ベジータがフリーザの宇宙船を襲撃する少し前。
フリーザはナメック星人の生き残りである最長老の所へドラゴンボールの使用方法を聞き出す為に向かっていた。
「スーナ、そちらの様子はどうですか?」
『宇宙船の状況を確認次第、修理に取りかかる予定です。土壌調査も並行して進めています』
やはり、この娘は良く仕事が出来る。フリーザ軍は力が全てと言っても、スーナの様な人材は代えが利かないとフリーザは感じる。
「それで、ギニューさんは……」
『どうした!貴様等そんな様でフリーザ様のお役に立てると思っているのか!?もっと気合いを入れろ!』
『………この様に兵士達に指導をしています』
ギニューの様子を聞こうとしたフリーザだったが、スカウターから聞こえるギニューの叫びとスーナの説明に兵士達の指導をしているのだと理解する。
『そうだ!気力を高めろ!そしてスペシャルファイティングポーズを決めるんだ!』
『『はいっ!』』
「………」
更に聞こえたギニューの叫びと兵士の叫び。フリーザは頭痛が始まっていた。
「スーナ……しばらくスカウターの通信は切りますから何かあったら連絡しなさい」
『畏まりました』
フリーザは独特な趣味と個性を持った親にして子がマトモである事に感謝をしながら通信を切った。それが大きな過ちになるとは今のフリーザには知る術はない。
◆◇◆◇
あれからどれほどの時間が経過したのか分からないがスーナはベジータの攻撃で気絶していた。
「う……あ……?」
ベジータのエネルギー波を部下もろ共に食らったスーナは瓦礫の中で目を覚ました。身体中の節々が痛く立ち上がる事もままならない。
「み、皆さん……痛っ」
ベジータからの攻撃からスーナを守る為に壁となった兵士達は全滅していた。ベジータと兵士の戦闘力の差を考えれば当然でもあるが。兵士達はスーナを庇いそのまま死亡した為、スーナに覆い被さったままだった。命は助かったものの、兵士達と瓦礫に潰されそうになっているスーナは自力での脱出は難しいそうだと考えていた。
「スカウターは……ダメですね……」
スーナは動かせる左手で眼鏡型スカウターを使おうとしたが先程の余波で壊れたのか反応が無かった。その証拠にレンズもヒビが入り、液晶が表示されなかった。
今の状況はどうなっているのか。それを確認しようにも体は動かせないし、自身は瓦礫の山に埋もれたままなのだ。周囲の状況確認もままならない。
「俺は怒ったぞー!フリーザー!!」
「怒ったのは此方も同じだ!俺はナメック星で腹心の部下すら失ったんだぞ!」
動けないスーナは外の状況は確認できないがフリーザの叫び声と……ターレスと似たような声を聞いた後にスーナは再び、意識を手放した。