ブルーハーツ短編集   作:逸般ピーポー

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…ねばいいのに。


皆殺しのメロディ

ああ、死ねばいいのに。

鬱陶しい。殺意が湧く。

本当に嫌い。黙れ。

死ね。

 

 

そういう悪感情を抱く相手と言う奴は、どこに行っても居るもので。

面と向かって

「このバカが」「クソが」「このクズ」「死に腐れ」

…なんて、強く言えれば良いものの。

 

実際に、私たちは周りの人間関係を考えると、そんなことが出来なかったりする。

 

いつも否定する奴。

文句ばかり言う奴。

批判しかしない奴。

そもそも何も言わない奴。

そのくせ後からぶちぶち言う奴。

陰口ばかり言う奴。

嘘ばかり吐く奴。

罵倒ばかりする奴。

人の話を聞かない奴。

人の話を遮る奴。

そのくせ自分の話を遮られると不機嫌になる奴。

いつも機嫌の悪い奴。

自分から何もしようとしない奴。

 

てめーだよ、○○。ぶち殺すぞカス。

 

 

 

ポケットの中に、わずかばかりの石(狂気)を入れて。

胸の中には、ほんの少しだけの殺意と憎悪。

ああ、憎らしい。

 

そう思うのに殺さないのは、確実に殺すことが出来ないかもしれない、と。そう思う故なのか。

はたまた別の、誰にもバレないで殺すことが出来るとは限らない故か。

それとも何か、今の生活をそんなクズ一人のために崩すのがアホらしいからか。

 

もしくは…。

そう、それ以外の何かだったのか。

 

 

今となっては、もう知る由もない。

 

ただひとつだけ、確かなことは。

ナイフを片手に、片っ端から皆殺しにしたことだけだ。

 

 

そう、僕は気がつけば。

切り裂きジャックになっていた(人を楽しく殺してた)。

ああ、切り裂きジャックが呼んでいる。

 

ほら、人ってものはこうも簡単に。

淡々と、次々と、皆殺しに出来るんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビの音が聴こえる。バカバカしくて吹き出した。

ラジオの声が聞こえる。嘲笑(わら)った。

新聞紙が風に舞う。憐れなものだとニヤついた。

気になっていた彼女が見えた。死んだ女がご苦労なことだと虚仮にした。

 

 

 

僕は街の真ん中に。

ナイフを持って、立っている。

 

テレビからは、つい先日の殺人事件。

通り魔的に殺されて、犯人は未だ捕まらず。

 

ははっ、まるで切り裂きジャック。

ほら、どうしたスコットランドヤード。

ロンドン自慢の警察よ。

 

 

僕はここに立っているぞ。

僕はここだ、ここに居る。

 

無能な犬よ、バカ達よ。

 

世界の夜の、真っ暗な闇に悲鳴をあげたたった一人の男すら、捕らえることが、出来ないか。

両手を血に染め、高らかに笑う、ただ一匹の狼は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1982年、7月。

28人の男女を殺し、『凶悪殺人犯』とされた少年は。

断頭台で、大きな声で笑って死んだ。

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