とかなる気がする!」
リコ「みらい、その根拠のない自信は危ないわよ」
ことは「みらい、頑張って!」
モフルン「みらい、ファイトモフ!」
なのははサムスで距離を取り、着実にチャージショットを溜める。
みらいのマリオはジャンプとファイアボールで近づいていく。
なのは「ここで……」
サムスのチャージショットが最大まで溜まる。
みらい「わっ、すごく光ってる!」
なのは「いきます!」
なのはのサムスがチャージショットを撃った。
だが、みらいのマリオが偶然、スーパーマントを振った。
リコ「あっ」
チャージショットが反射され、なのはのサムスへ返っていく。
なのは「えっ?」
サムスが吹き飛ぶ。
なのはは何とか復帰するが、その隙にみらいのマリオが追撃。
みらい「わ、わ、なんか当たった!」
最後はマリオのスマッシュ攻撃が決まり、なのはが敗退した。
勝者、みらい。
みらい「勝っちゃった……!」
なのは「まさか、あそこで返されるなんて……」
フェイト「なのはでも、こういうことあるんだね」
なのは「うん。ゲームって難しいですね」
苺鈴「なのはが落ちた……これで少し安全になったかしら」
なのは「苺鈴ちゃん、まだ次回があります」
苺鈴「次回を前提にしないで!」
### 二回戦・ことは対モフルン
ことはのパルテナと、モフルンのバンジョー&カズーイ。
ことは「モフルン、負けないよ!」
モフルン「モフルンも負けないモフ! はーちゃん、勝負モフ!」
みらい「はーちゃんもモフルンも頑張って!」
リコ「どっちを応援すればいいのよ……」
試合は不思議な展開になった。
ことはは直感で攻める。
モフルンは操作に慣れていないようで、時々謎の方向へ走る。
それでもワンダーウイングが偶然当たり、ことはのパルテナが何度も吹き飛ばされた。
ことは「モフルン、なんか強い!」
モフルン「モフルンにも分からないモフ!」
最後はことはのパルテナが冷静に空中攻撃を当て、モフルンを撃墜。
勝者、ことは。
モフルン「負けたモフ~」
ことは「やった! 苺鈴に一歩近づいた!」
苺鈴「近づかなくていい!」
### 二回戦・ここね対あまね
ここねのゼロスーツサムス。
あまねのルキナ。
ここね「相手があまねでも、勝つ」
あまね「望むところだ、ここね」
ゆい「二人とも頑張って!」
らん「これは真剣勝負味がするよ!」
ここねは速さで翻弄する。
あまねは剣の間合いで迎え撃つ。
互いに無駄が少ない。
声を荒げることもなく、画面上だけが激しく動く。
ここね「そこ」
ゼロスーツサムスの蹴りが入る。
あまね「甘い」
ルキナが反撃する。
残り時間は三十秒。
互いにダメージは高い。
最後、ここねはあまねの着地を読んで、上方向への攻撃を合わせた。
ルキナが画面外へ飛ぶ。
勝者、ここね。
あまね「見事だ、ここね」
ここね「ありがとう。あまねが相手でなければ、もう少し楽だった」
苺鈴「ここねも勝ち上がってる……」
小狼「お前の安全圏が狭まっているな」
苺鈴「冷静に分析しないで!」
### 二回戦・ブリジット対CPUパックンフラワー
ブリジットのゼルダは、CPUパックンフラワーと対戦した。
ブリジット「この私の前に立ちはだかるのが、花……いえ、植物の怪物とは」
ケルベロス「見た目はともかく、あいつ結構厄介やで」
ブリジット「ですが、私は負けられません。ブリジットルートのために!」
苺鈴「まだ言ってる……」
ゼルダはファントムを出し、パックンフラワーの接近を止める。
毒霧を避け、鉄球をかわし、少しずつダメージを重ねる。
ブリジット「苺鈴さんとの甘い一日を勝ち取るため!」
苺鈴「甘くしない!」
ブリジット「では、ほろ苦い一日でも構いません、はいぃ!」
リコ「譲歩の方向がおかしいわ」
最後はゼルダの稲妻キックが入り、パックンフラワーが吹き飛んだ。
勝者、ブリジット。
ブリジット「勝ちました! これでまた一歩、夢へ近づきました、はい~!」
苺鈴「だからその夢に私を巻き込まないで!」
### 準々決勝・苺鈴対みらい
苺鈴のリュウ。
みらいのマリオ。
なのはを破ったみらいとの対戦に、会場が少しざわつく。
なのは「苺鈴ちゃん、マリオのマントには気をつけて」
苺鈴「分かってるわ。飛び道具を返すんでしょ?」
みらい「わたし、あれを狙って出せるか分からないけど、頑張ります!」
リコ「そこは狙いなさい」
試合開始。
苺鈴は波動拳を多用しない。
マントを警戒し、リュウ本来の近距離戦で押していく。
みらい「近い近い!」
苺鈴「マリオは万能だけど、間合いを取れば!」
リュウの連続攻撃が入り、マリオのダメージが上がる。
みらいはジャンプで逃げようとするが、苺鈴が着地を読む。
苺鈴「そこ!」
昇龍拳。
マリオが画面外へ飛ぶ。
勝者、苺鈴。
みらい「負けちゃったー!」
なのは「苺鈴ちゃん、対策が早いです」
苺鈴「自分の自由がかかってるからね」
知世「苺鈴ちゃんの必死なお姿も、とても素敵ですわ」
苺鈴「楽しんでるでしょ、知世!」
### 準々決勝・ことは対ここね
ことはのパルテナ。
ここねのゼロスーツサムス。
景品対象者同士の潰し合いである。
ことは「ここね、負けないよ!」
ここね「私も。苺鈴と一緒に過ごすために勝つ」
苺鈴「二人とも、本人を前に堂々と言わないで」
みらい「はーちゃん、頑張って!」
リコ「はーちゃん、相手の動きをよく見て!」
モフルン「はーちゃん、ファイトモフ!」
ゆい「ここねも頑張って!」
らん「どっちも本気味が濃い!」
試合開始。
ことははパルテナで光の攻撃を放つ。
ここねはゼロスーツサムスで素早くかわし、蹴りを差し込む。
ことは「苺鈴と遊ぶのは、わたし!」
ここね「譲れない」
ことは「むー!」
直感で攻めることはに対し、ここねは冷静だった。
ステージ端へ誘導し、逃げ道を絞る。
ここね「ここ」
ゼロスーツサムスの一撃が決まる。
ことは「あっ!」
パルテナが画面外へ飛ぶ。
勝者、ここね。
ことは「負けちゃった……」
ここね「はーちゃん、強かった」
ことは「ここねも強かった。でも、苺鈴と遊ぶのはあきらめないもん」
苺鈴「お願いだから、普通に誘って」
ことは「じゃあ、今度普通に誘う!」
苺鈴「それなら……まあ、いいけど」
ここね「私も後で普通に誘う」
苺鈴「流れに乗らない!」
### 準々決勝・ブリジット対あげは
ブリジットのゼルダ。
あげはのベヨネッタ。
あげは「ブリジットさん、本気だねー」
ブリジット「当然です。ここで勝たねば、私の番外編的青春は始まりません、です、はい」
あげは「うん、よく分かんないけど、熱いのは伝わった!」
試合は派手だった。
ゼルダの魔法と、ベヨネッタの空中コンボ。
画面上では、光と銃撃と蹴りが交錯する。
ブリジット「苺鈴さんとの一日!」
あげは「その熱意、嫌いじゃないよ!」
あげはは攻めた。
しかしブリジットは、驚くほど粘った。
最後はゼルダのファントムで動きを止め、稲妻キックを当てる。
勝者、ブリジット。
あげは「負けたー! でも今の、めっちゃいい勝負だった!」
ブリジット「ありがとうございます。ですが、私はまだ止まりません、はい~!」
苺鈴「止まって!」
### もう一つの波乱・エルの快進撃
一方、別ブロックではエルが勝ち上がっていた。
使用キャラはプリン。
相手が小狼のリンクでも、あまねのルキナでも、CPUセフィロスでも、エルはなぜか勝った。
小狼「……読めない」
あまね「無欲ゆえの強さか」
ツバサ「エルちゃん、今のタイミングはどうやって?」
エル「ふわってして、ねむった!」
ツバサ「説明になっていません……」
ソラ「ですが、エルちゃんはすごいです!」
ましろ「プリンがふわふわ動いて、急に眠るんだよね」
ゆい「エルちゃん、楽しそう!」
らん「これは予測不能味だよ!」
エルのプリンは、理屈では説明しづらかった。
ふわふわ逃げる。
ふわふわ近づく。
そして、相手が油断した瞬間に眠る。
ケルベロス「なんやあれ! 可愛い顔して怖すぎるやろ!」
知世「エルちゃん、とても可愛らしくて強いですわ」
苺鈴「……嫌な予感がしてきたわ」
### 準決勝・苺鈴対ここね
準決勝第一試合。
苺鈴のリュウ。
ここねのゼロスーツサムス。
ここね「苺鈴。勝つ」
苺鈴「私を景品にするのは納得いかないけど、勝負なら受けて立つわ」
ここね「景品という言い方は、私も少し引っかかっている。でも、苺鈴と一日過ごしたい気持ちは本当」
苺鈴「……そういうのを真正面から言われると、やりにくいじゃない」
試合開始。
ここねは速かった。
ゼロスーツサムスがステージを駆け、リュウの懐に入る。
苺鈴は波動拳で牽制しようとするが、ここねはそれを読んで跳ぶ。
ここね「そこ」
蹴りが入る。
苺鈴「速い!」
なのは「ここねさん、上手いですね」
フェイト「動きがすごく冷静」
ことは「苺鈴、負けないで!」
ブリジット「ですが、ここねさんが勝てば苺鈴さんとの一日が……いえ、複雑です、はい」
ここねは苺鈴を追い詰めていく。
しかし、苺鈴も格闘家としての間合いを取り戻す。
ゼロスーツサムスが近づく。
リュウが一歩引く。
空振りを誘い、反撃。
苺鈴「ここ!」
リュウの昇龍拳が決まる。
ここね「……!」
ゼロスーツサムスが吹き飛ぶ。
だが、ここねは復帰する。
残り時間は二十秒。
どちらも一撃で決まる。
ここね「最後まで、諦めない」
苺鈴「私もよ!」
ここねが踏み込む。
苺鈴はガードし、反撃の一瞬を待つ。
残り五秒。
ゼロスーツサムスの蹴りが外れる。
苺鈴「もらった!」
リュウの一撃が決まった。
勝者、苺鈴。
ここねは静かにコントローラーを置いた。
ここね「負けた。悔しい」
苺鈴「ここね、強かったわ」
ここね「ありがとう。苺鈴も強かった」
少し間を置いて、ここねは小さく笑う。
ここね「でも、普通に遊びに行く約束は、また別にお願いする」
苺鈴「……それなら、まあ」
なのは「その方法、やっぱり強いですね」
ブリジット「正攻法ルート……私も学びました、はいぃ」
苺鈴「変な学び方しない!」
### 準決勝・ブリジット対エル
準決勝第二試合。
ブリジットのゼルダ。
エルのプリン。
ブリジット「エルさん。相手があなたでも、私は手を抜きません」
エル「うん!」
ソラ「エルちゃん、頑張ってください!」
ましろ「でもブリジットさん、すごく本気だよ」
あげは「これは大人げないとかじゃなく、真剣勝負だね」
ツバサ「エルちゃんの動きが通じるかどうか……」
試合開始。
ブリジットはファントムを設置し、プリンの接近を防ぐ。
エルはふわふわと浮きながら、攻撃の隙間をすり抜けていく。
ブリジット「近づけさせません!」
エル「ふわー」
ゼルダの魔法が飛ぶ。
プリンが避ける。
ブリジット「なぜ当たらないのですか、はいぃ!?」
苺鈴「エル、妙に上手いわね……」
小狼「あの動きは、読む方が難しい」
残り時間三十秒。
ブリジットは焦り始めた。
ブリジット「ここで負けたら、私の一花は……!」
エル「ねむる!」
プリンが、ゼルダのすぐ横で眠った。
直撃。
ゼルダが画面外へ吹き飛ぶ。
勝者、エル。
ブリジットは目を見開いた。
ブリジット「……負けました」
苺鈴「ブリジット……」
ブリジット「ですが、エルさんなら仕方ありません。赤ちゃん相手に本気で悔しがるのは、さすがに私の器が問われます、です、はい」
リコ「十分悔しそうだけど」
ブリジット「悔しいですとも!」
みらい「正直だね」
ブリジット「ですが、負けは負け。ブリジットルートは、またしても未実装です、はい~……」
苺鈴「未実装って言わない」
### 決勝・苺鈴対エル
決勝戦。
苺鈴のリュウ。
エルのプリン。
苺鈴は、ここまで勝ち上がってきた。
なのはも、ことはも、ここねも、ブリジットも敗れた。
残るはエルだけである。
本来、エルには知世が勝手に用意した景品など関係ない。
エルが勝っても、苺鈴との一日デートなどという話にはならない。
それでも、苺鈴は油断しなかった。
苺鈴「ここで勝てば、全部すっきり終わるわ」
エル「苺鈴、勝負!」
ソラ「エルちゃん、頑張ってください!」
ましろ「苺鈴ちゃんも頑張って!」
ゆい「どっちもファイト!」
なのは「苺鈴ちゃん、落ち着いて」
ことは「苺鈴もエルも頑張って!」
ここね「エルの動きは読みにくい。苺鈴、近づきすぎない方がいい」
ブリジット「苺鈴さん、私達の無念を……いえ、やはり複雑です、はい」
試合開始。
リュウが構える。
プリンがふわふわと浮く。
苺鈴はまず、波動拳で距離を取った。
エルのプリンは、それを小さく跳んでかわす。
苺鈴「やっぱり当たらない……!」
プリンは軽い。
一撃当てれば大きく飛ばせる。
しかし、その一撃が当たらない。
エル「ふわふわ!」
苺鈴「ふわふわで済ませないで!」
リュウが踏み込む。
プリンが下がる。
リュウが待つ。
プリンが近づく。
小狼「苺鈴、焦るな」
苺鈴「分かってる!」
残り時間一分。
苺鈴はついに一撃を入れた。
リュウの拳がプリンを捉え、エルのダメージが上がる。
ソラ「エルちゃん!」
ツバサ「まだ戻れます!」
エルのプリンは、ふわりふわりとステージへ戻った。
苺鈴「そこ!」
復帰に合わせた追撃。
しかし、プリンはわずかに位置をずらす。
リュウの攻撃が外れた。
ましろ「あっ」
ここね「危ない」
エルのプリンが、リュウの隣に落ちる。
苺鈴「しまっ――」
プリンが眠った。
画面が大きく揺れる。
リュウが吹き飛び、そのまま画面外へ消えた。
勝者、エル。
一瞬、部屋が静かになった。
そして次の瞬間、ソラが立ち上がる。
ソラ「エルちゃんが優勝しました!」
ましろ「すごい! 本当に勝っちゃった!」
あげは「エルちゃん、優勝おめでとう!」
ツバサ「最後の眠る、完璧でした」
ゆい「エルちゃん、すごいね!」
らん「大番狂わせ味がすごい!」
あまね「無欲の勝利だな」
ケルベロス「なんやこの赤ちゃん、強すぎやろ!」
知世「素晴らしい決勝戦でしたわ」
苺鈴はコントローラーを置き、がっくりと肩を落とした。
苺鈴「……負けた」
エルはにこにこしながら、苺鈴の方へ駆け寄った。
エル「苺鈴、あそぼ!」
苺鈴「え?」
エル「こんど、あそぼ!」
苺鈴は少し目を丸くした。
そして、息を吐くように笑った。
苺鈴「……それだけ?」
エル「うん!」
苺鈴「そっか。まあ、いいわよ。優勝者だしね」
なのは「平和なお願いですね」
ことは「いいなぁ、エル」
ここね「エルなら仕方ない」
ブリジット「ええ。あの笑顔で言われては、敗者は引き下がるしかありません、はい~」
知世「では、優勝者エルちゃんを中心に記念撮影をいたしましょう」
苺鈴「その前に、知世。次からは勝手に私を景品にしないこと」
知世「はい、苺鈴ちゃん」
苺鈴「本当に分かってる?」
知世「もちろんですわ。次回は事前に相談いたします」
苺鈴「次回がある前提なの!?」
### 後日・ソラ達のシェアハウス
数日後。
ソラ達が暮らすシェアハウスに、苺鈴の姿があった。
エル「えるぅ!」
今のエルは、いつもの赤ちゃんの姿である。
小さな手を伸ばし、苺鈴の方へ一生懸命歩いていく。
苺鈴「はいはい、こっちよ」
苺鈴はしゃがみ込み、両手を広げた。
エルがよちよちと近づき、最後は苺鈴の胸に飛び込む。
苺鈴「よしよし。ゲームの時はあんなに強かったのに、今はすっかり赤ちゃんね」
エル「える!」
エルは得意そうに声を上げた。
ソラ「エルちゃん、とても嬉しそうです」
ましろ「苺鈴ちゃんも優しい顔してる」
ツバサ「優勝者の権利を、こういう形で使うとは思いませんでした」
あげは「いやー、これはこれで最高の景品じゃない?」
ゆい「うん! すごくデリシャスマイルだよ!」
その少し後ろには、ブリジット、なのは、ことは、ここねの四人もいた。
四人とも、悔しさが完全に消えたわけではない。
だが、苺鈴に抱きついて笑うエルと、少し照れながらも優しく受け止める苺鈴の姿を見ていると、誰も文句を言えなかった。
なのは「……あの笑顔には勝てませんね」
ことは「うん。エル、すごく嬉しそう」
ここね「悔しいけど、納得するしかない」
ブリジット「ええ。あの笑顔を見せられては、私のブリジットルートも一時休止です、はい」
苺鈴「聞こえてるわよ」
ブリジット「失礼しました、はい~」
ことは「でも、苺鈴。今度はわたしとも遊んでね」
なのは「わたしも、普通に誘います」
ここね「私も」
ブリジット「私も当然、通常ルートから再挑戦いたします、です、はい」
苺鈴「一人ずつにして。あと、通常ルートって言い方をやめなさい」
エル「えるぅ?」
苺鈴はエルを抱き上げる。
苺鈴「……まったく。ゲーム大会ひとつで、どうしてこんなに大騒ぎになるのよ」
ソラ「それだけ、苺鈴さんが皆さんに好かれているということです!」
苺鈴「そういう真正面なこと言われると、反応に困るのよ」
ゆい「でも、楽しかったね!」
ましろ「うん。またみんなで遊べたらいいね」
苺鈴「次は私を景品にしないならね」
知世のいないシェアハウスで、誰もが一瞬だけ黙った。
あげは「あー……それ、知世ちゃんが聞いたら、また別の企画考えそう」
ツバサ「可能性は高いですね」
苺鈴「やめて。本当にやめて」
エルはそんな大人達の事情など分からないまま、苺鈴の腕の中で楽しそうに笑っていた。
その笑顔を見て、苺鈴も小さく笑う。
苺鈴「まあ……今日だけは、優勝者のわがままを聞いてあげるわ」
エル「える!」
その日、シェアハウスには、戦いの後の穏やかな時間が流れていた。
大乱闘の勝者はエル。
苺鈴争奪戦は、一応これで終わり。
ただし、ブリジット、なのは、ことは、ここねの四人が本当に諦めたかどうかは――
また別の読み切りの章で語られるかもしれない。
おわり
今回は、細かい箇所の修正は一切無しのお話なので、特定のキャラの名前の呼び方や語尾等が原作と違う箇所が多々ありますが、今回は気にしない方向でお願いします。