ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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ターレスとの遭遇

 

 

 

 

スーナは焦っていた。ナメック星に向かう最中でザーボンから再び通信が入り、ナメック星に到着次第スカウターをフリーザに届けろと言われたのだ。その理由は現地住民のナメック星人にスカウターを全て破壊された上にベジータの謀反でキュイ、ドドリアの死亡が確認され、フリーザの指示でギニュー特戦隊までナメック星に向かっているらしい。

自分がナメック星に向かっている間に事態が最悪の方向に向かっていると感じたスーナは頭痛がしてきた気がする。スーナの中型宇宙船には上級兵士が数人乗っているが、いずれも戦闘力1500前後だ。仮にベジータに遭遇したら一溜まりもないだろう。どうかベジータ王子に会いません様に……そんな考えをしていたスーナの思いは別の形で訪れた。

 

 

「よう……お姫さま」

「大人しく着いてきてもらおうか」

「悪いようにしないからよ」

「ンダ」

「「ターレス様に逆らうなんざ考えない方がいいぜ」」

 

 

中型宇宙船から降りたスーナの目の前には数人の戦士が立ちはだかっていた。

ターレスは浅黒い肌をしたサイヤ人、アモンドはガタイが良く屈強な戦士、ダイーズはイヤリングやネックレスを付けたキザな雰囲気を持つ戦士、カカオは全身サイボーグで『ンダ』としか言わない、レズン、ラカセイは小柄な双子の戦士である。

 

 

「どちら様でしょうか?初めてお会いする筈ですが……」

「おっと、名乗らないのは失礼だったな。俺の名はターレス。サイヤ人の生き残りだ」

 

 

ターレスの挨拶と説明にスーナは驚愕する。

 

 

「そんな……サイヤ人は私を含めてベジータ王子、ナッパさん、ラディッツさんの四人だけじゃ……」

「そりゃフリーザ軍で把握してるサイヤ人だろう?他にもまだ生き残りは居る筈だ。俺は生き残りのサイヤ人を集めて、フリーザを打ち倒し、再びサイヤ人の天下を知らしめるつもりだ。その為にもスーナ……お前は俺の仲間になってほしいんだ」

 

 

驚くスーナにターレスはニヤニヤしながら手を差しのべる。それは仲間になれとの意味である。

 

 

「ターレスさんと仰いましたね。私はフリーザ様の配下であり、ギニューの娘です。私がフリーザ軍から離れる事はないと思ってください」

「くくくっ……気丈なもんだな。だが、お前や後ろの兵士共の戦闘力で俺達に逆らう気か?」

 

 

ターレス、アモンド、ダイーズ、カカオ、レズン、ラカセイに囲まれたスーナと上級兵士数名は絶体絶命となっていたが一人の上級兵士が声を上げた。

 

 

「スーナ様、先日開発した迷彩ホログラムを試すのは如何でしょうか!?」

「なるほど……この状況なら撹乱になるかもしれませんね。許可します」

 

 

スーナの言葉を聞いた上級兵士達は戦闘服に備え付けていたスイッチを手に取り、装置を起動させる。

すると上級兵士達の姿はターレスへと変貌を遂げた。

 

 

「な、なんだと!?」

「ターレス様の姿に!?」

「ンダ!?」

 

これには流石のターレスやアモンド達も戸惑いを隠せなかった。

 

 

「これぞスーナ様が開発した高性能迷彩ホログラム!我々はお前達のリーダーの姿となった!」

「これで俺達に攻撃を仕掛けるのを躊躇うだろう!」

 

 

スーナが開発した高性能迷彩ホログラムとは投影した相手の姿を自身に覆わせるホログラムであり、これを纏うことで撹乱や相手の戦闘意欲を削ぐ狙いで開発したされた物である。

これで攻撃される心配は無いと上級兵士はたかをくくっていたが、アモンド達は迷うことなくエネルギー波を放ち、上級兵士達をぶっ飛ばしていった。

スーナの眼鏡型スカウターには『戦闘力30%UP』と表示が映されていた。

 

 

「ふーっ、やる気出てきたぜ」

「うーん……忠義心ゼロですね」

 

 

ターレスの姿になった事で逆にやる気を煽ってしまったらしくダイーズは気合いが入っていた。

スーナはこの窮地をどう脱するか悩み、ターレスは偽物とわかっていても迷わず自身の姿に攻撃を加えた部下をどうシメようか考えていた。

 

 

 

 


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