ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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スーナ、帰還しフリーザに報告する。

スーナはフリーザ軍の本隊へと戻ってから頭を悩ましていた。

スーナが本隊から他の星域へと行っていた期間は約半年ほど。そう……たった半年ほどなのだ。

 

 

「なんで……こんな事になってるの?」

 

 

スーナの目の前には山と積まれている未処理の書類の束。その大半が、今までスーナが面倒を見ていたギニュー特戦隊やベジータやナッパの様な実働部隊の者達の書類。手付かずのままスーナのデスクに放置されていた。

 

 

「驚いた様ですねスーナ」

「フリーザ様!」

 

 

呆然としていたスーナだが、背後から声を掛けられてハッとなる。声からフリーザだと即座に気づいたスーナはサッと頭を下げた。

 

 

「貴女が第三星域で倒れたと聞いて心配しましたよ」

「私の実力の不徳が致すところです」

 

 

フリーザはニコニコと笑みを浮かべながらスーナが心配だったと言う。対するスーナはフリーザの言葉を信じた訳ではないが、自身の実力不足を自覚していたので素直に頭を下げた。

 

 

「いいんですよ。これから私の為に働きなさい」

「はい。精一杯働かせてもらいます」

 

 

フリーザはスーナの下げた頭を撫でた。その手つきはフリーザとは思えない程に優しいものだった。

 

 

「さて……その書類の束ですが貴女が他の星域に行ってから業務が滞ってましてね。私が行っても良かったんですが、これから貴女に人事を任せるのですから慣れておいた方が良いでしょう」

「それで放置してたんですね……」

 

 

スーナの今後の為にわざと未処理の書類を溜めるという恐ろしい事をするフリーザに、スーナは恐怖を覚えたと同時に、フリーザに未処理の書類を溜め込むという行為をしたギニュー特戦隊やベジータ達にも違った意味での脅威を感じていた。

 

 

「まあ、その書類の束は後でも良いですよ。今は貴女の身に起きた事を聞きたいのでね」

「あ、はい!」

 

 

フリーザに促されてスーナは第三星域での出来事を話した。

ソルベの軍に一時身を任せた際に侵略する惑星に降り立った事。その最中で護衛のシャーベと行動をしていたが

現地の住人に襲われた事。その時に住人に攻撃され、気を失ってしまい一時意識不明になった事。気がついた時には父であるギニューに連れられてソルベの宇宙船に乗せられていた。そして何故か戦闘力が異常増大した事の不思議も全てを話した。

 

 

「ふむ……聞けば不思議なものですね。戦闘力の増大は恐らくサイヤ人特有のものでしょうが、いきなり四倍近い増大は初めて聞きました」

「私も不思議です。私は戦闘の才能は無いと思っていたので」

 

 

フリーザは顎に指を這わせて考える素振りを見せ、スーナは自身に起こった事を未だに信じられない様子だった。

 

 

「まあ、その辺りは追々調べていきましょう。私にはね……貴女が無事に帰ってきた事の方が重要なのですよ」

「あ……フリーザ様……」

 

 

フリーザは指でクイッとスーナの顎に手を添えてスーナの顔を上げさせた。スーナは突然の事態に驚くばかりだ。

 

 

「ふふ……他の皆さんへの挨拶もまだなのでしょう?まずは行ってきなさい」

「は、はい。失礼しますフリーザ様」

 

 

スッとスーナから手を離すフリーザにスーナは少し名残惜しそうな顔になるが、フリーザの命令に従う事にした。スーナはフリーザに頭を下げると退室する。

 

 

 

「ふむ……やはりベジータと違ってスーナはギニューさんとの事もあり私への忠誠心は高いようですね。貴女は私の物ですよスーナ」

 

 

フリーザは、スーナが退室した後に宇宙船の窓から星々を見ながら呟いた。

 


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