スーナはフリーザの命令で各部署を回る仕事をしていた。今までフリーザの周辺で事務仕事をしていたスーナだが今は違う星域で事務の仕事をしていた。
「スーナ殿、これで全部になります」
「ありがとうございますソルベさん」
スーナは第3星域で参謀をしているソルベの下で、その星域のフリーザ軍の活動報告や処理された事務仕事のチェックを行っていた。これはフリーザからの指示でもあり、気付いた所があればスーナはそれを訂正する権利も与えられていた。
「これは……この支出はどこから?」
「あ、その支出は惑星ブームを侵略した時に……」
スーナは眼鏡にモニターの映像を大量に映しながら、気になった箇所を傍に控えていた新兵のタゴマに尋ね、聞かれたタゴマは丁寧に説明をしていた。
「よろしいのですかソルベ様。あの様なサイヤ人の小娘になんかに……」
「フリーザ様からのご命令だ。無下には出来んだろう」
それに異をを唱えたのはソルベの側近シャーベだった。シャーベはサイヤ人の子供に好き勝手されている現状に苛立ちを感じてソルベに話すが、ソルベはフリーザやギニューからスーナの事を任されている為にこの状況を見ているだけだったりする。
「しかし……」
「黙れ。スーナ殿は他の星域でも仕事をされて、フリーザ様の信頼も厚いのだ。迂闊な発言で機嫌を損ねると我等の身も危ないのだ」
ソルベはフリーザから事務仕事を全面に任されているスーナの機嫌を損ねる事を恐れていた。
「ふぅ……一先ず休憩にしましょうか」
「凄いですねスーナ様。まさかもう三割ほどの書類をチェックされてしまうとは」
ある程度の書類に目を通したスーナは一先ず休憩にする事にした。スーナは他の星域で事務仕事をする事で今までよりも書類を処理する速度が上がっていた。タゴマはそんなスーナの事務処理能力に驚いていた。
「この星域のフリーザ軍の書類処理が良く出来ているからですよ。今までで二番目に綺麗に処理されてます」
「二番目に……ですか」
「ほほぅ……では一番はどちらですかな?」
スーナの言葉にシャーベは更なる苛立ちを感じた。尊敬するソルベに対して二番目などと上から目線だったからだ。
ソルベは褒められた事とは別に、スーナの言う一番が何処か気になったのだ。
「一番はフリーザ軍本体ですよ。私の事務仕事はザーボンさんから学んだものですし」
「そう言えばそうでしたな」
スーナの言葉にソルベは納得した。ギニュー特戦隊等の困った集団は居るが、フリーザの膝元で事務仕事が滞るのは冗談抜きで命に関わる事だ。そしてその事務仕事はザーボンが多くを担当していて、そのザーボンから仕事を学んだスーナの目は確かなものであり、更にその書類をチェックするのはフリーザなのだ。これで事務仕事が分かってないとすれば余程のアホとなる。
「他の兵士の皆さんの書類も割りと綺麗に纏められています。ソルベさんの部隊は素晴らしいですね」
「はは……フリーザ様直轄のスーナ殿のお墨付きなら私も自信が持てそうですな。本日の書類仕事はこれくらいにして、この第3星域のお話をしましょうか」
掛け値なしの本音のスーナの発言に、ソルベは少しの照れを感じながらスーナとこれからの話をする為に部屋を出ていく。
「サイヤ人の猿ごときがフリーザ様の直轄でソルベ様と同等以上の地位だと……」
シャーベはそんなスーナを面白くなさそうに見詰めていた。
『シャーベ』
ソルベの側近で高い戦闘力を持つエリート兵。ソルベの事を尊敬しており、プライドも高い。
人間の体に山羊のような顔をした宇宙人。
名前の由来はシャーベット。