ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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スーナ、調査中に襲われる

 

 

 

 

惑星調査と侵略に降り立ったスーナ達。ソルベ達はいつも通りの侵略行為を行い、スーナは兵士達の査察と惑星調査を行っていた。

 

 

「良い惑星の様ですね……土壌もしっかりしているから作物の育成にはもってこいです」

「スーナ殿は……侵略行為をどう思っておいでですか?正直、スーナ殿の気質では良く思っていなさそうですが」

 

 

スーナは兵士達の働きぶりをある程度見てから惑星調査を優先していた。そんなスーナにシャーベは思った疑問を投げ掛ける。

 

 

「確かに……侵略にはあまり良い印象は持っていません。ですが私は父に拾われ、フリーザ様の為に生きています。その為になら私はなんでもします。それにフリーザ軍の存在は宇宙の脅威となっていますが、逆にそれは他の者達への抑止力となり、結果としては平和の均衡へと繋がると思っています」

「……なるほど」

 

 

シャーベの問いに答えるスーナ。その背中は僅かな

哀愁が漂っていた。

 

 

「私はその為に視察にも来ました……そして私がフリーザ様に人事を任された時には……いえ、まだ早いですね」

「スーナ殿はサイヤ人らしからぬ考え方ですな。サイヤ人は戦闘民族で乱暴な輩が多いと言うに……」

 

 

苦笑いをしながら話すスーナに、シャーベはスーナのサイヤ人らしくない発言を聞いた後にスッと右手を上げた。

 

 

「私がサイヤ人らしくないのは重々承知してますよ。さて、そろそろソルベさん達と合流しましょうか」

「そうですな……」

 

 

土壌の調査を終えたスーナが立ち上がり、シャーベに振り返った。その時だった。

 

 

「死ねぇ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

突如、背後からスーナの背に向けてエネルギー波が撃ち込まれた。その痛みに苦しみながらもエネルギー波の放たれた方角を見るとそこには、この惑星の住人らしき宇宙人が6人が戦闘態勢で佇んでいた。

 

 

「……スーナ殿、下がっていてください」

「シャーベさん、お願いしま……あうっ!?」

 

 

スーナの側に控えていたシャーベがスーナを守るように前に出たが、その直後スーナは再びエネルギー波の直撃を食らって気を失った。その衝撃で掛けていた眼鏡が外れ、着ていたスーツはボロボロになり、スーナの白い肌が所々から見えていた。

 

 

「お前らご苦労だったな」

「へへっ……旦那の希望通りですか?」

 

 

スーナにエネルギー波を放った一団はスーナが気絶した事を確認すると、シャーベに媚を売るように歩み寄る。

 

 

「ああ……これで目障りな小娘を始末できる。良くやってくれた」

「ありがとうございます旦那。これで俺達をフリーザ軍に入れてもらえるんですね?」

 

 

シャーベはスーナの掛けていた眼鏡を踏み割るとニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

「ああ……俺が口利きをしてやるさ。スーナは惑星の調査中に現地の荒くれ者に襲われ殺された。それを助けようとした、俺やお前等の様な正義感溢れた現地の者が荒くれ者を退治した……ってな」

「完璧ですな。へへっ……働かせてもらいますぜ」

 

 

この惑星に早めに来たシャーベは、タイミングを測ってスーナを襲うようにと現地の荒くれ者に話を持ちかけていた。報酬は身の安全とフリーザ軍への口利き入隊である。

 

 

「旦那……まだ殺さないんですかい?」

「死体が残らないと困るんでな。そうだ……お前等、楽しむか?」

 

 

荒くれ者の言葉に何かを思い付いたシャーベは、スーナのスーツの胸元に手を掛けるとビリビリと破いた。破かれたスーツからは未だ未成熟だが女性特有の物となった膨らみが見えていた。それを見た荒くれ者達は声を上げる。

 

 

「好きにしろ。だが時間はあまり無いからな」

「へへっ……ありがてぇ!」

「楽しませてもらいますぜ!」

 

 

シャーベは荒くれ者達の方にスーナを投げ飛ばす。投げ飛ばされたスーナは気絶したままだった為に受け身もとれず投げ出された。そして荒くれ者達が息を飲む。

破かれたスーツからは胸元が見え、履いていたスカートからは白い下着が見えていたからだ。

 

 

「くくっ……戦闘民族もこうなりゃ可愛いもんだ」

 

 

気絶しているスーナに群がり、荒くれ者達に今まさに乱暴されようとしている光景にシャーベは本当に楽しそうに笑みを浮かべた。その時だった。

 

 

「確かに可愛い面だ。テメエ等にくれてやるのが勿体ないくらいにな」

「な、なんだテメ……ぶぎゃ!?」

 

 

それは突如、現れた男によって遮られ荒くれ者の一人は殴り飛ばされ近くの岩山に叩き付けられた。

 

 

「き、貴様っ!」

「汚れた手で……ソイツに触るな!」

 

 

男は叫ぶと同時にエネルギー波を放ち、スーナに群がっていた荒くれ者は全員がエネルギー波に吹き飛ばされ、その姿はこの世から消え去った。

 

 

「な、何者だ貴様!」

「何者でもない。ただ、この娘に興味がある……ってだけさ」

 

 

突然の事態に焦るシャーベに男は笑みを浮かべた。

 

 

「チィ……スーナから離れろ!ソイツはここで始末しなきゃならんのだ!」

「丁重にお断りするぜ」

 

 

シャーベは手の中にエネルギー波を溜めて男を威嚇するが、男はニヤリと笑みを浮かべて断った。怒りを覚えたシャーベは男にエネルギー波を放つが、男はそれに合わせる様にエネルギー波を放つ。かち合ったエネルギー波はシャーベの物が負け、押し返されたエネルギー波はシャーベを飲み込み、彼の体をこの世から消し去った。

 

 

シャーベは気づかなかった。目の前の男は自分よりも遥かに強い存在だった事に。その肌は浅黒く、その腰に巻かれているのはベルトではなく茶色の尻尾だった事を。


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