ギニュー達がスーナが眠る医務室に入ってくる少し前。
クウラはベッドで眠るスーナとスーナが落としたファイルを眺めていた。その中にはフリーザ軍の強化プランと運営方法。各部署の配置と予算の配分等が草案として書かれていた。
その内容は少数精鋭のクウラ軍とは違い、複雑な物となっていた。兵士が増えるという事はやらねばならない事が増えるという事であり、その運営を目の前で眠る少女が行っているかと思うと、クウラは何とも言えない気持ちになっていた。
フリーザ軍とクウラ軍で合同で行われる予定の花見で、場を取り仕切っていたスーナが指示を出している途中で倒れてしまうのをクウラは偶々目撃してしまう。その際に慌てていた兵士達だったが、クウラはスーナが手にしていたファイルを少し気になって目を通す。その内容は先程述べた通りの内容が目次になっており、恐らくフリーザに提出する予定なのだろうが、それはクウラの気を引くには十分な内容だった。
クウラは兵士達にスーナをクウラ軍の宇宙船の医務室に運ぶように指示を出すとファイルを眺めながら、スーナの価値を見出だしていた。
ただ星を制圧するのではなく、生体や管理をするプランは今までのフリーザやクウラには無い特殊な内容だった。中には現地の住人を説得し、他の星へと送り込んで労働力の確保と他の惑星を手に入れる等のプランも書いてあり、回りくどいが普通に制圧するよりも星が傷付かないやり方は画期的だった。
「サイヤ人らしからぬ奴だ」
サイヤ人は戦闘民族の名の通り、戦う事に特化した種族。そのサイヤ人が此処まで頭を使ったプランを練っている事はクウラの興味を引いていた。
「あの赤子のサイヤ人以外にも生き残りがいたか……ククク。フリーザの甘さが意外な人材の発掘を見出だしたか」
クウラは過去にフリーザが見落としたサイヤ人の赤子の事を思い出していた。フリーザが惑星ベジータを破壊した際に丸型宇宙船で地球という辺境の星に飛ばされているのを見ていた。しかし、フリーザの尻拭いをする気がなかったクウラはそれを放置した。自分で撒いた種は自分で刈らせる。それはクウラ成りに弟を思っての事だったのかもしれない。本人の真意はどうであれ……
「スーナ!な、クウラ様っ!?」
「ようやく来たか」
クウラがある事を思案していると時同じくして、ギニューが医務室に駆け込んできた。スーナの側で座るクウラを見てギニューは驚愕するが、クウラは視線を少し動かした後に再びファイルに視線を落とした。
「こ、これはクウラ様……」
「この小娘が倒れたのなら花見は明日にしろ。フリーザには俺から伝えてやる」
クウラは椅子から立ち上がると手にしていたファイルをギニューに投げ渡した。ギニューは反射的にファイルをキャッチすると医務室を出ていくクウラを見送った。
医務室を出たクウラは廊下を埋め尽くさん程に揃っている兵士達を見た。先頭にはアプールが居た。
「あの小娘が心配だったと言う事で見逃すが……今すぐ持ち場に戻れ」
「は、はいっ!」
「し、失礼します!」
クウラの睨みにアプールを筆頭に兵士達はバタバタと逃げる様に、その場を後にした。
「兵士達にも慕われている……か」
「その様ですな。見ている限りじゃフリーザ軍の幹部で一番兵士達に慕われているみたいですぜ」
その場にクウラしか残らないかと思われたが、同じくスーナの様子を見に来ていたネイズが居た。
「ネイズ……貴様はあの小娘をどう思う?」
「フリーザ軍の中でも希少な存在かと。少なくとも我々の陣営にはいない人材です。それにサイヤ人なら今後は戦闘力も化ける可能性があるやもしれませんな」
クウラはネイズにスーナの事を聞くと、ネイズから返ってきた答えはスーナの好評価だった。
「そうか、あの小娘……フリーザには勿体ないかもしれんな」
「もしもスーナが我が軍に来るとなれば華やかになりますな」
フリーザの宇宙船に歩きだしたクウラの後を追うネイズ。その会話はスーナの今後を巡るものだった。