ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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スーナの考察と来客

 

スーナが孫家に戻り、新たな生活が始まった。

悟空とピッコロ、悟飯は3年後に迫り来る人造人間の脅威に備えた修行を。チチは悟空を含め増えた家族を養う為に耕していた畑を広げていた。

ピッコロは食事をしないが悟空の胃袋は異常なまでに凄まじい。彼一人で軽く20人前は食べる。しかも修行した後ならより食べるだろう。最近では悟飯も食事量が増えてきている。スーナが稼いでいた資産が無かったら孫家の財政は大変な事になっただろう。

 

そんな生活が、数ヶ月続いた頃。スーナは今まで通りカプセルコーポレーションで働いたり、株で儲けたりしていた。そして悟空が乗ってきたギニューのポッド型宇宙船の解析をしたりと毎日を忙しく過ごしていた。

 

 

「なぁ、桃香。オメェは修行しねぇんか?」

「私が働かないと悟空さんと悟飯が確実に飢えますよ」

 

 

修行を終えて一休みしていた悟空は、ポッドから吸い出したデータを纏めた書類を見ていたスーナに話し掛ける。スーナはサラリと悟空に返事をしながらも視線は書類に向いていた。その書類の中には、ギニューがこれから侵略する予定だった星の名前や計画が練られた計画書が記載されていた。

 

 

「ヤードラット星に銀河パトロールの駐屯星……ギニュー特戦隊や幹部の皆さんじゃなきゃ制圧は不可能の惑星ばかりですね。残った兵士の皆さんでは返り討ちは確実ですし……このまま放っておけばフリーザ軍は自然に崩壊していくでしょうね」

 

 

ふぅ……と溜め息を吐くとスーナは書類をテーブルの上に落とす。そんなスーナを見て悟空は少し考えた素振りを見せてから口を開いた。

 

 

「やっぱオラがフリーザを倒した事を恨んでるんか?」

「悟空さんって、何も考えて無いように見えて、結構見てますよね。妙に鋭いですし」

 

 

悟空の妙な勘の良さに驚くスーナは複雑そうな顔をする。

 

 

「恨んでいると言われたら……そうなのかも知れません。極悪人の集いだったフリーザ軍でも私にとっては家族の集まりみたいな場所でしたから」

 

 

悟空の発言に過去を思い出すスーナ。侵略者の集団で心の底から悪人ばかりだったが割りと良い人も居たし、仕事も惑星間の地上げ屋だったが感謝される事もあり、苦労はしていたが充実したものだった。

 

 

「ですが、フリーザ様の言い分を通すなら『弱いから悪い。強い者が弱い者を支配する』と言った様子でしたから。その言葉通りなら敗北したフリーザ様やお父さん達が悪い事になります」

「姉さん、それは……」

 

 

スーナの言葉に悟飯は否定しようとしたが、相手がフリーザなだけに庇う気にはなれなかった。

 

 

「まだ気持ちの整理が付いていませんが……折り合いが付いたらまた話をしましょう」

 

 

等と話をしていると、悟空の腹がグゥゥゥゥゥゥと豪快に鳴った。

 

 

「アハハ……腹減っちまった」

「全く悟空さんったら……待っててください。夕食にしましょう」

 

 

シリアスな雰囲気で話をしていたのに一瞬で場を和ませる様に笑う悟空にスーナも笑みを溢す。仕方ないですね、と言いながらスーナは夕食の準備をする為にエプロンを着る。

すると玄関から荒々しいノックが聞こえてスーナは玄関の方に歩く。

 

 

「あれ?今日は来客の予定は無い筈ですが……はーい、どなたですか?」

「………よう」

 

 

スーナが玄関を開けると其処にはフリーザの兄、クウラが立っていた。

 

 

「キャァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

 

突如、現れたクウラの姿を見てスーナは悲鳴を上げるとキッチンへと逃げ込んだ。

素早い手付きで包丁で食材を刻み、鍋で煮物を煮ながら、魚をグリルで焼く。

 

 

「こ、こんな時間に何のご用ですか!」

「おお、あっちゅーまに晩メシが出来たぞ」

「家事に逃避するタイプですよね、姉さん」

 

 

エプロンを脱ぎながら叫ぶスーナに悟空と悟飯はあっという間に出来た夕食に驚いていた。

 

 

「邪魔するぞ」

「お口に合いますか、どうか……」

「ちゃんとお客様の分も用意してるだな」

 

 

テーブルに備え付けられた椅子に座るクウラにスーナは土下座をしながらクウラに食事を勧める。チチはスーナが怯えながらもクウラの分の食事もキッチリと用意していた事に感心していた。

 

 

 

 


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