ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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スーナと悟飯とクリリン

 

 

ドラゴンボールを必死に集め、死んだ仲間を生き返らせようとしていた悟飯とクリリンは、利害の一致から仲間を殺したベジータと共同戦線を張る事となり、隠したドラゴンボールを回収しようとしていた……その最中の出来事だった。

 

 

「バータ!貴様、スーナを抱き抱えて飛ぶとはなんて羨まし……じゃなかった、羨ましい事を!!」

「隊長、言い直せていません!」

「お父さん、私はそんなに速く飛べないからバータさんが気を回してくれたの!だから落ち着いて!」

「そ、そうッスよ隊長!ほら、スーナだけ遅れたら可哀想じゃないッスか!」

 

 

隠したドラゴンボールの前に突如、五つの光が舞い降りて悟飯達の行く手を阻んだのだが、速攻で仲間割れを起こしていた。

キレ気味のギニューをジースとスーナが宥めて、ギニューにミルキーキャノンを喰らいそうになって慌てているバータ。リクームはそれを笑って見ていて、グルドはベジータを睨んでいた。

 

 

「ちっ……相変わらずふざけた連中だ」

「おい……アレがフリーザの精鋭なのか?確かに凄まじい気を感じるけど大したこと無い奴や女の子まで居るじゃないか」

 

 

敵を前にして緊張感の無いギニュー特戦隊を見て舌打ちするベジータにクリリンが話し掛ける。

 

 

「見た目で判断するな……あの女はサイヤ人の生き残りの一人で戦闘力は低いがフリーザ軍の頭脳と言っても過言じゃない奴だ」

 

 

早くも敵を侮っていたクリリンに注意を促すベジータ。そこで漸く落ち着いたギニューが一歩前に出る。

 

 

「久し振りだなベジータ。フリーザ様から今回の件は聞いている。貴様はスーナと生まれを同じくするサイヤ人だから大目に見ていたが今回の件は到底許される事じゃないな。ドドリアやザーボンを殺めた罪も重いぞ」

「ふん、俺達サイヤ人がいつまでも大人しくしていると思ったか?」

 

 

睨みを利かせるギニューにベジータは鼻で笑う。そこでスーナがギニューの横に並び立ち、ベジータに頭を下げた。

 

 

「お久しぶりですベジータ王子。再会がこの様な形になったのは非常に残念です」

「随分と腕を上げたなスーナ。以前とは比べ物にならん程に強くなったようだ」

 

 

ベジータの一言にスーナは疑問を感じた。スカウターも無いのに何故、自分の戦闘力の向上を感じ取ったのか。しかし、スーナにはそれ以上の疑問があった。

 

 

「ベジータ王子に伺いたいのですがサイヤ人の生き残りはベジータ王子、ナッパさん、ラディッツさん、私の四名と聞いていましたが他にも存在するのでしょうか?」

「ふん、貴様等に素直に答えると思ったか?」

 

 

スーナの問いにベジータは意地の悪い笑みを浮かべた。

 

 

「そちらの少年もサイヤ人では無いのですか?私は先日、ターレスと名乗るサイヤ人に会いました。その者が言うにはサイヤ人の生き残りはまだ存在する……と」

「ターレスだと?知らんな。確かにサイヤ人の生き残りは存在するが俺の知らん事だ」

「あ、貴女もサイヤ人なんですか?」

 

 

スーナとベジータの会話にサイヤ人の事で関心を得た悟飯は会話に参加する。

 

 

「はい、私の名はスーナと申します。アナタ達は?」

「あ……孫悟飯です」

「あ、ああ……クリリンだ」

 

 

スーナの優しい声音の笑みに女の子とろくに会話した事がない悟飯は少々顔を赤らめ、クリリンもスーナの容姿に頬が緩む。

 

 

「アナタ達は地球から来たと聞いています。ベジータ王子やナッパさんが返り討ちにあったのも地球……あの二人を倒せる程の戦闘力を持った地球人がいるとは思えません。更にラディッツさんは有給を使ってまで地球へと向かっていました。悟飯君、アナタがサイヤ人であるということはアナタのお父さんかお母さんがサイヤ人であるということになります。つまり地球にはフリーザ軍が把握していなかったサイヤ人が居るという事になりますね」

 

 

僅かな情報から悟飯達の動向を推理したスーナ。その殆どが正解だった事に悟飯もクリリンも動揺を隠せなかった。

 

 

「奴に情報を与えるな!スーナは一挙一動でこっちの状態を探ってくるんだぞ!」

「痛っ!」

 

 

ベジータは迂闊に此方の情報を与えようとした悟飯の頭に拳骨を落とす。

 

 

「ベジータ王子、子供をあまり手荒に扱わないでください」

「ちっ、相変わらず甘い奴だ……反吐が出るぜ」

 

 

子供の扱いが悪いと嗜めるスーナにベジータはぺっと唾を吐く。

 

 

「止めておけスーナ。お前の優しさは野蛮なベジータには理解できんさ。さて、俺達の後ろに五つのドラゴンボールがある。貴様等の持っている二つのドラゴンボールを貰おうか。ま、大人しく渡したからと言って大目に見ようって気はないがな」

「お前達、スカウターで人間は探せてもコイツは探せないだろ?」

 

 

ギニューの問い掛けにベジータはニヤリと笑みを浮かべるとドラゴンボールを後方へと勢いよく投げた。だが、それを見たバータは飛び立つ。その動きは素早くドラゴンボールを投げたベジータや悟飯、クリリンにも察知されずベジータの投げたドラゴンボールをキャッチした。そしてすぐさま元の位置へと戻って来た。

 

 

「ただいまっと。ほら、ドラゴンボールだぞスーナ」

「おかえりなさい、バータさん」

 

 

バータは戻るとドラゴンボールをスーナに見せ付ける様に目の前に突き出し笑みを浮かべた。スーナに良い所を見せようという魂胆が丸見えだった。

 

 

「遠くに捨てようとしたらしいが生憎とバータのスピードは宇宙一なんでな。さて、もう一つ」

「破壊しろ!」

「ち、ちくしょー!……あ、あれ?」

 

 

ギニューの解説に遠くに捨てるのは不可能と判断したベジータは取られるくらいならと、クリリンにドラゴンボールを破壊しろと叫ぶ。咄嗟にドラゴンボールを破壊しようとしたクリリンだが、手の中にあったドラゴンボールは消えてしまった。

 

 

「ふー……危ない、危ない」

「な、なんで……?」

 

 

クリリンの手の中にあったドラゴンボールはグルドが持っていた。その事実にクリリンは唖然としていた。

 

 

「噂は本当だったのか……グルドは僅かな時間だが時間をコントロール出来ると」

「そ、そんな……マジかよ……」

 

 

ベジータから発せられた事実に驚きを隠せないクリリン。

 

 

「これで七つ全てのドラゴンボールが揃ったな。これでフリーザ様は不老不死を得られる。さてドラゴンボールも揃った事だし……少し可愛がってやろう」

 

 

ドラゴンボールが揃った事に喜ぶギニューはニヤリとベジータ達を見詰めた。

 

 

「可愛がると言っても頭を撫でたり、高い高いしてやるんじゃないぞ。痛め付けてやるという意味だ!」

「説明せんでいい!それに頭を撫でるならスーナのが最高だ。それ以外は認めん!」

「相変わらず親バカか」

 

 

態々説明するジースにギニューはスーナの頭を撫でながら叫ぶ。その様子を見たベジータは舌打ちをした。

 

 

「さて、俺はフリーザ様にドラゴンボールをお届けするが……スーナ、お前は俺と共に帰るぞ」

「え、お父さん?」

 

 

普段ならスーナに良い所を見せようとするギニューだが珍しく、雑用を買って出た。更にスーナを連れ出そうとする行動にスーナは思わずギニューを見上げた。

 

 

「親しい仲だったベジータや子供が死ぬところは見たくないだろう」

「お父さん……」

「ちっ……舐めやがって……」

 

 

 

長年の付き合いであるベジータや子供が特戦隊に殺されるのは辛いだろうとスーナをこの場から離そうとするギニュー。ベジータは自分達が殺される事が確定しているかのような口振りのギニューに苛立ちを隠せなかった。

 

 

「行くぞ、スーナ」

「はい。ベジータ王子……これが別れとなるでしょう。長年お世話になりました」

 

 

ドラゴンボールを超能力で浮かせたギニューは飛び立とうとし、スーナはベジータに最後の別れを告げた。

 

 

「悟飯君、クリリンさん。彼等の卑劣な戦いぶりは参考になりますよ。戦士として最後に学んでくださいね」

 

 

悟飯やクリリンにも別れを告げたスーナ。然り気無くディスられたジースは『スーナ、四万キャッシュは絶対に返さんぞ』と心の中で呟いた。

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