一通り話は終わり一同はそれぞれの家へと帰る事となった。
天津飯とチャオズは元の修行場所へ。クリリンは亀ハウスへ。ヤムチャとベジータはカプセルコーポレーションへ。
ピッコロは悟空との特訓の為に孫家へ同行する事となった。
そんな中、スーナは孫家へ帰るか悩んでいた。
そもそもスーナはフリーザ軍側の人間だが、この一年は孫家で過ごしていた。フリーザが死んだ直後で気が動転しているスーナだったが、先程のギニューの宇宙ポッドショックの影響で少しは冷静さを取り戻していた。
「………私が此処に居る訳にはいきませんね」
その冷静になった頭でスーナはこれ以上は孫家に居てはいけないと考え、その場を後にしようとした。
「こーら、何処に行くだ桃香ちゃん」
「姉さん、一緒に帰りましょう」
その場を離れようとしたスーナの肩をチチが捕まえ、悟飯がその手を握った。
「あ、その……私は……」
「桃香ちゃんが帰るのは孫家だ。宇宙じゃねーんだぞ」
「姉さん、僕はもっと姉さんと居たいです」
何とか離れようとしたスーナをチチと悟飯は真っ直ぐに見詰めた。それは純粋にスーナを家族として引き留めようとする瞳だった。
「それに桃香ちゃんが居なくなったら誰が稼ぐだ?悟空さは結婚してから一銭だって稼いでねぇだ」
「それを言われっと……」
チチの発言に悟空は気まずそうに頬を掻く。稼ぎがない事を少しは気にしていたらしい。
「貴様は贖罪の為に地球を離れようとしたらしいが贖罪ならフリーザ軍にこれ以上、肩入れするのは止すんだな。悟飯もそれを望んでいる」
「ピッコロさん」
更に意外な事にピッコロがスーナの説得に加わり、悟飯がピッコロを見上げていた。
「放っておいてもフリーザ軍は瓦解していくと思います。フリーザ様とコルド大王様が居なくなった軍は恐怖で従っていた兵士達の離脱と管理運営する幹部が居なくなった事で経営が成り立たないでしょうから」
それにクウラ様は大軍を率いるタイプじゃないですし、とスーナは心の中で思う。
「私が戻ればフリーザ軍の経営を建て直すのは訳ないですが……スーパーサイヤ人の彼を倒す程の戦士がこれから地球に現れるとなれば、第二の故郷である地球の危機を見逃す訳にはいきませんね。事が済んだらフリーザ軍の解体作業は私が務めますが……今は目の前の問題をクリアせねばなりませんね」
スーナはフリーザ軍の建て直しよりも未来に現れるスーパーサイヤ人を超える人造人間を見過ごせないと告げる。
「だから……孫家にもう少し、居候させて貰ってもいいですか?」
「駄目だ……居候じゃなくて桃香ちゃんは孫家の子だべ」
スーナの発言にチチは即座に異論を唱えた。居候ではなく、ちゃんと家族として帰ってきなさいと言ってチチはスーナを抱き締めた。
「はい……お母さん」
スーナはチチから抱き締められる力が弱いものの振りほどけない絆が生まれているのだと感じていた。
こうしてスーナの地球での生活が続く事が決まったのである。