スーナはフラフラと飛びながら漸く、フリーザの宇宙船に辿り着いた。スーナを出迎えたフリーザはスーナの姿に驚いていた。
「待っていましたよスーナ……何故、ボロボロになっているのですか?」
「申し訳ありませんフリーザ様。上級兵を数名連れてきたのですが、ターレスと名乗るサイヤ人に襲撃されて部隊は私を残して全滅。スカウターも失ってしまいました」
スーナはフリーザの前で膝を突きながら経緯を説明する。その最中、残った数少ない兵士はスーナを気づかって毛布を掛けたりメディカルポッドの準備に走ったりと忙しそうに動いていた。
「ふむ……サイヤ人の生き残りは貴女とベジータ、ナッパ、ラディッツの四名だけかと思いましたが……まだ生き残りが居たんですね……」
「その者が言うにはサイヤ人の生き残りはまだ存在するとの事です。そして彼等の言動からフリーザ軍の装備を強奪していた連中はクラッシャー軍団と判明しました」
フリーザはまだ他にもサイヤ人の生き残りが居た事に意外そうな表情を浮かべた後に、スーナの説明を聞いてギリッと表情を歪ませる。
「貴女は兎も角……本当にサイヤ人は私をピンポイントで怒らせる天才ですね……ベジータさんにはドドリアさんを殺されてしまった様ですし……」
「………先程、報告したターレスが言うにはザーボンさんもベジータ王子に殺された……と」
忌々しそうにベジータの話題を出すフリーザに、スーナは顔を俯かせながらターレスから聞き出した情報をフリーザに報告した。
「そうですか……ベジータを探す様に命じましたが返り討ちにあったようですね。貴女と懇意にしていたアプールもベジータに殺されてしまいました」
「そ、そんな……アプールさんまで……」
フリーザはスーナからザーボンの事を聞いたが、スーナの知らないであろう情報を伝えるとスーナはガクンと崩れ落ちそうになる。
「スーナさん。明日にはギニュー特戦隊がナメック星に到着します。それまでに傷を癒して明日からの任務に対応出来るようにしておきなさい」
「……畏まりました、フリーザ様」
「スーナ様、此方へどうぞ。メディカルポッドの準備は済んでいます」
フリーザの言葉に虚ろな表情で返事をしたスーナ。スーナは兵士に支えられながらメディカルポッドのある部屋へと案内されていく。
「ふむ……ドドリアさんに続いてザーボンさんも。これはベジータの事を甘く見すぎていましたか」
フリーザは支えられながらフラフラと歩いていくスーナを見て呟いた。
◇◆◇◆
兵士に支えられていたスーナはメディカルルームへと辿り着くと、メディカルポッドに入ろうと勧められるが、破壊された最新型のメディカルポッドに目が行く。
「あのメディカルポッドは……?」
「ベジータが破壊したメディカルポッドです……アプールは此処で殺されてしまいました……」
スーナの質問に兵士の一人が答えづらそうに口を開いた。
「そう……ですか……」
「スーナ様、我々は席を外しますが治療に専念してください。ギニュー隊長がいらっしゃるまで時間がありますから……」
スーナの気配を察した兵士は頭を下げると、スーナがメディカルポッドに入る為にその場を足早に後にした。本来ならもう少し、手助けしたりフォローするべきだが万が一にもスーナの着替えを覗いてしまった場合、間違いなくギニューの怒りを買うからだ。
兵士が出ていったのを確認するとスーナは着ていたスーツを脱いでメディカルポッドに入る。タイマーをセットしていたのでスーナが中に入ると培養液がメディカルポッドに満たされていき、スーナの体を包んでいった。
(ドドリアさん、ザーボンさん、アプールさん……)
瞳を閉じるとスーナはベジータに殺された上司や部下を想った。それと同時にスーナの髪が僅かに金髪に染まったが……兵士達は席を外していた為にそれを見た者は誰も居なかった。