ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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スーナ八歳の頃

スーナが八歳になる頃。

スーナはギニュー特戦隊から離れてフリーザの船に乗っていた。ギニューの娘とは言えど何故フリーザの船に乗っているか。その理由は簡単なものだった。

 

 

「ほら、そこを間違えてるぞ」

「は、はい。すいません」

 

 

スーナはザーボンから書類の書き方を学んでいた。何故、ザーボンかと言うとフリーザ側近で書類仕事が一番上手いのがザーボンだったからである。

因みにギニュー特戦隊は書類仕事が壊滅的で正直、ギニュー以外の書類は読めた物じゃなかった。

スーナは最近になり、フリーザがその事に溜め息を吐いているとギニューから聞き、自身が書類仕事を覚えればギニューの役に立てる。更にフリーザへの評価にも繋がるし、ギニュー特戦隊の恩返しになると考えたのだ。

この考えに至ったのも普段からギニュー特戦隊の奇行を見ているスーナだからこそである。

その日より、スーナはギニュー特戦隊から一時的に離れてフリーザ側近のザーボンと行動を共にして任務と書類仕事を学んでいた。

 

 

対するザーボンはスーナの評価を改めていた。ザーボンは元々スーナに対する興味は低く、普段からフリーザと行動を共にしている彼はスーナとの接点は少なかった。ギニューがフリーザと面会する時に一緒に来るスーナが挨拶する。その程度の接点だった。

さらにザーボンはスーナがサイヤ人と聞いてから「どうせ野蛮なサイヤ人」と思っていた。美しいもの好きを自称するザーボンからしてみれば『サイヤ人=野蛮』の方程式が成り立っていたのだが、今回の件でその評価を改めていた。

 

フリーザの命令でスーナに書類の書き方を教えていたザーボンだがスーナは兎に角素直だった。間違えた部分は認めるし、謝る。スーナにはザーボンが抱いていたサイヤ人のイメージが当てはまらなかったのだ。ザーボンにとってのサイヤ人の代表格はベジータやナッパの野蛮第一の人種だった。更に言うなら、弱いくせに粋がる存在(ラディッツ)も含んでいた。

自身と向かいの席に座り、真面目に書類仕事を覚えようとする少女にザーボンは自分の考えが浅はかだったと思っていた。

そしてザーボンはふとスーナの前髪に手を伸ばした。

 

 

「ザーボンさん?」

「スーナ……トリートメントは使っているのか?髪が少々痛んでいる様だが?」

 

 

指先でスーナの髪を触るザーボンだがスーナの髪が少し痛んでいる様に思えた。

 

 

「シャンプーは適切なのを使っているのか?」

「適当に選んでます。シャンプーを使うの私だけですし」

 

 

ザーボンの問いに答えたスーナにザーボンは口を押さえながらブフッと笑いを堪えた。

思えばギニューはシャンプーが必要な頭をしていない。

他にもギニュー特戦隊のメンバーの大半はシャンプーやトリートメントを必要とする頭をしていない。

スーナが自身の事に無頓着になるのも無理はなかった。

 

 

「やれやれ……女がそれではイカンな。書類仕事も結構だがお前には他にも教える事が増えたなスーナ」

 

 

この日よりザーボンは書類仕事を教える傍ら、髪の手入れの仕方や肌に使う化粧水等の美容に関する事をスーナに教えた。今までお洒落等に無頓着だったスーナは少しずつだがお洒落をする様になる。

そしてスーナとザーボンは会う度に美容等の話で盛り上がる様になる。

 

 

「スーナ、新作のシャンプーだ。私も試してみたが中々良いものだぞ」

「ありがとうございます、ザーボンさん。私もこの化粧水を試したんですけど、どうですか?」

「うぅむ……俺は口が挟めん……」

 

 

楽しそうに話をするスーナとザーボン。それを見てギニューが少し、悔しそうにしていたりする。

 


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