浅黒い肌に尻尾のある男、ターレスは倒れているスーナを抱き起こす。
「戦闘力は低いが純粋なサイヤ人の生き残りだ。丁重にしなきゃな」
ターレスはスーナを横抱きに抱くと、その顔を見つめた。
「……可愛いもんだな」
「ターレス様」
ボソリと呟いたターレスの背後から声が掛かる。ターレスが振り返ると長髪を後ろで束ねた大男が立っていた。
「アモンドか……どうした?」
「もう少しでフリーザ軍がこの惑星を制圧してしまいそうですぜ」
ターレスの副官であるアモンドから告げられた言葉はもう時間が無いと言う事だった。
「その娘は連れていくんですかい?」
「いや、コイツを連れていけばフリーザやギニューの反感を買う。今は置いていくさ」
アモンドの問いにターレスは残念そうな声を出す。
「では直ぐに離れた方が良いでしょう。ソヤツ等を始末した事でスカウターに感知されたでしょうから」
「ふっ……まあ、そう慌てるな」
アモンドは早くこの惑星を離れるべきだと告げるが、ターレスは落ち着いた様子で懐からある物を取り出した。
「ターレス様、それは最後の神精樹の実では?」
「惜しいとは思わないさ。コイツは僅かに生き残ったサイヤ人なんだ」
ターレスはそのまま神精樹の実を噛ると、その噛り取った実の一部をスーナの口に押し込んだ。そしてそのままスーナの顔を上に向けて実を喉に通す。スーナが神精樹の実を飲み込んだ事を確認したターレスは満足気に笑みを浮かべた。
「じぁあな……今度はお前が起きてる時に会いたいもんだ」
ターレスは岩場にスーナを寝かせるとアモンドと共にその場を離れた。
それと入れ替わるようにソルベ達がスーナの倒れている場所へと現れる。その惨状に誰もが驚愕した。
「こ、これは!?」
「な、何があったんだ!?」
ソルベやタゴマは砕かれた岩や地面に目を奪われ、兵士達も何があったのかと慌てるばかりだ。
「スーナ!スーナァァァァァァァァッ!!」
「ギ、ギニュー隊長!あまり揺らしてはスーナ様が苦しいのでは!?」
更に途中で合流したギニューは近くの岩場で寝かされていたスーナに素早く駆け寄り、ガクガクと体を揺らす。それを見たアプールは慌ててギニューの行動を止めようと必死になっていた。
◆◇◆◇
「ターレス様……いずれはスーナを仲間に迎え入れるんですかい?」
「ああ、そのつもりだが……あの娘を俺の花嫁に迎えるのも良いかもな」
ターレスは先程の惑星から離れた宙域でアモンドの問いに笑みを浮かべながら答えた。
「本気ですかい?」
「……さぁな」
アモンドはターレスの態度から本気かどうかが計れなかった。だがターレスは悪戯な笑みを浮かべるだけだった。