ベジータとナッパの会話ログをフリーザに報告したスーナ。フリーザと共に居た為に同じく報告を聞いていたドドリアとザーボンは笑っていた。
「笑わせんなよスーナ」
「そうだな、なんでも願いが叶うなどあり得ないぞ」
スーナからの報告を笑っていたドドリアとザーボンだが、フリーザは思案する様に口を閉ざしていた。
「スーナさん……ベジータさんはなんでも願いが叶うドラゴンボールを求めて地球に行った……そうですね?」
「は、はい。少なくともスカウターからの通信からはその意思を感じられました」
口を閉ざしていたフリーザが確認する様にスーナに問い掛ける。スーナはフリーザの重苦しい雰囲気に少し押されながらも答えた。
「ふむ……ならば本当に願いが叶うのかも知れませんね」
「な、まさかっ!?」
「本当ですかい、フリーザ様!?」
フリーザの発言にザーボンとドドリアは驚愕した。まさかフリーザがこんな眉唾な話を信じるとは思わなかったからだ。
「ベジータさんはあれで計算高い……そんなベジータさんが私の命令を無視してドラゴンボールを探しに行ったと言う事は願いが叶う事に確証を持ったからでしょう。そして恐らく、願ったのは永遠の命」
フリーザの推理にスーナ、ザーボン、ドドリアは息を飲む。
「恐らく、永遠の命が有れば何れは私の強さに追い付けると思っているのでしょう」
「負けたとしても永遠の命があれば何度でもフリーザ様に戦いを挑む……という事でしょうか?そして死の淵から甦れば戦闘力を上げられる事も見越して……」
フリーザの説明を引き継いでスーナが口を開いた。その発言にフリーザはニコリと微笑む。
「流石、聡明ですねスーナ。私も同意見です」
「ならば急ぎ、ベジータを止めに行かねば……」
「その件なんですが……」
フリーザの言葉にベジータが表だって反逆を試みようとしているのは明らかな上に、ベジータに永遠の命があってはいつかは脅威となると考えたザーボンは慌てた様子。と同時に、スーナが口を開いた。
「先ほど、ベジータ王子のポッドが飛び立ったと報告が私の端末に送られてきました。恐らく、地球を飛び立ったと思われます。行き先は惑星フリーザの様です」
「まさか、永遠の命を得て早くもフリーザ様に挑みに来やがったのか!?」
「いえ……違うでしょうね」
スーナの報告にドドリアは叫びを上げたがフリーザは即座に否定した。
「もしもベジータさんが本当に永遠の命を得たとするならば一先ず何処かへ身を隠す筈。それに飛んだのはベジータさんのポッドだけですか?」
「………はい、ベジータさんのポッドだけでナッパさんの物は確認されませんでした」
フリーザの問い掛けに答えたスーナ。その言葉を聞いてフリーザは確信を得たように頷いた。
「スカウターの会話ログ通りだとすれば地球に戦闘力8000以上の者が居たという事。つまりナッパは死に、ベジータさんは何らかの理由で返り討ちになってしまったのでしょう」
「なるほど……だからベジータは一人で行動して傷を癒す為に惑星フリーザに戻ろうとしている……と言う事ですね」
「へ、馬鹿な野郎だぜ。帰ってきたら処刑してやる」
フリーザの言葉からベジータは願いは叶えられず逃げ帰ったと分かったザーボンとドドリアは、ベジータの処刑を考えていた。
「それには及びません。ベジータさんはやはり素晴らしい部下ですよ。マヌケにも願いを叶えるチャンスを潰した上に私に願いを叶える機会を渡したのですから」
上機嫌なフリーザはベジータの処刑を取り止める様にと発言する。その事にザーボンやドドリアは勿論、スーナも驚いていた。フリーザは間違いなくベジータを処刑すると思っていたからだ。
「ザーボンさん、ドドリアさん。一度、惑星フリーザに戻ってからナメック星へ行きますよ。ドラゴンボール探しです」
「そうか、ナメック星に行けば本場のドラゴンボールが手に入る!」
「それでフリーザ様は永遠の命と若さが手に入りますね!」
フリーザの発言にザーボンとドドリアは賛同し、歓喜に震えていた。
「ご自身が叶えたかった願いを私が成就した時……ベジータさんはどんな顔をしてくれますかねぇ」
「ふふ……なるほど、それは見物ですね」
「フリーザ様はお優しいですなぁ。ベジータなんぞの命を生かしてやるなんて」
フリーザはベジータよりも先に永遠の命を得ようと考えていた。更にベジータの眼前で永遠の命を得るということはベジータには最大級の屈辱となるだろう。ザーボンもドドリアもそれを察して笑みを浮かべていた。
「承知致しました。では、私は……」
「ああ、スーナは惑星フリーザに残って私が居ない間の仕事をお願いします。それが済んだら貴女もナメック星に来なさい。不老不死となった私のお披露目です。ギニューさん達も呼びましょう」
スーナはフリーザに自分はどうするべきかと問おうとしたが、フリーザはスーナに自分の仕事の代わりを命じた。それが済み次第、ギニュー特戦隊を連れてフリーザの不老不死のお披露目をすると宣言する。
「では……失礼します」
「スーナ……貴女が優しいのは周知の事ですがキチンと切り替えなさい。組織の上に立つ以上、部下の死をいつまでも嘆くのは私への忠義に反すると知りなさい」
頭を下げ、退室しようとしたスーナにフリーザは背後から声を掛けた。スーナは静かに頭を下げ、そのまま退室した。
「よろしいのですか、フリーザ様?スーナは……」
「あの娘は同族意識……というよりは自身と親しい者の死に怯えている節があります。臆病と言ってもいい……ですが、毎回そうでは困ります。今の内に臆病で繊細な部分を矯正し、自制心や冷静沈着さを身に付けてもらわねば後のフリーザ軍への影響も大きいでしょう」
スーナが退室した後、ザーボンはフリーザに意見を述べていた。フリーザはスーナがラディッツやナッパの死に傷付いている事に気付き、敢えて自身が不在の間の仕事を任せたのだ。スーナが自分自身の中での決着をつけさせる為に。
「フリーザ様の寛大なるお心にスーナも喜ぶでしょう」
「こりゃあギニュー隊長も喜ぶんじゃねーですかい?」
「……あの親に似なかった事がスーナの一番の功績ですよ」
ザーボンもドドリアもスーナの成長を望んでいたが、フリーザはスーナがギニューの性格に似なかった事が一番の功績であると称えた。もしもスーナがギニューの性格に寄ってしまった場合、フリーザ軍は今よりも劣悪な環境だったのは言うまでもなかったりする。