この役立たずと、誰かが言った。
あなたって本当、どんくさいわねと、誰かが言った。
昔からそうだった。
何をするにせよ、一番最後までかかってもまともなものが出来やしない。
お前がいると、物事が進まない。そう言われたことは、十や二十じゃ足りないだろう。足の指まで足しても数えきれないとは、いやはや自分はまさに劣等生なのだろう。
お前なんか居ても居なくてもおんなじ。
こう言ってくる人は実は優しい人で、お前なんか居ない方が良い。とか、死んじまえと罵られたことだってザラにある。
世の中に上手く合わせるようなことも出来ず。
周りを見渡せば、自分は既に年下にすら置いていかれていて。
それでみっともなく足掻き続けてきた。
生まれたからには生きてやる。
そんな自分はきっと、たいそうなロクデナシなんだろう。
誰かのサイズに合わせて生きることはない。僕はもう諦めた。
痛みは始めのうちだけ。慣れてしまえば大丈夫。
そんなことを言って、必死に世の中と上手く付き合おうと頑張っていたあの人は、きっとヒットラーにも成れただろう。僕には彼の、今にも死にそうな、崩れそうな笑みがこびりついて離れない。
劣等生で十分じゃないか。はみ出し者でいいじゃないか。
役立たず上等。ロクデナシ上等。
きっとこの星は、僕みたいなロクデナシのためにすらもぐるぐると回っていて。
僕みたいなロクデナシは、必死に自分を殺そうと頑張っている人たちのために、世界に蹴りを入れてやればいいのだ。
僕みたいなロクデナシは、笑顔で泣くような人たちがありのままでいられるように、世界を変えてやればいいんだ。
もちろん僕みたいなロクデナシが変えられる世界なんて、とっても小さなものだろう。
やり方が正しくないかもしれないし、正常ですらもないのかもしれない。
それでもきっと、自分を変えたり殺したりする必要のない世界の方が、今の世界よりも素敵だと。
そう思って、僕はまた今日も、いたいけな人々をロクデナシへと誘うんだ。
駅のホームから飛び降り自殺をしようとしていた女子高生も。
自殺の名所らしい川の橋で、ぼーっと表情の抜けたような顔で川を見つめていたシングルマザーの人も。
富士の樹海に来た人を、毎日歓迎して酒を飲ませているやっさんだって。
みんなみんな、きっと異端視される人になってしまった。きっとそれは、ロクデナシ。
でも僕らロクデナシは、自分がありのままの自分で、命懸けで毎日を生きている。
懸命に生きているからこそ、楽しそうに笑うんだ。
ほら、劣等生で十分だ。