本格的にギニュー特戦隊の書類仕事を担当する様になって一年。スーナが九歳になる頃、彼女はフリーザ軍の中でかなり有名になっていた。
曰く『ギニュー特戦隊の良心』『ギニュー特戦隊のブレーキ役』『最高の事務員』などetc.
ギニューの義娘と言うことも相まって知名度は抜群に上がっていた。しかもスカウターの精度向上に貢献したとして噂となり、開発部の人間もスーナの意見を聞きたいと開発部へ招き入れる姿勢も見せていた。
そして現在……スーナはフリーザ軍のトレーニング室に居た。
「やあっ!はあっ!」
「ちっ……鈍いな。パンチってのは、こう打つんだ!」
スーナは普段の事務用のスーツではなくTシャツにスパッツの動きやすい姿でドドリアとトレーニングをしていた。ドドリアはスーナのパンチをわざと避けずに食らうとお返しとばかりにスーナを殴り飛ばした。
何故、ドドリアがスーナのコーチをしているかと言うとギニュー特戦隊ではスーナを甘やかしてしまう為に戦闘訓練には向かないとフリーザから却下された。
ザーボンはスーナがトレーニングをしている間の書類仕事として欠席。
ならば同族のサイヤ人を選ぶかと言われればベジータやナッパは別の星に行っており不在。ラディッツは弱い為にコーチには向かないと言われ論外とされた(これを聞いた本人は隠れてトレーニングを開始していた)。
ならば乱暴だが部下の面倒見が良く、強いドドリアが抜擢されたのだ。
トレーニングを始めて数時間が経過した。ドドリアはスーナの戦闘力を測った。スーナの戦闘力はなんと50だった。
サイヤ人の子供にしては低すぎる数値である。
フリーザ軍の戦闘力格差として最下級兵が100~350。下級戦士の平均戦闘力が400。上級兵が1500前後。数少ないエリート兵が4000~18000と幅が広く。側近ともなれば20000以上となる。ギニュー特戦隊は平均40000と高い数値。
その中でスーナは50と最下級兵よりも低い数値なのだ。これはスーナの潜在能力が低いのではなくギニュー達のスーナ甘やかしの結果だったりする。
しかしスーナも何もしていない訳ではなくトレーニングはしているが、やはり実戦を知っているか知らないかの差はデカい。
そこでドドリアはトレーニング室でスーナとタイマンで戦っていた。スーナを殺さないように手加減しながら確実にダメージを与えていく。
「く……あぅ……」
「ん……ちっ、気絶しやがったか」
壁に叩き付けられたスーナは気を失い、そのまま動かなくなった。ドドリアはそんなスーナに舌打ちをすると軽々と彼女を持ち上げて肩に担ぐ。
「まったく……サイヤ人の癖に弱すぎなんだよ」
ブツブツと文句を言いながらもスーナを肩に担いだままドドリアはメディカルルームへと向かった。メディカルルームにはメディカルマシーンがある。これは治療カプセルのようなもので、この中に怪我人を入れて装置を作動させると、中が特殊溶液で満たされ、その成分によりわずかな時間で怪我が治り体力が回復する。ドドリアはサイヤ人の特性である『瀕死状態から回復することにより戦闘力が大幅に上昇する』を利用していた。
因みにその特性を利用する事をフリーザやギニューに話した所、フリーザから『絶対に死なせるな』ギニューからは『くれぐれも注意してくれ』とそれぞれキツく言われていた。
ギニューはスーナを溺愛しているし、フリーザはやっとマトモに回り始めたギニュー特戦隊の書類仕事がまた滞るのを恐れた判断だった。
ドドリアは上手くダメージを調整出来たなと思いながらスーナをメディカルマシーンの中に放り込むとマシーンを起動させる。
「手の掛かるガキだぜ……ったく」
メディカルマシーンの中で眠るスーナに悪態をつくドドリア。しかし口は悪いがドドリアは面倒見が良い。
スーナをメディカルマシーンに入れてから回復するまでドドリアは待っていた。
そして時間が経過し、スーナは目を覚ましてメディカルマシーンから出てきた。
「ドドリアさん……あ、あの……ありがとうございました。メディカルマシーンに運んでもらって……」
「ま、フリーザ様の命令だからな。どれ、戦闘力は……」
メディカルマシーンから出たスーナは真っ先にドドリアに礼を言った。メディカルマシーンの中で目を覚ましたスーナはメディカルマシーンへ運んでくれたのがドドリアだと思ったからだ。
ドドリアは礼は構わんと言った態度をすると同時にスカウターでスーナの戦闘力を測る。計測された数値は戦闘力250だった。
「やっぱサイヤ人だな。戦闘力が増してやがる」
「なんとなくですけど……力が漲ってる気がします」
ドドリアはスーナの戦闘力が上がった事に戦う度に強くなるサイヤ人らしさを見た。スーナは自身の戦闘力を上がった事を実感していた。
「ま、今日はこんなもんだろ。飯に行くぞ」
「きゃっ、ドドリアさん!?」
ドドリアはスーナの頭を乱暴に撫で、スーナは突然の事態に悲鳴を上げた。
「共に戦った奴や部下達と同じ釜の飯を食う。それが俺流だ」
「ドドリアさん……はい」
スーナはドドリアの気遣いに笑みを浮かべて食堂へと共に向かう。乱暴だが部下思いの人柄にスーナも嬉しそうにしていた。