ベジータ達から奪ったドラゴンボールを持ってフリーザの下へと戻ったスーナとギニュー。持ち帰ったドラゴンボールを見て、フリーザは笑みを溢す。
「ホッホッホッ……流石はギニュー特戦隊。見事な働きぶりです」
「はっ、お褒めに預り光栄です!」
揃った七つのドラゴンボールを前にご満悦のフリーザとギニュー。しかし、スーナの表情は晴れないままだった。
「スーナ……気持ちはわかるがフリーザ様の喜ばしい瞬間だ」
「ホッホッホッ……良いのですよ。貴女は心優しいのですから」
スーナの心情は理解するものの、フリーザを前にしてはいけない態度にギニューはそれを咎めようとするが、逆にフリーザが止めた。
「さて、スーナ。ベジータ達からは有力な情報を得られましたか?」
「恐らくですが……私やベジータ王子、ナッパさん、ラディッツさん以外のサイヤ人が複数存在しています。先日、私が遭遇したターレスも同様でしょう」
フリーザの問いにスーナは先程、推測したサイヤ人の生き残りに関する事を報告する。
「ふむ……やはりサイヤ人は他にも生き残りがいましたか……ま、今はそんな事は問題ではないでしょう。」
「おお……では遂にフリーザ様が不老不死になられる!」
フリーザはどうでもいいと言うと、地面に転がっているドラゴンボールを見詰めた。
「さあ、ドラゴンボールよ!私を不老不死にしなさい!」
「おおっ!」
フリーザの叫びにギニューはオーバーリアクションをする……が、何も起こらなかった。
「何も……起きませんね。もう不老不死になられたのでしょうか?」
「いえ……そんな感じはしませんね」
フリーザとギニューはドラゴンボールを揃えたのに、何も起こらない事を不思議に思っていた。
スーナはドラゴンボールを見ながら指を唇に這わせながら考える様な仕草を見せていた。
「フリーザ様……ナメック星人達からは願いの叶え方を問いただしましたか?恐らくですが願いを叶える為に条件があるのでは?例えば、『合言葉』『時間』『ボールの並べ方』などが予想されますが」
「いえ……ですが、二つ目の村を襲った際にナメック星人が言っていました。『貴様らには願いは叶えられないだろう』と……あの時は負け惜しみを言っているのだと思っていましたが……」
「なるほど特別な暗号が必要と言う訳ですね」
スーナの推測に、フリーザはドラゴンボールを奪った際にナメック星人に言われた事を思い出し、ギニューはドラゴンボールの使用にも条件があるのだと理解した。
「ナメック星人達は殆ど始末してしまいましたからね……生き残りがいれば良いのですが……」
「はっ……もしやベジータ達が知っているのでは……すぐに部下達に中断させなければ……」
「暗号……ナメック星人特有の物が必要と……」
慌てるフリーザとギニューに対してスーナは冷静に思考を巡らせていた。
「おや……ふむ。ギニューさん、ベジータ達はそのままで結構。私のスカウターに生き残りのナメック星人を捕らえました。こんな場所は攻めていませんからね。生き残りが居たのでしょう」
「ならば私が願いの叶え方を吐かせてみせましょう!」
フリーザはスカウターで生き残りのナメック星人を見つけてニヤリと笑みを浮かべた。ギニューは自ら今すぐそこに出向いて願いの叶え方を聞き出そうと飛び立とうとしたがフリーザが手で制する。
「いえ、私が行きます。此処の連中の扱いは私の方が慣れていますからね。アナタとスーナは此処でドラゴンボールを見ていなさい」
「はっ、畏まりました!」
フリーザの指示にギニューはビシッと姿勢を正して拝命するが、スーナは不安そうな表情でフリーザを見詰めた。
「フリーザ様……」
「大丈夫ですよ、スーナ。今回の件は確かに私の短慮が原因でした。願いの叶え方を聞き出すまでは殺しはしませんよ」
フリーザはスーナにニコリと笑みを浮かべると、普段から乗っているポッドに乗ってスカウターが示した地点へと飛んでいってしまう。
「フリーザ様が戻られるまで俺は兵士達にファイティングポーズの指導をするが、スーナお前はどうする?」
「私は宇宙船の修理指示や土壌調査を進めてくるね」
ギニューとスーナはフリーザが居なくなった後にやるべき事をやる為に行動に移すが、スーナは兎も角、ギニューは完全に私事なのだが最早、スーナもツッコミを入れなくなっていた。
スーナがフリーザやギニューを除くギニュー特戦隊の事を待ちながらも仕事を進める。それはフリーザやギニュー特戦隊達の事を信じているからである……しかし、スーナは知らなかった。こうしている間にもグルドは倒されてしまい、現在はリクームとベジータが激しい戦いを繰り広げている事に。