「まだベジータは見付からないのか?」
「兵士の皆さんにも行き先の算出やスカウターの会話ログを調べてもらってますが手懸かりはなさそうですね」
通信室にスーナとドドリアは顔を出していた。その目的は勿論、ベジータとナッパの事である。ベジータとナッパが侵略する予定の惑星から離れて既に半年。未だにその行方は知れないままだった。常日頃、チェックは欠かさずにしているものの分かっているのはベジータが向かった宙域のみ。オマケにベジータとナッパはスリープモードと呼ばれるポッドの機能を使っているのか、通信にも出なかった。
スリープモードとは、ポッドに搭載された機能で移動距離が長い場合、搭乗者を冬眠するかの様に眠らせてしまい、目的地周辺となると自動的に目を覚まさせる機能で眠っている間は、機械が作動しない限りは眠り続ける機能である。フリーザ軍の通信に出ないという事は、外部からの通信を切っているという事になる。
「ベジータなんざフリーザ様の敵じゃねぇが、フリーザ様はご自身に逆らう奴は容赦しない……今回の件も笑ってはいるが内心怒ってらっしゃる筈だ」
「各部署からもベジータさんやナッパさんの行動に苦情が出てますね。私も同様の意見ですが」
今回の件はフリーザのみならず関係者一同に影響を及ぼしていた。侵略する惑星から離れたとなれば、他の人材を回さなければならないのに、ベジータは連絡も無しに離れた為に、代わりの人材を送るのが非常に遅れてしまっていた。更に今までベジータとナッパはその強さに下級兵や他の部署に迷惑を掛けていて、正直下からの評価がすこぶる悪いのだ。今回の件はその不満を爆発させる切っ掛けとなっている。
「ベジータの代わりは誰を送ったんだ?」
「アボさんとカドさんの兄弟が向かった様です。ベジータさんとナッパさんの代わりとなると極めて上位の方々じゃないと無理なので」
ドドリアの疑問にスーナは答えた。アボとカドは兄弟の兵士で個人の強さはリクームやバータに匹敵し、合体して一人の戦士となるとその強さはギニューに匹敵する強さとなる特殊な力を持った兵士で、ベジータの代わりに派遣されたのは、この二人だった。
スーナの言葉通り、ベジータはフリーザ軍でも強さで言えば上から数えた方が早く、代わりに派遣できる人材は限られている。
「そうかい。なら、早くベジータを見つけねぇと……俺とザーボンはフリーザ様の前で腹を掻っ捌らなきゃならねーんだ」
直接ではないものの、上司としての責任を取らされようとしているドドリアの顔は強張っていた。
「そうしてください」
「待てやオイ」
妙に真面目な顔付きでドドリアとザーボンの切腹を推奨したスーナにドドリアはツッコミを入れた。
「冗談ですよ」
「フリーザ軍の人事のトップのお前が言うと洒落にならねーんだよ!」
クスクスと笑うスーナだが、人事のトップで責任者のスーナにそれを言われると冗談には聞こえなかった。
この後の数ヶ月、ベジータの行方は知れないままだったが、遂に手掛かりが見付かる。それはベジータとナッパの使用しているスカウターが起動したとの連絡だった。
『アボ』『カド』『合体アカ』
『DRAGONBALL オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』に登場したフリーザ軍の残党で、フリーザとは別の星に派遣されていた二人組の兄弟兵士。アボが青色、カドが赤色のずんぐりとした体形。
当時はギニュー特戦隊と肩を並べるほどの実力者で、現在ではターブルいわくフリーザに匹敵する強さを身につけている。
本作ではギニュー特戦隊と同様に兵士として活動中。