外へ出たクウラと悟飯は向かい合って対峙していた。悟飯はクウラを睨み、拳に力を込める。フリーザとクウラが似ている事もあり、怒りが込み上げている様だ。
「どうした、掛かってかないのか?それとも、フリーザと戦ったのは間違いか……それとも震えているのか?どちらにせよ、貴様のようなガキに本気は出さん。死なない程度に終わらせてやるから安心しろ」
「大きな……お世話だーっ!」
クウラの挑発にキレた悟飯は気を爆発させる。クウラとの間合いを一瞬で詰めた悟飯はクウラの鳩尾に拳を叩き込む。そして流れる様にラッシュを叩き込む。
「す、凄い……クウラ様を相手にあそこまでの猛攻を……」
「そうか……お前は悟飯が戦っている所を見たことがないんだったな。アイツは怒ると凄まじい底力を発揮する」
悟飯の戦いを初めて見たスーナはクウラを圧倒する悟飯に驚いていた。幼い頃の悟飯を鍛えていたピッコロはスーナに悟飯の潜在的な力を説明する。
「魔閃光!」
「……ちっ」
クウラに猛烈なラッシュを浴びせていた悟飯はクウラから距離をとると魔閃光を放つ。クウラは迫り来る魔閃光を舌打ちをした後に避ける。
「でぁりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
魔閃光を避けたクウラの背後を取った悟飯はクウラの背に強烈な蹴りを放つ。そのままクウラは地面に叩き付けられ、地面はクレーターが出来てクウラはその中に埋もれてしまう。
「はぁ……はぁ……」
「す、凄い……」
「さっき悟飯の力を説明したが……悟飯の成長には俺も驚かされている」
一気にパワーを使いきった悟飯は肩で息をしていた。スーナは予想以上の悟飯の戦闘力に驚きを隠せなかった。ピッコロは悟飯の成長速度に師でありながらも驚かされていた。
「悟飯、まだだぞ」
「予想以上の戦闘力だな、小僧……だが、甘い」
戦いを見守っていた悟空は悟飯に忠告する。それと同時にクレーターの中からクウラの声が聞こえ、中からクウラが出てくる。
その姿は擦り傷が僅かにあるが、致命傷になる傷は一つも無かった。
「……行くぞ、小僧!」
「なっ!?……ぐうっ!」
クウラは先程までと違い、凄まじいスピードで悟飯に迫る。そのスピードに驚愕していた悟飯は反応できずマトモにエルボーを食らってしまう。そして、その衝撃で動きを止めてしまった悟飯はクウラに捕まり、アイアンクローに固められる。
「ぐ……あ……」
「わかったか、小僧?本当に強い者は一刺しで相手を倒すものだ。貴様は持ち前のパワーとスピードに頼りすぎで無駄な動きが多すぎる」
クウラにメキメキと力を込められながら自身の戦い方を指摘される悟飯。
「ク、クウラ様……あまり手荒な事は……」
「貴様も甘いな、スーナ。安心しろと言ったろ……殺さない程度に済ませてやるとな」
スーナの発言に少々飽きれながらも、悟飯から手を離すクウラ。離された悟飯はドサリと地面に落とされる。
「次は俺だ」
「ふん……この小僧とは違い、楽しませてくれよ?」
そんな悟飯を見たピッコロはマントとターバンを脱ぐとクウラと対峙する。クウラは悟飯以上の実力者のピッコロを悟飯よりも期待した目で見ていた。
「抜かせっ!」
「来いっ!」
同時に空中に飛んだピッコロとクウラ。即座に凄まじい空中戦が繰り広げられていく。
「大丈夫ですか、悟飯?」
「悟飯ちゃん!」
「悟飯……クウラの忠告は尤もだぞ」
地面に落とされた悟飯を気遣うスーナとチチ。スーナは悟飯の頭を支えながら自身に抱き寄せながら寝かせる。悟空はピッコロとクウラの戦いを見上げながら、クウラの指摘が間違っていない事を告げる。
悟飯は元々パワーとスピードに長けている。その実力を生かせば先程よりも良い戦いが出来ただろう。しかし、悟飯はそれを生かさずにパワーにのみ頼った戦いをしてしまった。ちゃんとスピードを生かしてテクニックを磨いていれば、クウラを倒せずともしっかり相手取れていただろう。
「なんなんだ、この凄まじい気は!?」
「な、フリーザっ!?」
「ピッコロが戦ってるのか!?」
そんな中、クウラとピッコロの戦いに気付いたヤムチャ、クリリン、天津飯が駆け付ける。三人はクウラをフリーザと勘違いし、ピッコロが戦っている事に驚愕する。
「あの方はクウラ様……フリーザ様の兄君です。今はフリーザ軍を抜けて一介の戦士としての地球に来訪されました。今は悟空さん達と腕試し中です」
「腕試しって次元の戦いじゃねーと思うんだけどな……」
「ああ……俺達とは格が違う……」
スーナの説明にクリリンが空中で繰り広げられている戦いを見上げながら呟く。天津飯もそれに同意し……ヤムチャはスーナに膝枕されている悟飯を少し羨ましそうに見ていた。
そして、クウラとピッコロの戦いをスーナ達とは離れた位置から見ていたベジータは、フリーザ以上の実力者のクウラに気圧されながらも戦いを見逃さない様に見ていた。
「ちっ……どいつもこいつも戦闘民族サイヤ人を舐めやがって……」
ベジータは悟飯がクウラに敗北した事とある程度、良い勝負をしているピッコロ。そして自分ではクウラに勝てないと悟った事に苛立ちを感じていた。