ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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報告と指示

 

書類を片手にスーナはフリーザの執務室に訪れた。ベジータの件とギニュー特戦隊の仕出かした事の報告の為である。

 

 

「おや、どうかしましたかスーナさん」

「ご報告します。ベジータ王子とナッパさんが命令を無視して他の惑星に向かった様です」

 

 

連絡も無しに急に現れたスーナにフリーザは首を傾げ、スーナは物事を簡潔に報告した。

 

 

「ベジータさんと……ナッパ……ふむ、ナッパ……」

「ナッパさんは生き残ったサイヤ人の方です」

 

 

ベジータの事は覚えていたがナッパの事はうろ覚えだった様子のフリーザ。

 

 

「ああ、思い出しましたが……彼等が任務を放棄したと?」

「はい。侵略予定だった惑星から離れて別の惑星を目指している様です。他の兵士が連絡を取ろうと通信したのですが無視しているようです」

 

 

スーナの説明にフリーザはフムと顎に手を沿わせる。

 

 

「ふむ……いつもなら最低限の連絡は寄越す様ですが、それも無しですか」

「如何致しましょう。ベジータ王子を連れ戻すとなるとギニュー特戦隊やザーボンさんやドドリアさんでないと不可能ですが」

 

 

ベジータの行動に何を考えているのか悩んでいるフリーザ。ベジータを連れ戻すならば、ギニュー特戦隊やフリーザ側近の二人でないと戦闘力の関係上、不可能である。

フリーザは考える。ベジータはベジータ王や他のサイヤ人とは違ってバカではない。今まで目に見えた反逆は行わずナッパやラディッツを嗜める様に行動をしていた。そんなベジータが此方の指示を無視したという事は何かしらの要因があると考えた。

 

一つ目に考えたのは、高値で売れそうな惑星を見付けたから点数稼ぎの為に動き始めた。

二つ目に考えたのは、惑星を侵略する以上に重要な物を見付けたから。

三つ目に、自身に反逆する為に他の宇宙人と徒党を組んで力を蓄えているか。

 

様々な憶測や推察をフリーザは頭の中で行うが、どれもベジータなら可能性があると考えたフリーザは一つの決断を下す。

 

「いえ……放っておきましょう。ベジータさんの事ですから私の為に行動しているのかも知れません。ただし、監視はする様にしてください。彼等が向かっている惑星も調べなさい。それとスカウターで回収できそうな会話は逐一録音をしなさい」

「畏まりました。兵士の皆さんにベジータ王子とナッパさんの行き先を調べて頂きます。スカウターの方は会話ログを残すように指示します」

 

 

フリーザがベジータを放置すると決めたのは、万が一にも反逆されたとしてもベジータの戦闘力では自身を倒すどころか側近のザーボンやドドリアにも敵わないと思っているからである。

フリーザの発言にベジータの周囲を調べさせる事を指示に出すスーナ。即座に端末に情報を打ち込んで準備している仕草は仕事が早いとフリーザを感心させていた。

 

 

「それとギニュー特戦隊が経費を勝手に使ったようなので給料から差っ引いておきます」

「本当に貴女がギニュー特戦隊のマネージャーで助かってます」

 

 

更にギニュー特戦隊の行動を怒ると同時に制裁を加える姿勢に、フリーザは本当に助かっていると隠す様子もなく伝えた。スーナが居なければフリーザの頭痛の種はズッと続いていただろう。

 


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