惑星ブロッサムを制圧していくフリーザ軍。この惑星に駐留していた銀河パトロールもアッサリと倒して、後は星全体の常態や土壌調査を済ませれば終わり……という所まできていたのだが……
突如、フリーザ軍と同型の宇宙船が惑星ブロッサムに降り立ったのだ。中から四人の宇宙人が出てきた。そしてフリーザの前に立つと中の一人が一歩前に出た。後ろの三人はフリーザを前に膝を突く。
「久しぶりだな、フリーザ」
「お久しぶりですね、兄さん」
二人から発せられた発言はスーナを大いに驚かせた。ザーボンからフリーザの父兄の話は聞いていたが、まさかこんな所で会うとは思わなかったからだ。
「あ、あの方がクウラ様なんですか?」
「はい、フリーザ様のお兄様のクウラ様です」
側近のザーボン、ドドリア。特戦隊等の幹部がフリーザの側に控えていた為、スーナは兵士達と共にフリーザ達から離れた位置でボソボソと事実確認をしていた。
「惑星ブロッサムを制圧するとはな。この惑星の価値は貴様も知っていた訳か」
「ええ、兄さんも知っての通り惑星ブロッサムは美しい惑星ですからね。僕にピッタリなんですよ」
バチバチと睨み合うクウラとフリーザ。表面的には笑ってはいるが目は笑っていなかった。
「美しい惑星が貴様にピッタリとはな。自分は軟弱と言いたいのか?」
「兄さんこそ……ただ戦いだけの為だなんてサイヤ人みたいじゃないですか」
「然り気無い会話の中に鋭いトゲがありますね」
「あの会話を然り気無いと言えるスーナ様もよっぽどですよ」
フリーザとクウラの会話の裏でスーナは兵士達と話をしていた。会話の中から兵士はスーナも大物になってきていると冷や汗を流した。
「サイヤ人か……そう言えば貴様はサイヤ人を数匹、飼っていたか」
「彼等も仕事が出来るのでね。中でもフリーザ軍の人事を任せているスーナは優秀でしてね。スーナ、此方に来て、兄さんに挨拶なさい」
「は、はい!」
クウラの発言にフリーザはスーナを呼び寄せた。対して呼ばれたスーナはビクンと体を震わせた。
スーナは離れた位置に居たのでフリーザとクウラの下へと走った。
「スーナ……そもそも、貴女はフリーザ軍の幹部なんですから、こういう時は私の側にいなさい」
「は、はい……申し訳ありません」
フリーザはニコニコと笑みを浮かべながらスーナの肩に手を置くがスーナは冷や汗を流していた。
フリーザとクウラ。二人の宇宙最強一族に挟まれたスーナは恐縮していた。
「ほう……サイヤ人の様な猿ごときに人事を任せるとはフリーザ軍は人手不足か?」
「……あぅ」
クウラの言葉に萎縮するスーナ。しかし、フリーザがスーナの隣に立つ。
「兄さん、スーナは優秀ですよ。確かに戦闘力は低いですが他が優れてますから。彼女は我が軍に必要な存在です」
「フ、フリーザ様……」
スーナはフリーザが自身を庇ってくれた事に感動していた。
「ふふふ……フリーザ軍も質が落ちたな。やはりクウラ様の軍が……ギニュー?」
「まさか……フリーザ様にそこまで言っていただけるとは……このギニュー感激の極み!」
フリーザ軍の事を笑おうとしたのはクウラ軍のクウラ機甲戦隊のサウザーだった。しかし、話し掛けられたギニューはフリーザのスーナに対する期待の高さに涙を流して崩れ落ちていた。