ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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スーナ、弟を慰める・界王神は驚く。

 

 

 

子供の部で優勝したトランクスとサタンのエキシビジョンマッチは知恵を絞ったミスターサタンがアトラクションと称してトランクスを騙す事で決着が付いた。

ミスターサタンはトランクスに『試合開始と同時に軽く殴る挨拶をしなければならない』と嘘を教え込んだ。素直にミスターサタンの嘘を信じたトランクスは試合が開始されると顔を差し出したミスターサタンの頬に軽くパンチをした。本来ならば、これでミスターサタンがわざと負けて試合終了にするつもりだった。しかし、ミスターサタンはサイヤ人の『軽く』を文字通り軽く見ていた。

トランクス的には『軽く』ミスターサタン的には『重い』一撃でミスターサタンは舞台から落とされ、場外負けが確定した。

ミスターサタンは痛がる素振りを微塵も見せずに「あ痛たたたたー。強いなボク。オジさんの負けだよー」と芝居を始めていた。観客達もミスターサタンがわざと負けたのだと大歓声が湧き上がっていた。それらを見ていたスーナはクスクスと笑みを溢していた。

 

 

「相変わらず逃げるのがお得意ですね……でもトランクスの一撃で気を失わないだけでも大したものですが」

 

 

そう言えばナマモノの一撃にも耐えてましたね、とスーナはセルゲームの時の事を思い出していた。

少年の部の試合が終わった後は休憩を挟んで大人の部の開始となる。

 

悟空達は休憩の間に食事をする事になり、皆で待合室に行く事となった。スーナは後で行きます、と悟空達に告げてから悟天とトランクスの下へと行っていた。

 

 

「素晴らしい戦いでしたよ。トランクス、悟天」

「へへっ……そうだろ!」

「ボク……負けちゃった」

 

 

トランクスは自慢気にしており、対象的に悟天は悔しそうにしていた。スーナは悟天の前で膝を着いて、視線を合わせる。

 

 

「負けてはしまいましたが……これは生きるか死ぬかの戦いではなく互いを高め合う試合だったんですよ。負けてしまったのであれば次は勝てる様に努力なさい。悟空さんもベジータ王子も昔は生死をかけた戦いをしていましたが今は互いを高め合う戦いをしているんですから」

「……うん」

 

 

諭す様なスーナの口調に悟天も渋々ながら頷いた。そしてスーナは悟天を優しく抱き上げた。

 

 

「あ、お姉ちゃ……」

「悟天……貴方はまだまだ鍛える面が沢山あります。悟空さんや悟飯と共に鍛錬を積みなさい。貴方なら出来ますよ」

「ちぇー……悟天はいいよなぁ」

 

 

抱き上げられた事に戸惑った悟天だがスーナが優しくポンポンと背を叩くと、その優しさに甘え始める。それを見ていたトランクスは唇を尖らせて羨ましそうに呟いた。

 

 

「トランクスも、赤ん坊の頃よりも大きくなりましたね。私は貴方のオムツを変えた事もあるんですよ」

「わ、ちょっ……子供扱いすんなよ!」

「あーっ!お姉ちゃん、ボクも!」

 

 

スーナは悟天を下ろすと同じようにトランクスを抱き上げた。悟天よりも歳上で、ませているトランクスは恥ずかしそうに拒もうとしたがスーナの温かみにすぐに抵抗を止めてしまった。そんなスーナとトランクスを見た悟天は顔を膨れさせながらスーナに抱っこをせがんだ。スーナは「あらあら」と困った顔をしながらも悟天とトランクスに抱き付かれてる事に嫌がる事もなく受け入れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をしてるんですか、ギニューさん」

「ふ、愚問だな。我が娘と甥達の素晴らしいメモリアルの撮影だ!」

 

 

ギニューは何処から用意したのかビデオカメラでスーナと悟天とトランクスのやりとりを物陰から撮影していた。通りすがりの悟飯とビーデルは若干引き気味にギニューを見ていた。

 

 

この後、悟飯、ビーデル、ギニューと合流したスーナは悟空達が待つ控室へと向かった。悟天とトランクスには後でまた話しましょうね、と告げて笑顔を見せた。悟天もトランクスも笑顔で手を振って見送ったが、スーナの姿が見えなくなってから「ボクのお姉ちゃんなんだよ!」「俺の方が先に面倒見てもらったんだぞ!」と言い争っていた。スーナの知らぬ所で姉争奪戦が勃発していたりする。

 

スーナ達は待合室で食事をしていた悟空達に合流する。悟空は既にリスみたいに頬が膨らむ程の食事を食べており、ベジータも同様に凄まじい食事を食べていた。クリリンや18号は食後のコーヒーを飲んでいたが悟空、ベジータはまだまだ食べるつもりの様だし、更に悟飯も加わって大量の料理が運ばれてきた。

 

 

「相変わらずですね、皆さん。気持ちの良い食べっぷりですね。私も作りたくなってきました」

「なんで悟空達はこんなに食べるのに桃香は食べないんだ?同じサイヤ人なのに違いがあるなんて驚きだぞ」

 

 

気持ちの良い食べっぷりにスーナはかつて孫家で大量の料理を作っていた時の事を思い出して、料理を作りたくなってウズウズしていた。クリリンは無限の胃袋を持つサイヤ人に疑問を持っていた。

 

 

「サイヤ人の男女の違いもありますが……戦闘民族サイヤ人の中でも戦闘要員とそうでない者の差もあります。私も今でこそ戦う力を得ましたが元々は戦闘員向きの体質では無かったので」

「女のサイヤ人は男程、食事を必要とはせんのだ。フリーザ様の下に居た頃からスーナの戦闘力の潜在能力は低いと判断されていたから戦闘要員ではない。尤も孫悟空の事もあったから今は潜在能力を測る事も見直しかもしれんがな」

 

 

潜在能力的な事を言えば悟空よりもベジータの方が遥かに高い。だが、悟空は修行の結果、ベジータどころかフリーザ、セルを上回る力を得た。落ちこぼれが必死に努力してエリートを上回る。潜在能力だけが全てでは無い事を証明して見せたのだ。尤も悟空本人にその自覚はないのだが。

クリリンが「そんなもんか」と口にすると黙って会話を聞いていたビーデルが「アナタ達……なんの話をしているの?」と疑惑の視線を皆に向けていた。その視線にピッコロは「迂闊に話をし過ぎだ馬鹿共」と言った表情をしていた。

 

 

「そうですね……孫家にはある秘密があるんです。その事は悟飯から聞いてくださいね」

「え、ちょっ……姉さん!?」

「へー……悟飯君。私に隠してる事があるんだ……」

 

 

スーナのウインクがビーデルに向けられる。ビーデルは孫家に行く様になってからカルチャーショックを受ける事が度々あった。もう大抵の事は知ってると思っていたのだが、まだ隠している事があるのかとビーデルの眉がピクリと上がる。話を丸投げされた悟飯は焦るばかりだ。

食事を終えた悟空達は待合室を後にするのだが悟飯はビーデルに詰め寄られていた。

 

 

「なんで、あんな言い方をしたんだい?あんな言い方をしたら、あのお嬢ちゃんは悟飯に絡むのは目に見えてんだろ?」

「ビーデルさんと悟飯の間にはまだ少々溝がある様に見えますので、ちょっとしたお節介ですね。悟飯もこれから学校に通うのなら秘密を共有する人間も必要になります。それと……少々の事では動じない精神を鍛えないと孫家とは付き合えませんよ」

 

 

18号の疑問にスーナは少し考える仕草を見せてから答えた。ビーデルが今後、孫家に関わるのなら精神的に鍛えないと適応出来ないだろうと考えていた。孫家は悟空、悟飯、悟天はサイヤ人であり、ギニュー、ピッコロは完全なる異星人。クリリンや亀仙人等は並みの地球人の壁を超えた強さを持っている。孫家に関わる者はハッキリ言って並ではない。ならば今の内に悟飯が純粋な地球人ではない事を告げた方が互いの為にもなるだろうと考えていたのだ。

 

まだ言い争っている悟飯とビーデルを置いてスーナ達は本戦の抽選を始めていた。クジを引いてトーナメントの配列が決まっていく。

 

 

《第一試合》クリリンVSスポポビッチ

《第二試合》シンVSマジュニア

《第三試合》ビーデルVS孫桃香

《第四試合》グレートサイヤマンVSキビト

《第五試合》18号VSミスターサタン

《第六試合》孫悟空VSベジータ

《第七試合》ギニューVSボージャック

《第八試合》ゴクアVSヤムー

 

 

といった対戦が決まった。悟空達はトーナメント表のシンとキビトと書かれている選手と食事の前に会っていたらしく「オラ達の試合が楽なもんじゃなくなったぞ」「奴は只者ではない」「異星の者が混ざっているとはな……」と言っていた。それを聞いたスーナは「はぁ……」と溜息を零した後、シンとキビトに歩み寄る。

シンは和かに笑みを浮かべていたがキビトはムスッとした表情のままだった。

 

 

「此処で何をしているんですか、界王神様」

 

 

スーナの告げた一言にシンとキビトは顎が外れるんじゃないだろうかと思う程に口が開いていた。

 

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