ギニューに拾われてからのスーナはフリーザ軍に様々な影響を与えた。
まず滅んだ筈のサイヤ人に生き残りが居たとナッパ、ラディッツは喜び、ベジータは興味無さそうにしていたが一応、スーナの事を見に来ていた。
しかし、サイヤ人とは言ってもまだ赤ん坊である為に戦闘などは到底無理だ。まずは子育てとフリーザ軍の数少ない女兵士にスーナを任せる事にした。
それから数年間、ギニューは仕事が終わるとスーナに会いに来ていた。フリーザへの報告が終わるとギニューは足早にスーナを預けた兵士の居る惑星へと赴き、顔を見せる。
この事にはフリーザも呆れた様子だったがその分、真面目に働くギニューを見て不満はなさそうだった。
そして、それから五年の月日が流れスーナが五歳になる頃、ギニューは本格的にスーナを鍛え始める為に他の惑星に攻め入る際にスーナを連れて行くようになった。
普段はフリーザ軍の施設でトレーニングを施されていたスーナ。『実践を学ばねば意味がない』とギニューがスーナを連れて行く事を決めたのだが……
「危ないぞスーナ!」
「あ、ありがとうございます」
スーナに迫った敵を蹴り飛ばすバータ。
「なんのなんの、お兄さん達に任せなさいってーの!」
「頼りになります」
スーナの頭を乱暴に撫でるリクーム。
「あ、ズルいぞリクーム!よーし、俺のクラッシャーボールを見せてやる!」
「勉強になります」
スーナに技を見せつけるジース。
「スーナ!うろちょろ動くと俺がスカートの中を覗くぞ!」
「見ないでよグルド」
スーナのスカートの中を見ようとして四つある目玉をギョロギョロと動かすグルド。スーナはサッとスカートの裾を手で押さえる。
「貴様等、スーナを鍛える為に連れてきてるのに構いすぎてはそれでは意味が無いだろう!グルド、死にたくなかったらスーナのスカートを覗き見るのは止めろ!」
そんなバータ、リクーム、ジース、グルドにギニューの怒号が飛んできた。
スーナの教育と実践を学ばせる為にわざわざ連れてきたのに他の特戦隊のメンバーが構いまくっている為にスーナの実践教育にはなっていなかった。
それと言うのも意外な事にリクームは子供好きでスーナと遊ぶ姿が良く見られ、バータは背が高い事と速さを誉められて気を良くし、ジースは他の二人に構うスーナを見て羨ましくなり技を披露する事が多くなった。
唯一、グルドはスーナと仲が良い訳ではない。
実はスーナとグルドが初めて会った際にグルドが余計な事をした為に因縁が生まれたのだ。
「俺は戦闘力は低いが超能力を使う……お前が俺を下に見るなら超能力で金縛りにしてからパンツを脱がせちまうぞ!」
グルドはベジータと仲が悪い。ベジータばかりフリーザに重宝されているのが気に食わないグルドはスーナをベジータの様にはさせまいと超能力の自慢と同時に己の力を見せ付けて脅そうとしたのだ。しかしチョイスした言葉が悪かった。
「そんな事をしたら俺が貴様を殺すぞグルド」
「は、はい……申し訳あり……ません……でした……」
グルドの発言を聞いたギニューは即座にグルドを殴り飛ばして壁に叩き付ける。壁に叩きつけられたグルドに追い討ちをかける様にミルキーキャノンをチャージした状態でグルドに凄みを効かせたギニュー。
それら一連の流れを見た部下はこう語る。『ギニュー隊長がフリーザ様以外の事であそこまで怒ったのは初めて見た』と。
そんな事もあり、グルドはスーナに突っ掛かる事が多く、スーナはグルドの態度を少々嫌がっていた。しかし険悪な訳ではないのでベジータみたいに殺し会う仲ではない。
そして当のギニューはスーナの事を溺愛していた。ハッキリと言えば親バカでギニューの中での優先順位はフリーザの次にスーナが来る程で、今回の件も実はギニューは自身がスーナを守ろうと思っていたのだが隊員達が思った以上にスーナを可愛がるのでギニューは面白くないのである。そしてこの日々はスーナが成人しても続くのだが今のギニューにそれを知る術はない。
「お父さん。私は大丈夫だから」
「おお……そうか」
そんなギニューを見てスーナは気を使ってギニューに寄り添うようになる。これもギニュー親子の日常となる。
「よぅし!ならばスーナもスペシャルファイティングポーズを!」
「それは嫌」
「何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ギニューの思いとは裏腹にスーナはスペシャルファイティングポーズがあまり好きではなかった。普段の父親としてのギニューは好きだがスペシャルファイティングポーズを取る時などのテンションにスーナは付いて行けず、寧ろギニューとは逆の冷めた性格になっていく事となる。
因みにこの後だがギニュー特戦隊はスーナにスケジュールの管理や報告書を任せきりになる為にスーナに頭が上がらないようになってしまうのだが……それはまた別のお話。
スーナのギニュー特戦隊の呼び方
ギニュー→お父さん
リクーム→リクームさん
バータ→バータさん
ジース→ジースさん
グルド→グルド